ヴォルカニック・ワイン・アワード | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト)

ソムリエに聞け!

2015年10月17日 土曜日 • 5 分で読めます
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これはフィナンシャル・タイムズに掲載された記事のロング・バージョンである。

レストランのワイン・リストをどうしたら最大限に生かせるだろうか?ワイン業界の人間のようにふるまえばいいのだ。

ソムリエはだいたい、業界のワインのプロを見抜くことができる。通常の顧客はワイン・リストを見るときに聞いたことのある名前(サンセール、シャブリ、リオハなど)を選ぼうとするのに対し、我々のようにワイン業界周辺にいる人間は正反対の行動を取る。すなわち聞いたことのないワインを探すのだ。我々は常に新しいものを探し続けているのだが、同時に見覚えのないワインがリストに加わると言うことはその品質が素晴らしいが故だと言うことも知っているからだ。

か弱い子羊とリストに慣れたヤギを見分ける別の方法はほぼ不変な規則で、その人がワインを知っていれば知っているほどアドバイスを求め、知らない人はその逆の行動を取ることだ。私はワインについて40年以上書いており、1984年にはマスター・オブ・ワインを取得しているが、ワイン給仕者にどんな選択の余地があるのか尋ねることに躊躇することはない。だが多少なりともワインについて知っていれば、これらのワインを毎日扱っている人間にアドバイスを求める意味が大いにあるとわかるし、彼らもそうしたくてたまらないのだ。

テリー・カンディリス(Terry Kandylis;写真一番右)はギリシャ生まれのソムリエでミシュラン星付きレストランであるザ・レッドバリー(The Ledbury)とザ・ファット・ダック(The Fat Duck)で勤務経験がある。彼によると「ギリシャの人たちは実際よりもワインを知っているようにふるまう傾向にありますね。ロンドンではワインのことをよく知っている人たちが多いにも関わらず、質問もけっこうされます。ロンドンでは多くの店が素晴らしいワイン・リストを備えていますし、スタッフもそれについて話をするのが好きですね。僕自身、お客様にはどんどん質問してほしいと思います。」

一般的に価格ごとのワイン・リストでは2番目の物を選ぶといいと言われている。安っぽく見られないよう、そしておそらく安物と思われる最も安い価格のワインを避け、通常100%から300%の上乗せをするレストランに渡る利益が最小になるようなものを選びたいからだろう。だが、レストランも馬鹿ではない。彼らはこの伝説は良く知っているから、その「2番目のワイン」の利益率が最も高くなるよう設定していることが多いのである。

更に、上乗せ率はかつてよりもがめつくなくなってきている。最近のバーやレストランのワイン・リストはワインに愛のある人間が顧客によりワインを楽しく飲んでもらうことをめざして編纂していることが多く、良いワインは安いワインよりも上乗せ率が低くなっているのだ。事実、ワインの価格設定を非現実的なものではなく確実に利益が上がるだけの上乗せにしようという動きがある。

そしてコラヴァンというコルクを抜かずにワインを取り出せるシステムによって最高級のワインでもグラスで提供されるという嬉しい機会が増えてきた。世界中のレストランは今、グラス・ワインやテイスティング・セット、様々なサイズのカラフェでの提供など工夫を凝らしているため、75clのボトルはもはやワインの消費に必要な単位ではなくなった。これはある意味健全な結果とも言えよう。

もう一つの健全な発展は少なくともイギリスにおいて、独立した独創的な輸入業者がレストランをターゲットとして多く出現していることだ。このことでマンチェスターやエディンバラ、ロンドンなどで特に増え続けている新しい店ではリストに掲載されるワインの種類が劇的に増えているのだ。

だがこのことはワイン・リストにサンセールやシャブリやリオハとはかけ離れたあらゆる種類の名前が並ぶ結果をもたらした。積極的に珍しいワイン・リストを作ることに力を入れてきたレストラン・グループの一つはインポーターで自然派ワインの大御所ル・カーヴ・ド・ピレーヌ(Les Caves de Pyrène)所有だ。ロンドンにあるテロワールのセシル・マソノー(Cécile Mathonneau)は彼女の長年の顧客の多くが彼らの長々として情熱の詰まったワイン・リストをとにかくわかりにくいだけだととらえ、1ページだけのスタッフのお勧めのほうが重宝されているということを認めた。

ザ・レッドバリーやワインに力を入れている何軒かのレストランでは、特定のワインと料理の組み合わせを導入し、顧客がそのレストランであまり目立たないワインと出会えるよう導いている。

ローナン・セイバーン(Ronan Sayburn)はポール・モールにある新しくできたロンドン・クラブ67のワイン責任者だ(写真左から3番目がセイバーン)。ここはワインに力を入れ、8名以上のソムリエを抱えている。セイバーンはローヤル・ホスピタル・ロードにあるゴードン・ラムセイのロンドン旗艦店とザ・ドーチェスター(The Dorchester)でソムリエとしての勤務経験がある。彼もワインの知識のない人ほど、聞いたことのあるものを選びがちだと言う点に同意した。彼はワイン給仕の仕事はリストから注文するそれぞれの顧客の好みと傾向を見つけ出すことだととらえている(レーザー・プリンタ時代のリストは革表紙の書物だった時代よりはるかに簡潔明瞭になってきている)。

顧客のワイン知識の程度を知るために彼は自宅で何を飲むのか聞くことにしているそうだ。「彼らがジェイコブズ・クリークと言ったらシンプルでフルーティなワインをお勧めしますが、レオヴィル・バルトン1990と言ったら話は変わりますよね。」

食事には多くの目的がある。お祝い、誘惑、仕事。セイバーンのかつての顧客に3人のゲストを入れ替わり連れてくる常連のビジネスマンがいた。彼はスタッフには特に親しげに挨拶し、ローナンにボトルのお勧めを訪ね、必ずそれを却下して2番目のお勧めを選択した。ローナンはしばらくしてこれがゲストを感心させるためにわざとやっている策略なのだと気付き、それからは最初にほどほどのものを勧めるようにしたのだそうだ。

ロイヤル・ホスピタル・ロードがチェルシーで唯一の三ツ星レストランがどんなところか知りたい若いシェフの注目を集める場所だとわかっていたので、私はローナンはこのような比較的金銭的余裕のない客にどのようなワインを勧めているのだろうかと気になった。「ああ、すぐにわかりますよ。」彼は言った。「爪が汚くて手にやけどの跡があって、心配そうなガール・フレンドが一緒で、体に合わないスーツを着ていますから。仕事のおかげで急に痩せたり太ったりするんでね。うちではコストパフォーマンスのいいワインを勧めて、彼らが帰る前にキッチンと署名入りのメニューを見られるようにしてあげるんですよ。」

イギリスにもアメリカにも、情熱のあるソムリエが世界中、特にフランスから流入してきている。これは多様な市場のおかげで他にはない地理的に幅広いワインが揃い、そこから学ぶことができるからだ。そこでぜひ彼らの専門知識を利用することをお勧めする。実際ニューヨークのワイン愛好家たちは多くがそうしているという信頼できる筋からの情報もある。

セイバーンの悩みの種の一つが、フランス人の男性ワイン給仕がパーティのホストは男性に違いないと考えている点である。「女性がワインを注文してもまだ、自動的にテイスティングを男性に依頼してしまうんです。」私は彼に他の国民的な特徴がないかと聞いてみたところ、ベルギー人はたとえボルドーでも赤ワインを冷やして提供したがり、アメリカ人は一般的に自国以外のワインを試したがり、フランス人はほとんどがその逆だそうだ。.

カンディリスは客の中から同業であるソムリエをすぐに見つけることができる。彼らはメニューより先にワイン・リストを頼むからだ。「珍しい品種を試したがりますね。そして全体的に支払いは多くなります。だって何がどれくらいの価格か知っているから、お買い得なものを見つけたらそれを逃したくないでしょう。」

お気に入りの「場外」ワイン

これらはレストランやワイン・バーをターゲットとしたイギリスのインポーターの扱うものの中から楽しめたものなので、小売りで入手できるものはごく限られているかもしれない。

白ワイン

Davide Spillare, Rugoli Bianco 2013 Veneto, Italy
£15.30 40 Maltby Street

Alpha Estate Sauvignon Blanc 2014 Amyndeo, Greece
£16.10 Maltby & Greek

Lismore Estate Chardonnay 2011 Greyton, South Africa
£17 Swig.co.uk

I Vigneri, Vinjancu 2011 Sicily
£26.49 Exel Wines, Scotland

赤ワイン

Gerovassiliou, Avaton 2012 Epanomi, Greece
£16.95 Noel Young

Landi, Las Uvas de la Ira 2013 Méntrida, Spain
約 £21 Bottle Apostle, Handford, The Sampler

Kutch, Bohan Vineyard Pinot Noir 2013 Sonoma Coast, California
£50 Roberson Wine

原文

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