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ツーリズムに悩むサンタ・バーバラ

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これはフィナンシャル・タイムズに掲載された記事のロング・バージョンである。詳細なレポートとテイスティング・ノートは「Santa Barbara's grapes that didn't get away」を参照のこと。

映画サイドウェイズの公開から11年が経った。この映画によってワイン・ツーリズムは世に知られることとなり、アメリカの生産者はピノ・ノワールを必死に追い求めるようになったが、その舞台となったこの地域は間違いなく、訪問者のための設備が最も整っていない地域である。

カリフォルニア沿岸南部、サンタ・バーバラの奥地にあるこのワイン・カントリーは、その景色が世界で最も魅力的である一方、ワイナリーでテイスティング・ルームを作ろうとしたり、その他の娯楽の提供を計画したりした人たちは幾度となくそれを却下されてきた地域でもある。

ラーナー(Larner)一族は1999年にローヌ系品種を育て始め、デンマーク街として確立されたソルヴァン(Solvang)の北に位置する比較的新しいアペラシオン、バラード・キャニオン(Ballard Canyon)で素晴らしいシラーを作っている。彼らは何年もの間テイスティング・ルームを備えたワイナリーの建設を申請しているが、いまだに許可は下りていない。またグラッシーニ(Grassini)一族は素敵な名前のアペラシオン、ハッピー・キャニオンにボルドー品種を植え、自社畑のブドウのみから(この地域では珍しいことである)ワインを作っているが、サステイナブルに設計されたワイナリーでテイスティングを行うことは禁止されている。

サンタ・バーバラ・ヴィントナーズのエグゼクティヴ・ディレクター、モーガン・マクロクラン(Morgen McLaughlin)は以前、アメリカの似たようなワイン産地であるニューヨーク州フィンガー・レイクでも同じような役職にあり、数年前に西部に移り住んできた。彼女はマンハッタンの北西に車で5時間かかる小さくて冷涼なワイン産地であるフィンガー・レイクで平均して年間100万人の訪問者を目にするのに慣れていたのだが、ロサンゼルスの大都市圏から西へ車で2時間のサンタ・バーバラには、年間40万人も来ればいい方だ。

彼女の夫もワイン業界にいるため、夫婦は世界中のワイン産地を数多く訪問してきた。「全く分からないんです。」彼女は言う。「海外に行くと、いかにワインがその地域に溶け込んでいるか感じることができます。そしてここに帰って来ると「何がいけないの?」と思わずにはいられません。」

彼女がその元凶の一人だと考えているのがボブ・フィールド(Bob Field)、ワイン関連の開発に反対する活動家の中心的な人物だ。サンタ・イネズ・ヴァレーに1998年から住む退職者で、彼は「近隣の不適切な場所でのアルコール提供業務および危険なほど舗装状態の悪い道路がこの街の大きな問題で、それらが資産価値を下げ、居住者および旅行者の安全性に危険を及ぼす」と信じている。

彼は2009年に設立されたサンタ・イネズ・ヴァレーの地域計画委員会の委員長だった。当初の目的はほとんどのサンタ・バーバラのワイナリーがあるサンタ・イネズ・ヴァレーの地域性を守ることだった。

ここを訪れた人が不自然に感じるのは、サンタ・イネズ・ヴァレーの裏道には多くのガスやオイルの水圧破砕プラントが点在していること、そしてソルヴァンの街のすぐ東にはインディアンのチュマッシュ族居留地があり、そこに2004年に建設された巨大カジノには毎日6000人もの人が訪れることだろう。ブドウ畑やそこで彼らが作ったものを購入することなど、水圧破砕や賭け事などに比べたら明らかに地域性のあることだと私は思うのだが。

しかし、このサンタ・バーバラのワイン産地を訪問する直前にそこの北に位置するナパ・ヴァレーを訪問した私は、ワイン・ツーリズムが地元の手に負えなくなる可能性があるということも痛感していた。2月の天気のよい日曜日、ナパ・ヴァレーに行くにはバンパーとバンパーが触れあうような状態で文字通り何時間もかかったからだ。そこに住んでいる人々は緻密な移動計画を練らなくてはならない。週の、あるいは1年のある時期にはこの地域を南北に貫き、世界で最も訪問者の多い畑とワイナリーをつなぐハイウェイ29での左折が物理的に不可能だと知っているからだ。

(さらなる問題が現在ネイティブ・アメリカン・インディアンであるワッポー族によって持ち上がっている。彼らは賭博企業のバックアップを受けており、居留地の申請をしているが、おそらく高い利益の得られるカジノをナパに作る権利も得るだろうと言われている)

