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クリュ・ブルジョワがお得な理由

2019年7月27日 土曜日 • 5 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。テイスティング・レポートも参照のこと。

買う価値がある赤のボルドーは必ずしも有名なものである必要はない。もし、(そしてこの点がワイン収集家にとって大きな違いになることもあるが)そのワインを売るのではなく飲もうと考えているのであれば。

ワールド・アトラス・オブ・ワイン(第8版が現在印刷中だ)の中で私のお気に入りの図の一つはボルドーの最も有名な産地であるメドックでブドウを育て赤ワインを作った場合にかかる生産コストの表だ。それを見ると非常に有名な格付けシャトーでは1本あたり約16ユーロほどで、瓶詰め前に1ダース1,000ポンド以上で販売されることを考えると非常に低いように見える。

野心的なメドックのクリュの生産コストも格付けの有無に依らず大きな違いはない。偉大なシャトーになれば有名ブランドの樽を買う余裕があり、より多くの畑作業者を雇うことができ、トップ・キュヴェに関して非常に厳しい選果を行うことができるという点はあるだろうが、あらゆる生産者はそれと大差のない作業を行っているのが実情だ。さらに、例年開催される250本ほどの4年前のヴィンテージだけを比較するボルドー・ワインのブラインド・テイスティング(たとえばSouthwold 2014s - left bank redsを参照して欲しい)でサンテステフにあるシャトー・メイネイのようなワインが見せた実力から判断すれば、最高の状態で運営されている非格付けシャトーの品質は格付けシャトーのそれに全く引けを取らない場合もある。

となると、メドックにおよそ600のシャトーがあり1,000種類ほどのワインが生産されているとすれば、どうやって買う価値のあるワインを見つけたらいいのだろうか。実際それを探す価値は大いにある。なぜなら、その多くが、非常に高品質なものですら十分に熟成したヴィンテージでも20ポンドを大きく下回る価格で入手可能だからだ。

先日のディナーで私はシャトー・ラトゥール2003(同席した共著者のヒュー・ジョンソンに感謝だ)やシャトー・ランシュ・バージュの2ヴィンテージ、1995と1986などを含む格付けシャトーのラインナップの中にこっそりシャトー・ベル・ヴュー2009を忍び込ませておいた。謙虚なベル・ヴュー2009は現在世界中で平均33ポンドで販売されている一方、ランシュ・バージュ1995は上述の格付けシャトーのワインの中で最も安価なものだったが150ポンドは下らない。だがベル・ヴュー2009は面目を失うどころか翌日にはさらにニュアンスが増し美味しくなっていた(赤のボルドーによくあることだが)。

メドックのお買い得ワインを見つけるための比較的信頼できる近道はボトル・ネックにクリュ・ブルジョワと表記のあるワインを探すことだ。近年ではQRコードがついているものもあり、多くの格付けシャトーのものとは比較にならないほど各ワインの詳細が全てわかるようになっている。

クリュ・ブルジョワは遡ること1855年、ボルドーのワイン商たちが自分たちの考える60余りのトップ・シャトーを5段階に格付けして以来実質上不変の格付けシャトーの下に位置付けられている。対照的に、クリュ・ブルジョワははるかにその時代に合わせて選定されてきた。

近年ではすべてのヴィンテージがテイスティングに基づいて審査される。だがこのカテゴリーの門番たちはさらに長期的な格付けを画策している。現在彼らが忙しく取り組んでいるのは各生産者の一定の幅を持たせたヴィンテージ(2008から2016の間で生産者自身が選んで提出した5ヴィンテージ)を審査員がテイスティングするもので、これによって来年2月に発表される新たな格付けとして発表されてから5年間、クリュ・ブルジョワを名乗ることができるシャトーを決める。同様な審査を次は2024年に、より新しいヴィンテージを用いて行うことになる。

ボルドー人はその階級を振りかざすのが大好きだ(ある2級格付けの所有者はかつて、何十年も隣人であるにもかかわらず、とある1級格付けシャトーに招待されたことは一度もないと話していた)。この新しいクリュ・ブルジョワの制度は2つの上級格付けを有する。一つはクリュ・ブルジョワ・シュペリウールで、もう一つはクリュ・ブルジョワ・エクセプショネルだ。まあ、何が優れているのかは読者のみなさんも想像できるだろう。この2つの上級格付けに応募した生産者たちは現在訪問による実地検査を伴う審査を受けている。審査されるのはワインの品質だけではなく、シャトーの経営方針や、間違いなく需要な点であるサイステイナビリティ、さらには保守的なボルドーにしては革新的な、ツーリズムに備えた設備なども対象だ。

