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マルベックがアルゼンチンへ伝わった経路は

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おそらくアメリカ大陸のヨーロッパ側(というよりもおそらく(訳注;メキシコとアメリカの間を流れる)リオ・グランデより北の地域)では歓迎されないことだと思うが、マルベックはアルゼンチンに伝わるより早くチリに伝わっている。19世紀初頭の独立は土地所有者層に安定をもたらし(彼らは現在でも権力者である)、ヨーロッパを訪れた彼らはフランスワインへの新たな憧れと共に帰国したのである。

チリの権力者たちはフランスワインの専門知識の輸入を積極的に行い、フランス人の専門家、ルネ・ルフェーブル(René Lefebvre)、クロード・ゲイ(Claudio Gay)、ミシェル・エメ・プージェ(Michel Aimé Pouget)などを招聘したとサンティアゴ大学のアルゼンチン史研究者パブロ・ラコステ(Pablo Lacoste)による詳報に記載がある。全国農業者団体(Sociedad Nacional de Agricultura)が1836年に設立、続く1841年にサンティアゴ師範学校(Quinta Normal de Santiago)がパリの高等師範学校(École Normale Supérieure)に倣い設立され、地元の農業従事者の教育を目指した。その最も重要な活動の一つが幅広い農作物をヨーロッパから輸入することであり、そこにはフランスのブドウの穂木、特にボルドーのものが含まれていた。マルベックがサンティアゴに初めて到着したのは1840年代半ばと考えられている。

当時、先見の明のあるアルゼンチン人で後の大統領であるドミンゴ・ファウスティーノ・サルミエント(Domingo Faustino Sarmiento; 1811-88 写真)はチリに政治亡命をしていた。ブドウ栽培地域であるアルゼンチンのサン・ファンで育った彼は特にワインに愛着を持っていた。彼はアルゼンチンに1850年に戻ったが、彼の掲げた多くの改革案のうちの一つがアルゼンチンに農業師範学校を設立することだった。1853年4月17日、地方政府による公式の賛同を得て、現在メンドーサの総督官邸(Government House)の敷地となっている場所に師範学校を設立、2011年からはその4月17日を世界マルベック・デーとすることとなった。ミシェル・エメ・プージェはサンティアゴ師範学校の責任者だったが、説得を受けてメンドーサに移り、新しい学校の運営にあたった。

メンドーサに鉄道が開通する1885年より前、チリのサンティアゴとメンドーサを結んでいた絆はアンデスを越えるラバ用の道であり、それはメンドーサとアルゼンチンの首都で大西洋岸にあるブエノスアイレスとの絆よりはるかに強固なものだった。フランスのブドウの穂木が1850年代にメンドーサへ辿り着いたのはほぼ間違いなく、チリからこのアンデスを越えるルートによるものだろう。

当時多くのアルゼンチンの地域ではすでにブドウ栽培の習慣が確立しており、広く栽培されていたマスカット・オブ・アレキサンドリアやクリオージャが主体となっていた。しかし20世紀前半に鉄道が開通しメンドーサにヨーロッパからの移民の波が押し寄せる頃までには、マルベックはすでにアルゼンチンの環境によく馴染んで広く受け入れられており、その栽培面積はカベルネ・ソーヴィニヨンが赤ワイン用ブドウとして優勢になっていたチリよりもはるかに大きくなっていた。

しかし、非常に古いマルベックが最近チリで発見されたとマクシミリアン・モラレス(Maximilian Morales)が「 San Rosendo Malbec - Chile's new old thing」の中で報告している。

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