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2019ブルゴーニュ、買うべきはどれか

2020年11月21日 土曜日 • 5 分で読めます
Cecile Tremblay in her Morey-St-Morey cellar

(photographs are by Jon Wyand)

先日、不気味なほど静かなコート・ドールで最高級のセラーを巡り私が学んだこと。この記事のショート・バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。2019のブルゴーニュについてはこちらの記事も参照のこと。上の写真はセシル・トランブレイで、ジョン・ワイアンドの提供。

ムルソーで最も有名なワイン・セラー、ドメーヌ・コントラフォンに到着すると、奇妙なことが起こった。ドミニク・ラフォンが吐器を探しに行かなくてはならなかったのだ。一年のこの時期、いつもなら吐器が溢れないよう気を使わなくてはならないのだが、今年のブルゴーニュは明らかにテイスターの数が少なすぎたということだろう。

例年最盛期である年の後半にコート・ドールでのテイスティングの日程調整を行う場合はまるで悪夢のように面倒だ。ヴィニュロンたちの手帳は世界中のインポーターやコメンテーターの名前がぎっしりと書き込まれており、それらを狂ったようにやりくりし調整しなくてはならないからだ。だが今年は、10月の初旬に2019の様子を確かめるための訪問を私が9月の2週目に決める際、候補日時を24のワイン生産者にメールしたところあっという間に23軒から無条件で受け入れの返信が来た。(ジェレミー・セイセスだけはコロナと、施設のリニューアル、ラッキングのタイミングが重なるため「ドメーヌ・デュジャックを訪問するためにも、私があなたをもてなすためにもいいタイミングではない!」と言ってきた)

私が到着するとブルゴーニュは不気味なほど静かで、2019を生産者たちとテイスティングすると、多くの場合それが彼らにとって今シーズン初めてのテイスティングであることが分かった。私の友人でもあるワイン・ライターのニール・マーティンとアレン・メドウズも来るとのうわさはあったが、ワイン商については全くその気配はなかった。シャサーニュ・モンラッシェのピエール・イヴ・コランが言ったように、「去年は訪問者が多すぎて、今年は少なすぎる」。

彼は価格の急激な高騰をもたらしたブルゴーニュのバブルがそろそろはじけるか、すでにはじけてしまったのではないかと懸念する数少ないワイン生産者の一人だ。2012年ごろ、世界で最も裕福なワイン収集家たちの興味はボルドーからブルゴーニュへ移っていった。だがブルゴーニュの個々のワイン生産量はボルドーよりもはるかに少ない。そのためインフレ効果は避けがたいものだった。彼のマルサネにあるセラーを訪問した際、シルヴァン・パタイユは信じられないと言った顔でドメーヌ・ドーヴネの2013ブルゴーニュ・アリゴテの写真を見せてくれた。すべてのブルゴーニュの白の中でも最も位置づけの低いそのワインが、パリの店のショウウィンドーで490ユーロの価格がついているものだった。

コラン・モレに言わせると「ブルゴーニュはその進化の過程で重要な時期に差し掛かっています。私たちは皆、人々がまた買い始めてくれるのを待っています。今を辛抱強く乗り切らる必要があるのです」。

ヴォーヌ・ロマネのルイ・ミシェル・リジェ・ベレール(上の写真はトレードマークの赤いズボンを履いている)は2019を「2009のようだけれど酸がより良い」と評し、これまでの年は、3月に配当を決める頃に潜在的な購入者たちから寄せられる、自分は何本のワインが買えるのかと心配するメールや電話に圧倒されていたものだと話した。だが今年はそれが起こらなかった。ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレールがそのワインの40%を、コロナの影響で閉店あるいは破綻してしまったレストランに販売していたという事実は、1本4500ユーロすることもある彼らのブルゴーニュ・ワインの売り方を変えざるを得なくなった理由の一つだ。「私たちはターゲットを70代のコレクターから、30~40代でワイン・セラーを所有し、いろいろな場所でワインを購入する層に変更しました。DTC(直接販売)は今や非常に重要で、私たちの販売網もグローバルに広げる必要があるかもしれません。これまでにもその点には取り組んでいましたが、新型コロナウィルスの影響でその過程を加速する必要が生まれました」。

世界中を旅しているリジェ・ベレールは彼の仲間よりも積極的にワインを販売している。彼は意図的にセラーで保存しておいたワインを重要なショーウィンドウともいえるトップ・レストランのワイン・リストに載せ、よく熟成し、かつその出自が明確なワインをセラーから直接、それらのレストランに3本または6本単位で送付する。それらが市場で再版されるのを防ぐため、レストランは次のワインを入手するためにそのコルクを送り返さなくてはならない。この手法は今のところフランス限定で行っていたが、リジェ・ベレールはそれをより多くの市場に拡大することも検討している。

現在彼がレストラン顧客に提供しているのは2012のヴィンテージであり、実際のところまだ完全な熟成には至っていないものの、少なくともレストランのワイン・リストに見られる他のほとんどのブルゴーニュ・ワインよりも、あるいはブルゴーニュの現地で見られるワインよりも、熟成が進んでいると言える。シャサーニュにあるドメーヌ・ベルナール・モローのアレックス・モローは「最近は熟成したブルゴーニュがどんな味なのかみんな知らないんです。ボーヌのレストランに行っても、ワイン・リストにあるのは2016や2017ですからね」。と嘆いていた。

では間もなくリリースされるウ2019のヴィンテージの出来はどうだろう。私はテイスティングしたワインのほとんどを気に入ったが、それらは最高の生産者のものばかりだったことも申し添えねばらならない。ワインはチャーミングで、果実味に溢れていたが同時に偉大なエネルギーにも満ちていた。2019から2020にかけての暖かい冬はコート・ドールのセラーの中で樽に閉じ込められた2019の熟成を早めたのかもしれない。それらは特に暑い(2020ほど雨が降らず収穫が早かったわけではないが、それでも2020よりも暑かった)夏の産物であることを考えると、通常暑いヴィンテージではすぐに下がってしまう酸をどのように保ったのかはある意味ミステリーであると言える。

才能あふれるマイクロ・ネゴシアン、バンジャマン・ルルーと2019について議論した際、彼は少し大げさに疑問を投げかけ、こう答えた。「なぜ彼らが特に白ワインのフレッシュさを保てたのか、あの暑さにうまく対応できたのか。今のところ、まったくわかりませんね。」一般的に言われているのは2019を特徴づける、果汁の明らかに少ないブドウの中で酸を含むすべてが凝縮された、という説だ。

彼の白はこの上なくうまくできており、もしテイスティングした2019の中でどうしても赤か白を選ばなくてはならないと言われたら、(かなり渋々ではあるが)白を選ぶだろう。白の収量は一般的に赤よりも少なく、その原因の多くが霜による被害だ。だがムルソーの古典的かつ白の専門家でもあるジャン・マルク・ルーロは2019について、1990年に似て「あまりにも芳醇すぎる」としてあまり好みではないと告白した。

一方で彼の大親友であり近隣でもあるドミニク・ラフォンは2019の親しみやすさを喜ばしく感じているようで、美味しいと感じられる若いワインを全て疑ってかかるイギリスのブルゴーニュ・ワイン愛好家たちをチクリとけん制した。事実、2019の赤は人によっては甘すぎると感じるものもあるだろう。

おそらくこのヴィンテージは最も長命なものとはならないだろう。だが、モローが指摘したようにブルゴーニュのワインはいずれにしても早くに飲まれてしまうのだ。私が話した中では誰一人として、2019が(他のいくつかのヴィンテージのように)熟成のどこかの段階で閉じてへそを曲げてしまうとは思っていないようだった。

さらにいい知らせがある。シャンボール・ミュジニーのフレディ・ミュニエが嬉しそうに話したところによると「我々は凡庸なワインは全て排除しました。平均的な品質はかつてないほどに高いですよ」。私もそれに同意するし、さらには元も低い価格帯で品質も同様とみなされているワインに最も顕著な品質の向上が見られたと考えている。テイスティングした中で通常のACブルゴーニュ2019の美味しい例は枚挙にいとまがない。これらは1本あたり3桁、あるいは4桁(訳注:ユーロまたはポンド)し、熟成に長い時間のかかるグランクリュよりもはるかに価格に見合う価値が高いと言えるだろう。

今後数週間でイギリスのワイン小たちが販売価格を発表するだろうが、真に尊敬を集める作り手から1本あたり25ポンドという超安価なワインの発売があることを期待したい。それはブルゴーニュという文脈で考えればまさに掘り出し物であることは請け合いだ。

期待を上回る2019ブルゴーニュ

品種の記載がない場合、白はシャルドネ、赤はピノ・ノワールだ。アリゴテは暑い夏にその本領を発揮する。

●白ワイン

Dom Arnaud Ente Aligoté

Dom Arnaud Ente

Pierre-Yves Colin-Morey

Dom Michel Lafarge, Raisins Dorés Aligoté

Benjamin Leroux

Dom Marquis d'Angerville

Dom Sylvain Pataille, various hand-crafted Aligotés

Dom Guy Roulot

●赤ワイン
Dom Denis Bachelet

Dom Arnaud Ente

Dom Michel Lafarge

Dom Marquis d'Angerville, Passetoutgrains (ピノ・ノワールとガメイ半々のフィールド・ブレンド)

Dom Marquis d'Angerville

Dom Perrot-Minot, Gravières des Chaponnières

Dom Georges Roumier

Fanny Sabre

Dom Cécile Tremblay, Bourgogne Côte d'Or

テイスティング・ノートはこちらのガイドを参照のこと。

原文

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