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ドイツの白~リースリング以外ならなんでも

Saturday 17 September 2016 • 5 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

「1990年代、科学者やアドバイザーはみんな、リースリングを引き抜いてフランス品種を植えるようにと言ったんですよ。」フリードリヒ・グレーベ(Friedrich Groebe;写真は妻のマヌエラと共に)は最近、ライン川のほとりでポテトとソーセージ越しに私にそう言った。

私は毎年開催されるドイツのワイナリーのトップからなる組織VDPのメンバーが作る最高品質の辛口ワイン、グローセス・ゲヴェックスの発表会のためにヴィースバーデンへ行ってきた。グレーベも私も最近リノベーションされたハッテンハイムのハンス・ラング・ワイナリー(Hans Lang winery)での小規模な夕食会でリラックスしていたのだが、グレーベは自分の2015をヴィースバーデンには出展しないと決めていた。高い評価を得ている彼のワインはゆっくりと変化し、若いころにはしばしば自然酵母による自発発酵を感じさせるが、彼は予測可能で迅速な発酵を行える培養酵母を加えることより自然酵母が好ましいと考えている。

グレーベはテイスティング・テーブルでのささやきをに嫌気がさしつつ、ヴィースバーデンのエレガントな古いスパだった建物で若き醸造家チームによる非凡な能力の賜物を毎年提供してきた。群集心理が働いた中でのテイスターたちの過去の提案がそこに今でも漂っているようだ。

彼自身は心配する必要はほとんどないと考えていた。彼は家族が1763年以来拠点としているラインヘッセンのかなり南部の村、ヴェストホーフェンのヴァイングートで人もうらやむほどの名声を構築しているのだから。だが、彼はその長い歴史のおかげで1990年代のあのアドバイスを無視するだけの自信を持てたことにことさら喜びを感じているに違いない。彼のワイナリーでは今でもリースリングが70%を占め、それが現在ドイツの象徴として権勢を誇っている品種は言うまでもない。事実、ラインヘッセンのグローセス・ゲヴェックスとしてVDPが認可している品種はリースリングとピノ・ノワール、すなわちドイツでの名をシュペートブルグンダーの2つだけだ。非常に強気に売り込まれていたドイツの2015ヴィンテージに関する私の結論は、生育期の環境が成熟の遅いリースリングに非常に向いていたということだ。

1990年代、世界中のワインは一握りの聞きなれた「国際品種」、すなわちシャルドネやカベルネ、メルローといった品種を植えることに未来があるとみなされる時代だった。このことはその時代、すなわち地球温暖化前のドイツのような国にとっては明らかにばかげたことだった。最も早熟な品種以外は赤ワイン用品種の成熟に問題を抱えていた時代である。だがそれでも当時の海外では、ワインを売るためには国際品種の名前をラベルに表記する必要があるという考えが根強かった。

現在国際品種はその鳴りを潜め、今注目を浴びているのは「固有の」品種である。より無名で土地に根付いたものの方が目を引くのである。ドイツ固有の品種で明らかに最も成功しているのはリースリングだろう。実質的にドイツすべての産地でグローセス・ゲヴェックスを生み出しているほか、ドイツで生産されている他の白ブドウと異なり、卓越したフルーティで甘いスタイルのものも生み出す。

ドイツのその他の名産と言えばシルヴァーナーで、その由来はオーストリアと言われている。シルヴァーナーは大陸の中心に位置するフランケンで、扁平な容器と共にその真価を発揮している。私は出展されていた20種のフランケンのグローセス・ゲヴェックスのシルヴァーナーをテイスティングして回ったが、2015は特にこのやや酸が低めの品種に好ましい年ではないようだとわかった。

2015年の夏は非常に暖かくて降水量が少なかったため8月の終わりごろには栽培者たちはブドウが活動を休止し、ナパ・ヴァレーやボルドーのように干ばつのために成熟が失速するのではないかと懸念していた。事実リースリング以外の品種の中には2015にものすごくアルコールが高くなったものもあり、出来上がったワインはアルコールによる熱さが目立ち、ドイツの最高の白の特徴であるフレッシュさに欠けてしまっていた。

これら2015のフランケンのシルヴァーナーはアルコールが14%を超え、シュミッツ・キンダーのフリューベン(Pfülben)に至っては14.8%にもなり、時には過剰と感じられるものとなった。だが私の仕事の楽しみの一つは新たな才能を発見することだ。それは私がこれまで出会ったことのない生産者のもので、ヴェルトナー(Weltner)のクーヘンマイスター・ホエライテ(Küchenmeister Hoheleite)は群を抜いて目立っていた。アルコール度数13.5%というのも、このグループの中でもっとも低いものだった。

2015の偉大なワインは最も北に位置するモーゼル(特にザール)、ナーエ、ラインガウのリースリングと思われ、特にラインガウは長い低迷期の末ようやく軌道に戻ったと言えよう。そしていくつかの(全てではないが)ラインヘッセンの上質なリースリングは輝きを放ち、いつものようにケラー(Keller)は群を抜いていた。

もう少し南部の地域のリースリングとなるとばらつきが大きいが、この3日間のテイスティングでの私の目標はドイツ南部、ちょうどアルザスからライン川を挟んだ向かいにあるバーデンで作られるブルゴーニュの白品種だった。グラウブルグンダー(ピノ・グリ)、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、そして最近では多くのシャルドネも栽培されている。これはおそらく1990年代の国際品種ブームの影響だろう。

私がこれらのワインを大量にテイスティングするようになってしばらく経つが、嬉しく思っているのは、以前はこれらのワインの欠点だった過剰な樽が高貴なグローセス・ゲヴェックスの中では非常に珍しくなってきた点だ。だがここでもアルコールは時に邪魔をしており、特に酸の低いブドウでは顕著だった。明らかに2015のアルコールは成熟期後半になるにつれ前のめりに高くなる傾向にあったため、収穫時期は非常に需要だった。酸の高さは通常だと聞かされたのだが、アルコールが通常より高いため、それを凌駕してしまう傾向にあった。

グラウブルグンダーは間違いなくヴァイスブルグンダーよりも個性がある。どちらも深いピンク色をしているが、おそらくこれら品種のピンク色の果皮との接触を長くした結果だろう。どちらも全体的にシンプルだが、最高品質のものはある種のスパイスが感じられ、長く残る、時にスモーキーな、アルザスの最高級のピノ・グリやフリウリの最高級のピノ・グリージョ(間違いなく、普通のピノ・グリージョではない)のような香りを表現していた。

白のブルゴーニュ品種であるシャルドネについては、シャルドネのドイツ版、と言うのが妥当だろう。あるいは少なくともバーデンのグローセス・ゲヴェックスの最高級のものはブルゴーニュの白とは似ても似つかない。これらのワインは心地よいほどまろやかで甘やかだが、明確なテロワールの表現や味わい深さには欠ける。たくましく凝縮した表現力豊かな2015のリースリングと違い、これらの品種はある意味単調に思われた。(この点に関するメンバーズ・フォーラムのディスカッションも参照のこと).

暑い日曜の午後にこれらのやや重たいブルゴーニュ品種をテイスティングした後、私はハンス・ラング・ワイナリーに着き、失礼ながらも差し出されたゼクトのグラスを断り、息を切らしながら「リースリングをお願い」と言った。1990年代のアドバイスを無視したフリードリヒ・グレーベはなんと素晴らしいことをしてくれたのだろう。

これらのワインに関するノートは2015 GGs - whites other than Rieslings を参照のこと。取扱業者は少しずつwine-searcher.com に掲載されるが、これらのグローセス・ゲヴェックスはまだリリースされたばかりだ。

リースリング以外で注目すべきグローセス・ゲヴェックスのドイツワイン
(名前を覚えるのに忍耐力は必要だが)

Bürgerspital, Stein Silvaner 2015 Franken

Bürgerspital, Stein-Harfe Silvaner 2015 Franken

Ludwig Knoll, Stein Silvaner 2015 Franken

Rudolf May, Langenberg Himmelspfad Silvaner 2015 Franken

Horst Sauer, Am Lumpen 1655 Silvaner 2015 Franken

Weltner, Küchenmeister Hoheleite Silvaner 2015 Franken

Zehntof Luckert, Maustal Silvaner 2015 Franken

Bercher, Feuerberg Haslen Weissburgunder 2015 Baden

Bercher, Feuerberg Haslen Grauburgunder 2015 Baden

Dr Heger, Schlossberg Grauburgunder 2015 Baden

Stadt Lahr, Chardonnay 2015 Baden

Stigler, Winklerberg Pagode Grauburgunder 2014 Baden

Stigler, Winklerberg Pagode Chardonnay 2015 Baden

また、特筆すべきグローセス・ゲヴェックス以外のワインは
Alexander Laible, Chara dry Grauburgunder 2014 Baden (1ダースあたり£258、混載可, The Wine Barn)

原文

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