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ライトボディかフルボディか。今どきの赤ワイン愛飲家はどちらがお好き?

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Choosing wine
Photo credit: d3sign via Getty Images.

フルボディへの回帰はあり得るのか?この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

最近の調査で、心の寒くなるような結果が得られたという知らせを受けた。

私は自分のライターとしての仕事を、スーパーマーケットではなくワイン専門店で購入するぐらいワインに興味のある人たちのためにしてきたつもりだ。(訳注:原文はindependent wine shopとあり、直訳すると独立系ワイン店となりますが、チェーンなどに属さない個人店とほぼ同義なのでわかりやすいよう「ワイン専門店)と訳しています)

だから、このイギリスという島国の片隅の比較的小さなワイン商を探し出して紹介したりワインのオススメを書いたりするのは、消費者にもワイン専門店にとっても画一的なグローバル化に対抗する手助けになると信じていた。

ところが、この努力は全て無駄だったかもしれないと思わされる出来事があった。イギリスのワイン専門店の常連客を対象とした最近の調査で、彼らが購買の際に影響を受けるのは56%が家族や友人、46%がワイン店のスタッフ、そして雑誌や新聞などに掲載されているオススメを気にするのはたったの22%に過ぎないことが判明したのだ。

この調査はイギリスのワイン輸入業者で、ワイン専門店に特化してワインを卸すHallgarten & Novum Winesの依頼で調査会社であるKAMが実施した。彼らは250万人の消費者を対象とするデータベースを使用したのだが、そのうち過去1年間にワイン専門店を訪れたことがあるのはたった1185人だった。ああ、私の仕事は時間の無駄ということなのだろうか。

私の望みはさらに、同調査の見出しによって粉々に打ち砕かれた。なんと、赤ワインの中で最も人気があるのは「フルボディ」のワインであり、その回答は47%にも上ったのだ。この結果は昨年末、第一線の飲料市場調査専門企業であるIWSR(ワイン・インテリジェンス:訳注;2社は別企業だったが前者が後者を買収)の調査からも裏付けられている。彼らはイギリスで日常的にワインを消費する3000人以上を対象に赤ワインに求める理想的な要素は何かと尋ねた。その結果、実に40%もの人々が「フルボディ」と回答し、同じ40%が「スムーズさ」と回答した(複数回答が可能)。

ワインのプロはフルボディというとアルコール度数が高いことと同義と考えがちだ。しかし、私のメールボックスは地球温暖化の結果アルコール度数が上がっていることに不満を感じる消費者からのメールであふれかえっている。一方で「スムーズ」という表現はワインを学ぶ人にとって、がっしりとしたタンニンが少ないことを意味するだろう。ワインが若いうちはタンニンがそのトレードマークとも言えるボルドーの赤ワインが今は人気絶頂とは言いがたいこともうなずける。

ところがワイン生産者やコメンテータの間で今最も流行しているワインの品質的な特徴は、フルボディとは真逆のものだ。エレガント、フレッシュ、洗練、ピュア、繊細、フィネス、そして「素晴らしい酸」などという言葉が現在のワインの表現を彩り、それは大衆向けにワインを提供するような小売店のパンフレットも例外ではない。

一方、私から見ると、件の回答者たちはおそらく無意識に甘味について言及したかったのではないかと推測できる。実際ワイン・インテリジェンスの調査で次に人気が高かった要素は「リッチ」と「フルーティ」、そして「飲みやすさ」である。これらは全て「甘味」を連想させるよう用語ではないだろうか。(ちなみに「辛口」は「樽の効いた」と共に最も人気のない赤ワインの要素だった)。

残糖は一般に2 g/l を切ると感じることはできず、ほとんどの赤ワインはこのレベルまで辛口に仕上げられている。だが大衆市場向けの赤ワインの中には残糖量がこれよりはるかに高い場合もある。例えばアルゼンチン最大のワイン企業、Peñaflor が作るサウザンド・ライヴス・カベルネ(Thousand Lives Cabernet)2020はなんと9.6 g/lもの残糖を含んでいるし、ケイマスのナパ・ヴァレー・カベルネ2020の残糖は9.2 g/lだ。世界2番目に大きなワイン企業であるコンステレーション・ブランドによるメイオミのカリフォルニア・ピノ・ノワール2021の残糖はおよそ25 g/lもある。イギリス最大のスーパーマーケット、テスコが最近開催したテイスティングで配布された資料にはカリフォルニアのエスタンシア・ピノ・ノワールはおよそ6 g/l、南アフリカのベリングハム・ピノタージュ(Bellingham Pinotage)は約5 g/l 。そしてテスコのプライベート・ブランドの多くも同様だった。同じようにマジェスティックのパンフレットでも、Alain Grignon Carignan は9.4 g/l 、Domodo Negroamaro は8 g/l 、Domaine Marquis Ravardel の2020シャトーヌフ・デュ・パプは7 g/l 、そしてその他多くのワインも4 g/l 前後だった。

