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ワイン業界と金融業界が出会う場所

• 5 分で読めます
Grant Ashton and Ronan Sayburn

この記事のやや短いバージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

先週はロンドンのクラブの聖地、セント・ジェームズにクラブが初めて開かれてから一世紀という記念すべき週だった。私が67ポール・モールに立ち寄った時、(ここにはくだらない女人禁制はない)、彼らはチームの一員であるギリシャのテリー・カンディリス(Terry Kandylis)が前日に英国ソムリエ・オブ・ザ・イヤーを受賞したことを祝っていた。

だが彼を除き、そこにはお祝いのムードは見られなかった。クラブのワイン主任ロナン・セイバーン(Ronan Sayburn;写真左)は自身もマスター・ソムリエでかつての英国ソムリエ・オブ・ザ・イヤーでもある。これまでは審査の側にいたのだが今は退き、その栄光をさらりと受け流している。彼のチームには今やスペインのトップ・ソムリエと先月メンドーサで開催された世界ソムリエコンクールで15位に入賞した南アフリカのソムリエがいる。ワインについて学ぶことはセイバーンのソムリエ・チームにとっては仕事の一環でしかない。「我々は9名のメンバーで構成され、2人がまもなく加わる予定です。担当する35のレストランのためにね。もうクレイジーですよ」彼は笑った(Ask a sommelier参照のこと (訳文))

だがなんといっても67ポール・モールの本質はワインだ。上質で良心的な価格がついていればいるほど良い。ワインを軸としたプライベートなメンバーズ・クラブの発想はワインによって活気づいた多くのディナーの経験に由来するもので、ヘッジファンドのマネージャー、グラント・アシュトン(Grant Ashton;写真右)が一般的なレストランで課される非常に高い上乗せ率に不満を感じてのことだ。ジェフリー・フィンク(Geoffrey Fink)は現在未公開株式投資会社のキャリアの間にガーデニング休暇を取得中だが、彼はかつてハンブロス銀行だったこの場所へ初期投資を行った一人だ。「酔っぱらいのたわごとだと思っていました」彼はアシュトンの決意が到達した結果に思いをはせながらそう語る。

そのクラブはワイン愛好家にとって天国のような場所だ。やや狭苦しい階上の着席エリアの隅では4人の若者がクリュッグ(168ポンド)を、その横では1組のビジネスマンがポンソのグリオ・シャンベルタン2011(345ポンド)を分かち合っていた。どちらも非常に繊細な塩味のアーモンドと丸々としたオリーブを肴に。テリーとロナンが最近話してくれたところによると、最近一人で夕食を取りに来た客はバーガーを流し込むのにシャトー・ラトゥール(567ポンド)選んだのだそうだ。Wine-searcher.com には現在の小売価格が474ポンドと掲載されている。つまりクラブの上乗せ分はレストランのものに比べて非常に低いことがわかる。そのためメンバーがデザインに優れたiPadのワインリストから注文するワインはかなり高級なものになる傾向が高い。

だが67ポール・モールの注目点は伝統的なお決まりのワインの枠を超えてワインを探求している点だ。グラント・アシュトンによると、彼が求めるのは「踏み固められていない道、つまりバーのスタッフと一緒によく知られた「ブランド」の(フランス)ワイン・コレクションを買い集めてワイリストに載せるのは簡単ですが、ロナンはあまり知られていない(そしてそれは価格が安いことにもつながる)ワインをメンバーに提示して、自分の判断が今の時代の要求に答えられているか確かめる方が幸せなんです。彼は常にメンバーが持つ、自分たちはこれが好きでこれを飲みたいのだという先入観に挑戦し続けているんですよ。」

もしロナンが改宗を強制するような退屈な人間のように聞こえるのだとしたら、それは違う。彼は確かにゴードン・ラムゼイ(Gordon Ramsay)やドーチェスター・グループ(Dorchester Group)でワイン担当として功績を認められた人物ではあるが、きちんと地に足の着いた、いたずらっぽい笑顔を絶やさないヨークシャー人だ。マスター・ソムリエ協会を運営するという彼自身の役割のためだけでなく絶え間なく飛び回り、新しいものを求めるマラソン・ランナーなのだ。彼の妻はウルグアイのワインを販売している。「本当にたくさんの素晴らしいワインがあるのに、ユーロカーヴに入れてただ眺めるだけなんて。」あわただしいバーの後ろでバックライトに照らされるボトルの山に照らされて座りながら彼は嘆いた。

