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ロンドン、ワインの首都

Saturday 26 January 2019 • 5 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

我々イギリス人は現在自信喪失に苦しんでいるかもしれないが、人生の中のある側面ではイギリス、少なくともその首都は世界をけん引する場所であると主張することができる。ワインをテイスティングし、学ぶための機会がロンドンほど多く得られる場所は世界のどこにもないからだ。

1月のブルゴーニュ・ウィークで2ダースほどのワイン商が開催したテイスティングでは世界中で追い求められるワインのほとんどが提供されるため、第一線のワイン評論家たちがアジアや、フランスからさえ、テイスティングに惹かれて集まってきた。(2017ブルゴーニュに注目した今年のガイドも参照のこと)

だがこれはロンドンで開催される典型的なワイン・テイスティングのほんの一部でしかない。ほぼ毎日いくつかのワイン・イベントが開催されるため、とてもではないがワイン&スピリッツ・トレード・アソシエーションの公式カレンダーにすべては掲載されていない。私自身も重なってしまったイベントのどちらを選ぶか、苦しい決断をしたことがある(ロンドンに拠点を置くワイン・ライターは苦労するのだ)。例えば公式カレンダーによると先週は月曜にインポータ2社がそれぞれの品ぞろえを公開するテイスティングを別々に開催し、同時にワインズ・オブ・チリがソムリエのコンクールを開いていた、という具合だ。

火曜はオーストラリア・トレード・テイスティング(写真)が開催されたが、これは毎年恒例の包括的なイベントで、オーストラリア本国で開催されるどのイベントより多くのオーストラリア・ワイン(200の生産者による1,000以上の銘柄)が一堂に会しテイスティング可能になるものだ。ヨーロッパ中のワイン専門家がやってくる。その翌日は本来ならワイン業界にとって休息日に当たるはずだが、シャンパーニュのニコラ・フィアットは果敢にもその午前中にテイスティングを開催した。その水曜は業界紙が出資するナショナル・ソムリエ・アワードの締め切りでもあった。木曜はまだ多数の2017ブルゴーニュの試飲が残っており、市内の別の場所ではイギリスにおける年間最大規模のロワール・ワインの展示会もあった。

面白いことにワイン業界のカレンダーは金曜が空欄なのだが、これはワイン業界には平日をロンドンで、週末は郊外で過ごす人々がいまだに多いと考えられているある種の誤解によるようだ。だが私の経験上、金曜にもテイスティングの機会に不足することはない。それが商品を紹介したいワインメーカーを訪問することであれ、生産者の重要な周年記念であれ、選ばれたプロのための膨大な水平(同一ヴィンテージ比較)あるいは垂直(同一ワインのヴィンテージ違い比較)テイスティングであれ、枚挙にいとまはない。私は昨年末から今年の初めにかけては膨大なワイン地図を更新するのに忙しかったため、ほとんどの招待を断ってきたが、先週の金曜、ヴィントナーズ・ホールで行われたワイン業界のランチには参加した。これは飲料業界で問題を抱える人々に救いの手を差し伸べる慈善団体、ザ・ベネヴォレント(The Benevolent)のものだった。ポル・ロジェのシャンパーニュ、2本の格付けボルドー、プルミエ・クリュのブルゴーニュの白、熟成したトウニー・ポートが提供された。

昨年のロンドン市長、サー・アンドリュー・パームリーはロンドン最古の同業組合、ヴィントナーズ・カンパニーの今年のマスターだ。彼はヴィントナーズ・ホールで開催されるすべてのレセプションの開会の辞で自信たっぷりにゲストたちを「世界のワイン業界の心のふるさと」へ迎え入れる。彼のこの表現はイギリス国王が3世紀の間ボルドーを支配していた中世はもとより、イギリスの公平で広範囲に及ぶワイン取引国としての長い歴史に基づいたものだ。我々イギリス人はまた、シェリー、ポート、マデイラ、マルサラ、そしてシャンパーニュの発展に決定的な役割を果たしてきたと主張する正当な権利がある。

我々がワインを飲む習慣はあるがほとんど生産をしてこなかったという事実はイギリスで楽しむことのできるワインの幅を広げた。フランス人はほとんどフランス・ワインを飲むし、イタリア人は多くがイタリア・ワインを飲む。だがイギリス人の飲むワインは広く、遠方のそれにまで至る。南半球の生産者たちはみな、イギリスを非常に重要な輸出先だとみなしている(たとえオーストラリア人がイギリスのスーパー・マーケットから利益率の高い中国市場にその焦点を切り替えたとしても)。あるロンドンのインポータが先週出した招待状にはウクライナ、トルコ、モロッコ、ブルガリア、スロヴェニア、スロヴァキア、ルーマニア、カナダ、そしてニューヨーク州のフィンガー・レイクのワインのテイスティングが記載されていた。そしてこの一覧は決して珍しいことではないのだ。

確かに高級ワイン消費市場の核としての立場はロンドンから香港や、それには至らないがシンガポールへ移行し始めている。彼の地のワイン愛好家たちはボルドーの2級以下、ブルゴーニュのグラン・クリュ、プルミエ・クリュ以下はめったに飲まない。だが香港のワイン・コレクションはほとんどが古典的な地域に限定されている。すなわちほとんどがフランスで、そこに少数のイタリア銘柄が入ってくる程度で、心の広いイギリス人にはあまり向いていない。

いずれにしても今まで、ロンドンがワインに注目している若いヨーロッパ人を惹きつける場所であったことは必然だ。ソムリエになりたいフランス人はロンドンでほとんど毎日開催されるテイスティングをいくつか渡り歩いた方がサンセールやボージョレに限定された国に閉じこもっているよりはるかに勉強になる。

ニューヨークは比較的ワイン・イベントが多く開催され、その中のいくつかは素晴らしい(そして価格も高い)が、ロンドンほど多くもないし、頻繁でもない。

ロンドンをワインの首都だとするもう一つの要素は提供されるワイン講習会の幅広さだ。WSETはちょうど半世紀前に誕生したが、当時の労働党政権の要請によって誕生した多くの業界向け教育機関の一つだ。今日WSETは世界をけん引するワイン教育機関であり、毎年95,000人の生徒を世界中に抱える。だがその割合はまだイギリスが最大で、おそらく毎日10ほどのクラスが昼夜を問わずロンドンのどこかで(そしてイギリスの他の地域ではさらに8クラスが)開催されている。しかも生徒の三分一ほどはワイン業界とは関係のない人々だ。

それよりも古く高貴で国際的な教育機関はマスター・オブ・ワイン協会で、1953年にヴィントナーズ・ホールで設立された。マスター・ソムリエ協会は特にアメリカ(だけではないが)で今や強大な力をもつ組織だが、ロンドンにあるヴィントナーズ・カンパニーの支援で設立されたものだ。最初のMS試験は1977年にロンドンで開催されている。

それからオークション・ハウスや出版社など、もう少し小規模な話題ではあるがそれぞれがワインの世界で重要な位置を占め、国際的に大きな影響力を持っている。

愛国主義的に聞こえてしまったら申し訳ない。だが特にここの所はこういう励みが必要なのだ。

ロンドンでワインを学ぶ

Wine & Spirit Education Trust 
39-45 Bermondsey Street
London SE1 3XF
wsetglobal.com

Berry Bros & Rudd Wine School 
3 St James's Street
London SW1A
bbr.com/wine-events/school

Davy's
161-165 Greenwich High Road
Greenwich
London SE10 8JA
davy.co.uk

East London Wine School
Various locations in the City, East London and Essex
eastlondonwineschool.com

Leiths School of Food & Wine
16-20 Wendell Rd
London W12 9RT
leiths.com

London Wine Academy
158 Buckingham Palace Road
London SW1W 9TR
londonwineacademy.com

Michael Schuster Wine
107 Culford Road
London N1 4HL
Michaelschusterwine.com

Theatre of Wine
Greenwich and Tufnell Park
theatreofwine.com

ThirtyFifty
thirtyfifty.co.uk

West London Wine School
177B Lyham Road
London SW2 5PY
westlondonwineschool.com

The Wine Education Service
wine-education-service.co.uk

イギリスの他の地域および他の国でのワイン学習については無料で読めるLean部門のWine courses を参照のこと。

原文

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