ヴォルカニック・ワイン・アワード | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト) | Mission Blind Tasting

ヴィンテージ・ポートと日本酒

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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。テイスティン・ノートはvintage ports of the 1980sa second helping of sakesも参照のこと。

この記事のタイトルはエイプリルフールではない。自分の考えや行動を事細かに記述する極端に個人的なブログは私の好みではないのだが、今回はワイン・ライターとしてめったになく貴重な経験をしたため、そのブログのようなものを公開するべきだと考えたのだ。

私がテイスティングのために参加するのはワイン生産者を訪れた場合と何かを売りたい誰かが提供するプロ向けの機会の二つが大部分を占める。

だが、特定の種類の飲み物に熱心な一般の人たちと共にテイスティングするのは特に楽しい機会となることがある。先頃、続けてそのような機会を得ることができ、テイスティングした対象も、一緒にテイスティングを行った人たちという意味でも代えがたく、得るものが大きかった。

最初の夜はザ・ポート・フォーラムと呼ばれる騒々しいグループと共にブート&フロガーというバーで15以上のヴィンテージ・ポートにのめりこんだ。このバーは偶然にも知り合いのウィークエンド・フィナンシャル・タイムズの9人の編集者のうち数人も常連の店だ。ロンドンのあちこちにあるデイヴィー・グループ傘下のワイン・バーで、古典的な鋸屑の巻いてある床(*訳注参照)を楽しむスタイルだ。参加者がポートにくぎ付けになるあまりメニューを見るのを忘れがちになるということから事前にメニューが送られてきたので、私はバンガーズ・アンド・マッシュ(訳注:ソーセージとマッシュポテト)のオニオン・グレーヴィソースを注文しておいた。
(*訳注:伝統的に飲食店の床には飲み物をこぼしても片づけやすいよう鋸屑を巻く習慣があった)

私が思うに今回招待されたのはポート・フォーラムのメンバーの一人が書いた素晴らしく総括的なヴィンテージ・ポートに関する書籍(残念ながらまだ出版社が決まっていない)に興味を示したことへの礼だろう。私がこのポート・フォーラムの存在を知り、彼らの偏執的なほどの熱意に感銘を受けたのは彼が私に接触してきたからこそなのだが。

会員は700名を少し超えるほどにも関わらず、その10万件を超える投稿で人気なのは「ポートに関する話題」「テイスティング会の企画」「意味のないたわごと」というカテゴリーだ。

200客ものグラスの並んだテーブルで13人のテイスターたちに加わった私はいささかよそ者の気分だった。彼らは全員が専門職で、一番端に座っていたワイン業界の女性一人を除き男性だ。彼らの雇用主は間違いなく理解のある人物なのだろう。メンバーのうち二人はブート&フロガーに午前11時に来て、テイスターたちのための15本のヴィンテージ・ポートをデカンタージュしていたのだから。

よく考えてみると一人当たりのポートの数が非常に多い。これは主要なシッパーであるフォンセカ、テイラー、ダウ、グラハム、ワレが80年代にヴィンテージを宣言したすべてを比較することが目的だったためで、全てのボトルはメンバーのセラーから提供されていた。フォンセカの1985は遅れて到着したが、その持ち主であるメンバーがドイツでの打ち合わせから文字通り飛んで帰ってきたためだった。

これらの男たちは明らかに全員がそのポートとお互いを熟知しており、ポートを略称で呼んでいた。支払われた金額とボトルのサイズに関するたくさんの大声での嘆きと、それよりやや穏やかな冗談が飛び交った。テイスティングの構成を示し、そのスコアを集計するために作られた一覧表を見せられたのだが、あるメンバーはそのスコアの提出がいつも最後だとからかわれていた(だがポートに関する背景の質問は皆がまず彼にしていることにも私は気づいた)。

「83はみんな少し軽いよね?」歯を黒くした一人のテイスターが言った。1985はややドライな1980より良く、弱い1983よりも間違いなく良いとの結論だった。私はパーティで盛り上がれない空気の読めない人のような気持ちでいたが、ありがたく吐器を受け取り、全てのデカンターが空になる前に退席した。

この荒々しい夜の翌日は禅の静けさが訪れた。佐藤宣之教授はチャタム・ハウスに派遣されている経済学者で、10月に記事を書いた、ワインに傾倒する67ポール・モールでのサケ・テイスティングを企画した人物だ。彼から二度目の特別な日本酒のテイスティングを私の自宅で開催しないかという提案があった。

彼は日本酒が提供される前にしっかりと冷やされている必要がある点に最も注意を払っており、彼とその妻、そして二つの大きなキャリーケースがテイスティングの日の朝(私の全身がまだ35年もののヴィンテージ・ポートに満たされている時間帯)到着し、我が家の冷蔵庫を26本もの日本酒で満たし、夜のテイスティングに備えた。

佐藤夫妻はこの上なく礼儀正しく我が家のグラスを確認し、日本酒のテイスティングに最適なものを選んで帰って行ったが、奇跡的にもそれらのいくつかがとても新品同様とは呼べない状態だったのを見逃してくれたようだ。

私は6時開始の予定だったところに6時半の開始を提案し彼らを狼狽させてしまった。結局6時15分で決着し、その時刻ぴったりに彼らは3人の日本酒生産者と若干困惑気味のチャタム・ハウスの同僚を連れてやってきた。

ヴィンテージ・ポートは濃い赤で普通の75センチリットルの瓶であるのに対し、日本酒はほとんど色がなく、その瓶にはあらゆる形があるように思われた。通常の容量は72センチリットルで日本の容量単位である合4つに相当するが、瓶の中には四角いものやジンを入れる瓶のように緑のもの、そうかと思えばシャンパーニュの瓶に似たものもの、デザート用の日本酒に至っては小さなフラスコに木の栓がされたものまであった。

ヴィンテージ・ポートは非常に若いうちに瓶詰めされるため多くの澱が発生するし、ワインが飲みごろになるまで熟成させるためにそれを何十年も守る分厚くてほぼ黒色の瓶に詰められる。一方で日本酒は春に酒蔵からリリースされたらできるだけ早く発送し、その年のうちに飲むべきだ。そのために瓶詰め日は通常バックラベルに記載されている。これは非常に有用なのだが、日本の元号が使われていない時に限る(今我々は(平成)29年にあるそうだ)。

日本人ではない我々が頻繁に質問をするたびに、日本人たちは合意を得た回答をするために礼儀正しくまるで子猫の鳴き声のような小さな話し合いをする。我々ワインオタクは日本酒を作る行程を表すサケフィケーション(sakefication)という言葉を学んだ。

他に学んだことは日本酒の平均的なアルコール度数が16%であることだ(ほとんどのワインは13から14%、ヴィンテージ・ポートは20%である)。辛口のワインに含まれる糖分は通常2g/Lであるため、日本酒の残糖が通常ヴヴレイのデミ・セックと同じ30から40g/Lであると聞いて驚いた(ヴィンテージ・ポートはおよそ100g/L)。ポートは明らかに甘口であるにもかかわらず、26本の日本酒はそのほとんどが非常に美しくバランスがとられており、辛口に感じられたのである。

残念ながら日本酒とヴィンテージ・ポートの間に密な関係性は見出すことができなかった。ただのワイン・ライターの恵まれた日々の記録である。

お気に入りの8本のヴィンテージ・ポート

Graham 1985
Warre 1985
Fonseca 1985
Taylor 1980
Dow 1980
Graham 1980

お気に入りの日本酒

梵 特選純米大吟醸(Born Tokusen Junmai Daiginjo)
惣譽 生酛純米大吟醸(Sohomare Kimoto Junmai Daiginjo)
獺祭 その先へ純米大吟醸(Dassai Beyond Junmai Daiginjo)
獺祭 純米大吟醸二割三分 遠心分離(Dassai Junmai Daiginjo 23 Centrifuge;写真上)
磯自慢 純米大吟醸スプリング・ブリーズ42(Isojiman Junmai Daiginjo Spring Breeze 42)
満寿泉 貴醸酒(Masuizumi Kijoshu)
惣譽 生酛純米吟醸(Sohomare Kimoto Junmai Ginjo)

(原文)

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