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南半球のワイン、アメリカでの立場は

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これはフィナンシャル・タイムズに掲載された記事の別バージョンである。

独立記念日の週末は、アメリカの「独立した」思想について思いめぐらすのにいいタイミングだろう。この「独立した」思想とは特定のワインに対する思想を指す。私は2013年の暮れにニューヨークを訪問し、ワイン・ライター仲間が南半球のワインは時代遅れだと言うのを聞いて大きな衝撃を受けた。なんということか。南アメリカ全部??南アフリカも?オーストラリアもニュージーランドも?

私はそれ以来、彼の地の事情が変ったかどうか探り続けてきた。強い変革の風が南アフリカ (原文)、チリ (原文)、オーストラリアのワイン産地に吹いている今、それら新進ワインがアメリカでどのように扱われているのか気になっているからだ。

ケープの新進ワインを扱う有力なアメリカのインポーター、バーソロミュー・ブロードベント(Bartholomew Broadbent;写真。1960年代にロンドンのワイン・オークションの復興に尽力したマイケル・ブロードベントの息子)はアメリカでの南アフリカワイン需要を現時点で楽観視している。彼は南アフリカワインについて「我々の取り扱う商品の中で最もエキサイティングで報道価値のあるものです。アディ・バーデンホースト(Adi Badenhorst)やイーベン・サディ(Eben Sadie)のような人々は素晴らしいタイミングで市場に打って出たと言えます。」と話す。その意見を裏付けるのにブロードベントが取り上げたのは彼のニューヨークの代理店であるマーティン・スコット・ワインズ(Martin Scott Wines)で、かつて販売員にドレスコードを設けていた企業だ。「常にジャケットとネクタイ着用だったんですよ。ところが1年半ほど前、この四半世紀の歴史をもつワイン代理店が一日がかりの経営会議を開き、販売員のジャケットとネクタイ着用を禁じる決定をしたんです。その理由が、ワイン・バイヤーや影響力のある人々の変化です。今や流行に敏感な人物とはワイン・バイヤーであり、彼らは堅苦しいスーツには目もくれないですから。」

彼はこう付け加えた。「アディやイーベンはワイン業界で最も偉大で生来流行の最先端を行く人物ですよ。今の世界最高峰のワインメーカーの中でも高度な知識を持ち、なにものにも迎合せず、反体制的で、信じられないほど情熱的で誠実です。彼らは今日のアメリカで大流行している、癖があって、かつ低アルコールのワインを愛しています。その組み合わせは彼らと彼らの生み出すワインを今日のアメリカ市場で非常に魅力的なものとし、特に若いソムリエのコミュニティに強く訴えかけています。彼らは同じように話し、同じように煙を吸い、同じような思考回路を持っていますからね。」

喫煙習慣がワインの売り上げにそれほど重要だと誰が想像するだろうか。一方、ブロードベントが代理店を務めるチリの生産者はたった一つだが、チリは売りにくいと感じているそうだ。高い人気を誇るアルゼンチンのマルベックがナパ・ヴァレーのカベルネのもつ重厚さと輝きの安価な代替品としての地位を確立しており、チリはアメリカのワイン愛好家にとって一握りの巨大企業がもたらす安価なだけで違いの分かるワイン愛好家の心はくすぐらないワインというレッテルが張られてしまっているからだ。

アガスティン・ヒュネイアス(Agustin Huneeus)はアメリカでのチリワインの運命を語るのに最適な人物だろう。かつてチリで最大のワイン会社、コンチャ・イ・トロを経営していたチリ人は今、高品質のカリフォルニアワインに多くの株を所有し、サンフランシスコを拠点としている。彼の解説によると、巨大なチリの企業は自然とアメリカの大きな代理店を求め、結果としてチリワインをレストランのワイン・リストではなく小売業界のみに縛り付けることになってしまったという(a problem that has beset Australian wine in the UK)。

ヴァイン・コネクションズ(Vine Connections)は カリフォルニアのベイエリアにあるソーサリトの小さな会社で、この縛りを取り除こうと活動している。彼らはまずアルゼンチンワインを1999年から扱い始めた。「当時アメリカ人はアルゼンチンがどこにあるのかすら知らず、マルベックは基本的に全く知られていない時代でした。(「それってブレンドのこと?」と聞かれましたから)」と共同経営者のエド・リーマン(Ed Lehrman)は言う。それから間もなくして彼は同僚と共に今度は最高品質の日本酒をアメリカ市場に紹介した。

「2001年、日本酒は安くてアルコール度数の高いアメリカ産のアルコールで、「サケボム(訳注参照)として提供される、二日酔いを多く引き起こすものとしてしか知られていませんでした。私たちはアルゼンチンも日本も、優れた飲み物を生み出す産地として広く認識する必要があると示すことに成功したんです。」
訳注:sake bomb=酒爆弾とは日本酒の入ったショットグラスをビールの中に沈めて飲むカクテルのこと

しかし、最近になってヴァイン・コネクションズの「マゾな人々」は3本目の矢を放つことにした。「私たちは2013年からチリワインを取り扱うことにしました。チリはアルゼンチンと日本の中間だと感じています。多くの人はチリワインに対して一面的な(安くて陽気な)イメージしか持っていません、なぜなら職人、ワイナリー、家族経営のワインビジネスなどができてきたのはかなり最近のことで、チリの多くの地域は15年前までワインを作ってさえいなかったからです。特異的な土壌やマイクロクライメットに関して土壌科学者であるペドロ・パラ(Pedro Parra)が急速に確立してきたような知識はほとんどなかったのです。だからチリは(日本酒のように)誤解という弱点と(アルゼンチンワインのように)新参者という弱点を持ち合わせているんです。」

「でもチリはアメリカで成功しますよ。「責任をもって」「辛抱強く」「啓蒙」すればね。この3つはヴァイン・コネクションズと私たちが取り扱うチリのワイナリーが確実に持ち合わせているものですから。最終的にはアメリカ人はこの新参の弱小チームを好きになるはずです。」

新しい、軽やかなオーストラリアワインも同様の問題を抱えている。オーストラリア自身が大量市場の最下層に位置するようなワインを販売し続けてきた結果、アメリカで高級ワインの生産者というイメージを再構築するのに苦労しているのだ。

ニュージャージーにあるヴァイン・ストリート・インポーツ(Vine Street Imports)のロニー・サンダース(Ronnie Sanders)はメルボルンやシドニーのソムリエが愛してやまない流行に乗った新鋭オーストラリアワインの専門家だが、彼ですら「アメリカでオージーワインを売るのはこの7年間、いばらの道でした。ここ3年ほどは確かに少しましになっていますがそれでもまだすごく難しいです。面白いことに、最初に興味を示してくれたのはソムリエの面々なんですよ。彼らは今や我々の最も大きな支援者で、小売店は今まさにオーストラリアで何が起こっているかよくわかっていないんです。」と述べている。

「もちろん数は少ないですが小売店の中にも我々を評価する勇気ある人々がいます。そして彼らは実際多くのワインを売るのです。でも、実際には最高級のレストランや「農場から食卓まで」を理念とする場が私たちの主要な収入源です。我々は活発に市場に働きかけ、啓蒙セミナーを「ディフェンド・オーストラリア(Defend Australia=オーストラリアを守れ)」と銘打って行っています。なぜならアメリカの多くの小売業者やレストランはオーストラリアワインについて全く無知で、意識の高いソムリエ達ですらオーストラリアがどうあって、なにができるかというコンセプトを全く持ち合わせていないのです。多くの人は未だにオーストラリアで作られるワインは抽出が過剰でアルコールが高すぎると考えているんです。でも一度体験すれば必ずわかってくれます。アメリカの出版業界はまだまだ小売りに大きな影響を与えますが、彼らもまだそこがわかっていないんです。」

ちなみに小さなニュージーランドはアメリカでは非常に賢く立ち回り、金額ベースでスペインと同程度、チリよりも多く売り上げている。

おすすめ「弱小チーム」
非常に多くの新星を南アフリカ、チリ、オーストラリアから紹介することができるし、実際これまでもしてきた(114,000に上るテイスティング。ノートのデータベースを参照してほしい)。しかし、ここではいくつかのお気に入り新星生産者を紹介する。もちろん、この他に尊敬すべき古参の生産者もたくさんいる。

南アフリカ
Alheit
A A Badenhorst
Blackwater
Crystallum
David
Momento
Mullineux
Rall
Sadie Family Wines
Savage
Thorne & Daughters

チリ
Antiyal
Calyptra
Clos des Fous
De Martino
Garcia y Schwaderer
Gillmore
Koyle

オーストラリア
William Downie
Jamsheed
Luke Lambert
Ochota Barrels
Teusner
Ulithorne

原文

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