25周年記念イベント | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト)

どのボルドー2006が飲みごろか?

2016年5月7日 土曜日 • 4 分で読めます
Image

この記事の別バージョンがフィナンシャル・タイムズに掲載されている。

ボルドー人は需要の大きかった年の不調やポンドの大幅な対ユーロ安を経た5年ぶりの良いヴィンテージにいくらの値を付けるか頭をひねっている頃だろうから、赤のボルドーが我々に与えてくれるものについて考えてみるのもいいだろう。赤のボルドーは他のどのワインよりも熟成に期待持て、二次市場が確立され、量としても十分に入手可能なワインだ。

このことはつまり、ボルドーの赤ワインの完ぺきな比較テイスティングを行うのは10年目が適していることを意味する。これは本格的なクラレットに口を付けるのにふさわしいと伝統的に考えられてきた年でもある。フィナンシャル・タイムズで私の先輩にあたるエドモンド・ペニング・ロウゼル(Edmund Penning-Rowsell)はこの原則を毎年恒例、一連の1級シャトー・ディナーで証明してくれた。

情報に貪欲なこの時代に、エドモンドの開催していた6名あたり7本から8本の楽しいディナーは18名のワイン商とワイン・ライターを対象とした比較テイスティングにすり替わった。しかもすべてランチの前に行われるのだ。これはワイン・トレーダーであるファー・ヴィントナーズの例年儀式でもあり、提供されるボトルは主にサウスウォールド・テイスティングで提供された4年目のワインの残りで構成される。写真はテームズ川沿いにある彼らの洒落たオフィスで開催されたシリーズ最初のテイスティングの様子だ。最近のファーのテイスティングはたいてい、メディアや顧客向けに彼らのライバルであるBIによって開催されるやや小規模で目端の利いたテイスティングの後に行われる。BIが今年提供したのは69本の2006で、ファーのテイスティングには含まれていないものも多くあったため、私はこの3か月で100本を優に超えるあの名高い2006のボルドー赤を(その多くは2回も)テイスティングする機会に恵まれた。では、それらはどうだったのか。

2015同様ブドウは7月に日照りの影響を受けたが8月は通常より雨が多く涼しかった。だが2006が大きく違うのは雨に悩まされ一部のブドウは収穫を急がなくてはならなかった点だ。生まれたての2015で明確だった美味しく熟したタンニンは2006には見られないのが特徴だ。

昨年タンニンの強い2005の成熟を待つためにテイスティングした2007と比較すると2006は明らかに濃く凝縮感がある。多くのワイン、特にサンテミリオンのものは居心地の悪いほど長続きするタンニンが尾を引き、多くのもので過抽出を示唆している。また特に右岸のものは(右岸だけとは言わないが)ワインの実年齢よりもかなり古いもののような香りがした。サンテミリオンの多くが過熟し、時にはポートのような、まるでワインが最盛期を過ぎてしまったような香りがするにも関わらず、味わいにはまだ渇きを感じるようなタンニンがぐずぐず残っているのである。

これは明らかにメルローの年なのだが、私が先月ボルドーでテイスティングした生まれたての2015にある心地よいフレッシュさは全く感じられない。一方でテルトル・ロートブッフはいつものとおり全くの例外だ。特に熟した果実はその強さが花のようにさえ感じられ、ワインはときめきを感じるほど生命力にあふれている。私はいつもパヴィのいくつかのヴィンテージに敬服しているが、このヴィンテージは私から見てあまりにカリフォルニア的である。同じ系統ではあるもののアンジェリュスにはまだフレッシュさが感じられる。オーゾンヌのフィニッシュはまだ相当渋いが、シュヴァル・ブランはすでに美しいワインであり、その偉大な未来を予測させる。

素晴らしいことにポムロールは、サンテミリオンの生産者がまだ過剰な樽とアルコールに振り回されているのに対し、遥かにフレッシュで、タンニンもよく捌かれている。この種のポムロールはみな均質だったが、ある意味ポムロールの中では驚きかもしれない、ややエキゾチックなガザンが1本1000ポンドを優に超えるル・パンを除いて最も気に入った。セルタン・マルゼルはオザンナのセカンド・ワイン的位置づけだが、比較的高価なこのアペラシオンの中ではお買い得なものの一つだ。私はヴュー・シャトー・セルタンも気に入った。ここは2015もとてもよかった。ル・パンは明らかに優れていた一方で残念なことに我々のテイスティングした同じく贅沢なペトリュスは酸化してしまっていた(ペトリュスの価格では代替ボトルは贅沢すぎて用意がない)。

ペサック・レオニャンは他の左岸同様、サンテミリオンやポムロールと比較すると目を引く深い色をしている。ここはあらゆるスタイルのワインが混在している土地で、そのあまりに多くが10年ものの赤のボルドーとしては心配になるほど熟成が進んでいた。スミス・オー・ラフィットはいつものように信頼のおけるものだったがオー・バイィはやや過熟ぎみだった。オー・ブリオン系列の2つのワインのうちラ・ミッションにはその濃厚で引き締まった牛肉エキスのような風味と力強い凝縮感に特に感銘を受けた。シャトー・オーブリオンもまた豊かでがっしりとしたワインで、まもなく飲みごろを迎えるように思われた。

我々はオー・メドックも2本テイスティングした。カントメルルは過熟の頂点をさまよっている感じだが、最もコストパフォーマンスが良いのは明らかだ。

フェラン・セギュールはこれらのブラインド・テイスティングではいつも好調で、2006もその人懐っこさは例外ではなかったものの、サンテステフのスターと言うと(驚きはないと思うが)メドックの遥か北部の典型としてはややかわいらしすぎる味わいではあるものの、コスデストゥルネルだった。

マルゴーのワインはやや甘く、メルローが支配的である(特に私はデュ・テルトレをブラインドで出されると騙される)。我々はファースト・ワインとセカンド・ワインのペアを2組、パルメとアルタ・エゴ、ローザン・セグラとセグラをテイスティングしたが、どちらのペアでも(想像に難くないと思うが)セカンド・ワインがそれまでテイスティングした中で最も香りが前に出ていた。セグラはアルタ・エゴよりも個性的で生命力にあふれているようだった。シャト・マルゴーは非常によかった。非常に滑らかで気高く、それでいてピークはまだ遥か遠い、とでも言おうか。

サンジュリアンのフライトではドキドキするほどのものはなかったが称賛すべきワインに多く出会った。いつものようにテロワールが非常に高いレベルで輝きを放っており、レオヴィル・バルトンとブラネール・デュクリュは他のワインより輝いていたものの、確実に心をつかむようなワインには出会わなかった。

ポヤックはグループとしては1級シャトーレベル未満のものを含めて非常によくできていて、若干味わいが鈍いサンジュリアンよりも香りが立っていた。洗練されていた最高級のものの中ではひどくブショネの影響を受けたラトゥールにがっかりしたのだが、1級の二つのロートシルトはまったく対局にあった。ムートンは豊らでまろやか、ラフィットはエレガントかつやや控えめで長期熟成向きだった。同様に安定した二つの系統からは、ラフィット系列でやや筋肉質のデュアール・ミロンよりもムートン系列のダルマイヤック、プティ・ムートン、そして特にクレール・ミロンを支持したい。

ラフィットのセカンド・ワイン、カリュアド・ド・ラフィットがブラーヌ・カントナック、オー・バタイィ、トロタノワ、ラトゥール・ア・ポムロール、レヴァンジルとともに今回の98本に含まれていなかったのが心に残った。これらの中では滑らかなブラーヌ・カントナックだけがBIのラインナップに掲載されていた。

(原文)

購読プラン
スタンダード会員
$135
/year
年間購読
ワイン愛好家向け
  • 289,839件のワインレビュー および 15,923本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
プレミアム会員
$249
/year
 
本格的な愛好家向け
  • 289,839件のワインレビュー および 15,923本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
プロフェッショナル
$299
/year
ワイン業界関係者(個人)向け 
  • 289,839件のワインレビュー および 15,923本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大25件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
ビジネスプラン
$399
/year
法人購読
  • 289,839件のワインレビュー および 15,923本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大250件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
Visa logo Mastercard logo American Express logo Logo for more payment options
で購入
ニュースレター登録

編集部から、最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。

プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。

More 無料で読める記事

Ferran and JR at Barcelona Wine Week
無料で読める記事 フェランとジャンシスが、6つのグラスでスペインワインの今日の興奮を要約しようと試みる。この記事のショート・バージョンは『フィナンシャル...
Institute of Masters of Wine logo
無料で読める記事 本日、マスター・オブ・ワイン協会より発表された新たなMWの誕生に祝意を表したい。 この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証...
Joseph Berkmann
無料で読める記事 2026年2月17日 年配の読者であればジョゼフ・バークマン(Joseph Berkmann)の名前をよくご存じだろう...
Ch Brane-Cantenac in Margaux
無料で読める記事 この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証・編集したものです。(監修:小原陽子)...

More from JancisRobinson.com

Corbieres - vineyard island
Don't quote me クリス・ハワード(Chris Howard)がフランスのラングドックにおける水、天候、ブドウの樹の危うい均衡について考察する。...
bunch of California Riesling
テイスティング記事 リースリングの本来の偉大さを確信し、これらのカリフォルニアのワイン生産者たちは、ワインを売るというシジフォス的な課題にもかかわらず...
Close up of two rows of wine glasses stretching into the distance
テイスティング記事 ワイングラスの森から、マーガレット・リヴァーの最高のボトルとその国際的な競合他社の包括的な探求。3月22日(日)に東京にて開催される...
Jasper Morris MW at The Stokehouse
ニックのレストラン巡り レストラン経営者とワイン関係者が食事を通じてどのように協力しているか。 「ワイン・ディナー」という言葉は...
Wine news in 5 21 Feb 2026 main image
5分でわかるワインニュース その他:リッジビューが売却、ウェールズがアルコールの最低単価を引き上げ、4人の新MW(マスター・オブ・ワイン)が発表、ジュリアン・ライディ...
Two bottles of Pikes Riesling on a table with two partly filled wine glasses beside each bottle
今週のワイン 手頃な価格で確実なリースリングとしてプロが選ぶ一本。 14.99ドル、13ポンドから。 この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証...
Patrick Sullivan & Megan McLaren in Gippsland - Photo by Guy Lavoipierre
テイスティング記事 この冷涼気候のオーストラリア産地が、ついに初期の期待に応えようとしている。写真上はワイン生産者のパトリック・サリヴァン(Patrick...
Richard Brendon_JR Collection glasses with differen-coloured wines in each glassAll Wine
Mission Blind Tasting じっくりと観察するだけで、グラスの中のワインが何かを理解する手助けになる。 ミッション・ブラインド・テイスティングへようこそ! ブラインド...
JancisRobinson.comニュースレター
最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。
JancisRobinson.comでは、ニュースレターを無料配信しています。ワインに関する最新情報をいち早くお届けします。
なお、ご登録いただいた個人情報は、ニュースレターの配信以外の目的で利用したり、第三者に提供したりすることはありません。プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます.