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南半球にフレッシュさを求めて

2021年10月16日 土曜日 • 6 分で読めます
Mechanical harvester in Marlborough
ニュージーランドから、有機栽培のソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールの最新情報。 現在、マールボロの98%のブドウ畑は機械収穫を採用している。上のマールボロの機械収穫風景の写真はNew Zealand Winegrowers Inc, te Pāの提供によるもの。この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。 パリとサンセールの間には密接なつながりがある。私は淡く、酸が高く、柑橘系の風味と石灰のニュアンスのあるサンセールのグラスには光の都のビストロや歩道が似合うと思っている。だから先日パリの晴れた日に列車待ちのためランチを楽しむ機会があった際には自分のためにヴァシュロンのサンセール2019を注文した。 ところが、サンセールで最も尊敬を集める生産者が造るこのワインは全く酸が高くなく、石灰のニュアンスも感じられなかった。全くもって、ぽっちゃりとしていたのだ。ソーヴィニヨン・ブランの果実味は明らかに熟度が高すぎ、ワインのトレードマークである香り高さやフレッシュな酸は懸命に探さなくては感じ取れないほどだった。グラスの中にまで気候変動の影響が忍び寄っていたのだ。ロワールでも最近の夏は暑すぎて、ブドウの成熟が記録的に早く進むため、酸が低くなりがちなのだという。 近年はロワールのソーヴィニヨン・ブラン、つまりプイィ・フュメやムヌトゥー・サロン、ルイィ、トゥーレーヌの白などにも全く同じことを感じている(その他の地域同様、2021年は熱波の到来は見られなかったものの、ワインは来年までリリースされることはないだろうし、その供給量は非常に少ない)。 では、酸が冴えわたるほど高いソーヴィニヨン・ブランを求めるなら、どこを探せばよいのだろう?上質な例は世界中で造られている。ボルドーはもちろん、オーストリアのシュタイヤーマルク州、ドイツのファルツ、チリの沿岸部などだ。だが冷涼な気候から比較的酸が高いワインを生み出すニュージーランドは明らかに有力な候補地といえよう。この国が大成功している輸出ワインの85%をソーヴィニヨン・ブランが占めるということも理由の一つだ(人間と違い、ワインは国外に出ることを許されているようだ)。 ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランがみんな同じ味だと感じられた時代もある。一定の甘さが感じられ、猛烈に刺激の強いスタイルだ。だが、最高の生産者たちのたゆみない努力によって、この国で最も人気の高いワインは洗練されてきた。今やニュージーランドはアロマティックなフルーツジュースではなく、サンセールのように極辛口でミネラルに富んだワインを探す向きには最適な生産国だ。 南島北部にあるマールボロは押すに押されぬソーヴィニヨン・ブラン生産の中心地だ。同じく南島の北部、ネルソンにあるグリーンホフは一目置かれる存在だが、ニュージーランドの他の地域で生産されるソーヴィニヨン・ブランの中でマールボロの最上質のものと張り合えるワインはほとんどない点は課題であるとも言える。 近年ラベルにサブリージョンの記載されたマールボロのソーヴィニヨン・ブランが徐々に増えてきている。南部のアワテレは比較的軽めでフレッシュなスタイルだ。生産者たちは丘の中腹にある畑でとれたブドウを使ったり、ボルドーのようにセミヨンを少量ブレンドしたり、市販酵母ではなく畑やセラーに存在している酵母を利用したり、樽で熟成したワインを少量ブレンドしたりして繊細さを引き出すよう努めている。文末に私の最近のお気に入りを記した。 ニュージーランドがワイン生産国として魅力的な点がもう一つある。この国が長きにわたりサステイナビリティに貢献してきたことだ。ワインのサステイナビリティに対し国として認証を与える制度は1995年という早い時期から設立され、現在ブドウ畑の総面積の96%以上がその認証を受けている。要求される条件は良く考慮されたものだが、有機栽培やビオデナミの国際機関が求めるほど厳しいものではない。ニュージーランドの生産者のうち合計で42軒が有機栽培の認証を、6軒がビオデナミ認証を取得し、数十の生産者は少なくとも1アイテムの有機ワインを生産しているが、これらは国全体の畑のたった6%にしか満たない。いずれにしてもこれらのワインは輸出市場にも積極的に出ており、2017年以降有機ワインの輸出量は価格ベースで40%増加している。 シャルドネや多くの赤ワインと違い、ソーヴィニヨン・ブランはコストと時間のかかる熟成を経ることなく販売することが可能だ。私のマールボロ・ソーヴィニヨン・ブランのお気に入りのひとつはチャートンの有機ワインで、わずか数か月前に収穫したブドウから造られたものだ。このワインの場合は珍しいことに、ブドウを機械ではなく手で収穫している。 