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グルナッシュ・グリ礼賛

Saturday 24 September 2016 • 4 分で読めます
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この記事のやや短いバージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。テイスティング・ノートについてはLanguedoc wines white Collioures を参照のこと。

現状、白ワインに関して言えば、グレーがいい。非常に面白いワインを生み出す品種に出会っているが、それは白を表すブランで終わる品種でなく、グレーを表すグリで終わる名前のものが多い。ソーヴィニヨン・ブランより柔らかな魅力と香り高さのおかげで、今やチリとフランスではソーヴィニヨン・グリが絶大な人気を誇っている。フランスではこれまでソーヴィニヨン・ブラン主体とされてきた事実上すべてのアペラシオンでソーヴィニヨン・グリが許可品種に加えられた。

グレー系の品種で最も人気の高いのはもちろんピノ・グリ、とくにイタリアのピノ・グリージョだが、それぞれアルザスのピノ・ブランとイタリアのピノ・ビアンコと比べてはるかに大きな市場のけん引力となっていると言えるだろう。

グリの付く品種は名前がブランやノワールで終わる品種と遺伝子的には同じなのだが、果皮の色が白ワイン用品種よりはるかに濃く、一般的にはピンク色をしているため、色の濃い、多くは味わいも深いワインが生み出される。

最近私が特に心をくすぐられた品種はグルナッシュ・グリで、グルナッシュ・ブランのいとこにあたるピンクの果皮のブドウだ。グルナッシュ・ブランはグルナッシュ・グリよりも栽培面積は多いが、私の経験上は大味でしまりのないワインになることが多い。このこともあって、グルナッシュ・ブランはラングドック・ルーションのブールブーランやクレレット、南ローヌのルーサンヌやクレレットなどの溌剌とした品種とブレンドされることが多い。

単一品種としてのグルナッシュ・グリは比較的珍しい。この品種は伝統的に時々グルナッシュ・ノワールに混ざって栽培されていた。これはおそらく育苗商がうっかり混ぜてしまったためであり、それらが混醸されることも多かった。だがミネルヴォワの二つのワインは100%原料として使った場合のこの品種のポテンシャルを私に教えてくれた。

ラ・リヴィニエールの村でベンジャミン・ダルノー(Benjamin Darnault)がこのブールヴァール・ナポレオン(Boulevard Napoléon)という、通りの名前(写真)にちなんだワインをロンドンにあるセント・ジョン(St John restaurant)レストランのトレヴァー・ガリヴァー(Trevor Gulliver)のために作った。その2011グルナッシュ・グリは今でも非常に強く、素晴らしいハーブの香りとオイリーさが心地よい。2012と2013は多くのイギリスの販売店で、それより若いヴィンテージ(私はテイスティングしていないが)はニューヨークで入手可能だ。

シャトー・マリー(Ch Maris)のブラマ(Brama)はフェリーヌ・ミネルヴォワという小さな村にある標高400メートルの畑から生まれる。1938年もの昔からその畑はグルナッシュ・グリだけを栽培してきた。この心躍る複雑なワインは、最高のグルナッシュ・グリがグルナッシュ・ブランよりも引き締まったワインを生み出すことを強く示唆する。「平均的な白のブルゴーニュよりはるかに面白い」私は自分のテイスティング・ノートに意地悪くそう書いている。「だが非常に高い」と付け加えて。2012は1本27ポンドなのだ。もっともその年の収量は非常に低く、たった10hl/haしかなかった。

ミネルヴォワではまた、常識を打ち破るトロッス・ミネルヴォワを拠点とするワインメーカー、ジャン・バティスト・セナ(Jean-Baptiste Senat)がグルナッシュ・グリ主体のオザミ・デ・マ・スール(Aux Amis de ma Soeur;妹(姉)の友達)というワインを2015に生産している。ブラマの系統と言えるかもしれない。より典型的なのは、このワインがブレンドである点で、樹齢30年のグルナッシュ・グリが70%で、それより樹齢の高い40年のグルナッシュ・ブランとともに使われている。

南フランスで栽培されているグルナッシュ・グリの多くはルーションにある。ペルピニャン周辺にあるブドウ畑がそこから作り出されるリヴサルト、バニュルス、モーリィなどの強くて甘いヴァン・ドゥー・ナチュレルで最もよく知られていたころの名残だ。これらに使われる一般的な原料は3色のグルナッシュすべて、すなわちグルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、そして濃い果皮のグルナッシュ・ノワールであり、グルナッシュ・ノワールは南部ローヌのワイン、例えばシャトーヌフ・デュ・パプなどに使われる主要品種だ。

