The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト) | Mission Blind Tasting | Wine writing competition

サルデーニャ、急速な発展の地

• 5 分で読めます
Image

この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。テイスティング・ノートについてはRest of Italy assemblage参照のこと。

私のように溶けたチーズ、素晴らしい景色、多すぎない人、安心できる美味しいワインが好きなら、サルデーニャはあなたを待っている。この写真はカリャリでお気に入りの海辺のレストランの一つでのディナーの前、ちょうど日の入りの頃のものだ。

私はこの夏初めてこの島に旅をし、この島が大好きになった。今回は休暇の予定だったためワイナリー訪問はせず、ワインのプロとも話さなかった。他の旅行者同様、レストランのメニューからアルジオラス(Argiolas)、サンタディ(Santadi)、アグリコーラ・プニカ(Agricola Punica)ほど有名ではない名前をあえて選んだ。

ただし、少しだけ予習はしておいた。我らがイタリアのスペシャリスト、ウォルター・スペラーにいくつかの生産者の推薦をお願いしたのだ。最近のメールと、最新版のオックスフォード・コンパニオン・トゥ・ワインへの彼の偉大な貢献から、リストにしたのはコロンブ(Colombu)、ヌラーゲ・クラビオーニ(Nuraghe Crabioni)、アレッサンドロ・デットーリ(Alessandro Dettori)、ジャンフランコ・マンカ(Gianfranco Manca)、ジョヴァンニ・モンティーシ(Giovanni Montisci)、パーネヴィーノ(Panevino)、サルト・ディ・コローラズ(Salto di Coloras)だった。だが、なんということか私がこの島の南部と東海岸を旅している間に出会ったのはその中でたった1本だけだった。一方で、それは自然派ワインの長所に関する無償の授業でもあった。

県都であるカリャリの古い町で狭い通りをぶらつきながらアペリティフを探していたところ、サポリ・ディ・サルデーニャ(Sapori di Sardegna)に出会った。そこはイタリア人が得意とするエノテーケ(enoteche)の一つで、地元の軽食と共にワインをグラスで提供する店だ。この店の責任者は熱烈な自然派で、私たちだけでなく外の隣の店の客までも自然派に転向させようとした。

結果的に彼は2つのグラスでサルデーニャの代表的な白ブドウであるヴェルメンティーノの2015を、一つは一般的な手法で作られた、島の北東部でヨットの聖地でもあるコスタ・スメラルダのポルト・チェルヴォにあるヴィーニュ・スラウ(Vigne Surrau)、一つは自然派ワインの生産者であり島の北西部に拠点を置くアレッサンドロ・デットーリを選んで提供してくれた。その二つのグラスはこれ以上ないほど異なって見えた。

沈みゆく夕日の光が淡い麦わら色のヴィーニュ・スラウを輝かせ、ヴェルメンティーノのレモンのような果実味と爽やかな後味、それに軽やかな塩気が感じられた。デットーリのワインはその濃い黄金色を光が貫くのは難しく、褐変したリンゴのような香りがし、ものすごく強い味わいだった。黒いラベルにはアルコールが15.5%とあったが、この店主は誇らしげに実際は16%に近いのだと語った。私の口の奥の方には明らかにくすぶるような感覚があり、裏ラベルには私からするとやや不吉な感じのする生産者からのメッセージで締めくくられていた。「私たちは自分が好きなワインを作ります。それらはありのままの姿であり、こちらが欲しいと思う形ではありません」これはある意味ワインの記念碑であり、その大胆不敵さを評価されるものであるとは思うが、それを楽しむ必要はなさそうである。

私たちがこの島で楽しんだ実質的にほぼすべてのワイン、特にヴェルメンティーノに共通して言えるのは、それらが愉しみそのものだったことだ。品種としてのヴェルメンティーノはそれを求めるだけの価値があると思われる。けして果実味が不足することはないが、基本的にかなり早摘みすることによって十分な酸が保たれ、料理があってもなくても楽しむことができる。ヴェルメンティーノは島の北東部で栽培されており、1996年にヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラが唯一のDOCG、すなわちイタリア最高の格付けを取得している。これはいまだにサルデーニャ唯一のDOCGだ。カピケーラ(Capichera)のような一部の生産者はブドウをあえて長く樹上に置いておき、豊潤な(しかし甘くない)タイプのヴェルメンティーノを作っている。サルデーニャのヴェルメンティーノがどれも同じようなさっぱりと口の中を洗い流すようなタイプではないという証拠でと言えよう。

