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クリュッグに溺れる

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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。クリュッグ・グランド・キュヴェのブラインド比較テイスティングも参照のこと。

私を含めてシャンパーニュ愛好家に共通する不満は、シャンパーニュはヴィンテージが記載されていない限り(そしてそれを行うのはごく少数派だ)ボトルの中身が何なのか、たとえ生産者が毎年ブレンドを変えていたとしても知ることができない点だ。

ところが偉大なシャンパーニュの銘柄にふさわしく、クリュッグは数年前からこの件に取り組んできた。2012年以降、彼らが毎年ブレンドを行うノンヴィンテージ・グランド・キュヴェには裏ラベルにIDコードが記され、スマートフォンで読み込むかkrug.comからアクセスすることでそれぞれのブレンドの大量の情報にアクセスすることができる。

ほとんどのノン・ヴィンテージ・ブレンドは主にもっとも最近の収穫に由来し、一定量のブレンド用に保存してあった古いワインをブレンドするのが一般的だ。クリュッグ・グランド・キュヴェほどに多くの原料をブレンドしているシャンパーニュはない。基本的には10以上のヴィンテージから100を優に上回る数のワインをブレンドし、クリュッグの場合は通常その50-70%を占める前年度のワインに趣と深みを与えている。それらの情報すべてをラベルに記すのはおそらく不可能だろう。

これらのコードの基礎が固まったのは2011年、香港で行われたグランド・キュヴェとヴィンテージをブラインドで比較するテイスティングでのことだ。それ以来2003から2007までのヴィンテージで5「版」のコードが発表されている(最近クリュッグは裏ラベルに記載した6桁のコードに加え版番号を表ラベルに記すようになった。この方がはるかにエレガントだし覚えやすい)。

私の知る限り、これらのコードが記載されたグランド・キュヴェ(これほど崇拝されているのだからその価格は1本100ポンドを超えるものだが)全てをブラインドで比較する機会はこれまでなかった。ロンドンのシャンパーニュ専門小売業者、ザ・ファイネスト・バブル(The Finest Bubble)のシャンパーニュ・マニアであるニック・ベイカーと彼のマーケティング・マネージャーであるキャロル・スターチ(Carol Sturch)がクリスマス直前に行ったこの快楽的なテイスティングに招いてくれるまでは。

我々はそれら5つのプレステージ・キュヴェをただテイスティングしただけではない。ニック・ベイカーはそこに最新のヴィンテージつきクリュッグ、2002と2003を加えてくれたので2003のワイン100%で作られたワインと2003のワインを基本にブレンドされたノン・ヴィンテージを比較することができたのである。

(もちろん2002を主体としたグランド・キュヴェもあったらよかったのだが、コードを付け始める前の時代のものであるため、クリュッグのチーム・メンバーでなければそれを特定することは不可能だ)

ザ・ファイネスト・バブルが最近はイギリスのスパークリングワインにまで手を広げていることもあって、ベイカーは私には内緒でその最も高価なワインで、ウェスト・サセックスの畑の中で最も有望なティリントン(Tillington)と呼ばれる単一畑から作られたナイティンバー(Nyetimber)2010もそこに紛れ込ませていた。

そして我々をつなぎ留めておくためか、あるいは気分が乗るようにするために、彼はそれらのうち一つのグランド・キュヴェをテイスティング・テーブルにつく前にブラインドで提供したのだ。私はそれを2004主体のブレンドだと推測したが、その理由は比較的熟成が進んでいたものの、熱波の年である2003で期待されるよりもドライで引き締まった味わいだったからだ。グラスの中でその香りは開いて聞き、おそらく今飲みごろのグランド・キュヴェとして私はこれを選ぶだろう。

ところが驚いたことに、私が最も気に入ったグランド・キュヴェは最も若い2007主体のもので、シャンパーニュとしてはそれほど良いヴィンテージでもないものだった。明らかに若さにあふれていたが、余韻に愛らしい香りの広がりを感じることができワインだった。むろん、このブレンドには合わせて183ものワインが使われていると知ればそれほど驚くことではないかもしれない。

グランド・キュヴェの面白いところはそこに使われている主要なヴィンテージの特徴が表れているのか、それともシェフ・ド・カーヴであるエリック・ルベル(Eric Lebel)が注意深くブレンドすることでそれを抑え込み、変化させ、それが顕在化するのを防いでいるのかという点だ。例えば2007の収穫は早かったために味わいとして感じる要素を古いワインに依存しなくてはならなかっただろうし、2003のように酸が低い年には爽やかさを加えるためにあえて若いシャルドネのリザーブワインの比率を上げている。

シャンパーニュ・ハウスの古い言い回しによると、ノン・ヴィンテージ・ブレンドに何の情報も記さないのは毎年その品質が一定だからだ、という。だがワイン通のあふれるこの世界でそれはもう通用しないだろう。そしてクリュッグの賞賛すべき点はブレンドごとの違いを明確に記述している点だ。

クリュッグのもう一つの理念はノン・ヴィンテージであるグランド・キュヴェとヴィンテージ・クリュッグの立場と品質は同等である、ということだ。たとえヴィンテージは生産量が少ないために価格が非常に高くなるとしても、である。

しかしこのブラインドテイスティングで私は最高得点を2つのヴィンテージ・クリュッグにつけた。昨年初頭にリリースされた壮大な2002と、2014年にリリースされた隆々と力強く、まだ生き生きとしている2003だ。

そしてイギリス・ワイン(私はその存在に全く気付いていなかったが)については最低点をつけたのだが、それでも私はそれをクリュッグだと思ってテイスティングをし、20点満点中十分に評価できる17.5点を付けたのである。ブラインドでテイスティングすると、まだまだ未発達な印象を受けたので2007主体の最も若いグランド・キュヴェだと思っていた(実際に2007を主体とした愛らしいワインは魅惑的な年だった2006だと推測した)。このイギリス・ワインは確かに一連のクリュッグと比べるとかなりシンプルだったが、テイスティングした中で最も若いワインであり、けして馬鹿々々しいほどの大きな差がついたわけではない。

2003主体のグランド・キュヴェはクリュグの中では最も勢いがないように感じられ、余韻が消え去るような印象を受けた。だがそのデゴルジュは2011にされたものだった。また、今回テイスティングした中でピノ・ノワールの比率が元も高く、51%だった。

クリュッグと言えばもう一つのピノ、すなわちピノ・ムニエのチャンピオンでもある。ムニエの比率が最も高いワインで私の元もお気に入りの2つにも入っているが、ヴィンテージ2002と、2007主体のグランド・キュヴェで、しばしば見下されるこの品種を31%も含んでいる。

2006主体のグランド・キュヴェは比較的豊かで丸みがあった。十分に飲みごろだ。一方2005主体のものは張りがあって酸も若々しいものの、緻密さ、ドラマ、フィネスにはやや欠けていた。

さて、ここから何がわかるのか?すべてのクリュッグは究極なまでに高い基準で作られているがグランド・キュヴェそれぞれには明らかに違いがある。今回のテイスティングは比較的小規模であるものの、ヴィンテージ・クリュッグはグランド・キュヴェよりも長命であるように感じられた。

私はこの快楽的な研修から残ったボトルを家族のクリスマスのために数本ぶらさげ、近所の友人たちが集まる毎年恒例のパーティに直行した。スパークリング・ソーミュールでは物足りなかった。

クリュッグのランク付け
このように素晴らしいワインをランク付けするのは不要なことだとは思うが、個人的な見解として、私の好みの順をIDコードと共に記した。

(訳注:言うまでもありませんが下記商品リンクはIDまで一致するものではありません)

Vintage 2002, 414071

Vintage 2003, 113015


2007のワインがベースのGrande Cuvée, 163版 - 315051
2004のワインがベースのGrande Cuvée, 160版 - 212018
2005のワインがベースのGrande Cuvée, 161版 - 312036
2006のワインがベースのGrande Cuvée, 162版 - 214032
2003のワインがベースのGrande Cuvée, 159版 - 211021


Nyetimber, Tillington Vineyard 2010

原文

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