ヴォルカニック・ワイン・アワード | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト) | 🎁 年間メンバーシップとギフトプランが25%OFF

マルベックがアルゼンチンへ伝わった経路は

Tuesday 23 June 2015 • 1 分で読めます
Image

おそらくアメリカ大陸のヨーロッパ側(というよりもおそらく(訳注;メキシコとアメリカの間を流れる)リオ・グランデより北の地域)では歓迎されないことだと思うが、マルベックはアルゼンチンに伝わるより早くチリに伝わっている。19世紀初頭の独立は土地所有者層に安定をもたらし(彼らは現在でも権力者である)、ヨーロッパを訪れた彼らはフランスワインへの新たな憧れと共に帰国したのである。

チリの権力者たちはフランスワインの専門知識の輸入を積極的に行い、フランス人の専門家、ルネ・ルフェーブル(René Lefebvre)、クロード・ゲイ(Claudio Gay)、ミシェル・エメ・プージェ(Michel Aimé Pouget)などを招聘したとサンティアゴ大学のアルゼンチン史研究者パブロ・ラコステ(Pablo Lacoste)による詳報に記載がある。全国農業者団体(Sociedad Nacional de Agricultura)が1836年に設立、続く1841年にサンティアゴ師範学校(Quinta Normal de Santiago)がパリの高等師範学校(École Normale Supérieure)に倣い設立され、地元の農業従事者の教育を目指した。その最も重要な活動の一つが幅広い農作物をヨーロッパから輸入することであり、そこにはフランスのブドウの穂木、特にボルドーのものが含まれていた。マルベックがサンティアゴに初めて到着したのは1840年代半ばと考えられている。

当時、先見の明のあるアルゼンチン人で後の大統領であるドミンゴ・ファウスティーノ・サルミエント(Domingo Faustino Sarmiento; 1811-88 写真)はチリに政治亡命をしていた。ブドウ栽培地域であるアルゼンチンのサン・ファンで育った彼は特にワインに愛着を持っていた。彼はアルゼンチンに1850年に戻ったが、彼の掲げた多くの改革案のうちの一つがアルゼンチンに農業師範学校を設立することだった。1853年4月17日、地方政府による公式の賛同を得て、現在メンドーサの総督官邸(Government House)の敷地となっている場所に師範学校を設立、2011年からはその4月17日を世界マルベック・デーとすることとなった。ミシェル・エメ・プージェはサンティアゴ師範学校の責任者だったが、説得を受けてメンドーサに移り、新しい学校の運営にあたった。

メンドーサに鉄道が開通する1885年より前、チリのサンティアゴとメンドーサを結んでいた絆はアンデスを越えるラバ用の道であり、それはメンドーサとアルゼンチンの首都で大西洋岸にあるブエノスアイレスとの絆よりはるかに強固なものだった。フランスのブドウの穂木が1850年代にメンドーサへ辿り着いたのはほぼ間違いなく、チリからこのアンデスを越えるルートによるものだろう。

当時多くのアルゼンチンの地域ではすでにブドウ栽培の習慣が確立しており、広く栽培されていたマスカット・オブ・アレキサンドリアやクリオージャが主体となっていた。しかし20世紀前半に鉄道が開通しメンドーサにヨーロッパからの移民の波が押し寄せる頃までには、マルベックはすでにアルゼンチンの環境によく馴染んで広く受け入れられており、その栽培面積はカベルネ・ソーヴィニヨンが赤ワイン用ブドウとして優勢になっていたチリよりもはるかに大きくなっていた。

しかし、非常に古いマルベックが最近チリで発見されたとマクシミリアン・モラレス(Maximilian Morales)が「 San Rosendo Malbec - Chile's new old thing」の中で報告している。

原文

この記事は有料会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
JancisRobinson.com 25th anniversaty logo

JancisRobinson.com 25周年記念!特別キャンペーン

日頃の感謝を込めて、期間限定で年間会員・ギフト会員が 25%オフ

コード HOLIDAY25 を使って、ワインの専門家や愛好家のコミュニティに参加しましょう。 有効期限:1月1日まで

スタンダード会員
$135
/year
年間購読
ワイン愛好家向け
  • 286,138件のワインレビュー および 15,818本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
プレミアム会員
$249
/year
 
本格的な愛好家向け
  • 286,138件のワインレビュー および 15,818本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
プロフェッショナル
$299
/year
ワイン業界関係者(個人)向け 
  • 286,138件のワインレビュー および 15,818本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大25件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
ビジネスプラン
$399
/year
法人購読
  • 286,138件のワインレビュー および 15,818本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大250件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
Visa logo Mastercard logo American Express logo Logo for more payment options
で購入
ニュースレター登録

編集部から、最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。

プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。

More Free for all

My glasses of Yquem being filled at The Morris
無料で読める記事 Go on, spoil yourself! A version of this article is published by the Financial Times . Above, my glasses being...
RBJR01_Richard Brendon_Jancis Robinson Collection_glassware with cheese
無料で読める記事 What do you get the wine lover who already has everything? Membership of JancisRobinson.com of course! (And especially now, when...
Red wines at The Morris by Cat Fennell
無料で読める記事 A wide range of delicious reds for drinking and sharing over the holidays. A very much shorter version of this...
JancisRobinson.com team 15 Nov 2025 in London
無料で読める記事 Instead of my usual monthly diary, here’s a look back over the last quarter- (and half-) century. Jancis’s diary will...

More from JancisRobinson.com

Sylt with beach and Strandkörbe
ニックのレストラン巡り An annual round-up of gastronomic pleasure. Above, the German island of Sylt which provided Nick with an excess of it...
screenshot of JancisRobinson.com from 2001
現地詳報 The penultimate episode of a seven-part podcast series giving the definitive story of Jancis’s life and career so far. For...
Wine news in 5 logo and Bibendum wine duty graphic
5分でわかるワインニュース Plus potential fraud in Vinho Verde, China’s recognition of Burgundy appellations, and the campaign for protected land in Australia’s Barossa...
Brokenwood Stuart Hordern and Kate Sturgess
今週のワイン A brilliantly buzzy white wine with the power to transform deliciously over many years. And prices start at just €19.90...
Fortified tasting chez JR
テイスティング記事 Sherry, port and Madeira in profusion. This is surely the time of year when you can allow yourself to take...
Saldanha exterior
現地詳報 南アフリカの人里離れた西海岸で、思いがけない酒精強化ワインの復活が起こっている。マル・ランバート (Malu Lambert)...
Still-life photograph of bottles of wine and various herbs and spices
現地詳報 リチャードの著書から抜粋した、アジアの風味とワインをペアリングする方法に関する全8回シリーズの第3回目...
Old-vine Clairette at Château de St-Cosme
テイスティング記事 ジゴンダス・ブランは2024年に新アペラシオンの名に恥じない出来栄えを見せている。写真上は、この年のヴィンテージの傑出した生産者の一つ...
JancisRobinson.comニュースレター
最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。
JancisRobinson.comでは、ニュースレターを無料配信しています。ワインに関する最新情報をいち早くお届けします。
なお、ご登録いただいた個人情報は、ニュースレターの配信以外の目的で利用したり、第三者に提供したりすることはありません。プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます.