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東へ流れるEUの補助金

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「いいワインを作ることは始まりに過ぎません。それを売ることのほうが問題なのです。」フィレンツェにあるビジネス・ストラテジーズのシルヴァーナ・バッロッタ(Silvana Ballotta)は言う。それは彼女自身の実感だろう。

一般的な、また私自身の公正な視点から見て、ヨーロッパ以外のワイン生産者の不満は、EUの生産者たちが甘やかされている、ということだろう。彼らは最低価格を保証する補助金をもらい、低品質なブドウを引き抜くため賄賂を受け取り、不要な生産物を強制的に工業用アルコールに蒸留「させられる」場合にも金銭を受け取っているのだ。

しかし2008年、全てが変わった。政策転換により、EUは結果として文字通りヨーロッパのワイン・レイク(訳注:ワインの余剰問題)に吸い込まれていた資金を、ヨーロッパ外でのヨーロッパワインの活発な販促に使うことに決めたのである。新たな市場を開拓し、オーストラリアのシラーズやカリフォルニアのシャルドネのようなワインとの競合力を高めるのが狙いだ。

2009-13年の販促期には年間5億2千2百万ユーロがEU外でのヨーロッパワインの販促及び広告費として使われた。そして、多くの不正流用の発覚を考慮すると意外と言えるかもしれないが、EUは今期2014-18年の予算として121%増の年間11億5千6百万ユーロの投入を決めた。なお年間のEUからのワイン輸出額は86億ユーロである。

例えばフランスは年間2億8千50万ユーロを2017年まで割り当てられているが、これはヨーロッパの他の二大ワイン生産国、スペインとイタリアと比較すると極端に少ない。おそらくこれほど予算配当が削減されたのは、EUの会計監査の際に「ジャーナリスト、インポーター、マーケット・コーディネータなどのワイン生産地域への研修旅行」として計上されていた3405ユーロが3枚の全仏オープンのVIPチケットだったと判明したためだろう。報告書には「ワインの販促活動とは認められない」と冷ややかに断じられている。

フランスはまた、2009年から2012年の間に、すでに世界的に有名で長年その名を保護されているシャンパーニュの販促に240万ユーロの予算を計上し、警告を受けている。

昨年最大の予算、3億5千3百万ユーロを使ったのはスペインだったが、EUはそのうち88%もの金額が既に遠隔市場を確立している6つの大企業に配分されたとしてスペインを糾弾している。この戦略の本質は中小企業の支援にあるからだ。

スペインの予算は今年から大きく削られたが、イタリアは3億3千4百万ユーロを2017年まで毎年使うことが許されている。これはシルヴァーナ・バッロッタにとって吉報だろう。彼女は世界銀行と、最も有利なことにEUでも勤務経験がある。彼女自身の事業は日本および中国とのジョイント・ベンチャーをまとめることから始まり、アジアの森林地帯へ機械や専門知識を届けるものだった。しかし2009年以降、彼女はより小規模なイタリアの企業がヨーロッパ外での商品を販促するために適合するEUの補助金を探す手助けを始めた(承認された事業にはEUが50%の出資を行う)。彼女はイタリアで最大級の複数の企業が2009年に1400万ユーロの申請にこぎつけたことを不服そうに話した。

彼女の基本方針はに小規模な企業を集めて大きな団体としEU補助金の最少対象額である10万ユーロの条件を満たすことで、彼らをアジアやアメリカの市場に挑む経験を通じて育成し、最終的に彼らの自立を促すものである。ベネト(プロセッコ、アマローネ、ソアヴェ、安価なピノ・グリージョ)はこの大きな利益を得ることが叶い、シチリア、トスカーナ、ピエモンテがそれに続いた。

「資金を得ることは以前の方がずっと簡単でした。」彼女は言う。「私のオフィスでは15人中10人がひたすら監査を行っています。もし1枚でも搭乗券がなかったり、書類にコンマが抜けていたりしたら事態は非常に困難になりますから。それからEUのロゴを忘れてもEUに支払いを拒否されるんです。」なるほど、少なくともイタリアでは結果よりも課程に大きなウェイトが置かれているようだ。

EUからアジアへのワイン輸出量は伸び続けているものの、これがシルヴァーナとその関係者が体系化した戦略の結果であるとすることは難しい。彼女自身、非常に動きが鈍い相手と仕事をしていることを自覚している。「ワイン生産者たちの中には、例えば上海でキャンペーンを行うための申請書を記入し、補助金を取得してから「それで、上海ってどこ?」という人たちもいるんです。多くの場合、彼らが補助金を調達してから私たちがその使い方を通して彼らを育てなければならないのです。そして注意しなくてはならないのは全体の連携で、受給者たちが競い合ったり、同一のインポーターとだけ契約したりしないようにしなくてはなりません。さらに彼らの多くは複数の言語を話しませんから、補助金を得てアジアのワイン・フェアに行き、ただ座っているだけなのです。娼婦だってただ座って待つなんてことしませんよ。」

EUの新方針で明らかに最も利益を得たのはアジアのワイン・フェアの主催者だろう。アジアには飽和度の低い目標市場が複数あり、最も明確で容易な接触手段がワイン・トレード・フェアであるからだ。このような催しは中国全土に拡大している。私が中国の三大都市のどこかで開催されるイベントに招待されなかった月はほとんどない。香港ヴィネクスポはボルドーのトレード・フェアのアジア版で、最初は1フロアのみで開催されていた。それが拡大に次ぐ拡大で、今ではイタリアだけで1フロアを占めているほどである。

最近の中国の問題点は、最高級のバローロやブルネッロを伴う大晩餐会の運営である。「ラム肉のパイナップルソースなんて高級なバローロには合いませんからね。」シルヴァーナは言う。彼らは上海に事務所を構え、以前シャトー・ムートン・ロートシルトの代理店に勤務していた中国人女性に任せる予定だが、ボルドーからイタリアのワインにシフトすることを真剣に検討している。

アメリカでのアプローチは大きく異なる。なぜならアメリカ人はイタリアワインをよく知っており、アジアやロシアで不可欠なトレード・フェアはそれほど重要ではないからだ。彼らは近年重要度を増してきたソムリエのテイスティングに注力する傾向にある。彼らはそこそこのレストランでも適切なワインと食事とのペアリングが期待できることを知っているのだ。

EUの補助金は広告に使われ、確かに一時期は多くの小規模生産者にとってそれが目指すべき頂点だったと言える。自分のワインが世界屈指の主要なワイン雑誌で豪華な広告として掲載されるのを目にすることができたのだから。しかしシルヴァーナによると、支払いが終わってみると、多くの人がこのアプローチの意味に疑問を感じているとのことだ。

彼女は中央および南アメリカに可能性を見出しており、保護貿易措置が整っていて輸出業者は必ず国内の生産者と手を組まなくてはならないブラジルでさえ例外ではないと言う。しかし全てが期待通りに運ぶとしたら、次の目標市場はイギリスになるだろう。なぜならEUは補助金を伴うワイン販促の現場をすぐにでも増やしたいと考えているからである。イギリスのワイン・フェア運営者には朗報となるかもしれない。

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