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岐路に立つ南アフリカ

2017年10月28日 土曜日 • 5 分で読めます
Crossroads township

この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。最近のテイスティング・ノートについてはNew Wave South AfricansSouth African old-vine marvelsも参照のこと。写真はケープ・タウン空港近くのクロスロード黒人居住区で、ケープを初めて訪れた人々の多くがショックを受ける光景だ。

南アフリカのワイン業界は今、他にはない、そしておそらく非常に重要な進化の過程にある。

今月ロンドンで開催された南アフリカのニュー・ウェーブ・ワインのテイスティングは、プロ向けテイスティングに事欠かないこの地で参加した中で最も興奮を覚えたものだと言える。倉庫を改築した天井の高い会場は、めったに見られないほどのエネルギーと熱意に満ちていた。これは注意深く選ばれたBGM(ワインテイスティングでは非常にめずらしいことだ)とショーディッチという最近流行りの地区で開催されたことだけが理由ではなく、ワインの品質の安定性と新規性によるものだった。

その一例として挙げると、テイスティング・リストの中にカベルネ・ソーヴィニョンはたった5つしかなかった。サンソー、クレレット・ブランシュ、パロミノ主体の混植・混醸などは、400名以上の本当に価値のわかるプロを迎えるにはある意味うってつけだったと言えよう。実際多くの興奮を抑えきれないコメントを耳にした。また、南アフリカからの訪問者たちの間に流れる他にはない調和した空気も感じた。

フランスを除くどのワイン生産国よりも、南アフリカは急進的で団結力のある若手のワインメーカーたちの集団が自国の新しいワインの個性を生み出すために前進し続けていることを誇りに思っているだろう。参加した55の生産者のうち、15は一度も耳にしたことのないもので、これは彼らが興味の対象でなかったためではなく、創業間もないためだった。

もちろん、これら生産者の多くがひげを蓄え、いつものように女性の比率は低かった。だがいずれにしても彼らは熟練したエノロジストであり、その多くは混合農業を営み高貴なワインの世界からは程遠い場所で生活しているアフリカーナ人の農民が作るブドウに大きく依存している。供給の合意は握手以外に形のあるものは存在せず、頭の固い都会人には悩みの種だ。

そしてブドウそのものもまた、ヨーロッパの平均と比べると遥かに樹齢が高い(South Africa's old-vine marvels 参照)。ブドウは永遠に生き続けるわけではないことと、ブドウの幹が樹齢に伴って太くなるにつれ、収量は減少していくことから、この点は懸念事項の一つだ。だが南アフリカのワイン業界が胸を張って誇れることでもある。

リシュモン会長(かつワイン生産者)であるヨハン・ルパート(Johann Rupert)の支援のおかげで南アフリカにはオールド・ヴァインズ(古木)・プロジェクト(Old Vines Project)が存在する。これは樹齢が20年を超すブドウの保護と、樹齢35年を超えるブドウを称え、その一覧の作成を目的としたもので、その対象はケープにある畑、約2500ヘクタールにも及ぶ。ジ・オールド・ヴァイン・プロジェクト(The Old Vine Project)のアンドレ・モーゲンサール(Andre Morgenthal)によると、合計で38品種が登録されており、それら高樹齢のブドウの三分の一はまだワイン生産に向いているとのことだ。

それらの中には品質が十分でないものや、リーフロール・ウィルスに苦しんでいるものもある。リーフロールは南アフリカの畑では風土病ともいえるものでブドウは引き抜くしか手立てがない。

一方、最近の干ばつや進行中の政治的状況とは別の問題もある。イギリス人、ドイツ人、オランダ人などは特に、ケープのワインを店の一番下の棚で見かけることには慣れているし、掘り出し物のワインと言えば南アフリカだと感じている。しかしワインの価格、それに伴うブドウの価格は非常に低く、南アフリカで最も著名なワイン・ライターであるマイケル・フリジョン(Michael Fridjhon)が今年のネダバーグ・ワイン・オークション開催前に行いかなり話題になったスピーチ(ここからダウンロードできる)で述べたところによると、60%以上のケープのワイン産業は採算が取れていないか経済的にぎりぎりのところにあるそうだ。

そのため今回ロンドンで開催されたニュー・ウェーブのテイスティングでもワインの価格を引き上げようとする協調努力が見られた。推奨小売価格は1本あたり100ポンドほどのもの(ご存知の通り元会計士のクリス・マリヌーの作る新作、リーウ・パッサン(Leeu Passant)だ)まであり、一桁の価格がついているものは非常に少なかった。

この目的はワインの販売価格を上げることでブドウの買い取り価格を上げ、農民たちに上質なワインを生み出す一方で樹齢が高く生産効率の低いブドウの引き抜きを思いとどまらせる程度に魅力的なものとするためだ。

南アフリカの古木遺産を育成することに尽力している女性がいる。ローザ・クルーガー(Rosa Kruger)は有名な大統領、ポール・クルーガーの末裔だが、彼女はブドウ栽培者でありすべての古い畑の記録を苦労して作成し、年老いた栽培者と若いワインメーカーの間を取り持ってきた人物だ。

彼女とジ・オールド・ヴァイン・プロジェクトのおかげでブドウの価格はたった1トン2,500ランド(180ドル)から12,000ランド(885ドル)にまで上昇した。ちなみにナパの昨年のブドウの平均価格は公式には1トン7,000ドルだが、カリフォルニアのワイン業界にいる人間の多くはこれが低く見積もった価格であると認識している。

クルーガーはまた、南アフリカ・ワインを決定づけるさらに重要な側面にも働きかけを行っている。これらの低い価格のつく理由の一つが低賃金の労働力によるものだと考えるのは私だけではないだろう。フリジョンが彼のスピーチで指摘したように、ケープのブドウ畑は甘美と公明からは程遠い。

ローザ・クルーガーは非常に多くの畑作業者の間に広まっている空気を「絶対的絶望」と表現している。差別的でないケープ用語でいうところの「かつて不利益を被っていた人々」にとって、美しいけれども単一文化であるケープのワイン産地での仕事に他の選択肢はほとんどない。ローザ・クルーガーは畑作業者に対する真剣な教育と研修を推し進める活動の先頭に立っており、フリジョンの言葉を借りれば彼らにとって仕事が「怒りを伴う負荷から選択肢のある職業に代わり、それが技能とそれに伴う賃金へ、そして仕事の満足へとつながる
」ための活動となっている。

フリジョンが最近の扇動的な記事SA Wine's Ongoing Lack of Transformationの中で新たにした想いは、世界のワイン業界で歓迎されてきたわけではない。彼の記事はある映画の試写に触発されたもので、「ザ・カラー・オブ・ワイン」というその映画は1994年の選挙以降初めて非白人としてワイン業界の研修プログラムに受け入れられた人物の経験をつづったものだ。「この映画を恥じずに見ることはできません」彼はそう告白し、名ばかりの黒人差別撤廃を減らし、多くの黒人が業界の上位の専門職に就き、この深刻で継続的な力のアンバランスを訴えていく必要があると述べた。このアンバランスが才能を埋もれさせているのは言うまでもない。それは全員が黒人のジンバブエ人であるケープ・タウンのトップソムリエたちが優雅に体現して見せた。

フリジョンはワイン業界の主要な人物たちからの批判やネットでの厳しいコメントにさらされてきた。おそらくこの記事を書いたことで私もそうなるだろう。だが、南アフリカのワイン業界自身がその岐路に立っていると気づいたことを考えれば、 今が正しい道を選ぶ最適なタイミングなのではないだろうか。

最高品質の南アフリカ・ワイン


20点満点中17点以上を付けたワインを「New Wave tasting (ここで私はほんの一部のワインしかテイスティングできなかったが)」での推奨価格とともに記す。They are supplemented by wines from Handford Wines tasted the next day. 最近ジュリアと私がテイスティングした190本のワインに関するテイスティング・ノートも参照のこと。

Alheit, Cartology 2016 Western Cape £34 and Magnetic North Chenin Blanc 2016 Citrusdal Mountain £62.99 Handford

Boekenhoutskloof Semillon 2015 Franschhoek £30

Crystallum, Clay Shales Chardonnay 2016 Hemel-en-Aarde Ridge £32, Mabalel Pinot Noir 2016 Elandskloof £39 and Bona Fide Red 2016 Hemel-en-Aarde Valley £39

David and Nadia, Aristargos 2016 Swartland £21 and Elpidios Syrah 2015 Swartland £23

De Morgenzon, Reserve Chenin Blanc 2016 Stellenbosch £28.99 Handford

Kershaw, Deconstructed Chardonnay 2015 Elgin £222 for three bottles

Leeu Passant Chardonnay 2015 Stellenbosch £65 and Dry Red 2015 Franschhoek £98.50

Lismore Chardonnay 2015 Greyton £23

Momento Chenin Blanc/Verdelho 2016 Western Cape £23

Mullineux Family Wines, Granite Chenin Blanc 2016 Swartland £49.50, Schist (and Granite) Syrah 2015 Swartland £76.75, Straw Wine 2015 Swartland £24.95 per half Handford

Rall, White 2016 Coastal Region £26.50 and Ava Chenin 2016 Swartland [no price given] and Rall Red 2015 Swartland £27.50

Sadie Family, Skurfberg 2016 Olifantsrivier, Voetpad 2016 Swartland, Columella 2015 Swartland, Treinspoor 2015 Swartland £32.99

Savage, White 2016 Western Cape £28

Sons of Sugarland Syrah 2016 Stellenbosch £28.99 Handford

Solms Delta, Amalie 2015 Western Cape 14% £19

原文

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