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ギリシャが全て

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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。ギリシャの白ギリシャの赤パクシ島のグルメも参照のこと。

パクシ・ワインのアンドレアス・ダイアマンティス(Andreas Diamantis)はラッカの小さな港にある自身の小さな店でレジにどっかりと座った父の横で在庫の充実した棚を見ながら「今ギリシャではとても良いワインを作っていますよ。」と自慢げに話し、こう続けた。「でもこれからはもっと良くなります。」

私は彼とはメールでしかやり取りしていなかったが、彼には借りが沢山あると感じている。先日、1週間ほどこの島の別荘で3人の孫とその親たちと過ごす計画を立てていたのだが、その数日前になって食事の手配はしているがワインの手配を忘れていたことに気づいたのだ。こんな必需品を忘れるなんて。だが www.paxoswines.com が助け舟を出してくれ、私はアンドレアスのウェブサイトからお気に入りのギリシャ・ワインを選ぶという楽しみを得ることができた。しかもそれらのほとんどは1本10ユーロ以下だ。オンラインで発注するのは骨が折れたのだが、電話をするとアンドレアスはワインを別荘まで運ぶことを快諾してくれ、あとで清算に立ち寄ればいいとしてくれた(強調しておきたいのは、彼は私がワインに関わるプロだとは知らなかった点だ)。

到着予定日の前日彼からのメールで注文したワインはすでに別荘に届けてあると知らされた。その夜私はそれらを楽しむことを想像しながら眠りについたのだが、ブリティッシュエアウェイズからのメッセージ音で午前4時に起こされた。それによると4時間に我々が乗るはずだったケルキラ島へのフライトがキャンセルになったというのだ(これはヒースローのターミナル5が休日の夢の野戦病院と化したシステムトラブルの翌日だった)。そこから飛び起き、接続の遅さにイライラしながら検索をしたものの、3日後に2人分の席を確保するのがやっとで、家族全員の分は到底確保できなかった。そこで騒がしい子供たちを連れた7人が静かなヴィラの空気を壊すのも良くないということになり、旅行保険の会社が理解を示してくれることを祈りながらパクシ島でおそらく最後の1室だったと思われるホテルの部屋を見つけ出し、別荘で全員一緒に過ごすことをあきらめた。その日、私はワインのボトルが別荘で私たちを待っていることを思い出し、新しい友人であるアンドレアスに謝罪のメールを送った。

「ロビンソンさん、気にしないでください。次に島にお越しの際にはぜひお会いして、ワインを飲んだりワインの話をしたりしましょう。すべてがうまくいきますように、そしていつか私たちの美しい島に来て下さることを願っています。」というのが心温まる彼の返信だった。ブリティッシュエアウェイズのお客様センターの対応とは全く対照的だ(彼らは娘家族が帰りの便のキャンセル手続きを行わなかったからという理由で返金をしなかった)。

この話を書いたのはギリシャ人の懐の広さを象徴していると感じたためで、彼らが特に魅力的なワインを生み出していることの象徴とも言えると感じたためだ。アンドレアスは大きな夢だと感じているかもしれないが、私からすると彼らはすでにそれを実現していて、ギリシャ・ワインの素晴らしい品質を世界が受け入れるべき期は熟していると感じる。ポルトガルのように、ギリシャもその品ぞろえの多くを固有品種が占めることが特徴だ。以前「ワイン・グレープス」のために商業生産されている2012品種の情報を収集した際、ギリシャとポルトガルの持つ77種以上に固有品種をもっていたのはイタリア、フランス、スペインという世界の巨大ワイン生産国だけだった。しかもポルトガルはヨーロッパで第5位の生産量を誇る一方、ギリシャは14番目である。つまり彼らの固有品種の遺産は遥かに大きな割合を占めることがわかる。

ギリシャでワイン・リストを眺めれば、好奇心の強いワイン愛好家にとってどんな宝が(そして聞き覚えのない名前が)あるのかすぐにわかる。実質的にほぼすべてのワイン生産国は20世紀の終盤に自分の価値を証明するためには知名度の高い国際品種を植えるべきだと信じている時期があった。それがギリシャの場合は特にカベルネとソーヴィニヨン・ブランだった。だが現在ギリシャのワイン生産者は非常に個性的な特徴を持つ固有品種に大きなプライドを持っている。サントリーニ島の偉大なアシルティコは言うまでもなくギリシャの白ワインの印象を初めて形作った品種であり、だからこそギリシャの他の産地にも植えられるようになり、今では南オーストラリアでも生産されているほどだ。

