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ワインを賢く買うには

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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズに掲載されている。UK wine trade faces up to Brexitも参照のこと。

キム・アンダーソン(Kym Anderson)教授はアデレードを拠点としているが、国際的に知られている功績と言えばこの上なく活動的なアメリカワイン経済学会(American Association of Wine Economists)の共同創立者であることだろう。彼らの発表する論文には「ワイナリーの経費における樽購入決断の分析」や「垂直差別化、イメージ改革、ワインの選択~キャンティ・ワインのグラン・セレツィオーネの場合」などがある。

先月、EU脱退の住民投票を受けてサセックス大学で立ち上げられたイギリス貿易政策研究所(UK Trade Policy Observatory)に促され、スコットランドでの休暇を中断してロンドンのチャタムハウスに駆けつけた彼が発表した論文は「ブレグジットはイギリスおよび世界のワイン市場にとって損失か?」だった。

そして残念なことに、彼とその共同研究者であるグリン・ウィットワー(Glyn Wittwer)による経済モデルに基づいたその答えは疑いの余地なくイエスだった。彼らの考える最悪の、そしておそらく最も可能性が高いであろうシナリオによると、2025年までにイギリスでのワインの価格は22%上昇し、消費は28%減少、イギリスへのワイン輸入は27%減少する見通しだ。

アンダーソンによると、このことはポンドの下落だけに起因するものではなく、輸入ワインにかかる関税の増加だけが主要な原因でもない(1本あたりの価格上昇は10ペンス以下で消費税の増加より低い)。主な理由はイギリスの全体的な経済の低迷にあるというのだ。彼の予測ではイギリス人は自由に使える収入が減り、ワイン購入はその経済の中で最前線に立たされることになる(聴衆の中には彼はイギリス人のワイン好きを過小評価していると感じた人もいたようだが)。

しかしアンダーソンによると、ブレグジットが大打撃を与えるのはイギリスのワイン消費だけでなく、事実上世界の市場全てだ。イギリス人の有名なワイン好きと、そのワイン商としての歴史はイギリスが歴史的にワインの市場として非常に重要だったことを意味する。今世紀初め価格ベースで世界の輸入ワインの20%以上を担っていたのはイギリスだ。この比率はブレグジットの嵐が吹き荒れた昨年ですらまだ14%である。

オーストラリア、ニュージーランド、アメリカから輸出されるワインの数量ベースで三分の一以上はイギリスに送られるが、イギリスがその輸入を削減すればそれまでイギリスに輸出していた国々は他の市場を探さねばならず、それらの市場には限りがあるため、世界中でワインの取引はより競争率を増すことになるというのがアンダーソンの指摘だ。

ではこれら嘆かわしい例が全てではないにしろ一部が現実となるとすると、世界のワイン愛好家が取るべき対策は何だろう。

●高級ワインは古いヴィンテージを買え

昔から熟成したワインは若いヴィンテージよりもコストパフォーマンスがよいとされてきた。新しく、特に最近点数が付けられたワインのワクワク感は若いワインへの情熱を掻き立てるが、それらは成熟するまでに数十年もかかる代物だ。古いヴィンテージの実際に飲みごろのワインについては、もちろん購入者はそれが適切に保存されていたか確認する必要があるし、有名なオールド・ヴィンテージであればその由来に疑問符がつくものもありえる。しかし高級ワインの取引を(けしてイギリス国内だけでなく)担うイギリスのワイン商やトレーダーから購入すれば、古いものと新しいものの差額はこれまでになく大きい。なぜなら古いワインは昔価値の高かったポンドで購入されたものであり、一方で現在提供されている新しいものは、特に2016ボルドーに見られるように、ポンドの弱さを反映しているからだ。2016のボルドーなどは価格を吊り上げすぎた2009や2010よりも高い価格でリリースされ始めているのだ。馬鹿々々しい!

熟練のレストランのワインリストを狙え

長きにわたり名声を確立してきた最高級のレストランは長い歴史の中での購入と値付けに基づいて在庫を揃えている。また、市街地のように高い不動産価格に悩まされない郊外のレストラン、たとえば最近移転したトロワグロ(Troisgros)、ランスのル・クレイエ(Les Crayères)、徹底的に田舎風にしつらえたフランスのミシェル・ブラス(Michel Bras)、ドイツのシュワルツワルトにある古典的なシュワルツァー・アルダー(Schwarzer Adler)などは特に魅力的だ。

マンハッタンの中心部でもルージュ・トマト(Rouge Tomate)やレベル(Rebelle)などはお手ごろだ。マイアリーノ(Maialino)や最近ではオットー(OTTO)のリストに載っている熟成したイタリアンは秀逸だし、その価格は特に非常に古いヴィンテージになると市販価格より安いこともある。マーロン・アベラ(Marlon Abela)とナイジェル・プラッツ・マーティン (Nigel Platts-Martin)はロンドンで最もワイン愛好家に優しい店だろう。London for wine lovers(和訳)も参照のこと。

通貨の弱い国のワインを狙え

南アフリカは引き続き品質に対して劇的に低すぎる価格が付けられたワインの供給源であり、その理由はわからないが南アフリカワインは間違いなく、本来そうあるべきなのにも関わらず有名にもならなければ追い求められることもないワインだ。おそらく単にケープのワイン・シーンが理解されていないためということもあろうが、ランドの弱さもその理由の一つとして容易に想像できる。チリ同様、南アフリカもEU加盟国への輸出には非関税の特典を享受することができる。

最近まで続いた鉱業への中国の影響によるオーストラリア・ドルの強さは世界で最も熱心なこのワイン輸出国(かつイギリスにとって数量、価格ベースともに最も重要なワインの提供国でもある)に歯止めをかけていた。だがオーストラリア・ドルが弱まってきた今、洗練されてきたこの国のシャルドネなどが我々にとって魅力となるだろう。

イギリスワインを買え

この話題も続けよう・・。イギリスワインの品質はその価格よりもはるかに早く向上している。多くのイギリスのスパークリング・ワインは同じ価格のシャンパーニュに引けを取らない。現在イギリスには2000ヘクタールものブドウ畑があり、10年前の2倍以上だ。ポンドを通貨としている読者の皆さんにとって、イギリスワインは輸入物よりもその価値をどんどん増してきているはずだ。

オーストラリア人、多くのアジア人は海外の高級ワインを狙え

ワインに関する税が金額に対するパーセンテージで課されるオーストラリアや多くのアジアの国では、イギリスのように1本一律2.16ポンド(それに消費税が20%)という国よりも高級ワインは遥かに高くなる。多くのオージーたちは彼らの誇るペンフォールズ・グランジがウェイトローズ(訳注:イギリスの大手スーパー)で自国よりもはるかに安く販売されていることに驚く。

タイ、インド、中国では輸入ワインに過酷な従価税がかかる。その偉大で素晴らしき例外が香港だ。2008年関税は撤廃され、それ以来この地域はアジアの高級ワインのハブとなった。多くの中国人の個人セラーには多くのボトルが保管され、それらはまさに物理的に国境を越え中国本土へ持ち帰られている。

驚くほど低価格のつけられた奇想天外なワインリストを探せ

ヨーロッパ全土、あるいは他の地でも、熱狂的なワイン愛好家が経営するレストランは世界中から集めた素晴らしくコストパフォーマンスのよいものを同じ志を持つ人々と共有したいと願っている。彼らはそのコレクションをうまくやりくりしているのだが、それは(典型的には)それが型破りであるからだ。下の一覧を見て、もし他にも候補があればぜひ [email protected]にメールを送ってほしい。我々はこのお薦めリストをより充実させたいと願っている。ウォルターが偶然にも指摘してくれたのは、イタリアのほとんどのレストランの利益率は他国、例えばイギリスやアメリカと比べてはるかに低い点で、「僕は天国に住んでいるようなものだ」と話していた。

ワインリストの価格設定がこの上なく低いレストラン

まだまだ網羅しきれていないものの、ワイン好きな所有者が現在の市場価格を良い意味で無視しているレストランだ。


フランス

Le Channel, Calais, パ・ド・カレー
Le Coq de la Maison Blanche, St-Ouen, パリ北部
Auberge du Pot d'Etain, L'Isle sur Serein, ブルゴーニュ北部
Les Bouteilles, Nantes, ロワール
Restaurant de la Gare, Gewenheim, アルザス
Beaugravière, Mondragon, ローヌ渓谷

イタリア

Locanda Aurilia, Loreggia, ヴェネト
Locanda del Colonnello, Modica, シチリア

スペイン

Elkano, Getaria, バスク地方
Rekondo, San Sebastian, バスク地方
Villa Más, Sant Feliu de Guíxols, コスタ・ブラバ

アメリカ

Bern's Steak House, Tampa, フロリダ州
Blackstone Steakhouse, Melville, ニューヨーク州
Cowboy Ciao, Scottsdale, アリゾナ州

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