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シュナン、半球を超えた奇跡

• 5 分で読めます
South Africans intronised in Vouvray

上の写真(詳細は下記)で強く結びつけられた二つの産地、ロワールと南アフリカ、そのどちらにも、偉大なシュナン・ブランが存在する。この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

もしかしたらシュナン・ブランは世界で最も過小評価されている品種かもしれない。この品種から作られるワインは酸が高いため、一般的にはその本質が花開くまで時間がかかる。だが瓶内で時を経ることでその本領を発揮し、世界で最も上質な白ワインの頭角を現し始める。重要な点はその熟成が数十年にもわたることだ。長期熟成に耐えることすなわち品質の証でもある。

フランスでシュナン・ブランの故郷と言えばロワール渓谷にあるヴヴレイだが、かつて夏に気温が上がらない冷涼な時代には、若いヴヴレイは比較的気難しかった。商業的な生産者たちはその酸の高さとバランスを取るため、あえて糖分を残していたこともあり、ワイン愛好家たち、特に反残糖派たちはヴヴレイ、あるいはシュナン・ブラン自体をまじめに取り上げようとしなかった。

一方、南アフリカにはロワールよりも多くシュナン・ブランが栽培されている。実際、シュナン・ブランはこの国で最も栽培面積の広い品種だ。だが20世紀が終わるころまで、南アフリカの生産たちはシュナン・ブランを馬車馬的な品種として扱っていたため、その名声が轟くことはなかった。そのためシュナン・ブランは流行の品種や、近代的なフランスからの輸入もの、例えばソーヴィニヨン・ブランやシャルドネなどに植え替えられる傾向にあった。

ところがこの20年ほどの間に南アフリカでのシュナン・ブランの地位は革命的なほどに変わった。その立役者の一人がワイン生産者であるケン・フォレスターだ。彼が1993年にステレンボッシュで既存のワイナリーを購入した際に他と違ったことは、シュナン・ブランを引き抜くことを拒み、以来一貫して南アフリカのシュナンの名声を確立してきた点だ。

「シュナン・ブランが南アフリカの筋書きをどのように書き換えてきたのか、そして今後書き換えていくのかなんて、私にはわかりません。」私が彼にあててケープのシュナンの最近の様子を尋ねた際、彼はメールにこう書いてきた。「ただ、私自身が素晴らしいワインに出合ったり、新しい世代がシュナン・ブランを当たり前のものとして捉えているのを見たりすると本当に嬉しくなります。彼らは市場がシュナン・ブランに興味を示さなかった時代を知りませんから。1990年代、私の隣人たちが比較的真顔で『シュナンにフレンチオークを使って元が取れると思っているのなら、往復チケットの帰りの分を使ってヨハニスブルクに帰ることになるよ!』と私に言っていたこともね。最近の若者たちはシュナン・ブランを素晴らしいワインを作るために必要なブドウだと捉えています。まさに現代のおとぎ話が現実になったようなものですよ!」

フォレスターは2000年の南アフリカのシュナン・ブラン協会設立にも貢献している。そしてその3年後にはロワールのフォントブロー修道院でランデヴー・ド・シュナンというフランスのワインコンクールに南アフリカが参加する枠を確保した。

それとほぼ時を同じくして、1990年代にフォレスターがインターンをしていたベルナール・ジェルマンが、フォレスターが南アフリカで企画したシュナン・シンポジウムで基調講演を行った。ジェルマンはそこで、のちに南アフリカで最も有名なワインとなるサディ・ファミリーのシュナン主体のブレンド、パラディウスを紹介した。内陸にあるワイン産地、スワートランドの無灌漑の株仕立てのブドウを世界に知らしめることとなったこのワインに最初のきっかけを与えたのが彼なのだ。「イーベン・サディはその場にいて、その日はあまりに興奮しているのでテーブルをひっくり返して叫び出したいほどだと私に言っていたことをはっきり覚えています。」

南アフリカでのシュナン・ブランの地位がトップ生産者たちによって確立されたこともあり、2019年7月にロワールのアンジェで初めて開催されたシュナン・ブランに特化した国際会議には南アフリカから45もの生産者が参加した。彼らは冬の南アフリカを抜け出して北半球に向かい、これまで見過ごされてきた品種による2か国の表現法の違いを比較することがかなった。上の写真に写っているオールド・ヴァイン・プロジェクトのアンドレ・モルゲンタール(Andre Morgenthal;左)はその旅の間にヴヴレイのOrdre de la Chantepleure を受章した南アフリカ人の一人だ。

南アフリカで最も上質で(今や)最も尊敬を集めるワインの多くはシュナン・ブランを主体としていて、特にこの国の豊かな遺産とも言える古木によるものが多い。ありがたいことに、今では古木を使ったワインを見つけるのは簡単だ。南アフリカのオールド・ヴァイン・プロジェクトによる認証シールがボトルネックに貼られているからだ。この認証制度には樹齢が35年を超えるおよそ2000ヘクタールものシュナン・ブランが登録されており、中には樹齢が80年を超えるものもある。

樹齢のせいか、はたまた温暖な気候のせいか、南アフリカのシュナン・ブランはロワールに比べてフレッシュで早熟の傾向にあるが、瓶内で優に10年は熟成が可能で、中にはその品質の高さの証として、20年以上熟成するものもある。イーベン・サディは、自身のデビュー・ヴィンテージである2002ですら、今でも繊細で健全な状態だと語る(それに比べ、例えば多くの2002ブルゴーニュ白は現在ではかなり不安定だ)。

私は最近シュナン・ブランについて考える機会が多かった。読者からのリクエストに刺激され、40種ものシュナンをテイスティングしていたからだ。そのヴィンテージは2019から、ロワールのブドウの達人で、ドメーヌ・ド・ラ・タイユ・オー・ルーの、その名もジャッキー・ブロットが作った驚くべき2002に至るまで幅広い。

彼は自身のテリトリーでシュナンを使うことについては、ことさら強調する必要はなかった。その品種は長きにわたり重要な選択肢として崇拝されてきた歴史があるからだ。だが、彼が強調する必要があったのはそのアペラシオンだ。モンルイはヴヴレイの近くにある小さなアペラシオンで、常にヴヴレイより劣っているとみなされてきた産地だ。だがブロットはその献身的な努力によって上質な成果物を生み出し続け、最も尊敬を集める醸造家の一人にまで登りつめた。

1988年、彼は8ヘクタールの古木の畑をモンルイでも最高の場所で購入し、少しずつそれを拡大していった。現在ドメーヌ・ド・ラ・タイユ・オー・ルーは樹齢20年から100年のシュナン・ブランを45ヘクタール所有し、その一部は隣のヴヴレイにもある。彼は(近年のロワールではそれほど一般的ではない)手摘み、有機栽培、目立った傷がなくてもブドウを厳しく選果すること、そして地元の岩盤を掘って作ったセラーで、テンションのある引き締まったシュナンをほぼ古樽で発酵及び熟成を行うことの先駆者だった。これらの技術は全て広く受け入れられるようになったものだが、1990年代当時は革新的だった。彼は自身の畑を映し出す長命なスティルワインだけでなく、世界で最もお買い得なスパークリングワインも作っている。

ロワールと南アフリカはシュナン・ブランが本当の意味で重要視されているただ二つの場所と言えるかもしれない。だが世界にもシュナン愛に溢れる飛び地は存在する。ニュージーランドのザ・ミルトンや、カリフォルニアではデルタにあるクラークスバーグやサンタ・イネズ・ヴァレーにあるジュラシック・パーク・ヴィンヤードなどはシュナン・ブランの古木で有名だし、新進気鋭の生産者たちが長年にわたり注目している品種がシュナンなのだ。

最後に、シュナン・ブランは最もバリエーションに富んだ品種でもある。シャルドネ同様シュナンはその酸の高さのおかげで偉大なスパークリングワインも作るし、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのように最高品質の甘口ワインも作る。これほどまでに多様なスタイルのワインを作ることができる品種を私は他に知らない。

シュナン・ブランの王者たち
以下のリストの他にも沢山あるのだが・・・

南アフリカ
100%シュナン・ブランではなくシュナン主体のブレンドも含む。

Alheit, Cartology

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David & Nadia, Skaliekop, Hoë-Steen and Plat'bos vineyards

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Ken Forrester
Mullineux, Old Vines White
Perdeberg Cellars, The Dry Land Collection
Rall

エヴァ シュナン ブラン [ 2018 ]ラール ワインズ ( 白ワイン )[S]
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Sadie Family, Palladius

パラディウス [ 2018 ]サディ ファミリー ( 白ワイン ) [S]
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Wolf & Woman

ロワール渓谷
Vincent Carême, Vouvray

ヴーヴレ・セック [2013] ヴァンサン・カレムVincent Careme Vouvray Sec
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Dom du Closel, Savennières
Damien Laureau, Savennières

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Anne-Claude Leflaive, Clau de Nell, Val de Loire

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Frédéric Mabileau, Anjou
Pithon-Paillé, Anjou
Dom de la Taille aux Loups, Montlouis

こちらの記事も参照のこと。

原文

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