The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト) | Mission Blind Tasting | Wine writing competition

10年目のボルドー2005

• 5 分で読めます
Image

これはフィナンシャル・タイムズに掲載された記事のロング・バージョンである。完全なテイスティング・ノートは「Bordeaux 2005, 10 years on」を参照してほしい。

70ものパワフルな赤ワインのテイスティングをしてエネルギーをもらうことはそうあることではないが、先日ロンドンの高級ワイン商、ボルドー・インデックスが主催した「2005のボルドー、10年後」は楽しいひと時だった。

現時点で2005は間違いなく今世紀最高のヴィンテージである。全ての要素―果実味、酸、色素、タンニン―がぎっしりと詰まっている。唯一不安だったのはボルドーの赤が非常に長期にわたって閉じたままにある傾向にあるため、現時点でテイスティングするにはタンニンが強すぎるのではないかという点だった。しかし実際にはそれほど辛い思いはせずに済んだ。ただ、テイスティングした70のワインのうち今でも飲むにふさわしかったのは最も安価なプティ・シャトーの一つ、シャトー・プージョー(Ch Poujeaux)だけだった点にはいささか不満が残った。ほとんどのワイン、特に左岸のものはまるで2020年まで抜栓を拒むような味わいだった。ただし一部の1級シャトー、例えばラフィットやシュヴァル・ブランは非常にチャーミングで、3、4年すれば楽しむことができるような印象だった。もちろん数十年は熟成可能である上で、である。

私はテイスティングを行う際、そのワインを飲む最適な時期を提案するようにしているが、今回テイスティングしたワインの多くは今世紀の中ごろまでは強すぎると思われる。全体的にバランスは素晴らしく良いが、タンニンの溶け込み方はワインによって大きく異なる。例えばもし私がシャトー・パヴィの2005を持っているとしたら、私はそれを2030年まで開けようとは思わない。ただ、これほどまでに凝縮しタンニンの強いワインを自分の80歳の誕生日を祝うためのワインとして選ぶかどうかは別の話だ。一方、それ以外の右岸のワイン、サンテミリオンやポムロールの多くは2018年ごろから楽しむことができる印象だ。ただし驚くほど内向的なシャトー・レグリーズ・クリネはさらに10年ほど待つべきだろう。

2005が左岸のヴィンテージなのか右岸のヴィンテージなのか、議論するのは難しい。たとえ醸造テクニックによる味わいの誇張が右岸ではより顕著だったとしても、両者共に優れたワインを生み出しているからである。もっとも、最近はそういった技術に頼る傾向は減ってきている。

このヴィンテージの最も印象的な点は、他の「世紀のヴィンテージ」と言われる2009や2010と比較した場合には特に、安定して高品質である点だ。もちろん、テイスティングしたワインは多くが最高級のワインであり、1級シャトー全てと多くの著名な格付けシャトーが含まれていたことは確かだし、1ダースあたりの保税価格が400ポンド(イギリスの小売価格で1本50ポンド相当)を切るワインはたった10銘柄しかなかったのも事実だ。だが、それらの「安価な」ワインですら素晴らしく良かったのである

そう、ここにこのヴィンテージの大きな欠点がある。多くのシャトーにとってこのヴィンテージが今世紀で最も高値となったことだ。しかし少なくとも2005は、同様に高価だった2009や2010と違いかなり長期の瓶内熟成の恩恵を受けている。現在ほとんどの一級シャトーは1ダースあたり4000ポンドから6000ポンドで取引されているが、ポムロールのマイクロ・シャトー、ルパンやペトリュスに至ってはこの涙の出るような価格の更に数倍の値がついている。

