ヴォルカニック・ワイン・アワード | 25周年記念イベント | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト)

ボルドー2015~最終評価

2016年4月23日 土曜日 • 5 分で読めます
Image

これはフィナンシャル・タイムズに掲載されている記事のロング・バージョンである。

幅広くボルドー2015をカバーしたこのガイドと620本におよぶテイスティング・ノートも参照のこと。

まず初めに、2015年はこの5年間で初めてボルドー人が大騒ぎする価値のあるヴィンテージだと言える。

次に、2015はけして世紀のヴィンテージというわけではない点も述べておこう。ボルドーで私が出会った誰一人としてそのようなコメントをしなかったのが何よりの証拠だろう。だが、これ以上になくチャーミングな年である。ファー・ヴィントナーズ(Farr Vintners)のトム・ハドソンがうまくまとめた言葉を借りると、このヴィンテージは1985の近代版だ。1985はいつ飲んでも楽しめるヴィンテージだが、特に長命というわけではない(クリスティーズのマイケル・ブロードベントMWはリリース当時、1953を思い起こさせるとして1985の大ファンだと述べていた。)

2005や2010と違い2015は力強い凝縮感や緻密な骨格は持ち合わせていない。酸のレベルはかなり、時には危険なほど低い。また2015は2009のように均一な成熟にも至っていない。特にメドック北部はその傾向が強く、これは生育期後半に南部や右岸と比較して降雨量が非常に多かったためだ。(夏を総括して述べるとすれば、この上なく暑い日照りのあと8月と9月にかなり多くの、そして地域によって大きく異なる降雨があったということだ。詳細はガビン・クイニー(Gavin Quinney)のdetailed weather reportを参照のこと。)

事実、長くボルドーを見つめてきた者として2015のヴィンテージの最も喜ぶべき側面は、4つの有名なメドックの村で最も南に位置し、最近の歴史ではがっかりさせられることが多かったマルゴーがこれほどの成功を収めた点だろう。

このコミューンの中で唯一期待以上の出来だったというわけではないのだが、マルゴーで最も有名なシャトーであるシャトー・パルメとシャトー・マルゴーは特に2015の出来が良い。それぞれパルメの現職、トーマス・デュロー(Thomas Duroux)と非常に惜しまれているポール・ポンタリエの贈り物と言えよう。ポンタリエの葬儀は今年のプリムール・プログラムを中断して行われた。彼は本当なら昨日(4月22日)60歳の誕生日を迎えるはずだったが、早すぎることに私たちと、記念すべき偉大なシャトー・マルゴーのセカンドワイン、現在はメルローではなくカベルネ・ソーヴィニヨン主体でシャトーのプライドと名誉をかけたパヴィヨン・ルージュを置いて逝ってしまった。

今回の評価者を喜ばせたもう一つの傾向は右岸のワインにバランスの取れたワインが戻ってきていることだ。特にここしばらくオークとアルコール、そして抽出を強調しすぎるワインを作ってきていたポムロールとサンテミリオンにそれが言える。事実ポムロールは2015の高品質なワインの注目産地の一つであり、ヴュー・シャトー・セルタンで作られるワインは特に傑出している。あまりに出来が良いので、いつもは控えめなヴュー・シャトー・セルタンのアレクサンドル・ティエンポン(Alexandre Thienpont)も興奮を抑えられないと言った様子だ。彼が特に感激しているのは世界を旅した息子のギョーム(Guillaume)の影響で、彼はブドウの管理にこれまでよりも高い精度を求めるようになった。この種の技術的な進歩と幸せな家族の継承がボルドーの継続的な品質の進化における現在の二大テーマと言える。

ペトリュスとラフルールもまたポムロールの小さな大地で突出した存在だ。ラフルールのバプティスト・ギノドー(Baptiste Guinaudeau)によると、2015はメルローの復活年とみているそうだ。「これほどメルローにポテンシャルを感じたのは初めてです」と語る。

ただし、メルローがあまりに完熟したためにプリムール・テイスティングに参加した我々はいくつかのポムロールの宝石、例えばル・パンなどをテイスティングするチャンスを逃してしまった。なぜなら彼らの7つの発酵槽のうちいくつかでは未発酵の糖が残っていたからだ。噂では右岸でこの状況にあるのはル・パンだけではないそうだから、テイスティング・サンプルが典型的なものであるとは言えない可能性を示唆している。

