ヴォルカニック・ワイン・アワード | 25周年記念イベント | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト)

プランBEE

2015年7月25日 土曜日 • 5 分で読めます
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これはフィナンシャル・タイムズに掲載された記事のやや長いバージョンである。

タンディ・ワイン(Thandi Wines)を南アフリカで経営しているバーナン・ヘン(Vernon Henn;写真下)は、かつては自由の闘士だった。彼は1985年、高校生にして活動の首謀者だった当時を思い出して笑った。レンガや火炎瓶を投げつけていた頃の話をすると彼の目は輝いた。「それはもう、感情的でしたよ。わかるでしょう?」タンディで彼が後を継いだ人物、ライダル・ジェフタ(Rydal Jeftha;写真上)は彼の上を行っており、自慢げにこう話した。「私はまさに最初の暴動に関わっていました。教室にいたら突然いかついやつらが銃を持って入ってきて、ただ逃げるしかないんですよ。私たちの親にとっては恐ろしい時代でした。「かしこまりました、ご主人様」としか言えない時代でしたから。」

ラルフ・ローレンのポロシャツを着たライダルと、常に笑みをたたえたバーナンは、クープマンズクルーフ(Koopmanskloof)の役員室で紅茶とビスケットで私をもてなしてくれた。ここはケープ・ワインの中で最大の黒人の経済力強化政策(BEE)による事業の一つだ。クープマンズクルーフのチーフの1人として、ライダルは520ヘクタールの畑と、ややくたびれてはいるが毎年250万リットルものワインを生み出すセラーを任されている。

しかし、クープマンズクルーフは今、ワインを瓶詰めすることは全くない。彼らの売り上げは全てバルクによるものなのだ。「付加価値という側面は失ってしまったんです。」ライダルは悲しげに話した。「かつてはイギリスで人気だったんですよ。テスコやコープに売っていた頃は輝かしい時代でした。」だがクープマンズクルーフのような会社はイギリスの主要な総合小売業が2005年のコートルード・コンベンションに合意し、ワインをできる限りバルクで輸入するとした取り決めには逆らえなかった。このことで彼らは多くの資金を節約しながら、環境保全という意味で高い基準を満たすことになった。しかし、環境に優しい一方で南アフリカにおける社会的な影響は甚大だった。

ライダルは毎年250万リットルを生産することができるが、全てを販売することはできない。「我々は重大な局面にあるのです。政府ですらそれを認めています。」そう言う彼の笑顔が消えて行った。「金に貪欲なビジネスなんですよ。補助金は最初は我々のようなビジネスにも下りましたが、今は下りません。2、3年前には農園が燃されるようになりました。黒人の中で貧富の差が激しくなってきたからです。今や黒人対黒人で争っているんですよ。」これらすべては彼がイギリスのインポータに促されてやってきた、他社との差別化という意味での「黒人的」ワインをつくるという意義に反するものである。

クープマンズクルーフは4つの農園からなり、120名の労働者が株を所有している。その親会社の株51%は黒人の所有だ。農園にはそれぞれ教会、スポーツ設備、保育所などがあり、全て南アフリカワイン業界と共に生物多様性を念頭に置いて計画したもので、67ヘクタールの自然が保護されている。

これらの労働者は平均よりもよい生活環境を享受していて、1日120ランド(約6ポンド)が支払われる。これは最低賃金である112ランドを上回るのだと私は念を押された。2007年、労働者の家はこの上なく一般的だったが、今やソーラーパネルを設置し、アスベストを取り除き、フェアトレードの支援による準備資金まで蓄えているのだ。だがライダルとバーナンはかつて彼らが農園で働いていた頃には珍しかった自動車ですら珍しくなったことを含め、労働者たちの生活が彼ら自身より早く改善していることについては好意的だった。

ライダルはまた、ステレンボッシュのワイナリーからほんのわずか車で行っただけのケープ・タウンでの薬物の問題にも詳しい。「労働者のやる気を起こさせるのは難しいかもしれません。もし一人に薬物乱用の話をしたとしても(悪名高いかつてのドップシステム(訳注;労働者への賃金をワインで支払う)ではケープの農園労働者は無料のワインで好き勝手に使われることがあった)、彼らは今は自分たちでワインを買いに行けますから。でも中には金属のパイプを盗むやつもいるんです。実際46本の支柱がここひと月で盗まれました。街が近くなった分、薬物依存の問題も身近になりましたね。今私がやりたいのは人間性の再構築です。」

ライダルがことさら自慢にしているのは最近、労働者たちをその故郷へ連れて行くワーカーズ・トリップだ。「感傷的な旅行になりました。積立金で資金を賄い、彼らの出身地に行くのです。おかげで今彼らは真面目に働いて故郷に帰るお金を貯めたいと思うようになりました。」だが黒人居住区から収穫のための労働者を雇い入れる経験は決して楽しいものではない。「彼らの半数はバケツ1杯3.5ランドのブドウのためにどれだけの仕事をしなければいけないかを知ると逃げてしまうのです。」

彼のセールス・ポイントには顧客に毎年同じ区画から作ったワインを保証することがある。彼は自分のチームと、後継者がすでにいることに誇りをのぞかせる。彼の娘タムシンがワインを作りたいと言ったとき、彼女を遠ざけるためにクサリヘビを見せ、畑ではそれと一緒に働かなくてはならないのだと言って聞かせたが、彼女はナパ・ヴァレーとドイツに行き、今は高名なハーテンバーグ・ワイナリー(Hartenberg winery)でアシスタント・ワインメーカーとして働いているのである。

バーナン(左)は南アフリカの20ほどの黒人所有のワイン会社に疑念を抱いている。「バーチャル・カンパニーもあるんですよ。白人が作ったワインを購入してきて黒人が作ったというラベルを貼っているんです。それらの品質基準もありません。ただその中でもムーディ(Mhudi)は質が良い方です。自社で畑を所有していますからね。」彼は強い立場から発言をしている。彼の会社タンディはあらゆる農業の中でまさに初のBEEベンチャーで、1995年、南アフリカ初の民主的選挙の翌年に神経外科医のポール・クルーヴァー(Paul Cluver)によって、冷涼な南の海岸沿い、エルギンにある果樹園の中に設立された(タンディブランドのリンゴやナシもある)。

私は長いことタンディのワインは並外れて優れていると感じていた。その3つの農園のおかげで250もの家族が養われているという意味でもBEE最大と言える。タンディは2004年という早い時期にロンドンのインターナショナル・ワイン・チャレンジで金賞を受賞した初めてのフェアトレード・ワインを生み出した。しかしフェアトレードの認証には資金が必要で、1回の審査に50,000ランドかかり、求められる品質に至るためのさらなる調査も必要とされる場合がある。

現在BEEブランドはスカンジナビアのスウェーデンやフィンランドのような独占販売の国への輸出に注力している。それらの国は、かつて不利な立場にあった人々の理念を積極的に支持しており、彼らはその基準から学ぼうとしているのだ。彼らはフェアトレードかWIETAの認証を積極的に要求している。

「彼らには良心がありますね。」バーナンはスカンジナビアの顧客についてさらりと言った。「すべての人に良い暮らしを、というのがマンデラのメッセージです。でも実際そんな風にうまくいってはいないんです。」

私は二人に昨年末のマンデラの死の影響につい尋ねてみた。彼らがそれを知ったのは、驚くべきことにウラジオストックへの政府の貿易使節へ向かう途中だったそうだ。その取引は成功したのかと聞いてみたが、ライダルは笑って「それを知ったらあなたの命はないですよ」と言った。

イギリスで入手可能な黒人経営のケープ・ワイン

イギリスのインポータはカッコ内で示す。多くのワインはSAワイン・オンラインで入手可能だ。

Cape Dreams (Fine Drinks Cooperative)
Dorrance (Top Selection)
Earthbound Wines (Distell)
Land of Hope (M&Sで入手可能。輸入は Les Caves de Pyrène)
Ses'fikile (Copestick Murray Wine Solutions)
Solms Delta (Dreyfus Ashby)
Stellenrust (Bibendum PLB Group)
Thandi (SA Wines Online)
Women in Wine (Cape London)

原文

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