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サム・ニール~セントラル・オタゴのワイン俳優

2016年10月22日 土曜日 • 5 分で読めます
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この記事の短いバージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

最近ロンドンのザ・クローヴ・クラブで俳優のサム・ニールと交わした会話は普段ワイン生産者と行うそれとは大きく異なっていた。pHやクローンの話は一切ない代わりに、別のテーマがあった

印象的な話題の一つは上半身裸のジュリー・アンドリュースが下半身裸のリーアム・ニーソンと激しく抱擁しているというものだった。(ニールは現在ニーソンのアクション映画を撮影しており、そのタイトルはザ・コミューターとなるようだ)。ニールは彼のワイン・メーカーが最小限の添加物しか使わないワインに消極的であるにもかかわらず今後リリースを予定している自然派ワインの名前をアンドレスド(裸の)にしたいと考えているそうだ。

ダウントン・アビーで名声を博したジュリアン・フェロウズと共にコントラ(訳注:ニカラグアのゲリラ)を探してニカラグアを旅した話と同じぐらいおかしな話だったのは、彼の飼っている二種類の豚の交尾の習性に関する嬉々とした説明だった。豚の性的衝動とかいうことで、毛むくじゃらで元気いっぱいな太鼓腹のポリネシア系豚の遺伝子が(その豚は彼のことが大好きで彼を見ると走り寄ってくるそうだ)無意識にもう一匹の血統が純粋な豚と交尾させるという話だ。

彼のツイートや、彼がセントラル・オタゴに所有するワイナリー、トゥー・パドックスのウェブサイトに掲載されている物語から判断すると、ニールはまさにコミック・ライターになるべきだったのだろう(*)。彼の「猛烈に賢い」兄はシェイクスピア研究者のマイケル・ニールだ。彼も時々役者をするが、サム(洗礼名ナイジェル)は1975年以降継続的に俳優としての仕事を受け、憧れの的(レリー、エース・オブ・スパイ(Reilly, Ace of Spies))から気難しいが魅力的な老人(現在公開中のハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル(Hunt for the Wilderpeople))まで幅広くこなす。

彼らの父は息子たちが俳優になったことに震え上がったに違いない。彼は軍人で、息子たちが生まれた時には北アイルランドに派遣され、母国ニュージーランドには1950年代初頭まで帰ってこなかったアイルランド近衛連隊の少佐だった。サム・ニールは父のハーロウの寮長が母を呼び出し「どんなことがあってもダーモットに子供たちをハーロウに送らせてはならない」と強く勧めてくれたことに毎日感謝している。クライストチャーチにあるクライスツ・カレッジは彼らのダニーデンの家から近く、はるかに慣れ親しんだ場所だったからだ。

ダーモット・ニールは研究者や俳優業を快く思っていなかったかもしれないが、下の息子が1991年にOBE(大英帝国勲章)を受けたことで安堵したに違いない。

ニールが驚くほど安定した俳優業から得た資金を飲み物に投資すると決めたことはそれほど驚くことではない。彼の父は退役後、農業に軽く手を出し、フランスから輸入したビーハイブのブランデーでなんとかもっていたニールズという酒類業を継いでいたからだ。サムの五世の祖の兄弟、ベンジャイ・インガム(Benjamin Ingham)はマルサラ界の大物で、イギリス海軍にコネを持ち、かつて人気の高かったこのシチリアのワインを供給してニューヨークに莫大な不動産のポートフォリオを構築した人物だ。

「親父はいつもなぜセントラル・オタゴにブドウ畑がないのか不思議がっていたんだよね。」サムによると、彼が最初に手を出したブドウ栽培はギブストンに5エーカーのピノ・ノワールを植えたことだった。そこはその後ブドウが大進出を遂げる「セントラル」で最も早く指定されていたサブリージョンの一つだった。これはザ・ファースト・バドックとして知られ、1993年にニールがジュラシック・パークとザ・ピアノに出演した頃に購入したものだ。彼はそこが世界最南端のブドウ畑だと主張している(「GPSで確認したんだ」と言っていた)。

6年後彼は別の7エーカーの区画を買い、ザ・ラスト・チャンスと名付けたプロプリエターズ・リザーブを作っている。その名はサブリージョンであるアレクサンドラがかつて金鉱だったことにちなんだものだ。ニールはこのスパイシーな単一畑のラスト・チャンス2012がインターナショナル・ワイン・チャレンジでトロフィーを獲得したことを大変誇りに思っている。

2000年(ジュラシック・パークⅢとザ・ディッシュの年)は美しい120エーカーの、これもアレクサンドラにありかつて政府の研究基地だったレッド・バンク・ファームへの莫大な投資の年となった。それが今はトゥー・パドックスの本部であり、忠実なチームが仕える大地主の座をニールが満喫できる居心地の良い田舎の家となった。ほぼ毎年彼は農園やその周辺で短いフィルム撮影を行っている。多くの場合は4輪バイクが登場し、ハリウッド向けではなく、トゥー・パドックスのウェブサイト向けの映像だ。私がその撮影の間ワイナリーの仕事にはどのぐらい関われるのかと尋ねた時、彼はいらついた様子で「重要な決定があればスカイプでいつでも連絡できるから。」と述べた。

これが最後の買収だとニールが述べたのは、彼は「彼らは僕らよりも優れていると思っているけど、違うね」というサブリージョン、バノックバーンで進めている話だ。この畑(下写真)のピノ・ノワールは彼の3つ目のプロプリエターズ・リザーブになる予定で、彼の父にちなんでザ・フュージリアと名付ける予定だ。非常に洗練された2014がフェルトン・ロードにあるこの成熟した15エーカーの畑のファースト・ヴィンテージだ。これで彼がメイクアップアーティストである日本人妻との間に設けた4人の子供に畑が一つずつわたることになる。

ワインに関することで元も自慢に思うことは何かと尋ねると、彼はすぐに長期的視点で物事見るようになったことだと述べた。「僕は最近これらの畑が財産となるように強く心がけているんだ。早い段階でワイン関係のビジネスは利益を生まないとわかったんだ。サクランボやあんず農園は利益になるけど、それは貸すことにした。僕は自分のエネルギーすべてをかけて、この美しいワインと美しい場所を作り上げるために投資は惜しまないと決めたんだ。これらの畑すべて、特にレッド・バンクは、そこから生み出されるものと同じぐらい、その風景も重要だと思っている。だから有機とかもやるし、時間をかけて木を植えて、固有の鳥が戻ってくるようにしているんだ。」

「この土地を良くするためならどんな植物や動物でも使うよ。例えばこの馬鹿げた牛たちは有機栽培の畑に定期的にウンコしてくれるから飼ってるわけだし。」

数多くの地元のブドウ生産者のためにワインを作っているセントラル・オタゴ・カンパニーの三分の一を所有するほど潤沢な資金を持っているとはいえ、田舎町のクイーンズタウンではニールは陽気なワイン関係者の一人だ。「自分に選択権があることがいいんだよね。」彼はヘッド・ワインメーカーであり、今年の初旬、フュージリアの畑からできる少量の自然派ワインに口を出し、彼を説得しなくてはならなかったディーン・ショウ(Dean Shaw)との関係に触れた。「20ケースは保存しておいて、残りはブレンドに使うことにしたんだ。」彼は言う。だが我々はアンドレスド・ピノのラベルの右下の隅にほとんど判読不能なニールのサインがされるまでもう少し待たなくてはならない。

彼は前回会ったときに私が明らかなセレブ・ワインというレッテルを貼られないようにした方がいいと提案したことに触れた。今彼が本気で畑の経営をしていることを認めざるをえないし、その結果を強調するのに自身の名を利用することも全く責めるつもりはない。今週土曜の朝、彼はニューヨーク・ワイン・エクスペリエンスにて2人のオレゴンの生産者およびブルゴーニュのエルワン・フェヴレ(Erwan Faiveley)と共に舞台に上がり、集まった1000人のワイン愛好家の前でザ・ラスト・チャンス・ピノ2013(100点満点中94点)の美学を語りつくす予定だ。間違いなく彼の出番が群を抜いてエンターテイメント性が高いに違いない。

* トゥー・パドックスのウェブサイトでこんなものを見つけた。
「ニールは2013年のピノ・ノワール・カンファレンスで、とある有望な畑の所有者からこんなアドバイスをもらった。『あんたも中年に近づいてるんだから、これから避けて通れないことが二つあるよ。まずは乗ることができる草刈り機を買うこと。もう一つは前立腺の肥大。草刈り機の方が前立腺よりマシだから、いいやつを買うことだな。』」

セントラル・オタゴの宝石
テイスティング・ノートはデータベースに、テイスティング記事の一部としてではなく主に独立して格納されているはずだ。

Burn Cottage Pinot Noir 2013
Cloudy Bay, Te Wahi Pinot Noir 2014
Felton Road, Bannockburn Chardonnay 2014
Felton Road, Cornish Point Pinot Noir 2013
Prophet's Rock Pinot Gris 2014
Prophet's Rock Riesling 2013
Prophet's Rock, Estate Pinot Noir 2013
Two Paddocks, Red Bank Riesling 2014
Two Paddocks, The Fusilier Pinot Noir 2014
Two Paddocks, The First Paddock Pinot Noir 2013
Two Paddocks, The Last Chance Pinot Noir 2012

(原文)

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