ニュージーランドの収穫は機械が主流で、マールボロではその98%がそれにあたる。機械収穫されたソーヴィニヨン・ブランの方が手摘みのものよりも品種由来のアロマが強くなるという研究結果もある。さらに驚くべきことがマスター・オブ・ワインのレベッカ・ギブが2018年に出版したThe Wines of New Zealand (ワイン・オブ・ニュージーランド)の中にまとめられている。収穫機が初夏にブドウの樹を揺らすために使われているのだ。これは花冠(訳注:ブドウの花が咲く際に落ちる帽子状の器官)を文字通り振るい落とすためだそうだ。ブドウの生育に伴って花冠が(訳注:房の内部に)残っていると生育期、マールボロのソーヴィニヨン・ブランが樹冠を旺盛に茂らせることもあり、カビの原因になるためだ。また、収穫機は冬季には休眠期にあるブドウの枝を除去するためにも使われている。 機械は人間の労働力よりもはるかに安い。そしてパンデミックは機械依存にさらに拍車をかけた。それに加え、ニュージーランドの収量は一般的に非常に高く、多くのワインは契約ワイナリーで醸造されている。そのため、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランが生産者にとっても、リーズナブルな価格でそれを飲むことができる消費者にとっても、高い利益をもたらすことは驚くことではない 価格といえば、ニュージーランドのワインが面白い代替品となりうるフランス・ワインのカテゴリがもう一つある。ニュージーランドの北島、南島どちらでも栽培面積が第2位の品種、ピノ・ノワールだ。赤のブルゴーニュは今、あまりにも高すぎる。そしてブルゴーニュ愛好家にとってはおそらく、今のピノ・ノワールは熟しすぎだろう。それならばニュージーランドは代替品を掘り出す格好のターゲットとして年々ポテンシャルが上がっている。初期のニュージーランド・ピノ・ノワールはやや甘く、シンプルなものが多かったが、最近はその先を探ってみる価値がある。 ワインオタクの琴線に触れるだろう候補はグレイストーンのヴィンヤード・ファーメント・ピノだ。これはブドウを畑の真ん中で発酵させたという珍しいワインで、自然に存在する酵母の影響を最大限にすることでそのテロワールをより明確に反映することを目指している。実際これらは非常に上質で、特に2019は熟成のポテンシャルが示されているし、2017は熟成したブルゴーニュに感じられるようなマッシュルームやスミレのような魅力が感じられ、まさに今飲み頃だ。 グレイストーンはニュージーランドでもピノ・ノワールに優れた中心地のひとつ、ノース・カンタベリに拠点を置く。ベル・ヒルは(コート・ドールと同様、内陸にある石灰岩の上にあり)、この地で最高の場所だが、その生産量は非常に少ない。ロンドンならハイバリー・ヴィントナーズやハンドフォード・ワインズが熟成したヴィンテージをわずかに取り扱っているが、1本あたり100ポンドは下らない。また、ナパのラッキーソムはベル・ヒル・ピノ・ノワール2012を1本「たった」120ドルで販売している。 マールボロのピノ・ノワールは樹齢が上がり、最適なクローンと、この品種に適した土地の理解が進むにつれ複雑さを表現するようになってきた。一報で北島の南東の角にあるワイララパのサブリージョン、マーティンボロと、南島のはるか南部にあるセントラル・オタゴはピノ・ノワールについて、はるか以前からその名声を確立してきた。これら地域にはどちらも、私が感銘を受けたピノを造る日本人所有のワイナリーがある。マーティンボロのクスダとセントラル・オタゴのサトウだ。日本人らしい繊細で精密なブドウの扱い方は、脆くはかないピノ・ノワールに特に向いているのだろう。 アタ・ランギはマールボロで第一線を行くスターだが、上述の2人の日本人生産者同様、有機認証は受けていない。一方でセントラル・オタゴのスターはフェルトン・ロードで、有機認証を受けているだけでなく、近隣のクォーツ・リーフやリッポン同様にビオデナミ認証も取得している。 フェルトン・ロードのブロック3とブロック5のピノ・ノワールはここ数年ニュージーランドで最も有名なピノだろう。毎年数百ケースしか生産していないワインを経営のスリム化によって価格をほどほど(2020なら60ポンドを少し超える程度)に抑えた(イギリスを拠点とする)オーナーであるナイジェル・グリーニングには心から敬意を表したい。ブルゴーニュとは非常に対照的だ。 有機栽培のニュージーランド・ソーヴィニヨン・ブラン Greenhough, River Garden 2019 Nelson £11.40-£14.95 various independents

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これらワイン、さらに多くのニュージーランド・ワインのテイスティングノートはデータベースを参照のこと。 イギリスだけでなく世界の取扱業者はWine-Searcher.comを参照のこと。 (原文
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