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ニュースに入る前に、世界で最も新しいMWであるチェン・ジャニス・ワン（Qian Janice Wang）に心からお祝いを申し上げたい。ワンはコペンハーゲン大学食品科学部の消費者心理学准教授である。
関税の影響
8月21日、欧州委員会はEUと米国が公正でバランスの取れた相互利益をもたらす貿易と投資のための「枠組み協定」に合意したと発表した。この協定にはアルコールについての言及は一切ない。米国とEUのワイン・スピリッツ業界からの要請は無視された。EUのワイン、ビール、スピリッツには15%の関税が引き続き課せられることになる。関税は欧州ワインの米国輸入業者を苦しめているだけでなく、コルク、樽、ガラス、ワイナリー設備の価格上昇により米国の生産者も苦しめている。ワイン愛好家は間もなく米国ワインの価格上昇を目にすることになるだろう。8月12日、『ニューヨーク・タイムズ』は7月の物価上昇が過去5か月のどの月よりも速いペースで進んだことを示す記事を掲載した。これは、ワイナリーだけでなく米国のすべての企業が関税のコストを相殺するために価格を引き上げざるを得ないことを示している。
スペイン、ポルトガル、ナパ・ヴァレーの山火事
ユーロニュースは、スペインが1994年以来最悪の山火事シーズンを経験しており、38万2000ヘクタール（94万4000エーカー）以上が焼失したと報じている。最も破壊的な火災のうち5件が過去15日間に発生し、ガリシア、アストゥリアス、カスティーリャ・イ・レオン、エストレマドゥーラで火災が続いている。『エル・パイス』は、ガリシアではモンテレイとバルデオラスのDOがブドウ畑を火災で失ったと報じた。そして、ブログwinesofgalicia.comを運営するノア・チチェスター（Noah Chichester）が、ガリシアの5つのDOのうち3つでこれまでにブドウ畑とワイナリーに与えられた被害を詳述した最新の投稿を送ってくれた。来週に予定されていた収穫は不透明な状況だ。
火災は隣接するビエルソのブドウ畑にも被害を与えているが、被害の程度に関するデータは見つかっていない。詳細をご存知の方はnews@jancisrobinson.comまでメールをお願いしたい。
ポルトガルのドウロでも火災が猛威を振るっている。生産者ゴルペ・ワインズ（Golpe Wines）とタイタン・オブ・ワインズ（Titan of Wines）のブドウ畑が破壊された。タイタン・ワインズのワインメーカー、ルイス・レオカディオ（Luis Leocadio）はワイン・サーチャーに対し、彼の最も価値の高いワインを生産していた6区画のうち2区画の樹齢100年のブドウの樹が焼失したと語った。
昨日、私は午後4時（太平洋標準時）にナパの自動緊急通信システム「ニクスル（Nixle）」から、カリストガで火災が発生し30エーカー（12ヘクタール）を覆ったという最新情報を受け取った。3時間後に『ナパ・ヴァレー・レジスター』を確認すると、火災は1000エーカー（405ヘクタール）に拡大していた。今朝の時点で、火災は2133エーカー（863ヘクタール）を焼き尽くした。カル・ファイアによると、アイゼル・ヴィンヤード・エステート（Eisele Vineyard Estate）（地図上ではまだアラウホ・エステート（Araujo Estates）と表示）、ケリー・フレミング・ワインズ（Kelly Fleming Wines）、ケネフィック・ランチ（Kenefick Ranch）、ヴェンジ・ヴィンヤーズ（Venge Vineyards）、ファイファー・パヴィット・ファミリー・ヴィンヤーズ（Phifer Pavitt Family Vineyards）に避難命令が出されている。フレディアーニ・ヴィンヤーズ（Frediani Vineyards）とポッジ・ヴィンヤーズ（Poggi Vineyards）は地図には表示されていないが、同じく避難区域内にある。
バーデン、コロンビア・ヴァレー、アルザス、ミュスカデ、シャンパーニュで収穫開始
8月18日、ワインズ・オブ・ジャーマニーはドイツで収穫が始まったと発表した。バーデンから開始されている。品質は非常に良好と予想されている。
8月19日、ワシントン州では北部ワシントンのレイク・チェラン（Lake Chelan）AVAで収穫が始まったと『ノースウエスト・ワイン・レポート』が報じた。最初に収穫されたブドウはスパークリング・ワイン用のシャルドネ（Chardonnay）だった。
8月19日、アルザスは記録史上最も早い収穫を開始した。最初に摘まれるブドウはクレマン用だ。スティル・ワイン用の収穫は8月25日に始まる。アルザス・ワイン生産者協会のジル・エルハート（Gilles Ehrhart）会長はAFPに対し、これは30年前の収穫より20〜25日早いと語った。
8月21日、ミュスカデがロワール・ヴァレーで収穫を開始した。このヴィンテージは豊作が期待されており、2024年の不作後の歴史的に少ない在庫を補充することになる。
同じく8月21日、シャンパーニュでも収穫が始まった。コミテ・シャンパーニュは『ザ・ドリンクス・ビジネス』に対し、ブドウが驚くほど速く熟し、品質は非常に良好に見えると語った。収量は自然収量（1万〜1万1000kg/ha）ではなく、コミテが設定した上限の9000kg/ha（約2億5500万本相当）によって決まると予想されている。この上限はシャンパーニュ販売の軟調な市場によるものだ。
サントリーニ島とランサローテ島の極小収穫
