ヴォルカニック・ワイン・アワード | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト)

ケープ、車の旅

2015年2月7日 土曜日 • 6 分で読めます
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これはフィナンシャル・タイムズに掲載された記事のロング・バージョンである。

South Africa's wild north west」も参照してほしい。

全てのジャーナリスト同様、私もスクープが大好きだ。だから南アフリカのワイン・ライター、ティム・ジェームス(Tim James)がケープのワイン地図の北西の隅に位置し、地図には載っていないブドウ畑への日帰り旅行を提案したとき、そこを訪問した最初の外国人ワイン・ライターになるそのチャンスに飛びついた。彼の計画は、誰もその場所を知らないにもかかわらず非常に有名なワインを生み出す畑へ我々を連れて行き、そこから作られるワインの数々をその場でテイスティングするというものだった。

しかし多くの車の旅がそうであるように、その道程は冒険だった。運転手はケープのブドウを熟知したエキスパートであるローザ・クルーガー(Rosa Kruger)で、彼女については昨年ここに掲載した。彼女は影響力の非常に大きな人物で、先月ケープで過ごした1週間のメモには彼女のイニシャルRKがそこかしこに散らばっている。彼女はブドウ畑を敬愛し、古ければ古いほどよいと考え、最も無名の畑を復興し、買い手を見つける。それはしばしば、そこから生み出されるワインの複雑な買い手のネットワークとなるのだ。彼女はつい先日www.iamold.co.zaというサイトを構築し、南アフリカの古いブドウ畑を網羅する完璧で美しいガイドを大変な労力を割いて掲載したばかりだ。だが、それに反応を示しているのが現状たった二人しかいない、というのはなんとも残念な話である。

彼女の四輪駆動車の4つ目の席を占めたのはイーベン・サディ(Eben Sadie)で、才能とカリスマ性に満ちた、南アフリカのワイン・シーンに衝撃を与えた若手ワイン生産者のリーダーである。他の若手生産者同様、彼もスワートランドに拠点を置く。そこは漂白小麦を栽培する広大な地域で、ステレンボッシュ周辺の伝統的なワイン産地のかなり北に位置する。にもかかわらず、我々はそのスワートランドのワインの街、ライビーク・カステールからナミビアへ続くN7道路を更に3時間も北へ向かってドライブし、ようやく彼の誇るオールド・ヴァイン・シリーズの多くを生み出す畑の一つへ辿り着いた。そこはもはや全く別の地区、オリファンツ・リヴァーだった。

「これって本当にアフリカって感じだよね」イーベンは興奮して言った。我々はフィンボスの広がる山あいを北へ向かっていた。フィンボスとは野生のハーブや低い灌木の茂みのことで、高い木のないケープ特有の植相を象徴する。「コンスタンシアみたいな植民地の雰囲気は感じられないしね。」彼はケープ・タウン郊外の裕福なワイン生産地域を否定的に差して言った。「ここに来るとブッシュマンを思い起こすわ。」ローザも同意した。「かつてこの大地を放浪していた遊牧民のね。」

イーベンは午前9時40分に中継地点だったヴァン・リル・ファーム(van Lill farm)のベルを鳴らすよう言われていた。お気に入りの卵とベーコンのサンドイッチがあるドライブインをハイスピード通り過ぎた彼を、リタ・ヴァン・リル(Rita van Lill)は「オーブンは熱々よ」と出迎えた。チキンパイを焼く準備が整っていたのだ。

オリファンツ・リヴァーは狭い渓谷だが、そこへと続く道を渡ったすぐあと、我々はN7を外れて左折し、大西洋へ向かった。すぐに道は未舗装の小道となり、その色は砂色から明るいオレンジまで、ローザがその都度指摘する土壌の種類によってめまぐるしく変化した。そこはピケナースクルーフ(Piekenierskloof)という荒涼として人気(ひとけ)のない地域だったが、驚くほどブドウが多く栽培されていることがわかった。ヒョウも頻繁に目撃されるのだとローザが教えてくれた。私はこの時ニール・エリス(Neil Ellis)やフリーゼンホフ(Vriesenhof)、フェアヴュー(Fairview)やケン・フォレスター(Ken Forrester)などがここの最高級のブドウ、特に樹齢の高いグルナッシュを何年も前から買い付けていたと知った。ここはイーベンが自身のソルダ(Soldaat)のオールド・ヴァイン・シリーズ用にグルナッシュを手に入れている土地でもあり、ソルダはそもそもマドリード近くのグレドス山で栽培される薫り高いブドウに触発されて作り出したシリーズだと話してくれた。彼は常に世界を飛び回っており、先週は隣人でありスワートランドの若手(と言えるかどうか)のアディ・バデンホースト(Adi Badenhorst)と共にブルゴーニュに行っていた。そのため我々の道中にはフランスのピノ・ノワールの故郷への旅の思い出話がちりばめられた。

我々はものすごくゴツゴツした岩場にある展望台に立ち寄った。イーベンによると晴れた日には貨物船がそこから見えるそうだ。その日は遠く青い海に陽炎が立ち上るばかりだったが、押し寄せる海風は確かに感じることができた。彼はサーフィンが趣味だと残念そうに話したが(彼の2015年のブドウの収穫は始まったばかりなのだ)、眼下に広がる起伏に満ちた台地に向けて大きく手を振った。「ここにはまだ40軒ぐらいワイナリーを作る余裕があるんだ」彼は私に言い、この国で最も古いと言われ、1887年にまで歴史をさかのぼるブドウ畑を指さした。「私の心の中ではこれはみんな私の物なのよ。」ローザも微笑みながら頷いたが、あながち誇張とも言えないだろう。

我々は再びN7道路に戻り、収穫したブドウをいち早く南部にあるワイナリーに届けたい人々を悩ませる断続的な道路工事を避けながら、溢れるほど水をたたえたクランウィリアム・ダムを過ぎてすぐ、再び海の方へ向かった。ローザによると今年の生育期はこれまで経験した中で最も乾燥しているとのことで、その乾燥のせいでブドウの収穫は通常よりゆうに2週間は早く行われているそうだ。ワイナリーのオーナーの中には夏の休暇から戻るのが間に合わない人もいたほどだ。カリフォルニア人やオーストラリア人からは水に恵まれていると思われているが、ステレンボッシュはスワートランドやオリファンツ・リヴァーと異なり、ほとんどが灌漑されている。我々も滞在中に芝や庭木のための散水機に何度も水をかけられた。

リタのチキンパイとその夫のベイジー(Basie)のブドウ畑へ近づくにつれ、我々は今やブドウよりも多くの利益を生み出すルイボスの灌木をたくさん通り過ぎた。ローザは彼女が2008年にヴァン・リルの手入れの行き届いた樹齢が何十年にもなるブドウを発見したときのことを思い出していた。彼女は初め、クライアントであるルパート(Rupert)・ファミリーにこの畑を紹介したが彼らは興味を示さなかったと言う。ところが長いこと彼女の協力者だったイーベンがその話に現地を見もせずに飛びついたので驚いたのだそうだ。「だって、ずっとここに来たいと思っていたから。」彼は肩をすくめて言った。

我々がこぎれいな低い株仕立てのブドウの列を横目にヴァン・リルの1950年代風のクラッシックな敷地へ入ると、犬たちは駆け回り、埃が舞い散った。多くの人が帽子と日焼け止めを持参するよう警告のメールを送ってくれた。畑見学はベイジーのピックアップの荷台に乗って行き、その後テイスティングとチキンパイが待っていた。イーベンが中で瓶がカタカタ言う重いクーラーボックスをヴァン・リルのキッチンへ運び込み、まず13本の白を並べた。これらは全て、この南アフリカの片隅にある3つの畑のいずれかから作られたブドウ、シュナン・ブランまたはセミヨンから作られていた(前者は今、後者は200年前にケープで最も栽培されていた品種である)。

その後に続いたのは赤ワインで、南アフリカ独自の品種ピノタージュだった。ローザは初めそれらの産地を特定するのに苦労していたが、これらはどう考えても素晴らしいワインであり、樹齢40年から70年のブドウから作られ、アルヘイト(Alheit)の2本組を除き、全て南アフリカで1本当たり200ランド(12ポンドあるいは17ドル相当)以下だった。

最近の大きな流行は土地の特徴が出ているワインである。これらのワインが作られる素晴らしい土地はセダーバーグ野生保護区を遠くに見晴らす場所にあり、実際にワインを飲む消費者たちからは非常に遠い(イーベンはコルク抜きを持参していた)。ヴァン・リルの農場は地元のワイン組合から80㎞離れており、若手生産者が買わなかったブドウはそこまでトラックで運ぶ。私はベイジーや若い作業者であるエース(Uys)とすら会話することはままならず、唯一リタだけが寡黙なアフリカーンス語よりも英語を話した。

これらのテロワールを強く意識したワインはケープへ向かう途中でテイスティングしたワイン同様世界に知られ、称賛されるべきものである。

探してほしいワイン

以下の全てのワインはここで記した地域で作られたもので。イギリスとアメリカでの価格および取扱業者を併記している。

Botanica, Mary Delany Collection Chenin Blanc, Citrusdal Mountain
£14.99 Cape Wine & Food, £22.70 Hedonism / $20-26

Fram Wines Chenin Blanc, Citrusdal Mountain
£21.55 Prohibition Wines

Fram Wines, Pinotage, Citrusdal Mountain
£21.55 Prohibition Wines / $22.99-$31.99 various US stockists

Antonij Rupert, Cape of Good Hope, van Lill & Visser Chenin Blanc, Citrusdal Mountain
£15.99 AG Wines, £73.50 for six bottles Christopher Keiller

Sadie Family Vineyards, Old Vineyard Series Skurfberg (Chenin Blanc), Olifants River
£25-32 / $41-55 quite widely available

Sadie Family Vineyards, Old Vineyard Series Kokerboom (Sémillon), Olifants River
£32.10 Harrogate Fine Wine, £37.10 Hedonism, £175.80 for six bottles WineBear / $59.99 K&L

Alheit Cartology, Western Cape
アルヘイトのカルトロジーシリーズのブレンドはオリファンツ・リヴァーのシトラスダル産のシュナン・ブランだ。価格は£24-28/$40-53と高価だがイギリスでもアメリカでも広く手に入る。Magnetic North Mountain Makstok は100% シトラスダル産のシュナン・ブランで南アフリカのカルトワインと言える。

取扱業者はwine-searcher.comに掲載のもので、テイスティングノートは「South Africa's wild north west」を参照のこと。

原文

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