長きにわたりボルドーのシャトーと言うのはその固く閉ざされたドアを誇りとしてきたが、最近は格付けシャトーですら大きく変わってきた。そしてもちろん、これらクリュ・ブルジョワはそのワインが格付けシャトーほど世界中から追い求められないのだから、そんなにお高く留まっている余裕はないのだ。

クリュ・ブルジョワの価格が格付けシャトーに比べて高くならない理由の一つは二次市場がないという点だ。格付けシャトーは競売場や高級ワイン投機家にとってこの上ない楽しみとなる。それらが珍しいからではない。そもそも、珍しいという理由はあまり重要ではない。その代わりそのワイン自身の魅力と長期熟成能力を有している点が重要なのだ。最高のヴィンテージならばその寿命が数十年にわたることもある点が、最良のものでも10年程度であるクリュ・ブルジョワと大きく異なる。

だがクリュ・ブルジョワは長期間の保管にかかる費用が要らない点、熟成したヴィンテージのワインを1本単位で購入することが非常に容易である点で一般的にケース単位かつ飲み頃になるまで何年もかかる状態で販売される格付けシャトーと比較して有利と言える。だが不利な点はクリュ・ブルジョワの価値が上がっていかない点だ。なぜなら驚くほど、それらは飲むためのワインだからだ。

我々は最近クリュ・ブルジョワの真価と長期熟成の可能性を試すために上の写真のようなテイスティング・イベントを開催した(クリュ・ブルジョワ・ナイトのテイスティング・ノートを参照のこと)。ここでは私のお気に入りの23銘柄について、若い現行ヴィンテージのものと熟成したもの、二つのヴィンテージをペアで提供した。例えばシャトー・ベル・ヴューの若い方のヴィンテージは1本11ポンドほどで、またシャトー・ボーモン2009はザ・ワイン・ソサイエティでその時点でたった15ポンドで売られていたものだ。(ちなみにより長期熟成のポテンシャルが期待される2010のマグナムはどちらもたった30ポンドで販売されている。)

新しいクリュ・ブルジョワの格付けには古いヴィンテージの在庫を数多く必要とするため、生産者の中には完全に熟成したヴィンテージの用意ができない者場合があるが、2009と2010という輝かしい2ヴィンテージのペアについてはそれらが本当にボルドーのお買い得品であることを示す十分な証拠となるだろう。

これらの古典的なカベルネとメルローのブレンドと、単にボルドーというアペラシオンしか名乗れないワイン(主にメドックからさらに内陸に入ったアントル・ドゥ・メール)との違いを更に強調するがごとく、後者の生産者たちはボルドーとは全く縁の無い7つの品種の栽培を許可する方に賛成票を投じた。それらは赤がアリナルノア、カステ、マルスラン、トゥリガ・ナシオナルで白3種はアルバリーニョ、リリオリラ、プティ・マンサンであり、その多くが新種の交配種でのこり2つがポルトガルの品種だ。これらは全て気候変動に対応したものだ。この予想外の出来事に関するメンバーズ・フォーラムのこのスレッドも参照のこと。

卓越したクリュ・ブルジョワ
これらは最も安い例とは言えないかもしれないが、最近のクリュ・ブルジョワのテイスティングで最も際立っていたワインだ。カッコ内はWine-Searcher.com による世界の平均価格であり、同サイトでは多くの国の取扱業者も調べることができる。

Ch Le Boscq 2016 St-Estèphe (£25)
£29.95 Handford Wines

Ch Deyrem Valentin 2016 Margaux (£20)
£31.99 Waitrose Cellar

Ch Deyrem Valentin 2012 Margaux (£21)
£24.43 Winedrop.co.uk, £25.07 Bon Coeur Fine Wines

Ch La Fleur Peyrabon 2016 Pauillac (£32)
£51.66 Winebuyers.com (this looks overpriced)

Ch Tour Haut-Caussan 2009 Médoc (£22)
$26.99 The Wine Specialist, Washington DC

Ch La Tour du Haut-Moulin 2011 Haut-Médoc (£10)
$24.99 Sherlock's Fine Wine & Spirits, Marietta GA

Ch La Tour de Mons 2014 Margaux (£21)
£36 Made in Little France

数えきれないほどのクリュ・ブルジョワのテイスティング・ノートはこちらから検索できる。またクリュ・ブルジョワの公式サイトも参照のこと。

原文

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