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ロンドンに轟くワシの叫び

Saturday 19 March 2016 • 5 分で読めます
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この記事のやや短いバージョンはフィナンシャル・タイムズに掲載されている。

「金を無駄にするな、そしてしくじるな」というのがナパで最も高価なワインを生み出す畑のマネージャーにオーナーであるスタン・クロンケ(Stan Kroenke)が与えた指示の概要だ。彼はスポーツ界の大物で、ロサンゼルス・ラムズとロンドンのアーセナルのオーナーでもある人物だ。

軽快なシャンパーニュ人アルマン・ド・メグレ(Armand de Maigret)がスクリーミング・イーグルの経営に携わっているのは2010年からだが、カリフォルニアのワイン業界には1990年代から関わっている。「ワイナリーや畑が生き残る手伝いをしてきたんです。問題は銀行家の視点で利益を急ぐ人々が所有しているワイナリーが多すぎることですね。」

彼の言葉には実感がこもっている。彼は一時期メリル・リンチに勤めていたからだ。その後、ドメーヌ・シャンドンなどナパ・ヴァレーのワイナリーや大胆不敵なジェス・ジャクソン(Jess Jackson)の所有するワイナリーに関わってきた。とはいえスクリーミング・イーグルはある意味夢のような仕事に違いない。金が問題ではないことはその45エーカーの畑の半分を、ファンリーフ・ウィルスの影響を受けた部分を中心に垣根の向きを変え、2006、2014、2015年にブドウに植え替えた事実からもわかる。しかも今新しいビルまで建築中だ。

一方でこのワイナリーは収入を得るのもうまい。スクリーミング・イーグルの市販価格は1本1000ポンド前後、カベルネ・ソーヴィニヨン(「カルトワインと呼ばないで欲しい」そうだが)の生産量は2012年までに回復し、ほぼ14,000本となった。仲介業者はその流通にそれほど気を回してはいない。このワインはあまりに人気が高いためその90%はコレクターたちのサブグループに直接販売されてしまい、毎年その配当を受ける権利を得ることはウォーレン・バフェット(Warren Buffett)と個人的に会う権利を手に入れるのに似ているためだ。だがwine-searcher.com のリストから判断するにこれらのコレクターはおそらくすぐにこの価値あるボトルを転売していると思われる。

ナパ・ヴァレーを訪れる熱心なワイン愛好家は間違いなくこのシルヴァラード・トレイルの谷間にある手塩にかけられた畑の場所を知りたがるに違いない。だがド・メグレは長い間訪問者を受け入れていない。彼は複数のうそのアドレスを登録することでグーグルすら煙に巻いている。なにしろ増えすぎた熱心なワイン・ツーリスト対策として門にはアクセス・コードを設定せざるを得なかった経験があるのだ。彼はアクセス・コードを1855にしたらどうかという私の提案が気に入ったようだった。

実際、最近のスクリーミング・イーグルに関するニュースというのはニュースがないことだった。近隣のワイナリーと違い、彼らは積極的に訪問者を、ワイン・ライターですらも断ってきた。私が一度だけこのワイナリーを訪問したのは2007年のことで、アンディ・エリクソン(Andy Erickson)が若手ワイン・メーカーで、ワイン実業家であるチャールズ・バンクス(Charles Banks)がド・メグレの役割を果たしていた頃だ。だが現在のワインは別の人気若手醸造家、ニック・ギラソン(Nick Gislason;彼の名はアイスランド人の響きがする。彼は元々スクリーミング・イーグルの偉大なライバル、ハーラン・エステイトにいた)が作っている。彼はワインと同じぐらいクラフトビールや日本の花火を作ることでも有名だ。

私がド・メグレにロンドンで会ったのは今年の初めで、彼がオークションハウスのボンハム(Bonham)のワイン担当であるリチャード・ハーヴェイ(Richard Harvey)MWに説得され、ミシュラン星付きのレストランで小さなディナーを開催することになった時のことだ。ハーヴェイはそこのワインリストにスクリーミング・イーグルの2004を同じ通りの少し先にあるワイン専門店、ヘドニズム(Hedonism)が2678.8ポンドを付けているのにたった1500ポンドで載せていることを特に自慢していた。このワインリストには複数のヴィンテージが載っており、彼らの2回目のヴィンテージで3本セットの1992も23,800ポンドで載っている。ある投資家は2000年のナパ・ヴァレー・ワイン・オークションでこのスクリーミング・イーグル1992の5Lのボトルに50万ドルも出している。

