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2019の熱い話題

Saturday 5 October 2019 • 5 分で読めます
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2019年北半球のヴィンテージに関するこの記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

北半球のすべてのワイナリーは今、最繁忙期を迎えている。2019ヴィンテージとして収穫され、発酵させてワインにするためのブドウが届いたか、これから届く段階であるためだ。

ワインをテイスティングする者なら誰もが、気候変動の影響を認識している。最近テイスティングした2018ロワールのソーヴィニヨン・ブランは心地よいほどにまろやかでフルーティだったが、通常サンセールやプイィ・フュメに見られるような非常に高い酸やフレッシュな緑色の果実の風味はほとんど感じられなかった。2018の赤ワインについて総括するにはその多くがタンクや樽、コンクリートの中で熟成されているためやや時期尚早だが、それらがヨーロッパの2018、暑く乾燥した夏の証となることはおそらく間違いないだろう。では2019はどうなのか?2009、1989、1959、1949のような「偉大な9の年」となり得るのだろうか?

ボルドーは世界最大の高級ワイン産地であるが故、毎年高い評価を得ているが、時にその評価が不正確なこともある。実質的にすべてのヨーロッパのワイン産地がそうであるように、ボルドーの2019はまたしても暑く乾燥した夏が特徴的だった。一方で春と初夏は珍しく寒く雨が多かったため生育が遅れ、ブドウにとって重要な開花期の不安定な天候によって収量の減少が予測されていた。記録的に暑く乾燥した夏でもその遅れは取り戻すことができず(極端なウォーターストレスにさらされるとブドウは活動を停止して成熟過程も止まる)、ヴィニュロンたちは主要な赤ワイン用品種の収穫を秋分の日が近づくまで始めることはなかった。

ブルゴーニュと違い、ボルドーはそれなりの量の白ワイン用品種を収穫出来ていたが、赤ワイン用ブドウに関してはあまりに長い乾燥した夏のせいでブドウの果汁が少なくなり、(霜によって大幅に減少した2017ほどではないにしろ)2018よりも生産量が減少するのではないかということが懸念されていた。ムートンのテクニカル・ディレクターであるフィリップ・ダリュアンが語ったところによると、9月中旬に収穫した若木のメルローはアルコール度数が15.5%にまだ上がったそうだ。だが彼は古木のブドウからはそこまで攻撃的なワインはできないと自信をのぞかせていた。この粒が小さく果皮の厚いブドウは過剰にタンニンの強いワインとならないようセラーでは注意深く扱う必要があるが、この温暖化の時代、ボルドーのワインメーカーたちはその点については十分な経験を有している。ブドウ自体もカビ病が多かった2018に比べて全体的により健全だ。ヴィニュロンの中には果汁に比べて果皮や梗の成熟が遅いと話す者もいた。

ブルゴーニュもまた、シャルドネも、ピノもこれまでにないほどブドウが小さい。ボーヌのネゴシアン、ジョセフ・ドルーアンの86歳になるロバート・ドルーアンは春の霜がシャブリからマコンに至るまでこれほどの広い範囲を悩ませたことと同様、これほど白ワインの収量が低い経験はないと話した。コート・ド・ボーヌでは、干ばつによって水分を失ったピノが今年はシャルドネの成熟を追い抜いた。コート・ド・ニュイでは秋分の日の1週間前に吹いた北風がさらに凝縮感を高めた。このことが収穫を早めることにはつながらなかったが、ボルドー同様にブルゴーニュの中には2019は2018よりもエネルギッシュなワインになると感じているものもいる。

シーズンの早い時期、ブルゴーニュのヴィニュロンはうどん粉病の危機にさらされており、ブドウの通気をよくするためにキャノピーを薄くした者もいたが、そのために房が日光にさらされすぎ、世界的に栽培上の問題となっている日焼けを起こしてしまった事例もある。この問題はかつてブドウを成熟させるために苦心していたドイツですら見られる現象だ。

南フランスは今年のヨーロッパの劇的な熱波に比較的よく耐えた地域として知られているが、これはブドウ栽培者にとって歓迎されるべき嵐のおかげで緩和されたとも言える。ラングドックの丘陵地、リムーにあるシャトー・リヴ・ブランクのカリル・パンマン(Caryl Panman)によれば「時には酷く暑かったり、急に寒くなってピレネーに予測もしなかった雪がちらついたりしていました。もちろん、決して普通のことではありません」。だが、そのピレネーの南側で起こっていた事象はさらに不規則だった。