一方4月下旬にロンドンのヴィントナーズ・ホールで開催されたギリシャ・ワインのテイスティングでヴィントナーズたちが誇らしげに紹介していたのはサントリーニ島の別の品種、アイダニとアシリ、さらにその二つ同様その栽培面積を増やしているキドニツァ(Kidonitsa;モネムヴァジアのカリンのような香りのする品種で、モネムヴァジアの港の名はマルヴァジアの名前の元となったとも言われる)、コレリ大尉のセファロニアのロボラ、ギリシャ北西部で驚くほど上質なスパークリング・ワインを生み出す酸の高いデビーナ、すがすがしい花の香りのするヴィラナ、そして最近クレタ島で絶滅の危機から救い出されたヴィディアーノ(Vidiano)などだった。これら全ては若葉の香りのするマラグシア、ブドウらしい香りのモスコフィレロと共に数年前まではエキゾチックで珍しいものだったが、現在では長きにわたりギリシャの白ブドウとして広く植えられていたロディティスやサヴァティアーノに加わり、ギリシャの主流となりつつある。ロンドンにあるザ・グリ―ク・ラーダー(The Greek Larder)でリララキス(Lyrarakis)という生産者(BBRが輸入)によって救出されたクレタ島の品種に注目して開催されたディナーはまさに啓示的と言えるものだった。引き締まったプリト(Plyto)は記憶に残るものだったし、その名を月桂樹に由来するダフニ(Dafni)は、私からすると強いフェンネルの香りがしたが、その名前のみならずこれほどまでに個性的な特徴を備えたブドウに出会ったのは初めてだ。

赤ワインにその座を奪われるはるか以前、私はギリシャの白ワインと恋に落ちていた。だが今やギリシャのワインメーカーは樽の扱いをマスターし、その自然な中程度のアルコールを低すぎると恐れるより楽しんでいるように感じられ、ギリシャの赤ワインもどんどん楽しめるものになってきた。最も良く知られた品質の良い赤ワイン用品種はネメアの濃厚なアギオルギティコ、ナウサで長期熟成が可能なクシノマヴロだが、最近熱心で腕の立つギリシャのワイン生産者に後押しされているライバルにはスパイシーなマヴロトラガノ(Mavrotragano)、エレガントなリムニオナ(Limniona)、引き締まったマンディラリア(Mandilaria)、ハーブの香るリムニオやクラタン、アロマティックなリアティコや柔らかなコツィファリなどがある。(上の写真はクレタ島にあるリララキスのプサラデス・ヴィンヤードで3年に2回ほどは雪が降るそうだ).

この国はヴァラエタルワインにしろブレンド(その多くは国際品種とのブレンドだが)にしろ、可能性に満ちたワインのパレットと言える。ほとんどのギリシャ・ワインはギリシャで料理と共に消費される。まったくもって健全なことである。そしてギリシャの経済がそれほど好調ではないことから、その価格は消費者にとっても生産者にとっても繊細な問題だ。いずれにしても私はギリシャ・ワインを飲みますよ、アンドレアス。

最近お気に入りのギリシャ・ワイン
以下に示すワインにはロンドンでのテイスティングでの67本の中から全て20点満点中17点以上を付けたものだ。半分以上のワインがそれに該当している。これ以外に17本のワインに16.5点、20のワインの16点を付けた。

辛口白

Hatzidakis Aïdani 2016 Santorini
Hatzidakis, Cuvée 15 Organic Assyrtiko 2015 Santorini
Hatzidakis, Louros Assyrtiko 2013 Santorini
Hatzidakis, Nykteri 2014 Santorini
Karavitakis, Klima Vidiano 2016 Crete

Bizios 2011 Neméa
Hatzidakis Mavrotragano 2015 Santorini
Moraitis, Sillogi 2015 Paros
T-Oinos, Clos Stegasta Mavrotragano 2014 Cyclades

甘口白

Hatzidakis, Vinsanto 2003 Santorini
Samos Co-op, Nectar 2010 Samos

原文

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