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冬に飲みたい白ワイン

Saturday 9 January 2021 • 5 分で読めます
Cabin in woods and snow

Photo by [2Ni] on Unsplash.

読者のリクエストに基づいて書いたこの記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

南アフリカやオーストラリアではビーチで日焼けを楽しんでいる頃かもしれないが、北半球にいる我々にとって今は年間で一番寒い時期だ。寒さは赤ワイン愛好家がワインを開けるのは「暖を取るためだ」という口実を与えてくれる。ポート、シャトーヌフ・デュ・パプ、カリフォルニアのジンファンデル、そのプーリアでのいとことも呼べるプリミティーヴォなどが候補だろうか。

ワイン愛好家たちの中には単に赤ワインが好きでない場合もあるし、赤が体質的に合わない場合もあるだろう。チェビー・チェイスの投資マネージャー、エレン・B・サフィールはこう私に書いてよこした。「アパレル業界では冬の白は素晴らしいテーマで、毎年消費者の興味が高まっているように感じています。それを考えると冬にふさわしい白ワインというテーマで、凝縮感が高く複雑で、重いワインの提案をあなたにしてもらえたらと思うのです」。喜んでリクエストに応えようではないか。

そのようなワインを探すためにふさわしい産地は温暖な気候でブドウが完熟しアルコールが高くなり、結果として重さをもたらすような産地だが、同時にブドウが好ましい香りを発達させるためにゆっくり熟すことができる環境が必要だ。私はこれまで紹介してきたワイン生産国から探し始めたのだが、近年フルボディのワインを見つけるのは次第に困難になっていることに気づいた。

かつてはオーストラリアの白ワインが一様に重かった時代があったが、今世紀に入ると過ぎし日の骨太なシャルドネに対する反発が強まり、ほとんどのオーストラリアの白ワインは厳しいダイエットに向き合うようになった。かつてカリフォルニアのキスラーの重いシャルドネを手本にしていたジャコンダのシャルドネですら、かなりスリムになってしまったのだから。

バロッサ・ヴァレーの単一品種で作られるセミヨン(通常ラベルにはシンプルにセミヨンと表記される)は重さと特色を兼ね備えたワインのスタイルと認識していたのだが、最近のテイスティング・ノートをJancisRobinson.com で探ってみると、それらのアルコール度数は12%かそれを下回るものばかりだった。どうやらバロッサではかつてのリッチなスタイルから1600km東にあり、オーストラリア独自のスタイルを確立しているハンター・ヴァレーが作るアルコール度数の低いセミヨンを真似したスタイルに転換し始めているようだ。そんな中、トルブレックはバロッサ・ヴァレーのワイナリーの中でも重さと凝縮感に背を向けないワイナリーだ。彼らのウッドカッターズ・セミヨンはフルボディの辛口の白ワインとしてはなかなか良い例ではないだろうか。

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南アフリカもまた満足のいくフルボディの白ワインを提供してくれる。セミヨンはフランシュックにある有名な古木の区画から作られるものがブーケンハーツクルーフの象徴的なワインだ。2017のヴィンテージは「たったの」13.9%だが、クリーミーなテクスチャと深い味わいはまさに冬の白ワインとしてぴったりだ。

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フランスに目を向けると、ローヌ渓谷がまずは第一候補だ。白のシャトーヌフ・デュ・パプは望みをすべて満たしてくれる。ワイン自体は非常に爽やかで面白みがあり、以前よりも長命なものに仕上がっている。南部ローヌの他のアペラシオンも含め、白ワインの品質は全体に上がってきた。

北部ローヌではコンドリューを筆頭にヴィオニエ主体の白が理想的だ。ヴィオニエはその本懐であるクラクラするような花の香りを発揮するために潜在アルコールが非常に高くなる品種だからだ。最近コンドリューで最も有名な生産者、ジョルジュ・ヴェルネが昨夏リリースした白ワインをテイスティングしたが、アルコール度数は14から14.5%であるにもかかわらずワイン自体は非常にバランスがとれており、この上なく満足のいくものだった。シャプティエ、ガングロフ、ギガル、ステファン・モンテなども偉大なコンドリューを作る。

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結論として、ヴィオニエ、グルナッシュ・ブラン、マルサンヌ、ルーサンヌ、そしてヴェルメンティーノのブレンドおよびそれぞれの単一品種ワインはその産地にかかわらず注目に値することが言える。年明けにテイスティングしたアルゼンチンの新しいボデガ・テホのザハ・マルサンヌ2019はとても好みだった。オーストラリアのヴィクトリア州、ジャコンダにほど近いビーチワースにあるドメニカもマルサンヌやルーサンヌの素晴らしい使い手だ。ヴィオニエと言えばヤルンバはフルボディでありながら優れたオーストラリアらしいスタイルを作る名手であり、ヴィオニエ主体の驚くほど長命なワインを作る。ヴィオニエだけではなくグルナッシュ・ブランやマルサンヌ、ルーサンヌなど、ローヌの白ワイン用品種の多くもまた、その栽培地にかかわらずフルボディの白ワインを作る。有名どころではそのラインナップにヴェルメンティーノが加わるだろうラングドックが挙げられるだろう。今世紀初頭にこれらローヌ系のブレンドが初めて流行した際には、その多くがあまりに重く、さわやかさに欠けると感じられた。だがシャトーヌフ同様、ワインメーカーたちはその腕を磨き、これら品種のブレンドであるワインを骨太で力強くも食欲をそそるものに進化させてきた。(付け加えておくと、このようなワインのスタイルの変化はブドウが年々暑く乾燥するようになってきた夏に適応し、さわやかさをもたらす酸を熱帯のような環境下でも維持できるようになったことも理由の一つかもしれない。最近テイスティングした2019のブルゴーニュや2017のバローロなどがそのよい例と言えるだろう)。