ボルドー・プリムールでのサンプルの状態と正確性は長きにわたる問題だった。我々は樽から抜いたばかりのサンプルを提供されるわけだが、最終的なブレンドを表現しているとは言えない。つまりボトルに詰められる前に樽の中で何年も熟成されたワインとは別物であると言えるのだ。そのテイスティング・サンプルが特に長所を目立たせるような樽から引き抜かれたものか、この早い段階で特によく見えるよう作りこまれたものなのか、我々は知る由もない。

シャネルを所有するヴェルテメール家が所有する二つのシャトー、ローザン・セグラとカノンはどちらも非常によい2015を生み出したが、彼らは訪問者それぞれにどの樽をテイスティングするか選ばせることでこの問題を解決した。私はカノンで樽の生産者が異なるいくつかのサンプルをテイスティングしたが、その違いに大きな衝撃を受けた。ある参加者の一団は12の異なる樽からテイスティングしていた。

ボルドーのシャトーの所有者はワインに対して好意的な評価を得なくてはならない立場にあることから、個々のワインに対する自分の印象を発表する我々は厄介な存在でもある。ワインに対する称賛が広まれば高いリリース価格が正当化されるため、数週間のうちに価格が少しずつ発表される間、我々のように業界ではなく消費者を助けることを役割と考える人間にとっては難しい時期ともいえる。そのため以下に示す2015の出来のいいワイン(アルファベット順)には不当に高い価格のつけられている可能性のある格付けシャトーだけではなく、将来全く買われないかもしれない下のランクのものも含まれている。

とはいえ、プリムール・ウィークは個々のシャトーにとって最も疲弊する時期でもある。アレクサンドル・ティエンポンは年たったの5,000ケースほどのワインを作りすべてのサンプルを彼自身が紹介するが、4月の初めの一日には記録的な300人ほどの訪問者を見込んでいた。1級シャトーの生産は年40,000ケースにも及びうる。彼らはシャトー以外でワインを紹介することを拒んでいるが(そのため比較テイスティングは不可能だ)、この時期には文字通り数千名ものテイスターを受け入れることになる。

5年前と比較してアジアのバイヤーの数はかなり減っているものの、地元の情報によるとドイツ人とアメリカ人の数がいつになく多いそうだ(写真はシャトー・パヴィ・マッカンで土曜の午後、J J Buckley(訳注:アメリカの高級ワイン販売業者)のチームがテイスティングしている様子だ)毎年、イギリスの業界とメディアは一段となって訪問する傾向にあるが、ボルドー人はそれが必ずしも売り上げにつながるわけではないと学んだようだ。

時間と移動距離を考慮しなくてはならない我々にとって困ったことに、現地でしかテイスティングを行わないシャトーが毎年増えている。しかし数千ものワインのサンプルはボルドーのワイン産地全体に広がる合同テイスティングで入手可能であり、今年は市郊外に新設されたフットボール・スタジアムでさえ格付けシャトーの組合が会場として使っている。通常のシャトーの応接室から考えると大きな変化だ。

ボルドーの有名なクルティエ、すなわち仲介人(そのほぼ全員が男性だ)はこの時期シャトーの所有者と商人の間で価格を取り持つのに大忙しだが、彼らが2パーセントのコミッションを得る手段の一つがこのようなテイスティングにサンプルを届けることだ。そのサンプルのフレッシュさを最大限にするためここで彼らにお願いしたいのは、全てのサンプルに日付を表記してほしいという点だ。

お買い得と思われる(赤の)2015

Ch Angludet, Margaux
Ch de Bel-Air, Lalande-de-Pomerol
Ch Belle-Vue, Haut-Médoc
Ch Le Boscq, St-Estèphe
Ch La Brande, Castillon Côtes de Bordeaux
Dom de Cambes, Bordeaux
Ch Camensac, Haut-Médoc
Ch Charmail, Haut-Médoc
Ch Les Cruzelles, Lalande-de-Pomerol
Ch La Fleur Peyrabon, Pauillac
Ch Fourcas-Borie, Listrac
Ch Fourcas Dupré, Listrac
Ch de France, Pessac-Léognan
Ch Grand Village, Bordeaux Supérieur
Ch La Gravière, Lalande-de-Pomerol
Ch Lanessan, Haut-Médoc
Clos Louie, Louison et Léopoldine, Castillon Côtes de Bordeaux
Ch Malescasse, Haut-Médoc
Ch Picque Caillou, Pessac-Léognan
Ch de Pitray Cabernet Franc, Castillon Côtes de Bordeaux
Ch La Prade, Francs Côtes de Bordeaux
Ch Puygueraud, Francs Côtes de Bordeaux
Ch du Retout, Haut-Médoc (already released at €7.20 a bottle from négociants)
Dom de la Solitude, Pessac-Léognan
Ch Sénéjac, Haut-Médoc
Ch Siaurac, Lalande-de-Pomerol
Ch Villars, Fronsac

原文

購読プラン
スタンダード会員
$135
/year
年間購読
ワイン愛好家向け
  • 289,164件のワインレビュー および 15,895本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
プレミアム会員
$249
/year
 
本格的な愛好家向け
  • 289,164件のワインレビュー および 15,895本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
プロフェッショナル
$299
/year
ワイン業界関係者(個人)向け 
  • 289,164件のワインレビュー および 15,895本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大25件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
ビジネスプラン
$399
/year
法人購読
  • 289,164件のワインレビュー および 15,895本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大250件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
Visa logo Mastercard logo American Express logo Logo for more payment options
で購入
ニュースレター登録

編集部から、最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。

プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。

More 無料で読める記事

White wine grapes from Shutterstock
無料で読める記事 この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証・編集したものです。(監修:小原陽子)...
Kim Chalmers
無料で読める記事 ビクトリア州のチャルマーズ・ワイン(Chalmers Wine)とチャルマーズ・ナーサリー(Chalmers Nursery)の キム...
J&B Burgundy tasting at the IOD in Jan 2026
無料で読める記事 ロンドンのブルゴーニュ・ウィークを経て、この特別なヴィンテージをどう評価すべきか?小さな収穫量であることは間違いない...
Australian wine tanks and grapevines
無料で読める記事 この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証・編集したものです。(監修:小原陽子) 世界は不要なワインであふれ返っている...

More from JancisRobinson.com

Famille Lieubeau Muscadet vineyards in winter
テイスティング記事 キリッとしたミネラル感のあるミュスカデから、生き生きとしたシャルドネ、シュナン・ブラン、ソーヴィニヨン・ブラン、さらにグロロー・グリや...
Greywacke's Clouston Vineyard, in Wairau Valley, New Zealand
今週のワイン 写真上のワイラウ・ヴァレーから生まれた模範的なニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン。17.99ドルから、23.94ポンド。...
Sam Cole-Johnson blind tasting at her table
Mission Blind Tasting ワインの試験勉強をしている人も、単にグラスからより多くを学びたい人も、新シリーズ「ミッション・ブラインド・テイスティング」で...
Vignoble Roc’h-Mer aerial view
現地詳報 クリス・ハワード(Chris Howard)によるフランス北西部の新たに復活したワイン産地の2部構成探訪記の続編。上の写真は...
The Chapelle at Saint Jacques d'Albas in France's Pays d'Oc
テイスティング記事 軽やかで繊細なプロセッコから、ボルドーのカルト・ワイン、赤のジンファンデルまで、この25本のワインには誰もが楽しめるものがある。写真上は...
Three Kings parade in Seville 6 Jan 2026
Don't quote me 1月は常にプロのワイン・テイスティングが多忙な月だ。今年ジャンシスは事前に英気を養った。 2026年は...
The Sportsman at sunset
ニックのレストラン巡り ニックはレストラン評論家に対してよく向けられる批判を否定し、かつてのお気に入りの店を再訪する。...
Otto the dog standing on a snow-covered slope in Portugal's Douro, and the Wine news in 5 logo
5分でわかるワインニュース さらに、雨の多い天候のおかげで、カリフォルニアは25年ぶりに干ばつから解放され、ドウロのブドウ畑には雪が降った。写真上のポール・シミントン...
JancisRobinson.comニュースレター
最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。
JancisRobinson.comでは、ニュースレターを無料配信しています。ワインに関する最新情報をいち早くお届けします。
なお、ご登録いただいた個人情報は、ニュースレターの配信以外の目的で利用したり、第三者に提供したりすることはありません。プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます.