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オーストラリアのピュリニー

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この記事のやや短いバージョンはフィナンシャル・タイムズに掲載されている。160本に及ぶ最新のオーストラリアワインに関するテイスティング・ノートも参照のこと。

先日華麗な名を持つブリス・ド・ラ・モランディエ(Brice de la Morandière)に会った。彼は親戚で惜しまれつつ亡くなったアンヌ・クロード・ルフレーヴからあの世界的に有名なピュリニー・モンラッシェのドメーヌ・ルフレーヴのかじ取りを引き継いだ人物だ。

我々は彼がここ数年油圧装置の多国籍企業を経営する中国の話題、彼の息子が現在勤務するロンドンのワイン商の話題、ルフレーヴのブルゴーニュ白につきまとうプレマチュア・オキシデーションの話題などに触れたが、彼がわずかに動揺を見せたのは私が最高級のオーストラリアのシャルドネに注目すべきではないかと提案した時だけだった。

おそらくこれまで彼が居を置き、仕事をしてきた中国、トルコ、アメリカなどでは最高の例に巡り合わなかったのも無理はないし、ロンドンやピュリニーといった現在彼が行き来する場所でもそれらに出会う必然性がなかったのだろう。だが、近年オーストラリアの最高のシャルドネ職人たちによってこれほどまでにそのフィネスの向上が成し遂げられたため、私は現在高級ブルゴーニュ白の代替品として真剣にこのオーストラリアの冷涼地域に(ソノマ・コーストやサンタ・バーバラ同様)期待しているのである。

最高級のムルソー、モンラッシェ、シャブリになじみがある読者の中には、私がどうかしてしまったのではと思う向きもあるかもしれない。だが大胆な概略化を試みると、現時点で私は新世代のオーストラリア・シャルドネに(多くの場合少なくとも同じぐらいの価格がつく)大量生産のブルゴーニュ白よりもはるかに活力、興味、そして確実に価値を見出している。そう考えるのは私だけではない。ワイン・オーストラリアのグローバル・エデュケーション・マネージャー、マーク・ダビッドソン(Mark Davidson)はアメリカのトップソムリエ達がこれらのワインをブルゴーニュの最高品質のものと混同する様子を大いに楽しんだそうだ。

オーストラリアのシャルドネを試すのであればヴィンテージは重要だ。かつての大味でごつく、樽の効いたシャルドネの時代同様、数年前までオーストラリアのワインメーカーは逆方向に走りすぎていたからだ。収穫をあまりに早めたためにワインが自然の酸を保ったものの明らかに香りとボディに欠けるものとなってしまったのだ。その後これまでにないほど雨の多い2011のヴィンテージが到来し、そのまま全ての色彩が欠けたワインに(全てではないが)つながったこともあった。

だが2012年頃からオーストラリアは多くの世界水準のシャルドネを生み出してきた。味わい深く凛として非常にさわやかな、上品なブルゴーニュ白のスタイルのワインだ。しかも多くの場合典型的な白のブルゴーニュより明らかに熟成のポテンシャルを感じられる。このスタイルの先駆者であり称賛され得る重要な主導者にはヤラ・ヴァレーにあるデ・ボルトリのスティーブ・ウェバー(Steve Webber)とモーニントン・ペニンシュラにあるヤビー・レイクのトム・カーソン(Tom Carson)がいる。

一つの現象がオーストラリアのように広大な国で一律に起こるのは奇妙に感じられるかもしれないが、私はなぜオーストラリアのワインメーカーが他の国の地域と比べて揃って一様な動きを見せるのかという点には持論がある。まず、多くのヨーロッパの国には統率のとれない多くのワイン生産者がいて、彼らの野心も技術も非常に幅が広いのは火を見るより明らかだろう。一方ワインメーキングの流行はアメリカを北から南へと急速に広がるものだし、南アフリカではそれがやや効率的に起こる。そんな中オーストラリアのような超巨大タンカーが片手運転で容易に動いているように見えるとしたら、それは第一線のワインメーカーが審査する影響力の強いワイン・ショーがアイデアや最新の流行に関する情報を交換する理想的な討論の場を提供しているためではないか思うのだ。

だがシャルドネだけが形を変えてきた品種ではない。オーストラリアのシャルドネが危険なまでに細身になったのと同様、オーストラリアのリースリングもまた極端なほど簡素な味わいの時期を経験しているし、ごく最近スタイルの変化が起こり始めている品種と言えばシラーズだろう。大味で骨太なスタイルから鋭く踵を返し、次第に多くのシラーズがかつて完熟と見なされていた時期よりも早く収穫されるようになってきているのである。

スティーブ・パネル(Steve Pannell)はシラーズに新たな命を吹き込む新たな手法を実行に移した熟練者の一人で、最近オーストラリアン・グルメ・トラベラー・ワイン・マガジンによるワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに輝いた人物だが、彼は理想とする完熟状態について「完熟したと思ったときに収穫したらもう時期を逸しているんです」と述べた(彼はそれをヴォルネイの故ジェラール・ポテルに学んだと言った)。だから彼は早めに収穫を行い、「ワインを組み立てるのではなくシャットダウンするんですよ」と言う。若いワインを大きな樽の中で澱と共に寝かせ、新樽から新樽へ移し替えることによる酸素との接触を避け、ワインの勢いが最高潮の時に瓶詰する。「オーストラリアのシラーズはシャルドネと同じ進化を遂げるべきなんです。小細工はやめて、その土地らしさ、そのワインが持つ真の個性を表現する必要があります。」

オーストラリアのワインメーカーの間でもう一つ大きな流れになっているのは脱・除梗である。すなわち全房で発酵し、特にシラーズ、グルナッシュ、ピノ・ノワールの発酵槽に梗が入っている状態にするのだ。梗まで完全に熟していれば(茶色く木化していれば)ワインに有益で鮮明な香りを付与することができる。だがこの流行の進化の過程にある今、あまりに多くの赤ワインは色が薄く、未熟な青い梗に由来する辛辣な硬さが支配的である。

かつて谷床で育った果実に由来するエネルギーにあふれていたバロッサ・ヴァレーのシラーズの作り手の中にはより標高の高く冷涼な隣の産地、イーデン・ヴァレーのブドウをブレンドし始めている点も注目に値する。そのようなブレンドはバロッサ(ヴァレーと書かない)と表記され、消費者の混乱を防いでいる。

もう一つのローヌ品種、グルナッシュもまた吹き込まれた新しい命を謳歌している。流行に敏感な生産者たちがそれをピノ・ノワールのように扱い、そこからこの上なくフルーティで丸く、香り高い、そのフランスの原型、シャトー・ヌフ・デュ・パプとは全く異なるワインを生み出そうとしているためだ。その一方で他のワイン生産地同様、多くのワイン生産者がこれまで以上にデリケートで地理的特徴の出たピノ・ノワールを作るために多大な工数を投入している。

しかしオーストラリアのワインメーカーたちが一律にカベルネ・ソーヴィニヨンに手を出すようになるまでには時間がかかるかもしれない。私はソムリエからワインライターに転向したソフィー・オットン(Sophie Otton)にオーストラリアのカベルネの最近の動向を聞いてみた。彼女は短く息を吸った後首を振った。「カベルネには愛情がないんです。そこに落ち着いている西オーストラリア以外ではね。」(西オーストラリアのマーガレット・リヴァーは世界屈指の心地良いカベルネを生み出すが、オーストラリアのワイン界の主流からは遠く離れすぎている)

総じて、オーストラリアのワインはその10年前と比較すると大きく様変わりしている。今の心躍る新しいシャルドネがその故郷であるピュリニー・モンラッシェに届く日を願わずにはいられない。

注目すべきオーストラリアのシャルドネ

Bellwether
Bindi
Coldstream Hills
Cullen, Kevin John
Curly Flat
De Bortoli, Yarra Valley
Domaine Tournon, Landsborough
Giaconda
Kooyong
Leeuwin Estate, Art Series
Moss Wood
Oakridge, 864
Ocean Eight, Verve
Penfolds, Yattarna
Shaw + Smith, M3
Tapanappa, Tiers
Ten Minutes by Tractor
Tolpuddle
Vasse Felix
Yabby Lake

写真はヴァス・フェリックス提供。
(原文)

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