このヴィンテージはこのワイナリーのはるかにさかのぼった最初のオーナー、ナパ・ヴァレーの不動産業者であるジーン・フィリップス(Jean Phillips)がBBCのテレビシリーズの撮影に協力してくれた際に提供してくれたヴィンテージでもある。彼女が裏庭で作っているわずかなワインについて話した際、それがかの有名なスクリーミング・イーグルだとなかなか気づくことができなかった。私はそれを優れたカリフォルニアのワイン科学者から醸造家に転身したキャロル・メレディス(Carole Meredith)が1999年暮れに私たちとディナーをともにするためにロンドンに来た際に開けたのだが、彼女はカベルネはあまり好きではないからと一蹴した。オーストラリアのワイン・ライター、ジェームス・ハリデーはもう少し好意的だったのだが。

ボンハムでは20人がスクリーミング・イーグルの3つのヴィンテージを楽しんだ。2006、2004、そして1999だ。また同ワイナリーのメルロー主体のセカンド・フライトの2ヴィンテージ、たった2樽しか作られていないスクリーミング・イーグル・ソーヴィニヨン・ブラン2013だった。

セカンド・フライトは2006年から作られており、おそらく若木からとれたブドウを世に出す目的もあったのだろう。このワイナリーの畑はほとんどがカベルネ・ソーヴィニヨンで、温暖だけれども定期的に冷却効果を受ける気候のおかげで間違いなくうまくいっており、残りのブレンドのほとんどを占めるメルローとカベルネ・フランとともに植えられている。ほんのわずかなソーヴィニヨン・ブランは「ほかのどれにも向かない」粘土質土壌に植えられている。

セカンド・フライトの市販価格は1本450ポンドで、品質からするとやや高いように感じるが、スクリーミング・イーグルの魅力が影響しているのだろう。比較的若いこのワインに4桁の価格が付く正当性は別として、2004スクリーミング・イーグルは非の打ち所のない素晴らしいワインだ。もちろんド・メグレのチームが最高の品質を引き出すためにこれ以上ない努力をしている点は間違いない。畑はカリフォルニアらしく慎重に45もの異なる区画に分割されており、それぞれを別々に仕込んでいる。

ド・メグレによると素晴らしい排水と、近隣よりも夏は涼しく冬は暖かい午後の風の両方から恩恵を受けているのはこの畑だけだという。ブドウの開花はナパ・ヴァレーの多くの畑より2週間早く、収穫も通常最も早い畑の一つだ。例えば昨年の収穫は他の生産者がタンニンの完熟を待つために収穫を待っていた9月6日までには終わってしまった。彼によるとスクリーミング・イーグルは概して近年一般的になってきたアルコールを減らす操作を行うことなく自然に14.5-14.9%となるそうだ(15%を超えると別の税金が適用されるため、14.9%というのがカリフォルニアの一般的なアルコール度数である)。

ド・メグレが指摘するように10年周期でナパ・ヴァレーは素晴らしい5ヴィンテージと暑すぎたり雨が多すぎたりする5ヴィンテージを繰り返している。「シャンパーニュでは10年に3年しかいいヴィンテージはないのに彼らはBMWに乗っているじゃないですか」と彼は言う。もし雨の多すぎる年か暑すぎる年かを選べと言われたら、彼は前者を選ぶそうだ。なぜならスクリーミング・イーグルでは「雨に対応できるだけの予算がある」からだ。スタッフの数はブドウの数に対して潤沢におり、高い価格を付けるのだから、悪くなったブドウを畑に行って取り除かせればいいだけのことなのだ。「でも過剰な日照は避けることができません。また2011年が来たらどんなことでもしますよ」と彼はリフォルニアの生産者が最悪のカビのヴィンテージと呼ぶ年に言及した。

最新のテイスティング・ノートも参照のこと。

最高級のナパ・ヴァレーのカベルネ

以下のワインはスクリーミング・イーグルのマネージャー、アルマン・ド・メグレが彼のお気に入り委のナパ・ヴァレーのカベルネとして挙げたものだ。

Colgin

Dalla Valle


Spottswoode

原文

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