非常にざっくりとした表現ではあるが、ヨーロッパ本土のワイン生産者は赤ワインに糖分を残すことはまずない。だがスーパーマーケットのバイヤーは大衆受けが良いよう、ある程度の残糖を望むことが多い。甘味のためにブドウ濃縮果汁を加えるよう要求することもあると聞く。こうなると、特に糖尿病をお持ちの方にとってはアルコール度数同様に残糖量も明記されている方が親切というものだ。

数十年にもわたりワインの流行を観察してきた私は、全ての作用には反作用があるというニュートンの第三法則を実感してきた。20世紀から21世紀にかけてはアルコール度数が高く色が濃い赤ワインが崇拝され大量に販売されていたが、その反動で今度は流行に敏感な人々や新世代のワイン愛飲家たちの間で色が薄くアルコールが低く、その多くが酸の高い赤ワインを称賛されるようになった。この動きはおそらくカリフォルニアで始まったといってもいいだろう。元ソムリエのラジャ・パーとワイン生産者のジャスミン・ハーシュが2011年から2016年にかけ、アルコール度数14%を超えるワインを除外するイン・パースート・オブ・バランス(IPOB)というテイスティング・イベントを開催したのだ。

だが、これら新しい潮流である「フレッシュ」なワインの中には不要なまでに痩せすぎているワインもある。ワインのプロの間では、そのことへの反動として「バランスさえ良ければ」アルコール度数が高いワインを好む動きが出てきたのかもしれない。私の最近のテイスティングの経験からも、近年のワインメーカーたちはアルコール度数が高くても、かつてのアルコール度数の高い赤ワインに見られたような心地悪い熱さを余韻に感じさせることなく、調和した味わいのワインを生み出すことに長けている人が増えているように思う。

地球が温暖化し、降雨量が減少するにつれアルコール度数が14%を切るワインを造るのはどんどん困難になっていくのは間違いない。先日参加した32本のボルドーのテイスティングでは、流行のワインを追いかけることを好まない伝統的なワイン商、ジャスティリーニ&ブルックの在庫から2011年から2019年までのワインが提供された。このうち7本の赤ワインは14.5%、2本は15%とラベルに記載されていた。20世紀には考えられなかったことだ。

アルコール度数が高い赤ワインは寒い夜にはとても心地の良いものだ。ただ、1つだけ懸念があるとすれば、アルコール度数の低いものよりも、量に気を付けて飲む必要があるという点だ。

さて、では例の調査でワイン愛飲家たちが好む赤ワインは何だったのだろうか?最も人気が高かったのはマルベックで57%の票を獲得し、50%のメルロー(別の調査でスーパーマーケットの顧客人気トップだった)を退けた。それに続くのが43%のシラーズ、40%のカベルネ、39%のピノ・ノワールだった。

一方で白ワインは、59%の票を獲得したソーヴィニヨン・ブランがトップ、ピノ・グリ(―ジョ)が46%で次点、かつて人気を博していたシャルドネは30%だった。それに続くのは26%でシュナン・ブラン、そしてヴィオニエは驚くほど高いと言える24%を獲得している。Hallgarten とワイン・インテリジェンスの調査共に白ワインに最も求められる要素は「飲みやすさ」「フレッシュ」「切れの良さ(crisp)」だった。

私自身は「飲みやすい」という表現をどう解釈していいのかよくわからない。何しろ私の手元にやってくるワインは事実上全て、飲みやすいと思うからだ。

フルボディの赤ワイン

Ch Le Peuy Saincrit 2019 Bordeaux Supérieur 15%

£14.99 Majestic

Andeluna 1300 Malbec 2022 Uco Valley 14.5%

£15.95 Alteus Wines

Dom La Tasque Carignan 2018 IGP Aude 15%

€18 producer's website

Dom de Mourchon, Grande Réserve 2020 Côtes du Rhône-Villages, Séguret 15.5%

£19.99 Averys, Laithwaites

Acústic, Vinyes Velles Nobles 2020 Montsant 15%

£19.95 Lea & Sandeman

Keermont Cabernet Sauvignon 2020 Stellenbosch 15%

£29.50 Swig (arriving early 2024)

Ch Taillefer 2019 Pomerol 15%

£31.84 Justerini & Brooks

Seghesio, Cortina Zinfandel 2018 Dry Creek Valley 15.2%

£43 London End, £44.40 VINVM

テイスティング・ノート、点数、お勧めの飲み頃は25万件を超えるデータベースを、各国での取扱業者はWine-Searcher.comを参照のこと。

原文

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