長い間、ヴェルメンティーノはサルデーニャと強く結びつけられてきたが、最近のDNA解析によるとリグーリアでヴェルメンティーノと共に栽培されているピガート(Pigato)、ピエモンテ、特にロエーロにあるファヴォリータ(Favorita)、南仏のロール(Rolle)、コルシカのマルヴォワジー(Malvoisie)という品種と遺伝子的に同一品種であることがわかった。

だがヴェルメンティーノという名前は他のものよりもファッショナブルで知名度も高いため、このVを使った名前が産地を問わず次第に広く使われるようになってきた。サルデーニャは400年間スペイン領だったために長いことヴェルメンティーノのルーツはスペインだと考えられてきたが、その証拠はない。事実、イタリア北西部由来である可能性の方が高いようである。

一方サルデーニャの代表的な赤ワイン用品種2つは間違いなくスペイン原産である。ヴェルメンティーノが白の代表格と言うならカンノナウ(Cannonau)は赤のそれであり、スペインのガルナッチャ、フランスの南部ローヌのグルナッシュと同一品種である。私はサルデーニャの生産者たちの間でこの品種が流行しており、この品種から生き生きとした、マドリッド西部のグレドス山脈で見出されるような驚くべきスタイルを生み出していることを知り嬉しく思った。その一方では豊潤でスパイシーかつ凝縮感のある、シャトーヌフ・デュ・パプのようなスタイルのものも見つけることができる(ローヌのそれよりもはるかに安価である)。

もう一つのスペイン系の赤用品種はサルデーニャではカリニャーノ(Carignano)、南仏一帯ではカリニャン、スペイン北部ではカリニェナと呼ばれるものだ。クオリティの低いフランスのカリニャンは酸が高すぎるきらいがあるが、私はかなり前にサルデーニャ南部の特産、カリニャーノ・デル・スルチス(Carignano del Sulcis)に魅了された。この晩熟な品種に魔法をかけるのはこの地の猛暑なのだろうか(サルデーニャの夏は非常に暑い)。

だが、私が偶発的なサルデーニャ・ワインへの旅の中で、最も楽しむことのできたワインは他にないものだった。我々はコスタ・レイの道端にあるトラットリア、Araxi e Mari di G Guidetti にランチのために立ち寄った。30度を超す猛暑の中シェフが男にまきをくべるよう指示していたことに同情したのもあった。そのワイン・リストは明らかにワインを愛する人物が作成したもので、特にコンティーニの2004ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノに興味をそそられた。これは辛口のテーブルワインで、その週の初めにとても美味しいと思ったワインと同じ、ヴェルメンティーノとヴェルナッチャのブレンドだった。

私がそのワインを新鮮な大海老のグリルと共にグラスで注文すると、ウェイトレスがそのワインは甘口だが大丈夫かと警告してくれた。だが私は島の西部で作られるこんな風変わりなワインを見逃すわけにはいかなかった。いずれにしてもフロール、すなわち辛口のシェリーの生産に欠かせない保護作用のある酵母についてワイン・リストで触れられていたことから、そのワインは辛口だと私は判断した。実際そのワインは極辛口だったが、素晴らしく満足のいく味わいであり、ナッツの香りのする辛口のオロロソがオレンジ・ピールの香りを伴って軽やかになったような味わいだった。12年物のこのお買い得なワインはイタリアおよびドイツでは13ユーロから、アメリカでは25ドルで販売されている。

この島ではそこかしこで心躍るような、そして基本的にはユニークなサルデーニャのワインが作られている。今後そのワインたちの多くがこの島から世界に飛び出してほしいと願う。

取り扱い業者はwinesearcher.comより。テイスティング・ノートについてはRest of Italy assemblage参照のこと。

サルデーニャのスター・ワイン

白ワイン

Contini, Componidori 2004 Vernaccia di Oristano 2004

Cantina di Mogoro, Puistèris 2012 Semidano di Mogoro

Cantina Gallura, Canayli 2015 Vermentino di Gallura

Ragnedda, Capichera VT 2014 Isola dei Nuraghi

赤ワイン

Chessa Cagnulari (Graciano) 2013 Isola dei Nuraghi

Cantina Oliena, Nepente di Oliena 2013 Cannonau di Sardegna

原文

購読プラン
スタンダード会員
$135
/年間
年間購読
ワイン愛好家向け
  • 296,262件のワインレビュー および 16,121本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • askJancisへのアクセス(AIワインアシスタント)
プレミアム会員
$249
/年間
 
本格的な愛好家向け

「メンバー」プランの内容に加えて

  • 最新ワインレビューへの早期アクセス(48時間前)
  • 最新記事への早期アクセス(48時間前)
プロフェッショナル
$299
/年間
ワイン業界関係者(個人)向け 
  • 296,262件のワインレビュー および 16,121本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • askJancisへのアクセス(AIワインアシスタント)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大25件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
ビジネスプラン
$399
/年間
法人購読

「プロフェッショナル」プランの内容に加えて

  • 最大250件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
  • レビュー依頼用のワインを提出可能
  • 従業員向けにメンバーシップを提供し、一元的に管理可能
  • APIアクセス(※別途料金)
Visa logo Mastercard logo American Express logo Logo for more payment options
で購入
ニュースレター登録

編集部から、最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。

プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。

More 無料で読める記事

Emptied plates and glasses after a meal by Jason Lowe
無料で読める記事 この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証・編集したものです。(監修:チャーリー・ギーガン、写真:ジェイソン・ロウ)...
Opus One winery
無料で読める記事 20世紀のワイン界のアイコンたちが関わった初の大西洋横断ジョイント・ベンチャー、オーパス・ワン。この記事の別バージョンは『フィナンシャル...
Old Vine Registry new seal 100+ years two versions
無料で読める記事 速報!オールド・ヴァイン・レジストリが記録を更新し、障壁を打ち破り、新たな地平を切り開いている。そして今、オールド・ヴァイン...
Ronan Sayburn MS, Sarah Abbott MW and Hannah Tovey at Icons tastings 2026
無料で読める記事 この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。 世界最高のシャルドネとは?も参照のこと。写真上、左から右へ:ロナン...

More from JancisRobinson.com

rosé picnic by Tamlyn Currin
テイスティング記事 暑さの中でもリフレッシュできる25の方法。 先週、ヨーロッパは6月としては記録的な熱波に見舞われた。今週は...
Constantino Ramos
今週のワイン 元化学者の正確さとブドウの樹の囁きを聞く者の魂で造られたヴィーニョ・ヴェルデの白ワイン。23ドル~、22ポンド~。写真上はラモスと...
Opus 1979-2000 tasting 19 May 2026
テイスティング記事 ヴァーティカル・テイスティングで、ジャンシスがカリフォルニアを象徴する赤ワインの画期的な始まりを振り返る。ロンドンの67パル...
Tony Bish in Tronçais forest
Don't quote me ブドウの樹に日陰を提供し、ワイン樽の材料となる森のテロワールは、ブドウ畑やワインと相互につながっている。写真上は...
Ch de Pennautier, Cabardès
Don't quote me キャンセルと治療に明け暮れた1カ月となった。 年配の読者の中には、コーニー&バロウの魅力的な人物として故ロビン・カーニック (Robin...
Rudd Mt. Veeder Estate
テイスティング記事 この人気の白ワイン品種の豊かな表現。写真上はラッドのマウント・ヴィーダー・エステート (© Rudd)。 過去3年間...
Symington 2024 vintage ports
テイスティング記事 ヴィンテージ・ポートにとって素晴らしい年となった。7年ぶりの一般宣言となったことから、すべてのポート・ハウスが1つ以上のヴィンテージ...
Brit Nat tasting 2026 by Em Drake
テイスティング記事 ブリットポップは脇へどいて。王冠キャップをポンと開ける論争とエッジの効いた態度を持つブリット・ナットの登場だ。 ヘンリーが書く...
JancisRobinson.comニュースレター
最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。
JancisRobinson.comでは、ニュースレターを無料配信しています。ワインに関する最新情報をいち早くお届けします。
なお、ご登録いただいた個人情報は、ニュースレターの配信以外の目的で利用したり、第三者に提供したりすることはありません。プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます.