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ブルゴーニュ 2016 - 明と暗

2018年1月6日 土曜日 • 5 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

ブルゴーニュ愛好家の皆さんには良いお知らせだ!来週ロンドンで開催される数えきれないほど多くのイギリスのワイン商が提供する2016ヴィンテージの蔵出し価格は去年とほぼ変わらないようである。

さらに良い知らせ:2016は本当に美味しいヴィンテージだ

悪い知らせ:ワインの数が圧倒的に不足している

読者の皆さんの中に経済的な理論に詳しい人がいればこの状態に困惑するだろう。だがブルゴーニュのヴィニュロンたちは翌年の想定収量を元に価格を決める傾向にある。2016のヴィンテージは(暖かい冬のおかげで早く熟したが)霜や、あまり話題にはならないがうどん粉病の影響でひどく収量が減少したうえ、2015は広く知られている通り品質という意味でこの上なく素晴らしいヴィンテージであったため、その価格が跳ね上がったのだ。

一方2017年は、ブルゴーニュ人たちは昨年11月初旬の記事(和訳)で書いた通り霜を避けることに成功し、その収量はブルゴーニュでは珍しいほどに多かった。そのためヴィニュロンたちはその2017を販売することになる2019年度の安定した収入が期待できることから2016の値上げは最も控え目な設定としたのだ。加えてイギリスのワイン商が2015ブルゴーニュの価格を決定した昨年の今頃と比較して、ポンドのユーロに対する下落はほんのわずかだったこともある。

しかし、限定生産となってしまったブルゴーニュ・ワインへの世界の需要は常に高い。高級ワインの価格を解析するライブエックス(Liv-ex)が最近報告したところによると、ブルゴーニュへの興味は最近の中国の投資家からのものも含め非常に強く、ブルゴーニュの取引は昨年記録的なレベルに達し、長きにわたり高級ワイン取引を完全に支配していたボルドーのシェアも奪うほどだそうだ。

そのためブルゴーニュ専門のワイン商にとってコート・ドールのセラーから極端に少しずつ放出されてくるワインの価格に(引き続き?)極端なマージンを乗せることは大きな誘惑に違いない。中には2016のワインが劇的に減少したため、やっと入手できたワインを今度はどう分配するか地獄のように苦しんだ前年の埋め合わせとして、それを妥当だとするものもいるかもしれない。一般的にワインは12本1ケースで販売されてきたが、現在では6本が主流となってきている。ところが2016に関しては3本1ケースの出現も予想されている。

以下は昨年秋にブルゴーニュを訪問した際に得た劇的な収量減の例だ。シャサーニュ・モンラッシェのラファルジュ、ルーロ、ベルナール・モローは2016年65~70%の収穫減だった。ヴォルネイのティエリー・グラントネは通常25樽のブルゴーニュ・ルージュを作るのだが2016年は2樽を満たすのがやっとだった。コート・ド・ニュイではロマネ・コンティは2016年は2017年のちょうど半数の発酵槽しか使わなかった。シャンボール・ミュジニーとマルサネは特にひどく影響を受けた。今話題の、そして間もなく拡張を予定しているドメーヌ・セシル・トランブレーはシャンボール・ミュジニー・フスロットとしては通常の7樽に対したった1樽しか作れなかった。重鎮であるコント・ド・ヴォギュエとアルマン・ルソーはそれぞれ偉大な特級畑であるル・ミュジニーとル・シャンベルタンの三分の二を失った。 私が話を聞いた誰も、なぜ霜が一部の区画を襲い他には影響しなかったのか説明できる人間はいなかったが、全体として言わんとすることは明白だった。2016ヴィンテージはじれったいほどに希少だということだ。(ピュリニーの生産者の中にはジャック・カリヨン(Jacques Carillon)のようにこう語るものもいた。彼らのブドウ、特にアペラシオンの北部にあるものはシャサーニュより霜の被害が少なくて済んだが、これは霜の後早朝に雲が出て太陽を遮ったため凍った芽が太陽光によって焼かれるのを防げたためだというのだ。)

うどん粉病は夏を通して常に存在する脅威だったため、例えばシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェなどの生産者は、2017年は7回で済んだのに対し2016年には13回も農薬散布を行わなくてはならなかった。有機栽培を行っている畑でも限定的な量の銅と硫黄の使用は認められているが、多くのヴィニュロンたちはもっと健康的な代替品を求めている。エティエンヌ・ド・モンティーユは有機牛乳を散布することを試してみた。1ヘクタールではうまくいったように思えたが18ヘクタール全部にこれを使うのは難しいと話した。コント・ド・リジェ・ベレールはカビを乾かすために食塩水を、セシル・トランブレーは海藻抽出物を試している。

だが悪い知らせばかりではない。ここからは2016年特有の情報だ。

多くのそれほど上質ではないキュヴェに上級ワインがブレンドされて質が良くなっていることがある。例えば被害の大きかったシャサーニュ・モンラッシェでは、ベルナール・モローのアレックス・モローは一級畑ヴェルジュ(Vergers)、シャン・ガン(Champs Gains)、シェヌヴォット(Chenevottes)で十分な収量が得られず別々に瓶詰めできなかったため村名のシャサーニュとしてそれらをブレンドしてしまった。

ブドウの成熟が遅いヴィンテージだったため、霜のあとは天候に恵まれた夏に挽回した。2016はすでに魅力的だが可能性としては長期熟成に耐える赤であり、輝かしく生き生きとしたブルゴーニュらしい表現豊かな果実と程よく主張しすぎない酸を持ち合わせている。アルコール度数は自然に13%程度に達するが、生産者の中にはわずかな量の糖を発酵中のマストに加えて発酵を長引かせた者もいる。

多くの生産者は霜の影響を受けなかった最初の芽から取れたブドウと、その後発芽した芽から取れた、最初のものより遅く成熟したブドウをブレンドして用いている。このことがワインのフレッシュさを保つ助けになっているかもしれない。

2017年のブルゴーニュでは11月後半までにワインが樽の中でどれほど素晴らしい状態になっているかという喜びが満ちていた。一方で、高くほめたたえられた2015ヴィンテージがたやすく明らかな熟度とともに作られたことに対する修正主義的な言葉も聞かれた。精密さとテロワールの表現という意味では2016の方が好ましいと述べる多くの生産者にも出会った。

白は赤よりも遥かに早く収穫されるが、近年のヴィンテージのワインが現時点で見せる味わいに比べ見た目も香りも熟していて豊満な印象を受け、「マッチを擦った時の香り」と表現される還元状態は見られなかった。最高級のものは最高のブルゴーニュ白の特徴を示す緊張感を保っていた。現状では赤ワインほど注目を集めるものではないかもしれないが、できの良い白のブルゴーニュがこれほど不足している現状ではブルゴーニュ専門のフリント・ワインズ(Flint Wines)のジェイソン・ヘインズ(Jason Haynes)が言うように「このヴィンテージは全く喉の乾きが満たされない」だろう。

偶然にも、彼もまた2016の少なさにがっかりしている向きにはまだ入手可能な2014を見直すことを勧めていた。あるいは明らかに柔らかいが量の期待できる2017を待つことも選択肢だろう。

ルイ・ミシェル・リジェ・ベレール(Louis-Michel Liger-Belair)は「もし霜がなければ収穫は9月1日に行っていたでしょうから、ワインのスタイルは全く違うものになっていたでしょう。でも霜がブドウの成長を3週間止めたために収穫も遅くなり、9月の半ばに入ってしまったので日の光ははるかに冷たく、ブドウに酸がしっかり残ったのです。」と話した。彼にとって2016はフレッシュさという意味では2010に似ているがボディはよりしっかりとしており、これは(現在ブルゴーニュで広まっている)有機栽培によるものだとのことだ。

彼は昨年遅く私がブルゴーニュを訪問した際に他のヴィンテージと並行試飲をさせてくれた数少ないヴィニュロンだ。彼らのうち何人かが指摘したように御年90のミシェル・ラファルジュ(Michel Lafarge)をもってして2016はユニークな年だと言わしめたのだ。

さあ、どうする?

もし投資のためにブルゴーニュを買うのなら、最高の銘柄を手にするためには賄賂を用いるか、少なくとも考えられないほどの金額を払うことを覚悟しなければならないだろう。

もし(その方がはるかに立派だと思うが)飲むために買うのであれば(下記に示したような)見込みのあるアペラシオンや生産者を探すことだ。

(南から北へ、すなわち酸が上がる方向へ)
Mâconnais 最上級の、たとえばラフォンのようなもの
Montagny
Rully
Santenay
St-Aubin (かつてあったような掘り出し物はないが)
Auxey-Duresses
St-Romain
Hautes Côtes de Beaune
Beaune
Vézelay
Petit Chablis
あるいはまだ入手可能な2014も視野に入れるとよい

(南から北へ)
Cru beaujolais (どんどん本格的に、ブルゴーニュらしくなってきているが素晴らしいコストパフォーマンスだ)
Givry
Mercurey
Santenay
Beaune
Savigny-lès-Beaune
Chorey-lès-Beaune
Ladoix-Serrigny
Hautes-Côtes de Nuits
Fixin
Marsannay (2016年はひどく霜にやられたが)

原文

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