この点からするとボルドー・インデックスはシャトーのオーナーがプレスおよびボルドー・インデックスの上客対象のテイスティングにワイン2本の提供を断った場合にも、そのラインナップの欠損をうまく埋めていた。彼らはアジアからラフィットを探し出し、特別に目を引くオーブリオンのマグナムやラミッション・オーブリオン、マルゴー、ラトゥールも調達したのである。一方でいつも素晴らしいできのヴィユー・シャトー・セルタン2005は生産者の元に在庫が1本も残っていなかったためにテイスティングできなかったし、同様の理由でその近隣のラフルールも市場から調達することができなかった。また、デュクリュ・ボーカイユのブルーノ・ボリー(Bruno Borie)は出展を拒んだため彼のサンジュリアンのテイスティングも叶わなかった。

トップ・ワインの価格を見てみると、コスデストゥルネルが1ダース「たったの」1200ポンドというのは非常にお買い得に感じられる。少なくともその品質は1級シャトーのいくつかと遜色ないと思われるからだ。

前回私が主な2005をテイスティングしたのは6年前のことで、3日間をかけて数百種類をブラインドで行った。ボルドー・インデックスでは全てのラベルが開示されていたため、今回2009年のテイスティングに比べて評価が上がった理由を理解する助けになった。シャトー・フィジャックは確かにプリムールテイスティングで本領を発揮できないことで有名なのだが、その老オーナーが若いワインのサンプルを出展することを拒んだいい例だ。またペサック・レオニャンの2本は2009にブラインドでテイスティングしたときよりはるかに魅力的だった。それらは熟成が遅いことで知られるドメーヌ・ド・シュヴァリエとシャトー・オー・バイィーで、通常は非常に良いものだが5年前のブラインドではややへそを曲げていたようだ。モンローズもその時のブラインドよりはるかに印象が良くなっている。

私は控え目なシャトー・プージョーのスコアも以前よりかなり高くつけた。その理由の一つはそれが非常によく熟成したこと、特に香りの熟成が他のワインに比べてよかった点である。ただし、このワインは飲む目的での購入には非常に良いが、転売を視野に入れた購入には向かない。競売場で勝負するにはクリュ・ブルジョワではなく格付けシャトーでなくてはならないからだ。ボルドー・インデックスに出展された格付けシャトーの中で最もお買い得と言えるのは安定したサンジュリアンのグリュオラローズで、その現在の1ダースあたりの保税価格、540ポンドより高く売られている他の多くのワインより複雑な味わいを楽しむことができる。

6年前のブラインド・テイスティングに比べて悪くなったワインがほとんどなかったのは驚くことではない。なぜならブラインド・テイスティングはとくに採点が厳しくなるからだ。ムートンの仲間であるシャトー・ダルマイヤッは前回のブラインドよりやや魅力に欠ける印象だったが、これはその隣人であるラフィット・ロートシルトやシャトー・デュアール・ミロンの2005が変わらず輝きを放っていたからである。残念なのはその価格が中国人のラフィット贔屓のために高騰していることだろう。

私はラベルに記載してあるアルコール度数を記録してみた。もちろん0.5%の許容範囲があるため記載されている数値を文字通り捉えることはできないが、試飲した左岸のワインは全て13または13.5%(1級シャトーはほとんど13%)で、例外はシャトー・パルメ、オーブリオン、ラミッション・オーブリオンの14または14.5%だった。一方右岸のワインはほとんどが14または14.5%と記載されており、やや低めの例外はシャトー・クリネ、ラ・コンセイヤント、フィジャック、ガザン、マグドレーヌ、プロヴィダンス、トロタノワだった。

トップスコアを付けたワイン

Petrus £23,500
Lafite £6,000
Haut-Brion (マグナム) £4,660
Cos d'Estournel £1,400

お買い得ワイン

Gloria £375
Gruaud Larose £540
Nénin £360
Potensac £215
Poujeaux £280

それぞれ1ダースあたりの保税価格である。取扱い業者はwine-searcher.com. で見つけることができる。完全なテイスティング・ノートは「Bordeaux 2005, 10 years on」を参照してほしい。