南カリフォルニアの反ワイン感情はサンタ・バーバラ・カウテンティに限ったことではない。太平洋沿いにサンタ・バーバラと並ぶ場所に新しいマリブ・コースト(Malibu Coast)というアペラシオンが認定された。この名は21マイルに及ぶ大小のビーチハウスにちなんでつけられている。しかし、地元の農家の人々はブドウを植える権利を剥奪されてしまい、未来のワイン生産者たちはその取り消しを求めている。
(訳注;この地域ではこのAVAの認定とほぼ同時期に、環境を守るためにブドウ畑の新規開発を禁止する条例を制定し、栽培農家が反発している)

このようなことはヨーロッパの人々から見て非常に奇異なことに映るだろう。なぜならヨーロッパでワイン作りというものは、有益で人生を肯定するものだという見方が一般的だからだ。そもそもアペラシオンとはその存在に先立つものではなく、すでに存在する場所を正式に認めるものである。しかしこの地域はアメリカでAVAとして知られるアペラシオンを「申し立てる」という意味での活動が非常に活発な地域だ。

広大なサンタ・イネズ・ヴァレーAVAは現在、より小さなエリアに切り分けられようとしているところだ。そのはるか西、海岸に最も近いサンタ・リタ・ヒルズ(チリの生産者サンタ・リタ(Santa Rita)と区別するためSta. Rita Hillsと表記)が独立の一番手だった。そこは太平洋に近いため、他のサンタ・イネズ・ヴァレーの地域よりもはるかに涼しいのだから、当然と言えば当然だ。私はカリフォルニアで最も酸の高いピノ・ノワールとシャルドネを生み出すこの地域の容赦ない海風のおかげで、もう少しで風邪を引くところだった。また、サンタ・リタ・ヒルズAVAのすぐ東にあるワイナリーはそのAVAを東に伸ばす運動をしているが、1マイル東に進むだけ気温が華氏1度上がると言われるこの地域では非常に難しい戦いだろう。写真は霜を防ぐために不可欠なプロペラを前にするサンタ・リタ・ヒルズのサンフォード・ワイナリーだ。1981年にリチャード・サンフォード(Richard Sanford)が設立し、現在はシカゴのテルラト(Terlato)が所有するこのワイナリーは、訪問者を受け入れる比較的数少ないワイナリーの一つだ。年の功が物を言ったのだろう。

サンタ・リタ・ヒルズの東部にあるバラード・キャニオン(Ballard Canyon)は明らかにサンタ・リタ・ヒルズより温暖であり、サンタ・イネズ・ヴァレーの遥か東にあるハッピー・キャニオンは最も温暖だ。今月の初め、ソーヴィニヨン・ブランの専門家、フレッド・ブランダー(Fred Brander)はこのバラードとハッピー・キャニオンの間を埋める新しいAVAの予備承認を獲得した。計画ではその中心にある小さな町にちなんでロス・オリヴォスと命名することになっている。この名を冠するカフェはサイドウェイズのさえない主人公マイルズがメルロー嫌いを宣言する場所である。ほとんどが所有者の畑から遠く離れているものの、地元のワイナリーのテイスティング・ルームが数多くある町である。

おそらく上述の理由によってこの地域は食事や宿泊をする場所が多くはない。しかし、その中で比較的訪問者に心地よい町はというとサンタ・イネズ・ヴァレーとその北にあるAVA、サンタ・マリア・ヴァレーの間にあるロス・アラモスではないだろうか。ここにはベッド・アンド・ブレックファスト、ギャラリー、魅力的な小さなレストランやバー、そしてかつてグレッグ・ダイク(Greg Dyke)の元で働き、現在はテレビ業界から足を洗った人物経営の、一流の職人技が楽しめるボブズ・ウェル・ブレッド・ベーカリー(Bob's Well Bread Bakery)がある。

さらに、ここの地域性を守りたい人々の糾弾を何とか逃れたワイン・テイスティング・ルームも数軒あるのだから。

サンタ・バーバラのお気に入り

Au Bon Climat, Isabelle Pinot Noir 2011 Santa Maria Valley

Bien Nacido Estate, Solomon Hills Vineyard Chardonnay 2010 Santa Maria Valley

Brewer-Clifton, 3D Vineyard Chardonnay 2012 Sta. Rita Hills

Dragonette, Fiddle Stix Pinot Noir 2012 Sta. Rita Hills

Lieu Dit Cabernet Franc 2012 Santa Ynez Valley

Melville, Estate Pinot Noir 2013 Sta. Rita Hills

Presqu'ile, Presqu'ile Vineyard Pinot Noir 2009 Santa Maria Valley

Sanford, Sanford & Benedict Vineyard Pinot Noir 2011 Sta. Rita Hills

Tatomer, Kick-on Ranch Riesling 2012 Santa Barbara County

取扱業者については wine-searcher.com を参照のこと。

原文

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