スペインは先月極端に対照的な経験をした。バルセロナから内陸に入った丘陵地にあるプリオラートのように無灌漑の地域では、完全燃焼と表現できるほどの熱波(上の写真参照のこと)によってカリニャンの畑のほぼ半量を失うほどの灼熱の夏を経験し、カナリー諸島からマドリードの西にあるグレドス山脈までの地域では畑に危険なまでに迫る山火事があった。ところがその後9月には経験したことのないような激しい雨が降り、スペインの多くの地域に絶望をもたらした。アリカンテでは数日のうちに2年分に相当する雨が降り、鉄砲水によって何人かの命も失われた。

スペインで高級ワインの主要な産地でもあるリオハは特に深刻な影響を受けた。彼らは収穫直前まで非常によいヴィンテージなると期待していたが、そのタイミングで奇妙なまでに温かい土砂降りの雨がまるで熱帯気候のように続いた。この雨のおかげで果汁は薄まり、ブドウの粒は割れ、害虫や病気にかかりやすくなった。多くの畑はぬかるんで入ることすらできなかった。一方、遥か北西部のガリシアから、砂漠地帯として有名なスペイン中央部のラ・マンチャまでの範囲で降った大雨のおかげでこれら地域では2019は特に健全なブドウが採れると予測されている。

イタリアでもまた、かなり収量の減少が見込まれており、公式発表によると昨年比15%減とされている。これは寒くて雨が多かった春と不調な開花のせいだ。ここでもまた、成熟を促すために行った除葉のためブドウが日焼けしてしまった場面があった。収穫時期が遅くなるということは、標高が高く涼しいキャンティ・クラシコのような地域では収量は少ないものの健全で小さなブドウを秋の雨が降り始める前に摘んでしまいたいという願いが日に日に強まることを意味する。

ドイツでは雨はわずかで、それが降ることで畑に活気を吹き込むようなものだったため、栽培者たちは夏に暑く乾燥した2018よりもさらによいヴィンテージになるのではと期待している。7月に数回の熱波に襲われた後、気温は比較的中庸で、8月以降は香りを保ってくれる爽やかな夜が訪れた。だがリースリングという品種は比較的ゆっくり成熟が進むので、私はこの記事を書きながらそれらが収穫を迎える9月下旬から10月上旬まで好天が続くことを願っている。

もう一つ北半球での主要な生産地であるカリフォルニアに関しては、春はかなり寒く、夏も比較的通常通りで熱波が1度訪れたのみだった。そのため収穫は通常よりやや遅いが、品質は高いものが期待できる。その北にあるオレゴンはその灰色の空と雨で有名だが、その印象とは非常に対照的に最近は珍しいほどに暑い生育期を経験している。

最終的な2019の品質に関してはまだ考慮すべきことは多くあるが、生産量の減少という点では一般的なワインの価格の世界的な上昇するという私の予測がさらに補強されたことは確かだ。

強くお勧めする2019

これらのワインは全て通常よりもかなり早く南半球で収穫されたものであり、ある意味(樽のかかっていない白のように)早く瓶詰めされる類のワインだ。いくつかはまだ輸送中のものもある。

Marchigüe, Los Camachos Sauvignon Blanc 2019 Curicó Costa
£9.95 Corney & Barrow

Lysa Verdelho 2019 Stellenbosch
£19.99 Handford, also Wright Wine Co of Skipton and Wine Reserve of Cobham

Saurwein, Chi Riesling 2019 Elgin
£24 Swig

Grosset, Springvale Riesling 2019 Clare Valley
£29 OzWines.co.uk, St Swithins Wine Shippers

Tesselaarsdal Chardonnay 2019 Hemel-en-Aarde Ridge
£29.95 Swig

Grosset, Polish Hill Riesling 2019 Clare Valley
£38 Philglas & Swiggot, OzWines.co.uk

その他の取扱業者はWine-searcher.comを、各ワインのレビューはテイスティング・ノートのデータベースを参照のこと。

原文

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