昨年サントリーニ島が苦痛だったとすれば、今年はさらに悪い。ヤニス・カラカシス（Yiannis Karakasis）MWは8月19日に自身のインスタグラム・アカウントで、島が3年目の干ばつに見舞われる中、サントリーニ島全体の生産量は350〜400トンになると予想されると投稿した。キル・ヤニ（Kir-Yianni）のステリオス・ブタリス（Stellios Boutaris）にメールで確認したところ、彼はやや楽観的で約450トンを予想していた。これは昨年の収量の3分の2で、良いヴィンテージの収量の4分の1未満だ。収量に合わせて価格は1キロあたり10〜13ユーロまで急騰している。品質は非常に良好に見える。
8月15日、『ザ・ドリンクス・ビジネス』は、カナリア諸島のランサローテ島が長期の干ばつにより30年で最悪の収量に苦しんでいると報じた。収穫は7月中旬に始まり、島の収量は約600トンと予想されている。これは昨年の収量の半分未満で、歴史的平均の4分の1強だ。
ト・カロンが商標に
ナパ・ヴァレーのワインのファンなら、おそらくト・カロン（To Kalon）について聞いたことがあるだろう。超ファンなら、少なくとも過去10年間、ト・カロンが場所なのか商標なのかについて継続的な議論があったことを知っているかもしれない。簡潔に言うと、ト・カロンはかつてハミルトン・ウォーカー・クラブ（Hamilton Walker Crabb）という男性によって設立された非常に大きなブドウ畑で、1886年に命名された。その歴史的な場所は区画に分けて売却された。1987年、その歴史的ブドウ畑の最大区画を所有していたロバート・モンダヴィ（Robert Mondavi）がその名前を掘り起こして商標登録した。2004年にロバート・モンダヴィ・ブランドがコンステレーション・ブランズ（Constellation Brands）に売却されたとき、コンステレーションがその商標を取得した。つまり、歴史的なブドウ畑（コンステレーションに加えて、オーパス・ワン（Opus One）、マクドナルド（MacDonald）、デタート（Detert）、ベックストファー（Beckstoffer）、ウィルシー・トレイナ（Wilsey/Traina）家、ナパ・ヴァレー・グレープグロワーズ、カリフォルニア大学デイビス校が所有する土地を含む）と商標の両方が存在する。しかし一般的に言えば、この名前はブドウ畑エリアと密接に結びついており、ほとんどのワイン・コレクターはト・カロンはブドウ畑だと言うだろう。
2017年、家族が歴史的ブドウ畑の一部を所有するグレーム・マクドナルド（Graeme MacDonald）は、近くの小川を米国地名委員会（BGN）によってト・カロン・クリーク（To Kalon Creek）として公式に認定してもらうため、記録と地図を提出した。当初小川の命名を支持していたコンステレーションは、今年初めに商標に干渉する可能性があるとしてト・カロン・クリークの名前を削除する請願書を提出した。請願書で彼らは「定義された地理的場所としてのト・カロンは存在せず、これまでも存在したことがない…コンステレーションの『ト・カロン』使用権は歴史や地理に制約されない。モンダヴィのオークヴィルの土地から調達されたかどうか（全体的にまたは部分的に）に関係なく、どのワインでも『ト・カロン』と呼ぶことができる」と述べている。マクドナルドは7月10日にワシントンDCで行われた聴聞会でBGNに対してト・カロンの歴史的存在を擁護した。
8月14日、BGNはト・カロンは場所ではなく商標であると裁定し、小川の名前をドーク・クリーク（Doak Creek）に変更した。グレーム・マクドナルドは『ワイン・スペクテーター』で「危機に瀕しているのはト・カロンの遺産だけでなく、アメリカワインにおける場所の概念だ」と引用された。そして彼は正しい。なぜなら、この裁定以前、ト・カロンは米国の「グラン・クリュ」に最も近いものだったからだ。しかし、ト・カロンが商標であるなら、グラン・クリュにはなり得ない。2002年に法廷闘争に勝利し、顧客がブドウ畑の彼の区画から購入した果実で作られたボトルに「ベックストファー・ト・カロン」を使用する権利を得たアンディ・ベックストファー（Andy Beckstoffer）は『ワイン・スペクテーター』に対し、この裁定は「確実な歴史的研究に基づく健全な決定の衝撃的な逆転だ。ト・カロンは場所だ。139年間そうだった」と語った。
コンステレーションがト・カロンを場所とは考えていないことを知ると、ロバート・モンダヴィ、シュレーダー（Schrader）、ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニー（To Kalon Vineyard Company）を含む、ト・カロンとラベルされた彼らのワインを誰が買うのか理解に苦しむ。彼らはブドウ畑の調達を気にしていないことを実証した。これらのワインのコストを正当化できる唯一の方法なのに。
今回のワイン・ニュースは以上だ。このニュースキャストを楽しんでいただき、継続を希望される場合は、JancisRobinson.comのメンバーになってください。そして、お住まいの地域で速報ニュースがあれば、news@jancisrobinson.comまでメールをお願いしたい。
冒頭の写真の新MWチェン・ジャニス・ワン（Qian Janice Wang）はIMWから親切に提供されたものだ。
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