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距離を縮めるナパとボルドー

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この記事のショート・バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。Smart Americansも参照のこと。

先日ロンドンでのディナーで隣に座っていたのはブルゴーニュをこよなく愛する一流の弁護士だった。彼はカリフォルニア北部に移住することを決めており、すでにワイン産地に家を持っていると話していた。そのディナーに向かう前には、ワインを愛するスタンフォードの教授と全く別の打ち合わせをしていた。このような細かな話を書く理由は、どちらの男性もワインに対する興味が非常に強く、アメリカの著名な産地と強い結びつきがあり、知性の高い人物であることを言いたかったからだ。

どちらの場面でもナパ・ヴァレーのカベルネの価格が話題に上った。その際にはどちらの男性も信じられないという風に首を振って天を仰いでいた。

その翌週、私はハーラン・エステートの最新ヴィンテージ、2014をテイスティングしていた。その価格は課税前で584ポンドだ(同様の条件下でボルドーの1級シャトーは320ポンドである)。これはハーランの長きにわたるイギリスへのインポーター、ソーマン・ハント(Thorman Hunt)が例年開催する最高のナパ・ヴァレー・カベルネの紹介に合わせて企画されたものだった。おそらく、いや明らかにソーマン・ハントがテイスティングを開催したのは初めてだろう。これまではただワインを配分していただけだった。

長いこと私はナパ・ヴァレーのカベルネの価格を、驚きをもって観察してきた。野心的なブランド・オーナーのつける価格の最低基準は100ドルが相場であり、そこから急速に上昇する。ナパ・ヴァレーのワインはなにか容器に密閉された泡の中に存在するもので、どんどん膨張しながら、景気のいいカリフォルニアの経済と世界で最も美しいワイン産地のすぐ南に拠点を置く裕福なシリコン・ヴァレーの有力者たちに守られているのではないかと感じた。

ワイン生産者の視点から見てさらに良いのは、ナパのいわゆるカルト・カベルネの多くが誰に何本配当するかを決めるメーリングリストによって消費者に直接販売されることだ(仲介業者がいないのである。ボルドー人はどれほどこれをうらやましがるだろうか!)。

だが先ごろの経済危機で需要に陰りが見えた。かつてメーリングリストの上位を狙っていたワイン収集家の中にはその支払いを一人で負担するのではなく自分への配当を誰かと分け合おうとするものも出てきた。さらに若いワイン愛好家はかつて最高級のナパのワイナリーでうまくいっていたボーイズ・クラブ的な販売方法にそれほど影響を受けなくなっている。

毎年2月に開催されるプレミア・ナパ・ヴァレー・オークションではナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ支援のために珍しいワインが提供される。昨年10月の山火事の被害を考えると、入札者の間にも寛容な空気が流れることが期待された。ロットの大半を占める2016ヴィンテージは評価も高いものだったからなおさらだ。ところが今年の1本あたりの平均価格は3年連続で減少した(とはいえそれでも200ドルを優に超える、すなわち市販価格は300ドルを超えるということになるのだが)。

ハーラン・エステートのディレクターで毎年生産されるおよそ2万本のワインの配当の責任者でもあるドン・ウィーバー(Don Weaver)が今年ロンドンでテイスティングを開催したのもナパのカベルネ市場がやや軟化しているという兆しなのだろうか?上の写真はロンドンの豪奢なワインショップ、ヘドニズムで開催された、参加チケットが250ポンドというテイスティングでウィーバーが1992までさかのぼる6本のハーランを紹介しているところだ。

生産量がごく少量で外交的な入札者にこよなく愛されるチャリティー・オークションの目玉であるスクリーミング・イーグルを除き、ナパのカベルネの価格に関してはハーラン・エステートが群を抜いている。ソーマン・ハントはすでにハーラン・エステート2014の300本のボトルをイギリスの小売店やレストランに販売するべく配分を済ませているし、収穫量が比較的多かった2012も同様だ。そしてウィーバー同様、それらは常に売り切れるのだと話した。

ハーラン・エステートの所有者であるビル・ハーランは実質的に地元の大地主であり、ナパ・ヴァレー全体の中で最も抜け目のないビジネスマンと言えるだろう。そのためハーラン・エステートの価格は初めて商業的にワインを生産したヴィンテージで、ナパ・ヴァレーの1級シャトーを作るという信念の下に投じられた最初の一撃である1990の頃から常に、寛容とは程遠い価格帯だった。

ハーランが最初にナパのワイン事業に参入した際、最初の予定ではセント・ヘレナ近くのシルバラード・トレイルから少し外れた狭い谷地を購入するはずだったが、ナパの偉大な父、ロバート・モンダヴィは彼にその場所ではそこそこのワインすら作れないから、現在彼のオークヴィルのワイナリーがある谷の西側の土地を買った方がよいと助言した。何とも素晴らしい助言である・・・そしてハーランはその後この谷の最も豪華なリゾートであるメドウッドを谷の東側に設立した。

ドン・ウィーバーに現在の価格について尋ねたところ、彼は微笑んで「私がハーランにささげている時間は全てその価格を正当化するために使われてきました。それが1本65ドルだった頃から、オーパス(ワン)より10ドル高くなった時までね。」

ソーマン・ハントのリチャード・ラシュブルック(Richard Lashbrook)は彼らが1994を41ポンドで販売したことでハーランはその知名度を得たのだ(アメリカのワイン王ロバート・パーカーは100点をつけた)と語った。ではイギリスで誰がこのようなワインを買うのだろうか?ロンドンの金融街のど真ん中にあるワインショップ、アンコークド(Uncorked)はこれまでに作られたすべてのヴィンテージをほぼ同じ消費者、特にイギリス在住のアメリカ人弁護士たちに個別に販売し、完売してきた。

ノエル・ヤングは(イギリスの)ケンブリッジで、特に個人に的を絞ったワイン事業で成功を収めてきた。彼は何年もの間ハーラン・エステートをテイスティングすることなく販売してきたので、これほど価格が高騰するワインが一体な何者なのか知る機会を(テイスティングで)得ることを歓迎していたが、一方で彼がハーランを販売する顧客は金銭的に余裕がある比較的ワインの初心者が多いが、中には無慈悲に上がり続ける価格に阻まれ途中で挫折するものもいると話した。

先日6つのヴィンテージのハーランと、ナパで高評価を受けている3ダースほどのカベルネをテイスティングする嬉しい機会があり、これ以上ないほど素晴らしものもあった。それを(ナパのそれほど良くないワインには絶えず付きまとう兆候として)甘すぎてアルコールが高すぎると却下するのはある種偏見を持った人だけだろう。

ワインをヨーロッパで購入することに慣れている向きからすると価格に手ごろ感がないかもしれないが、カリフォルニア人はおそらく地価の高騰、地方税、そしてトランプ政権の下メキシコ人労働力への圧力が増すことによってナパ・ヴァレーのブドウの価格が1トン2万ドルから5万ドルへ跳ね上がっていることに言及するだろう。

いずれにしても世界でカベルネの偉大さを示す二大中心地、ナパとボルドーはこれまでにないほど近づいている。ビル・ハーランの息子ウィルはヨーロッパじゅうを旅しながら新たなプロジェクトであるプロモントリー(Promontory)を紹介しているが、それは現在増えている海外の野心的なワイン同様、ボルドーの市場を通じて販売されている。また最近では著名なボルドー人によるナパ・ヴァレーへの投資が相次いだ。LVMHはコルギンの株を取得し、フランソワ・ピノーはアラウホを購入しアイズリー・ヴィンヤードと名前を変え、シャネルのヴェルテメールがサン・スペリーを購入し、ポヤックのシャトー・ポンテ・カネの所有者は俳優の故ロビン・ウィリアムスのワイナリーを取得した。

これらの買収は同時にアメリカの消費者、理想的にはハーランのようなワインを買う余裕のある消費者が、フランスのワインに直接触れる機会を大いに増やすことになる。T

ナパのカベルネ生産者

イギリスではナパのカベルネはほんのわずかしか見かけないが、かつて1970年代以前の素晴らしいワインに魅了されて以来、私は隙あらばテイスティングの機会を掴んできた。いかに示す生産者は(もちろん全てを網羅した一覧ではないが)最近私がその品質の高さに強い印象を受けたワインを作っている。アスタリスクのついているものは価格面でも素晴らしい。テイスティング・ノートについてはSmart Americans Our California tasting - my notes、および160,000件強のテイスティング・ノートのデータベースを参照のこと。
Accendo
Bond
*Chappellet
*Chateau Montelena
*Corison
Dalla Valle
Diamond Creek
Dunn
*Frog's Leap
Harlan Estate
Kapcsandy
*Matthiasson
Opus One
*Ramey
Shafer
Staglin Family
Stag's Leap Wine Cellars
Spottswoode

(原文)

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