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イギリスのワイン~その命名は

2019年3月2日 土曜日 • 5 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

イングランドやウェールズの畑から作られるワインの品質がかつてより高くなってきているのは疑う余地もない。問題はそれを何と呼ぶかであり、できれば単一の名称に統一できた方が良い。

イングリッシュ・ウェルシュ・ワインだとどうも冗長だ。普通に考えられる答えとしては多くの思慮のないコメンテータが使ってきたブリティッシュ・ワインだ。だがこの用語は輸入濃縮マストを還元して作った模造品、特にシェリーのような酒精強化酒の安価なコピー商品を対象として使われる用語だ。我が国で育てられ、フレッシュなうちに収穫されたブドウから作られた、生命力にあふれる良質なワインとは似て非なるものである。

UKワインとするのが適切な代替手段だと思う向きもあるだろうし、実際理論的にはラベル表記に使われてもいいのかもしれないが、一部の政党がこの包括的な名称を汚している点が気になる。実際この単語はそれほど頻繁には使われていない。イギリスで生産されるワインを代表する複数の組織が一緒に販促活動を行う際にはワインGBというなんとも筋肉質な名前を使うと決めたようだが、GBワインというのはカテゴリーとして存在しない。

公式なラベル表記としてはイングリッシュ・ワインとウェルシュ・ワインがあり、「高品質なワイン(クオリティ・ワイン)」として評価されるべくEUと入念に調整した基準を満たせばそれを名乗ることができる。例えばイングリッシュ・クオリティ・スパークリング・ワインは一般的にシャンパーニュと同じ品種で同じ手法で作ったものだ。すなわち、シャルドネ、ピノ・ノワールが元も栽培されている品種であることも意味する。

もしワインが一般的な、現在世界中で作られるワインの95%を占めるヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラではない品種だった場合、それらはラベルにイングリッシュ(またはウェルシュ)・リージョナル・ワインあるいはヴァラエタル・ワインと書かなくてはならず、一般に格下のカテゴリーであると考えられている。イギリスの島々はヨーロッパの多くの地域よりも冷涼で雨が多いため、早熟なハイブリッドは20世紀終盤、イギリスでワイン作りがはじめられたばかりのころには実に多く栽培されていた。例えばハイブリッドであるセイヴァル・ブラン(Seyval Blanc)などは現在でも5番目に多く栽培されている品種であるが、イングリッシュ(またはウェルシュ)・クオリティ・ワインとしては認められない(イングランドとウェールズで栽培されている品種の順位はこちらを参照のこと)。

だが1960、70年代に冷涼な気候に耐えられるよう作られた複雑なハイブリッドで、耐病性が高く農薬への依存が少ない品種である赤ワイン用のレゲント、ロンドや白ワイン用のソラリスはEUによって名誉あるヴィニフェラ同様の地位を認められており、イングランドやウェールズでも徐々に人気が高まってきているし、現在急成長中のオランダ、デンマーク、スウェーデンなどの畑でも同様だ。

イギリスのワインの成熟と可能性を示す印の一つは現在のテタンジェとポメリー2社だけに限らず、幅広い業種でその富を気づいてきた人々による莫大な投資先として注目を集めている点だ。ブライトン近郊のラスフィニー(Rathfinny)や グロスターシャーにあるウッドチェスター(Woodchester)などは香港の金融キャリアが投資する巨大なイギリス人所有のワイン事業の最たるものだ。ポニー用の放牧地が余っているからブドウを育ててみようという人々が多かったイングリッシュ・ワインの時代は遠い記憶だ。

更に、明確な地理的アペラシオンを作り出すのに成功している例もある。コーンウォールのキャメル・ヴァレーにあるリンド・ファミリーはバッカスをスティル・ワイン用に栽培しているダーニボール(Darnibole) という地名の登録に成功している。さらに、巨大なラスフィニーのマークとサラのドライバー夫妻の力添えもあり、サセックスは今ではスティルとスパークリング両方の原産地保護を取得しており、この地区の東西ではやや異なる規則が適用される。

もう一つの主要なワイン生産地であるハンプシャーのヴィニュロンたちはシャンパーニュで最も高く評価を受ける地域と同じ石灰質の広大な土壌を有していることが自慢で(上の写真はエクストン・パーク・ヴィンヤードの新しいセラーを作るための掘削をしている現場で、The Electric Eye Photographyによるものだ)、報道向けのテイスティングやヴィンヤード・ツアーを作ることに忙しい。昨日公開したタムのVineyards of Hampshire's recent London tastingのレポートも参照のこと。

