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ワインの好みはどう進化してきたのか~TT

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TT:木曜特別シリーズの意。最近の事例に関連のある過去の記事を再掲するコーナーです。

2015年2月19日 以下の記事は2001年の年末に公開されたもので、パープル・ページが誕生してすぐのことだ。今週はチリワインの最近の変化について注目してきたので、この国の状況(もちろんワインのスタイルについても)を14年以上前にまとめた記事を再掲するのも面白いと考えた。写真は1940年代にチリのウワソ(訳注:チリ版カウボーイ)が小麦畑にたたずむ様子である。チリは2001年から大きく変化を遂げた一方、1940年から2001年まではそれほど大きな変化はなかったように思われる。もちろん、ブロックバスター・ビデオ(訳注:記事に出てくる今は閉鎖したレンタルビデオチェーン)はもうないが。

2001年12月31日 私が運よく訪問できたワイン生産国のうち、チリほど時代遅れのワインと、その原形をとどめないほど進化した最新のワインの隔たりがある国はないだろう。

1994年に訪問したときのチリの印象として思い浮かぶのは、サンティアゴ郊外で若い男性がブロックバスター・ビデオの大型店舗の前に馬車を停めている光景だ。2回目の訪問の際も、ワインに関する同様な新旧文明の衝突は依然として存在していた。ここ数年、チリはやわらかく果実味があり、完璧なまでに近代的な赤ワインを、世界で最もコストパフォーマンス良く供給するようになった。チリの本格的なワイン会社はどこも、ヨーロッパと北アメリカで爆発的に売れたこのスタイルのワインの作り方をわかっていた。しかし今なお、大資本の一流レストランではこのようなワインを見つけるのは難しい。

ジューシーな輸出向けワインと同じラベルにも関わらず、チリの国内向けには伝統的なチリ人の好みに合わせた全く異なったワインが販売されていることがある。すなわち、若いのではなく古く、フルーティではなく頑なで、丸みがあるのではなく痩せているスタイルだ。チリの人々は伝統的にワインに果実味を求めず、硬さが洗練の証であるというのが一般的な解釈だった。ただし、ここにきて世界を旅した醸造家たちが世界で見てきた経験を反映し、少しずつ様変わりし始めている。

これはラテンアメリカのあらゆる地域で繰り返されているパターンでもある。例えば、骨格が弱く色の薄い赤ワインが衛生状態の疑わしい大きな古樽で何年も熟成され、「ポン・レヴェック」などのような模倣名がつけられ、ごく最近までブエノス・アイレスのワイン愛好家の崇拝を集めていた。しかし現在では国際的な視野を持つ生産者、例えばドクター・ニコラス・カテナ(ボデガス・エスメラルダ、ラ・ルラル、様々なカテナの名を持つワインや、南アフリカで最も優雅な新設ワイナリーの責任者)のような人物は巨大タンカーとでも言うべき世界で5番目に大きなアルゼンチンのワイン業界のかじを取り、新しい方向へ進んでいる(ただし最近勃発した経済の混乱でその速度は落ちるかもしれない)。

世界のワイン・スタイルの変遷は目を見張るほど早い。それはどのぐらいのスパンだろうか。10年?5年?いや、産地によっては3年のスパンで起こっている。「とある女性記者」が1970年代半ばにおずおずと足を突っ込んだワイン業界は当時、イギリスですら立ち上る硫黄の香り、ギシギシとした舌触り(すなわち非常に若い味わい)、そして時には酸化に耐えなくてはならなかった。現在のワインはそれに比べて明らかにフルーティだ。それがたとえ最も低価格帯にあるただのテーブルワイン(赤、白、ロゼに関わらず)でも、ボルドーの30年以上熟成が期待される格付けシャトーのものでも、である。

私は近代的なワイン生産者を気の毒に思い、現代の消費者をうらやましく思う。生産者たちは土俵に立ち続けるために毎年収穫の度に上を目指さなくてはならず、世界中のライバルがしのぎを削っている。今の消費者はあまやかされていると、私は喜んで言わせてもらおう。

我々が果実味を求めるのはそれが喜びと味わいをもたらしてくれるからであり、骨格やタンニンを求めるのはそのワインをすぐに飲む気にならない場合にセラーで保管したいからだ。しかしアメリカやオーストラリア、北部ヨーロッパの多くの国では、消費者はタンニンを全くと言っていいほど求めない。一方、今我々は適度なタンニンを求める。それはつまり、ワインに含まれるタンニンの量だけでなくそのタンニンが青いのか、成熟しているのか、固いのか、強いのか、茎っぽいのか、ギシギシするのか、など様々な種類のタンニンについて細かくこだわる段階に来ているということだ。(オーストラリアではどうやらタンニンの表現に使う、カリフォルニア・デーヴィス校のアン・ノーブルが作成したアロマ・ホイールと同様の「タンニン・ホイール」を開発しているらしい)

ここ2,3年で我々は熱心に樽の過剰使用に反対してきており、それは今のところ白ワインにおいて赤ワインよりも明らかな成功を収めている。

また、我々は残糖を必要としないとも主張する(非常に高価で甘口のワインは別だが)。そのため中甘口のワイン、例えばドイツやロワールのものはその地域の外では認めてくれる人を探すのが年々難しくなっている。しかし一方で最もよく売れている商業的なブレンド、特にシャルドネやソーヴィニヨン・ブランとラベルに記載のあるものはその魅力を訴えるために隠れた糖分にますます依存するようになっている

我々がワインに求めるのはそれ以外の生活と同様、簡単に満足が得られることだ。ワインには少なくとも半分は向こうから歩み寄る姿勢が欲しい。我々はできれば若さゆえの不完全さに寛容になるといった、それを好きになる努力はしたくない。

私はポルトガルで第一線を走る醸造家、フランシスコ・アントゥネス(Francisco Antunes)に出会い、魅了された。彼は現在カーヴ・アリアンサ(Caves Alianca)で働いている。彼が最初に働いたのはバイラーダというポルトガル北部のワイン産地だった。そこバガという品種が主力であり、そのまま作ると私がこれまで出会った中で最も酸が強く固いワインができる。ボルドー大学での任期を終えた彼は再び他の人と共にバイラーダのワイン作りを任された。彼はボルドーの醸造家が頑固なカベルネからいかにして果実味と骨格を引き出すのかを見てきたので、同じことをバイラーダでも試したくなったのだ。「私の目標は喜びを与えるワインを作ることです。」彼は挑戦的に述べ、やや悲しげに続けた。「そうしなければ何の意味もありません。」しかし彼はバイラーダが世界の他の地域で受け入れられるようにするためにポルトガル人自身の嗜好を変えなくてはならないことを知っていた。「彼らは熟成を好むのです。果実味のある若い赤ワインは基本的に好みません。」彼にとって、普通の赤ワイン生産がほんのわずかしかできず絶望的だったポルトガルの1993に差した一筋の希望の光は、その後のヴィンテージのワインを多くの人が若いうちに飲むしかなくなったことである。おそらくポルトガル人は最終的に世界のワインの好みの進化に追いつくだろう。スペインが復讐心に燃えてそうしたように。

このトレンドの最先端にいる我々がしなくてはならないのは、ワインがあまりに容易で早熟で、似たり寄ったりで、独りよがりで、人の手によって操作されたものにならないよう、つまり、あまりに近代化しすぎないように注意を払うことである。

原文

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