原文

購読プラン
スタンダード会員
$135
/年間
年間購読
ワイン愛好家向け
  • 297,198件のワインレビュー および 16,153本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • askJancisへのアクセス(AIワインアシスタント)
プレミアム会員
$249
/年間
 
本格的な愛好家向け

「メンバー」プランの内容に加えて

  • 最新ワインレビューへの早期アクセス(48時間前)
  • 最新記事への早期アクセス(48時間前)
プロフェッショナル
$299
/年間
ワイン業界関係者(個人)向け 
  • 297,198件のワインレビュー および 16,153本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • askJancisへのアクセス(AIワインアシスタント)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大25件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
ビジネスプラン
$399
/年間
法人購読

「プロフェッショナル」プランの内容に加えて

  • 最大250件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
  • レビュー依頼用のワインを提出可能
  • 従業員向けにメンバーシップを提供し、一元的に管理可能
  • APIアクセス(※別途料金)
Visa logo Mastercard logo American Express logo Logo for more payment options
で購入
ニュースレター登録

編集部から、最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。

プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。

More 無料で読める記事

Markus and Eben Sadie at Berry Bros April 2026
無料で読める記事 この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。 パラディウスのヴァーティカル・テイスティングも参照のこと...
Sam Neill
無料で読める記事 ジャンシスが、これまで出会った中で最も魅力的なワイン生産者を偲ぶ。写真上は、自身のトゥー・パドックスのブドウ畑にいるニール。...
A glass of Sauvignon Blanc at an airport bar
無料で読める記事 第一次審査を終え、今年のライティング・コンペティションの優秀作品の掲載を開始できることを嬉しく思う。選ばれた作品はすべて編集なしで掲載され...
Boscastle harbour
無料で読める記事 この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証・編集したものです。(監修:小原陽子) ザ・ロケット...

More from JancisRobinson.com

Boscareto vineyard in the snow
テイスティング記事 このアクセスしやすいヴィンテージに関するウォルターのレポートの後編。今回は、カスティリオーネ・ファッレット、モンフォルテ・ダルバ...
Barale estate and vineyards
テイスティング記事 困難なヴィンテージに関する最終報告。驚くほどフレッシュでアクセスしやすいワインに仕上がっている。本日は、複数の村のワインと、ケラスコ...
Valle de Guadalupe vineyards
現地詳報 メキシコのワイン産業は気候変動への対処法について教訓を与えてくれる、とメキシコを拠点とするジャーナリスト兼ソムリエのカルロス・ボルボア...
Richard Hemming and Hiromi Ohno outside Sushi Oono
Vinomakase リチャードの新連載「Vinomakase」では、専門家たちがワインと日本料理をどのようにマッチングさせているかを探る。第1回は...
Hops hang from the ceiling at Dylan's at The Kings Arms in St Albans
Bite-sized セント・オールバンズの大聖堂地区にある15世紀のパブで、最新の料理を堪能できる。 フロント・バーは今も安心できるほどパブらしさを保っている...
Person in Domaine Sérol's vineyards in the Côte Roannaise (credit Le Bon Cliché)
今週のワイン フランス中部の赤ワインに見る、渇きを癒すフレッシュさ。 £15.50、$26.95から 。...
CWL Wines of Brazil over map
書籍レビュー クラシック・ワイン・ライブラリーへの3つの新刊と、ポルトガル・ワインに関する自費出版ガイド。 以下のレビューのうち3冊は、アカデミー・デュ...
Sadie Family winery exterior
テイスティング記事 南アフリカで最も人気の高い白ワインの進化をたどる、示唆に富んだヴァーティカル・テイスティング。このワインは...
JancisRobinson.comニュースレター
最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。
JancisRobinson.comでは、ニュースレターを無料配信しています。ワインに関する最新情報をいち早くお届けします。
なお、ご登録いただいた個人情報は、ニュースレターの配信以外の目的で利用したり、第三者に提供したりすることはありません。プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます.