この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証・編集したものです。(監修:小原陽子)
世界は不要なワインであふれ返っている。この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。 上の写真は南オーストラリアのワイン・タンク群。
現在のウイスキーの過剰在庫に関する記事を読みながら、私の好きなもう1つのアルコール飲料、ワインの供給過剰について考えさせられた。
蒸留業者は過剰在庫を熟成させるため新しい倉庫を建設しなければならないと言うが、今生産されているワインにその選択肢はない。そのほとんどが1年以内に飲まれる想定で造られているからだ。また、ジム・ビームは他の蒸留業者や醸造業者同様、大々的な広告に使われたケンタッキー州の生産拠点を少なくともこの1年、閉鎖するという単純な選択をしたが、ワイン生産者にはそのような選択肢もない。ブドウ栽培者が毎年秋には収穫すべき作物に直面するからだ(最近ではそれがどんどん早まって夏の終わりのこともある)。
現在、南半球ではブドウの成熟が待ったなしの状態だが、その行く先はどこなのだろう。業界団体であるワインオーストラリアによれば、オーストラリアの生産者は現実的に販売できる量の約2倍のワインを在庫として抱えていることが確認されており、その売り上げはオーストラリア国内ですら、ほぼ全ての地域で減少している。ワインでタンクはまだいっぱいで、さらに2025年のブドウは比較的豊作が見込まれるため、今年もブドウ買取の大規模キャンセルが発生し、相当な割合のブドウが樹上に放置される予想だという。
最も苦境に立たされているワイン産地、ボルドーと南ローヌ(彼らのワインはフランスの小売価格で1本2ユーロ未満だ)と並んで、全オーストラリア・ワインの70%を供給し、灌漑を常とする内陸部のワイン産地は、世界的なワイン需要縮小の最も明白な犠牲者の1つだろう。追い打ちをかけるように灌漑用水は近年大幅な高騰を続けており、ブドウの樹を引き抜いた栽培者にフランス政府が金銭的な補償を行っている記事を目にしたオーストラリアの栽培者たちは、強い不満を抱いている。
オーストラリアのワイン生産がグローバルな大企業2社に支配されている構図もまた楽観視できない。見通しが明るい時代だったら、彼らが余剰ワインの多くを吸収してくれることが期待できた。だが、その1社であるトレジャリー・ワイン・エステーツ(Treasury Wine Estates;TWE)は最大の輸出市場である米国と中国の低迷を理由に、昨年下半期の利益は予想を大幅に下回ると投資家に警告を発した。同社はオーストラリアのペンフォールズ(Penfolds)やウィンズ(Wynns)などのブランドに加え、比較的最近買収したものも含めカリフォルニアの数々のワインブランドも所有している企業だ。もう1つの大手ワイングループは最近アコレード(Accolade)から社名を変更したヴィナーキー(Vinarchy)だ。TWEのペンフォールズに対抗するブランドとしてハーディーズ(Hardy’s)を擁する同社はフランスの飲料グループが2024年にワイン事業から撤退した際、ペルノ・リカール(Pernod Ricard)のブランドを引き継いだ。彼らは現在、オーストラリアのジェイコブス・クリーク(Jacobs Creek)やスペインのカンポ・ビエホ(Campo Viejo)などの復調に一縷の望みを託している。
(ちなみにオーストラリアのワイン販売も、コールズ(Coles)とエンデバー(Endeavour)という2つのグループ会社に危険なほど集中している。)
20世紀末にオーストラリア・ワインの輸出ブームを牽引したのは力強い赤ワイン、特にシラーズだが、それを主力とする産地は今やオーストラリアで最も困難な状況に陥っている。世界的な嗜好が白ワインや軽やかでフレッシュな赤ワインに向いているからだ。
オーストラリアのワイン業界にブドウの苗を供給する最大手企業、チャルマーズ・ナーサリー(Chalmers Nursery;育苗所)のキム・チャルマーズ(Kim Chalmers)は、内陸部のミルデューラ(Mildura)を拠点としている。この地域最大のワイナリーであるカラドック(Karadoc)は、かつて400人の従業員を抱えていたが、2024年にトレジャリー・ワイン・エステーツによって閉鎖された。彼女は、栽培者について「接ぎ木や植え替えによる白品種への転換に慌ただしい状態です。ただ、あまりに転換が急すぎて、大きな揺り戻しの懸念があると考えています。農業において永年性の作物を反射的な判断で変更する場合に必ず起こることです。2026ヴィンテージの白ブドウのスポット市場価格はすでに下落していますし、業界団体からは過剰修正という指摘が出始めています」と話した。
比較的価格帯が高く、白品種であるソーヴィニヨン・ブランを主戦力とし、長らくワイン輸出国として明るい話題を提供してきたニュージーランドでさえ、今は供給過剰に苦しんでいる。
ワイン業界では、この世界的な消費の低迷は全体として見ると必ずしも破滅的ではないという見方が強い。消費者が量より質を好んで飲むようになると考えられているからだ。私自身も、ワインはますます特別な贅沢品と位置付けられるようになり、中価格帯のワインが好調となる一方、スーパーマーケットの最下段に置かれるような安価なブランド・ワインが最も明白な犠牲者になると予想していた。
ところが、世界第1位と第3位のワイン生産国であるイタリアとスペインの現状について、それぞれウォルター(Walter)とフェラン(Ferran)に尋ねると、結果は意外なものだった。彼らは2人揃って、最も打撃が小さい産地はバルクワイン、すなわち入手可能な中で最も安価なワインを販売している産地だと言うのだ。イタリアは個人の経営難を認めることが面子に関わるという文化なので、あまり公言されてはいないが、ほとんどの産地の倉庫は売れ残ったワインで一杯だそうだ。一方ウォルターの情報提供者で、英国を拠点とするイタリア・ワインのブローカーによれば、好調なのは業界向けに1本2ユーロ以下で販売されているワインだけだという。
スペインのワイン生産者の場合はイタリアと違い、効率的に収集された統計によって各産地の販売量と価格の実情が詳らかにされている。最新の統計によると、1925年にスペイン初の公式アペレーションとなり、今年100周年を祝う広大かつ赤ワインに大きく依存する産地、リオハは2025年の最初の9か月間に輸出量の18.5%減という苦境に立たされている。白のスパークリング・ワインであるカバはカタルーニャのワイン生産現場では主力選手だが、その売上もさらに大幅に下落している。伸びが見られたスペインのワイン産地は、バレンシアとカスティーリャ・ラ・マンチャだけで、後者は世界の主要なバルクワイン(およびブドウ濃縮果汁)供給地の1つであり、その価格は1リットルあたり平均0.5ユーロに満たないほどだ。最大の買い手はドイツとフランスで、ピレネー山脈を越えた(訳注:ライバルである)ラングドックの「武闘派」ブドウ栽培者たちを大いに落胆させている。
一方カリフォルニア州ソノマのすぐ南に本社を構え、世界の主要ワイン生産国10か国に支店を持つチアッティ(Ciatti)は世界有数のバルクワイン・ブローカーだが、顧客の注文はこれまでになく少ないと報告している。
ただオーストラリアにとって幸いなことに、今年は過剰なほどの豊作ではないようだ。収穫も昨年ほど暑く慌ただしいものにはならないだろう。チアッティのパートナー兼社長のグレッグ・レベングッド(Greg Levengood)は、今後数か月のうちに南半球で収穫される2026ヴィンテージのブドウ総収量は2025よりわずかに減少すると予想している。チリでブドウ栽培面積が大幅に削減されたことも一因だ。南アフリカのワイン生産量はほぼバランスが取れているようだが、アルゼンチンはオーストラリアやニュージーランド同様、バルクワインの供給過剰状態にある。そのため彼は在庫を持て余す生産者たちに「理想的でない価格であっても」売却を試みるよう助言しているという。
今後数カ月のうちに、キャッシュフロー確保に必死な南半球の生産者から2026ヴィンテージの白ワインやロゼワインが店頭に送り込まれることが予想される。それら価格の決定権はおそらく、ワイン業界のプロのワインバイヤーが握る買い手市場となるだろう。
基本の復習
ヴィンテージの変動と評判 |
|
ワインは他のアルコール飲料よりはるかに毎年の天候に左右され、その影響は生産量だけでなく品質にも及ぶ。ヴィンテージの違いは非常に重要で、温暖なワイン産地でも、その重要度が増している。今より気温が低かった時代には、良いヴィンテージに必要なのはブドウを完熟させるための十分な熱、日照、水だけだと考えられていたが、現在のように非常に暑く乾燥した夏を経験するようになると、過度な暑さでブドウから酸やフレッシュさが失われ、「魅力的な飲み物」としてのワインに不可欠な要素が損なわれる可能性がある。
ただし、気候変動とは単に温暖化を指すわけではなく、はるかに極端で予測不能なものである。山火事(現在は南アフリカとオーストラリアで猛威を振るっている)、洪水、雹、収穫量を減らす霜、深刻な熱波など、あらゆる事象が頻繁に起こるようになった。一方で、年や地域によっては、夏の気温が上がらなかったり雨が多かったりして、ブドウの成熟に苦労することもある。ブドウの樹はカビ病に非常に弱いため、雨が多ければカビ病や腐敗果が発生し、収量の低下、あるいは少なくともそのヴィンテージの評判を台無しにしてしまうこともある。それら不健全なブドウは、ほぼ採算が取れないレベルで大量に廃棄しなければならない。
ヴィンテージが大きく変動し得ることは周知の事実だから、主に生育期の天候をもとに早い段階でその評判が決まる傾向がある。しかし、これは不公平なこととも言えるのではないか。例えば、現在販売されているブルゴーニュの2024ヴィンテージ(詳細は来週書く予定)は、非常に気温が低く雨の多い、困難な生育期の産物だ。この産地では2021年同様、成熟した健全なブドウを得るのはまさに苦闘の連続だった。広範かつ執拗なカビ病に言及したヴィンテージ・レポートのおかげで、このヴィンテージの印象は決められてしまったと言える。だが、これら2つのヴィンテージでも評価に値するワインはある。ただ長期熟成向けではないだけだ。
優れた生産者は、生育期や収穫期の条件によらず、良いワインを造ってくれると信頼できる。彼らの多くはテロワールと同じくらい、ヴィンテージの変動をワインに映し出すことを楽しんでいるからだ。以下に、世間的には評判がそれほど高くないヴィンテージにもかかわらず、見事に造られたワインをお勧めしておこう。
|
恵まれないヴィンテージの優良ワイン
(これらよりも更に安いワインをお探しの場合は、2025年10月の私のコレクション10ポンド以下のワインを参照のこと。)
※訳注:以下の固有名詞についてはAIによるもので、日本市場におけるカタカナ表記との一貫性は確認しておりません。
白ワイン
モンテシージョ、ヴィーニャ・モンティ・レセルバ 2018 リオハ(Montecillo, Viña Monty Reserva 2018 Rioja) 13%
£40 ウェイトローズ・セラー(Waitrose Cellar)(1月27日まで3本購入で20%オフ)
M・シャプティエ、リュー・ディ・フェルス・リースリング 2021 アルザス(M Chapoutier, Lieu Dit Fels Riesling 2021 Alsace) 13%
£47.80 ミレジマ UK(Millesima UK)
赤ワイン
ラ・リオハ・アルタ、ザ・ソサイエティズ・エキシビション・レセルバ 2020 リオハ(La Rioja Alta, The Society’s Exhibition Reserva 2020 Rioja) 14%
£17 ザ・ワイン・ソサイエティ(The Wine Society)
シャトー・ド・ペズ 2021 サンテステフ(Ch de Pez 2021 St-Estèphe) 13%
£22.80 フォー・ウォールズ(Four Walls)、£37.20 ミレジマ UK(Millesima UK)
ドメーヌ・デ・オー・シャシ、レ・ガレ 2021 クローズ・エルミタージュ(Dom des Hauts Chassis, Les Galets 2021 Crozes-Hermitage) 13%
£26.75 コーニー&バロウ(Corney & Barrow)
ボデガ・ランサガ、ランサガ 2017 リオハ(Bodega Lanzaga, Lanzaga 2017 Rioja) 14%
£28.92 レイ&ウィーラー(Lay & Wheeler)
チリアーノ・ディ・ソプラ 2023 キアンティ・クラッシコ(Cigliano di Sopra 2023 Chianti Classico) 13%
£29.75 £35から値下げ スウィグ(Swig)
シャトー・グロリア 2017 サンジュリアン(Ch Gloria 2017 St-Julien) 13.5%
£43.20 フォー・ウォールズ(Four Walls)
ペトロロ、ボッジーナ A 2017 ヴァルダルノ・ディ・ソプラ(Petrolo, Bòggina A 2017 Valdarno di Sopra) 13%
£51.59 レイ&ウィーラー(Lay & Wheeler)
アルノー・モルテ、マ・キュヴェ 2021 ジュヴレ・シャンベルタン(Arnaud Mortet, Ma Cuvée 2021 Gevrey-Chambertin) 13%
£102.16 アイディールワイン(IDealWine)
ヴュー・シャトー・セルタン 2017 ポムロル(Vieux Château Certan 2017 Pomerol) 14.5%
£166.45 レイ&ウィーラー(Lay & Wheeler)、£213.20 コーニー&バロウ(Corney & Barrow)
写真:myphotobank.com.au on Shutterstock