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カリフォルニアは重い白ワインの宝庫だ。その理由の一つはアメリカのワイン愛好家たちがその人気を支えているからだろう。実際カリフォルニアに関しては、アルバンやタブラス・クリーク、キュペなどが素晴らしいワインを作っているのだが、あえてそれらのローヌ品種は候補にしないことにする。多くのシャルドネやソーヴィニヨン・ブランがカリフォルニアの太陽を浴びて非常に骨太なワインになるためだ。そういう意味でカリフォルニアのシャルドネのほとんどは冬の白ワインにふさわしいと言えるだろう。重さに加えて複雑さと凝縮感を備えたシャルドネの生産者として、アメリカ以外の市場で見つけられるものとしてはデュモル、キスラー、コングスガード、マウント・エデン、パルメイヤー、レイミー、リッジ・ヴィンヤードなどが挙げられる。なお、今回は太平洋の霧の影響を受けたシャルドネを造る、冷涼なソノマ・コーストやサンタ・バーバラなどの生産者を意図的に除外した。

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スペインもまた、骨太の白を多く生み出す国で、それらの多くが比較的無名の固有品種で作られる。思い浮かぶのはマラニョネスやエルミタ・デル・コンデ、ドミニオ・デル・アギラなどのアルビーリョ主体のワイン、マキナ・イ・タブラの前衛的なワイン、ムスティギーリョのバレンシアの白で一つはメルセゲラ、もう一つはブレンドのものなどだ。またプリオラトや北東部にあるエンポルダの芳醇な白はピレネーを越えたルーションで複数の生産者が真似をするほどで、マ・ザミエルのアルタイルなどが挙げられる。

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本稿のアイデアをくれたサフィール氏にはシェリー、特に色の薄いフィノやマンサニージャも彼女の基準を完璧なまでに満たしてくれることを伝えねばならないだろう(しかもそれらのほとんどは品質に比べて価格が非常に安い)。それからスペインの最南部の畑から作られるものには心が躍る白ワインが増えている。たとえばムチャーダ・レクラパールの作る白ワインはアルコールが12.5%しかないものの、深みと複雑さを備え、冬に白ワインを飲みたい人々を喜ばせることだろう。

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(アルコール度数明記なし)

イタリア産で冬に飲む白ワインの候補は南部や島で作られるものだろうが、フリウリのスキンコンタクトを用いたものやアルト・アディジェの野心的なブレンドなども期待にそうはずだ。ポルトガルも冬に楽しむために完璧な白ワインを世界的には見過ごされがちな品種を使って作っている。ダンの主要品種の一つ、エンクルサードで作る洗練され熟成も可能なワインがそれだ。

これらのいずれも、白ワイン愛好家を温めてくれることだろう。

お勧めのごく一部
本記事にインスピレーションを与えてくれたことを考慮して、アメリカでの入手性を可能な限り書き添えておいた。

The Wine People, Nero Oro Grillo Appassimento 2019 Sicily 13.5%
£9.99 Majestic
マルサラを生産する地域で乾燥させたブドウを用い凝縮した白ワインを作ったもの。チーズとの相性が素晴らしい。

Antonella Corda 2019 Vermentino di Sardegna, Sardinia 14%
£16-£19.50 イギリスの複数の専門店、 $19-$23 Culver City にあるStanley's Wet Goods やその他アメリカの小売店で。
アントネッラの著名な栽培家の父、アントニオ・アルジオラスが設立した素晴らしい畑で栽培されるサルデーニャの代表品種で作られたワイン。豊満だが過剰ではなく、余韻にフレッシュな塩気を感じる。

Yangarra, Roux Beauté Roussanne 2017 McLaren Vale, South Australia 13%
$44.95 Shoppers Wines NJ とその他アメリカの小売店で。
このワインに使われたローヌ品種の半分は131日ものスキンコンタクトを行っている。ハチミツ、ハーブ、ややファンキーだが驚くほど余韻が長い。

Dom Georges Vernay, Coteau de Vernon 2018 Condrieu 14.5%
From £89.99 イギリスの複数の専門店、 from $145 アメリカの複数の専門店で入手可能。
まさにコンドリューの最高峰であり、最も長命なヴィオニエだが、今飲んでも素晴らしい。アプリコットや花などの味わいが非常に深いが同時にうまみがあり、花崗岩の影響と思われるような緊張感がある。このワインに釣りあう料理と共に楽しみたい。

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国際的な取扱業者は Wine-Searcher.comを参照のこと。

原文

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