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マスター・オブ・ムルソー

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この記事の短いバージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。詳細なテイスティング・ノートは「Coche v Lafon」参照のこと。

ブルゴーニュの白ワインの村、ムルソーには卓越したヴィニュロンが増えているが、その二大巨頭と言えばコシュ・デュリとコント・ラフォンだろう。

ドミニク・ラフォンは様々な意味で、特に彼の世代としては最も知られたブルゴーニュ大使と言えよう。彼はこの村で最も神の祝福を受けた由緒あるドメーヌを経営する一方で世界中を訪れ、アメリカでワインを作り、自身のネゴシアン用のワインを作り、さらにはコート・ドールの事業をより安価な畑であるマコンに持ち込む道を切り開いた人物でもある。彼はまた、都会人と呼ぶには土を愛する人でもある(彼の爪を見ればわかる)が、実際には国際人であり、自分のワイン界での立場をよく理解している。私がいつもかわいらしいと思ってしまうのは毎年のラフォンでのテイスティング訪問の際、ドミニクがいつも不安げで、まるで三ツ星シェフのように自分が作ったものが評価に見合っているかを気にかけている点である。

コント・ラフォンのドメーヌは非常に大規模なセラーのある、村で最も大きな邸宅で1世紀以上前に念入りに作られたものだ。3ヘクタールを優に上回る一級畑とブルゴーニュの白の中でも超一流の特級畑と言われるル・モンラッシェを誇る。ラフォンのモンラッシェは1本数百ポンドで売られている。

一方ドメーヌ・コシュ・デュリの毛色は全く異なる。職人仕様のセラーがごく普通の田舎の家に付属しており、現在は5年前に父のジャン・フランソワから引き継いだ若いラファエルが経営している。控え目に言ってもコシュのライフスタイルとそのカルト的なワインの評判のギャップは非常に大きい。

今は自身も父親であるラファエルはジャン・フランソワから、私が知る限りブルゴーニュの中でも最も小さくまとまった資産を引き継いだ。コシュ一族は完璧なまでにブドウにこだわりその愛情は、1ヘクタールに満たない1級畑、4ヘクタールをわずかに上回る村名クラスのムルソー、そして最近獲得したのは三分の一ヘクタールのグランクリュ、コルトン・シャルルマーニュに注がれる。コルトン・シャルルマーニュはコシュほど尊敬を集めるワインメーカーの手にかからない限り、あのル・モンラッシェよりはるかに評価が低い畑だ。(コシュ、ラフォン共に卓越したブルゴーニュの赤ワインも作る。ヴォルネイに注目してほしい。)

コシュ・デュリを訪問したいと思ってもほぼ叶うことはない。彼らは訪問者の受付を何年も前にやめてしまったからだ。我々のようにこれまで長い間テイスティングを行ってきた人間ですら、暗くて畑作業ができなくなる夕方6時でないと受け入れてもらえない。そして最近不運な出来事があったため、我々ワイン・ライターは樽からの試飲を許されなくなってしまった。シャトー・クロ・ド・ヴージョで開催されたシュヴァリエ・ド・タストヴァンの素晴らしいディナーでテーブルを共にしたが、ジャン・フランソワ・コシュにとって20マイル北上するだけで立派な外出なのである。世界のどこであっても、コシュのワインメーカーズ・ディナーはありえない。彼らはわずかに新樽も含まれる自分たちの樽に手の届く距離にいることを好むのだ。

よちよち歩きのマチュ・コシュとギョーム(Mathieu and Guillaume)・コシュを伴ってセラーを見に行く頻度からして、この方針は次世代にも引き継がれることだろう。

ラフォンがビオデナミを導入したり、様々な醸造技術を試したり、ネゴシアンであるラブレ・ロワ(Labouré Roi)から歴史あるドメーヌ・ルネ・マニュエル(Domaine René Manuel)を友人のジャン・マルク・ルーロ(Jean-Marc Roulot)と共に買収したりするなど拡大を続けているのに対し、コシュ・デュリはジャン・フランソワが決めたレシピに忠実に従っている。そしてコシュ・デュリのブルゴーニュ白が世界で最も追い求められているワインである今、それを変える必要があろうか。

私の漠然としたイメージなのだが、コシュこそが世界的な還元香である白ワインの「マッチの香り(訳文)」の流行を引き起こしたと言えるのではないだろうか。コシュのワインは1級ワインのみならず村名ワインですら非常に長命なことで知られる。一方ラフォンのスタイルは常に芳醇で開きやすく、明確な果実が感じられる(ドミニクの早い時期のヴィンテージは危険なほど早く熟成した)。

コシュのワインも十分に希少だが、ラフォンのはそれ以上に入手困難なため、8月にラングドックの隣人であるコレクターのグラハム・ナッター(Graham Nutter)が開催した比較試飲会は実に特別な経験だった。参加者の一人は特に重要な役割を担っていた。ドミニク・モンティエ(Dominique Montier)がライアンエアー(Ryanair)でスタンステッドからカルカッソンヌにようやく到着したのである。もう搭乗券は出ていたにもかかわらず45ポンドを払わないなら飛行機に乗せないと言われたそうだ。だが我々は彼があきらめてその金額を支払ったことをとても喜んだ。なぜなら彼はライアンエアーのサーチャージの30倍の価値のあるコシュのコルトン・シャルルマーニュ1999を提供してくれたからだ(彼の父はコシュから初めてワインを買った人物で、ジャン・フランソワの父のブルゴーニュ・アリゴテだったそうだ)。

我々はブラインドではなく、ヴィンテージごとにペアでテイスティングを行った。最初は2008のムルソーで、ラフォンは既に素晴らしく親しみやすく開いていたが、コシュは酸が強くよそよそしかった。ラフォンは2005ムルソーでもよりチャーミングで、実際そのピークにあるように感じたが、今回飲んだコシュのボトルは特に、珍しく単調だった。2002のペアは実のところフェアな戦いではなかった。ラフォンの代表は常に素晴らしくチャーミングな優れた1級畑シャルムだったためで、実際飲んだものも素晴らしかった。一方コシュは村名のムルソーで、やや控えめだった。ただこの10年で少しずつ開き続けるだろうと思われた。

ところがその後優勢に転じたのはコシュだった。普通のヴィラージュのコシュ1999はその夜最も偉大なワインの一つだった。我々はそれをラフォンのクロ・ド・ラ・バール(Clos de la Barre)1999と比較するつもりだったが、それはブルゴーニュを苦しめているプレマチュア・オキシデーションで劣化していたため、代わりにラフォンのムルソー1998をテイスティングしたのだが、比較してしまうと感動はやや薄れてしまった。1996年の二本はどちらもムルソーで、コシュははるかに生き生きとしていたがラフォンは果実味に欠け、酸化のニュアンスが感じられた。

そして最後は両ドメーヌの特級畑である。どちらも本当に素晴らしかったが、コシュのコルトン・シャルルマーニュはラフォンのモンラッシェより優美さで勝っていた。もちろん、2004よりはるかによいヴィンテージの1999だったこともあったが。

我々がテイスティングしたワインはそれぞれのドメーヌの名に恥じないものであったとは思うが、(わずかな)変化の兆しが感じられた。ドミニク・ラフォンは2013ムルソーから「マッチの香り」のスタイルにやや寄って行き、ラファエル・コシュは父のそれよりも間違いなくほんのわずかに果実味が強く親しみやすいスタイルを作るようになっている。

テイスティング・ノートは「Coche v Lafon」参照のこと。

偉大なるコシュとラフォンのワインたち

以下のワイン全てに私は20点満点中18点以上をつけた。

Dom Coche-Dury

Corton Charlemagne, Grand Cru 1986, 1988, 1989, 1992, 1993, 1996, 1999, 2000, 2001, 2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008, 2009, 2010, 2011, 2012

Meursault Perrières, Premier Cru 1997, 2001, 2004, 2006, 2007, 2009, 2012

Meursault Genevrières, Premier Cru 2005, 2009, 2010, 2011

Meursault Caillerets, Premier Cru 2006, 2008, 2009

Meursault Rougeots 2000, 2001, 2002, 2004, 2009

Meursault 1999, 2002, 2005

Puligny-Montrachet, Enseignères 2002, 2006

Volnay, Premier Cru 2010

Dom des Comtes Lafon

Le Montrachet, Grand Cru 1996, 2004, 2005, 2007, 2008, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013

Meursault, Perrières, Premier Cru 2004, 2005, 2007, 2010, 2012, 2013

Meursault, Genevrières, Premier Cru 2005

Meursault, Charmes, Premier Cru 2002

Meursault, Clos de Barre 1999, 2001

Meursault 1989

Volnay, Santenots du Milieu, Premier Cru 1999

Volnay, Santenots, Premier Cru 2005, 2013

ドミニク・ラフォンの魔法をリーズナブルに体験するのにお勧めなのはLes Héritiers du Comte Lafon's Mâcon-Uchizy, Les Maranches 2013 (£23.95 Berry Bros & Rudd) だろう。

原文

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