この共同作業が功を奏したのは。ハンプシャーに拠点を置くワインGBのチェアマン、サイモン・ロビンソン(Simon Robinson )のおかげと言えるかもしれない。彼の運営するハッティングレー・ヴァレーのワイン事業は莫大な量のワインを他の生産者のためにも醸造しており、さらにその生産の三分の一ほどはすでに輸出している。

今年ヴィントナーズ・ホールで1か月前に開催されたワインGBのディナーでの彼のスピーチで、大きな2つのテーマはツーリズムと輸出であり、彼はそれを業界に劇的な変化をもたらすものだと述べた。現在イングランドとウェールズには2,888ヘクタールのブドウ畑があり、そのうち350ほどは昨年だけで増えたものだ。そしてワインの全体像もドイツで最もつまらないとされる品種で作られた未熟なスティル・ワインから、安いスーパーマーケットのシャンパーニュのみならずクリュッグやクリスタル、ドン・ペリニヨンにまで対抗できるほどの自信を備えたスパークリングへと大きく変わってきた(以下のリストとEngland v champagne - a re-run tasting articleを参照のこと)。

多くのワイン生産者は地元の旅行者や直売に大きく依存している。だがワインそのものと同様、イギリスのワイン・ツーリズムも年々洗練されてきており、ラスフィニーの主要な計画の一つでもある。サリーにあるデンビース(Denbies)は長いこと旅行者の受け入れ先として宣伝を続けており、トンブリッジにあるキャメル・ヴァレーやハッシュ・ヒースなどと共に宿泊と食事を提供する数少ないワイナリーだ。ケントにあるチャペル・ダウンはロンドンのキングス・クロスに姉妹企業である蒸留所を出店している。ハイ・クランドン(High Clandon)は先のインターナショナル・ワイン・チャレンジでベスト・セラー・ドアを受賞している。リチャードが今週初めの記事でイギリスのワイン・ツーリズムについて書いているように畑巡りが流行しているのだが、ロビンソンがヨークシャーでのワイン・ツアーも実現しそうだというのを聞いて驚いた。ヨークシャーのような北部でのブドウ栽培はまだ苦労が多いはずだが、昨年のこれまでにない暖かさのおかげでイングランドとウェールズのヴィニュロンの勢いも付いたのだろうか

2017年にはヨーロッパの他の地域同様イングランド(とウェールズ)の畑を霜が猛威を振るい、生産量は600万本にまで落ち込んだ。だが2018年には1560万本ものワインを造るほどのブドウが収穫でき、追加のタンクの発注が相次いだほどであり、現在は追加の樽の発注が続いている。ブドウが完熟しないのではないかという一般的な懸念をよそに、2018年にはなかなかの品質のスティル・ワインを造ることができるほど十分に熟したブドウも収穫できた。(酸が高く、熟しすぎていないブドウの方がスパークリング・ワインには好ましい)。その結果をテイスティングするのが楽しみだ。

おそらく地球温暖化によってブドウはその栽培地を北に広げていくことになるだろう。スコットランドや北アイルランドのワインが商業的に生産可能になるかもしれない。もしそうなったら、単一の呼び名が本当に必要になるはずだ。

タムのイングリッシュ・ワインに関する総括的な最新の本のレビューも参照のこと。

大胆なイングリッシュ・スパークリング・ワイン

以下のワインはシャンパーニュの最高級のプレステージュ・キュヴェとブラインドで比較して突出していたものだ。

Coates & Seely, La Perfide Blanc de Blancs 2009
770.60 Norwegian kroner, Vinmonopolet state monopoly

Gusbourne Blanc de Blancs 2011
£33.29 in bond Berry Bros & Rudd (現在在庫切れ)

Nyetimber 1086 Brut NV
£119.50 Whitebridge Wines, also The Finest Bubble, The Oxford Wine Co, Hedonism, Harrods and others

Nyetimber 1086 Rosé NV
£139.50 Whitebridge Wines, also The Finest Bubble, The Oxford Wine Co, Hedonism, Harrods and others

Nyetimber Classic Cuvée NV
£25 D&D Wine and very widely available

Ridgeview Rosé de Noirs 2014
£35 GP Brands, £44 The Wine Society

原文

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