アシュトンの強い信念が「酔っぱらいのたわごと」を文句のつけようのないスタイリッシュな実体(メンバーのワインを保管する地下の金庫を含む)に変えたと言えるが、セイバーンの魅力的な立ち居振る舞いと国際的な評判がこの67ポール・モールに開店前から注目を集めた主な理由だろう。フランソワ・ピノー(François Pinault)のワイン帝国を率いるフレデリック・アンジェラ(Frederic Engerer)がシャトー・グリエの最新ヴィンテージを開けたいと思った時、彼が選んだのは写真のとおりボトルの並んだ図書館のような67ポール・モールだった。同様に若きミゲル・トーレスが彼の新しいワインを見せつけるのに選んだのもここだ。バー・エリアではベリー・ブラザーズのCEOに出会う確率も高いし、なによりロンドンの金融街の断面を垣間見ることができる。

私から見るとメンバーには大きく二種類がいるようだ。収入がおそろしく異なるワイン業界人と銀行員だ。だがロナンとテリーはワインそのものがバーでの親交を促進するのだと話した。私はふと、その親交が問題を引き起こすレベルまで達することはないのだろうかと思った。ロナンは笑って最初の数週間は「ある種の悪い振る舞いをする人がいて、数人をブラックリストに載せることになった」ことを認めた。私が訪問した際には偉大なボトルを数多く目にしたが、礼儀を失っている場は見かけなかった。

クラブでは500種以上のワインをグラスで提供する。グラント・アシュトンにいつ自分の成功を確信したのかと尋ねると、彼の答えは一言、コラヴァンだった。このある種のキットはコルク抜きとあまり大きさが変わらないが、コルクを抜かずにどんな量のワインでもボトルから抜き取ることができ、残ったワインも良い状態に保ってくれる。67ポール・モールには7つのコラヴァンが用意されており、コルクの状態によって針の太さを使い分けていて、9000客以上のウェハースのように薄いザルトは世界最大のコレクションと言えるかもしれない。

料理も負けてはいない。シェフのマーカス・ヴァーバーン(Marcus Verberne)はダニディン出身で、料理とワインの組み合わせの試験を何度も行って選ばれた人物だ。彼はロナンが作り上げた納得のいく組み合わせの一覧(まったくもって価値の高いものである)を基に仕事をしている。料飲部のスタッフは全員幅広いワインをブラインドでテイスティングし、公的なワイン・コースへ参加することを推奨されている(このクラブはすでに新進のソムリエにとって最高の修行の場としての評判が高い)。今のところトップのパフォーマーはキッチンスタッフで酒を飲まないイスラム教徒だ。

67ポール・モールについていささか熱心に書きすぎた自覚はある。私はメンバーではないし、正直言うと最初はやや疑念を抱いていた。だが彼らがいかにニーズにこたえ成長してきたかを見る以上にうれしいことはない。現在は新規会員になるために待機している人がおり、ロンドンの地所を拡大する案や、このコンセプトを輸出する話まで出ているそうだ。

幅広い選択肢
67ポール・モールのリストの中で珍しいものを取り上げ、イギリスでの小売価格と取扱業者とともに以下に記す。


Black Dog Hill Vineyards 2011 South Downs, Sussex (£30 Waitrose)
Clos Canarelli 2012 Figari, Corsica (£22.50 H2Vin)
Domaine Macle 2007 Château Chalon (£63 Hedonism)
Equipo Navazos, La Bota 54 Fino Macharnudo Alto NV Sherry (£29 Cambridge Wine Merchants)


Filipa Pato, Nossa Calcario 2013 Beiras (£23 Clark Foyster Wines)


Knipser Spätburgunder 2012 Pfalz (£25 Wine Source)

原文

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