これまで出くわしたグルナッシュ・グリ主体のアペラシオンはコリウールの白だ。(ほぼ)辛口のテーブルワイン並みの強さを持つワインで、アンチョビと芸術で有名なペルピニャン南部にある海沿いの街の、その名の由来となる強くて甘いバニュルスも生み出される畑から作られる。

これらはアルコールの強いワインで、これほど南部で作られるのだからその酸が高すぎて文句を言われることはないが、力強い魅力、骨格と味わいは(はるかに高価な)白のエルミタージュに似ていなくもない。ただし、これらがエルミタージュと同じぐらい熟成するとしたら、私はものすごく驚くだろう。

先日私は今のコリウール白を11種テイスティングしたが、それらのほとんどはグルナッシュ・グリ主体でグルナッシュ・ブラン、ヴェルメンティーノ、ルーサンヌ、ときにマカブー、すなわちピレネー山脈を越えたリオハではヴィウラとして知られる品種などとのブレンドだった。

コリウールの海岸性気候はミネルヴォワの丘よりもはるかに穏やかなため、これらのコリウールも上述のミネルヴォワの2本に比べるとややゆるい印象ではあったが、多くの場合後味にある種の魅力的なキニーネのような軽い苦味が感じられることで、だらけた印象にはならずに済んでいた。またそれらのうち多くが、ルーションの白によくあるように、シスト土壌で育っているためか(その理由は明確にはなっていないが)繊細なワインとなっている。

白のコリウールはニッチな商品と呼ばれるものだ。コリウール・ブランのアペラシオンは2002年に認定されたもので、コリウールの生産量のわずか15%程度しかない。多くのワインはボリュームがあるスパイシーな赤で、そこに少量の強いロゼが加わる。だがこれらのワインは白のコリウールがどれほど独特でありうるかを教えてくれる。古い時代からの段々畑にブドウの株が並び、栽培面積は50ヘクタール以下でそれら畑の多くは地中海を望む。これらのブドウから得られるワインは極端に少なく、通常は20hl/ha未満だ。さらにブドウは通常8月に酸が低くなりすぎる前に収穫する。全房で圧搾し得られたマストは樽で発酵と熟成を行うことが多い。だがオークが強すぎる場合はめったにない。

最も成功している2本のコリウールは素晴らしいドメーヌ・ド・ラ・レクトリー(Domaine de la Rectorie)のもので、うち1本はシェリーのように産膜酵母を用いて作られるが、感じられるのはほんの軽い食欲をそそるような香ばしさだけだ。

グルナッシュ・グリ主体で他のルーションの品種とブレンドされたテーブルワインも続々と生み出されている。レ・クロ・ペルデュのレクストレメ(Les Clos Perdus (L'Extrême))、クロット・ド・ルムのシネ・パネトーヌ(Clot de l'Oum (Cine Panettone)、ゴビーのクーム・ジネスト(Gauby (Coume Gineste))、ドメーヌ・ジョーン(Domaine Jones)、マ・ジャニルのトロウ・デ・ローユ(Domaine Jones, Mas Janiel (Traou de l'Ouille))、マタッサ(Matassa)、オリヴィエ・ピトンのキュヴェ・レー(Olivier Pithon (Cuvée Laïs))、ロック・デ・ゾンジュのイグレシア・ヴェラ(Roc des Anges (Iglesia Vella))、トレロアのラ・テッレ・プロミズ(Treloar (La Terre Promise))などが最高の例だ。

一方、グルナッシュ・グリを含む上質なブレンドはフランス以外でも見つけることができる。想像に難くないのがピレネーを越えたスペイン北東部だろう。モンサンの丘にあるアクスティック(Acústic)や海沿いのエンポルダ(Empordà)で作られる強い白にはカスティリャ語でガルナッチャ・リオハが使われている。マイナーではあるが、重要でない品種というわけではない。

珠玉のグルナッシュ・グリ

Boulevard Napoléon 2013 Vin de Pays de l'Hérault
£16.95 Slurp.co.uk, £19.50 Philglas & Swiggot

Ch Maris, Brama 2012 Vin de France
£27 Hic Wines

Jean-Baptiste Senat, Aux Amis de ma Soeur 2015 Aude
€14 RRP

Cardoner, Les Tines 2015 Collioure
€19.50 RRP

Dom de la Rectorie, L'Argile 2015 Collioure
€24 RRP

Dom de la Rectorie, Voile d'Argile NV Vin de France
€24 RRP

原文

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