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中国対ボルドー~繰り返される争い

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これはフィナンシャル・タイムズに掲載された記事のかなり長いバージョンである。

「問題は中国の投資家が格付けシャトーを獲得するか否かではなく、いつ獲得するかである」

ボルドーで最も崇拝されるシャトーに関する予言とも言える一文はスザンヌ・ムスタチッチ(Suzanne Mustacich)の新著、「Thirsty Dragon」の最後から2番目のページにある。これは大きく変貌を遂げつつ複雑に絡み合うボルドーと中国の関係を深く知るこの勤勉なジャーナリストが目にしてきた多くの事象の一つに過ぎない。

長くフランスに在住する中国人女性高官は2011年初頭に初めて中国人による(多くの)ボルドーのプティ・シャトーの獲得を監督した人物だが、この急速に広まりつつある事態を次のように総括した。「中国にはこんなに多くの法律がありませんから、お金のためなら努力を惜しみません。一方ボルドーの人々は皆土地を大切にするので健全なビジネスのために努力を惜しまないんです。」

ボルドー人は格付けシャトーと中国人との蜜月の始まりに見えた状態を完全に誤解した。多くの場合、それは愛ではなく純粋で単純な投機だったのである。バイヤーの多くがワイン自体に関する経験も興味も全くなかったにも関わらず偉大なヴィンテージである2009と2010のプリムールの注文は殺到し、数百万ユーロ相当にも達した。その知識のない人々が適正評価手続きを怠り、価格が下落すると見るや、中国人たちは恐ろしい規模でキャンセルを始めたのだ。

ムスタチッチは個人経営のネゴシアンが中国人クライアントとのミーティングの間に弁護士である妻に郊外にある倉庫の熟成ワインの在庫を差し押さえてもらうため階段を駆け上がらなくてはならなかった様子を書いている。(その妻がボルドーでは異例ながらこの人物に契約書へのサインを求めていた)その中国人は8500万ドルに上る2010の格付けシャトーをキャンセルするために立ち寄ったのである。

このネゴシアンは未だに補償として熟成ワインを取得しようと戦っているが、同じ中国企業と取引をした他の11社は面目を保つことを優先し諦めたそうだ。ヴィンセント・イップ(Vincent Yip)は香港で最も尊敬を集める企業の一つであるトプシー・トレーディング(Topsy Trading)の一員で、父のトーマスは中国に高級ボルドーを初めて輸入した人物だが、「ボルドー人が中国のビジネス文化を理解しないことに憤慨している」そうだ。「中国人がキャンセルしたのは損失を出したくないからで、ボルドー人がそのシャトーへの発注を守ろうとしたのは面目を失いたくないからだ。」

ボルドーの高級ワイン取引におけるこの惨状は1996年の中国全国人民代表大会で行われた乾杯で地酒の穀物酒である白酒より赤ワインが持ち上げられたことと、2012年後半に習近平が開始した汚職防止運動によって決定づけられていると言っても過言ではないだろう。

中国人バイヤーの最初の情熱は、ワインの贈答が非常に一般的で政府高官に手渡されたボトルの二次市場まであるというビジネス文化によって加速したが、高官を五つ星ホテルでめったに見かけることがなくなったという現況の中で急激に赤信号が灯ったのである。

当初中国人はボルドー人にとって世紀の変わり目以来ボルドーへの興味を失いつつあったアメリカ人の完璧な代りになると考えていた。中国人がプリムールの市場からいなくなった今でも、中国と香港を合わせるとボルドーの輸出の四分の一を占めている。だがボルドーが現在いかに中国に依存しているかと考えると、理解の溝が存在し続け、ボルドー人が一夜にして消え失せるような汚職文化に自分たちの生活の多くが依存していると認識していない点は非常に奇妙でもある。ムスタチッチが書いているように「格付けシャトーはこの政策の与える影響を理解するのが壊滅的に遅い。警告にもかかわらず、シャトーではたった一度の成功(2009と2010の成功)に舞い上がり、それを飲む人たちではなく、日和見主義の投資家のための値付けをしたのである」

これはボルドー人がこの市場を見に行ったことがないからではない。私見だが2007年から2011年の間に一流のボルドーの生産者やワイン商を上海や北京で見かけるのはボルドーよりも容易だった。事実、私が抱いたThirsty Dragon に対する唯一の批判と言えば中国市場がやみくもに媚びへつらい、ワインメーカー・ディナーに注力するだけで真の文化的な理解をおろそかにしていたこの時期の詳細な記述に欠けている点である。

だがムスタチッチはもちろんボルドーが地元に帰りいかに早くこれらの重要な顧客に順応したかについて触れている。「シャトーのマネージャーもネゴシアンも北京での歓迎を心に刻み、箸を用意し、中国本土では容認されている公共の場で唾を吐くことやゲップやおならにも動揺しなくなった。」

彼女はまたボルドーにあふれる中国人「通訳」たちが二者の交渉を担っている点についても冷淡に述べている。「概して女性は退屈な地元のスタイル(エルメスのスカーフや運転用モカシン)を否定し、短いミニスカートに6インチのスチレット・ヒールを好む」(畑ではありえない服装だ)。彼らの通訳は普通に訳しているよりも明らかにはるかに時間がかかっている。「通訳たちの役割は次第に中国人バイヤーの秘書のようになってきて、しばしば両方から手数料を要求するようになってきている」のだそうだ。

高級ボルドーは何世紀もの間ワインの販売をネゴシアンに依存してきたが、中国人は本能的に中間業者を嫌う。あるボルドーの貴族階級の人物が多くの格付けシャトー(ムスタチッチは巧みにその名を伏せていた)を説き伏せ、彼らのワインを他の成功している企業同様国営の中国インポーター向け限定のラベルでこっそり瓶詰するよう仕向けた。その見返りはプリムールの大量買いだったのだが、この合意は3年後、2012年初めに突然キャンセルされた。

この本に暴かれている他の取引でボルドーの外の事業活動ではごく普通の例はと言えばシャトー・ラトゥールの狡猾で思慮深い直販活動と、ある香港の銀行家が浪費家のグループを引き連れてトップシャトーを回り、3400万米ドルをワインに費やしたという大胆なツアーの話だろうか。

一方あまり旨みのない話としては中国での偽物の横行で(jancisrobinson.comのサーチボックスに「Chinese fakery」と入力し「Everything else」を選ぶと膨大な数の偽ラベルを見ることができる)、ボルドー人があまりのひどさに口にしたがらないのが商標の大量登録や(ある中国人が個人で300以上のボルドーのシャトー名を登録している)、ただのボルドーの価格を釣り上げ、時には20倍もの値をつける中国人の策略、そして高い確率で疑念を抱かれている中国人所有のプティ・シャトーを通じたマネー・ロンダリングなどである。

ボルドーの社会には完全に中国人が入り込んでいる。とりわけ大学でワインの専門知識を吸収しようという生徒は多い。ムスタチッチは中国人の計画では現在よりも更に重要度の高いワイン生産者になることであると確信しており、寧夏のような地区が既に品質管理への歓迎すべき一歩を進めている概要を記している。最大手の企業は国際的な拡大も視野に入れている一方、いまだ成長を続ける中国の市場はどこで作られようと安く飲むことのできるワインに最も注目している。

だが、中国の倉庫には数百万ドル相当の格付けシャトーのワインが売られることも、愛されることもなく埋もれている。「供給過剰の恐れがあるワインは、確立された市場をいくらでも破壊することができる」とはムスタチッチの言だ。ボルドーとその周辺に奇妙な悪夢をもたらす見解である。

中国の偽物

偽造対策弁護士であるニック・バートマン(Nick Bartman)が中国で2010年と2011年に数か月を費やし偽ワインの現状を記録した。以下はそのうちこのサイトに写真を掲載しているわずかな例に過ぎない。その多くがボルドーを元にしており、特に中国で長きに渡って最も人気の高いシャトー・ラフィットのものが多い。

Bordeaux Port

France Bordeaux Cabernet Gernischt [中国の品種] 1992 [中国のワインブームよりはるか前のヴィンテージ]

Grand Vin de Graves 2005 Vin de Pays de l'Herault Pinot Noir Medaille d'Argent

Lafite Gooditem Minervois

Vin d' Alsace Lodovicoa Viticoltore Louis Vin 1998

Chateau Tola-Wine, Domaines de Barons Rothschild (Lafeir) 2006 Sarah Grand Cru Classic Languedoc

Royal Lateet

スザンヌ・ムスタチッチ著「Thirsty Dragon」はヘンリーホルト(Henry Holt)より11月10日に発売

(原文)

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