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パリのキャヴィスト・ガイド

Saturday 27 September 2014 • 5 分で読めます
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この記事はフィナンシャルタイムズにも掲載されている。

自然派ワインの話を好んで書くイザベル・レジェロン(Isabelle Legeron)が、今週末のフィナンシャルタイムズに珍しく「フランスのマスター・オブ・ワイン」という記事を書いていた。マスター・オブ・ワインの数が極めて少ないのは少しも不思議なことではない。なぜならその悪名高き堅固な守りを固めた試験をパスするためには世界のワインをくまなく知らなくてはならないからだ。そしてパリのような大都市においても、ましてやフランスの地方都市ではなおさら、フランス産以外のワインを見つけることは非常に難しい。フランスワインは言うまでもなく素晴らしいものであり、他のワインを飲まずそれだけを楽しむことは責められるべき悪行であるとは言えないが、私個人としてはロンドンを拠点として幅広い選択肢の中からワインを選べることを喜ばしく思っている(イザベルもロンドン在住である)。

私は今月最初の週末をパリで最も興味を引くワインショップ、すなわちキャヴィストの徹底調査に費やし、今パリで最も多忙なキャヴィストはマレの外れにあるフランスワインを1本も取り扱っていない店だという結論に達した。ソワフ・ダイユール(Soif d'Ailleurs;フランス語で旅行熱の意)はその代りにシリア、クロアチア、ワシントン州、ニュージーランド、そしてイギリスのワインまで取り扱っている。マシュー・ウェラン(Mathieu Wehrung)はヨーロッパカーに勤務していた頃あちこちを旅行し、各地のワインを楽しんできた。しかしフランスに戻るとこの恵まれた(フランスの)六角形の外まで手を伸ばしているキャヴィストの少なさに不満を募らせていた。

彼は退職を機に2年間を資金調達とデザインに費やし、究極なまでにスタイリッシュで、きらびやかにライトアップされた全面ブロンドウッド張りで真っ白いテーブルの備えられた、ワイン関連のコーポレート・イベント用スペースを兼ねた空間を作りあげた。私が訪問している間にも、近所に住んでいるカップルが満面の笑みで彼のイチオシである、シャンパーニュをイメージして作られた11ポンドのミオーロ(Miolo)というブラジルのスパークリング・ワインを抱えて店を後にした。彼は素早く、パリで有名なチェーン店、ニコラ(Nicolas)とルペール・デ・バッカス(Repaire de Bacchus)でも売られているが、それぞれ13.9ポンドと14.9ポンドであると付け加えるのを忘れなかった(新しいチェーン店であるNYSAは近代的な作りでさらに格安で販売している可能性がある)。私は彼の成功を祈っているが、彼はすでにもう一人のソムリエにワイン選定を任せている。その新人ははイギリスとオーストラリアで活躍中だ。

ティム・ジョンストン(Tim Johnston)のジュヴェニール・ワイン・バー(Juveniles wine bar)は1987年の開店以来、厳選したフランス以外のワインを販売してきた(今は特にスペインと南半球に注力している)が、もう一軒、パリっ子の販売者で輸入ワインに真剣に取り組んでいるのはラヴィニア(Lavinia)だろう。フランス人がオーナーの豪華な装飾が施された3階建てのこのデパートは、マドレーヌに開店する前にバルセロナとマドリードにも支店があった。オーナーは由緒あるカーヴ・オジェ(Caves Augé)を買収し、今フランスで最も追い求められている生産者、特にブルゴーニュのものを手に入れることでその地位を確固たるものとした。ブルゴーニュは今や注目の的であり、その供給に限りがあるため価格が急騰しているのである。

ジュヴェニールがワインバーから次第に本格的なレストランに変わっていったのに対し、ラヴィニアは最近パリ中心部に増えているキャヴィストでの食事提供スタイルを取っている。実際、オフ・ライセンス(訳注:イギリスでワインの販売のみ許可される営業形態)とオン・ライセンス(訳注:同、店内での飲食のみ許可される)の境界は曖昧になってきている。これは雨後の竹の子のように増え続ける自然派ワインバーの多くが持ち帰り用にボトルでの販売を必要とするようになったことが要因だ。全てのパリっ子ワイン販売者の祖父と言われる、フランス銀行近くにあるルグラン・フィーユ・エ・フィス(Legrand Filles et Fils)は2002年にシックなワインバーをオープンし、チーズや、いまやこの店では絶対に外せないシャルキュトリーと共に世界中のワインをグラスで楽しめる素晴らしい空間を提供している。

食べ物とワイン、特にブルゴーニュに関わるビジネスが非常に注目されているためか、ランバサド・ド・ブルゴーニュ(L'Ambassade de Bourgogne)というオデオン座近くの小粋な新しいワインショップは、(クリスマスを除いて)深夜まで開いており、ソワフ・ダイユールのようにコーポレート・イベントに力を入れている。オーナーのフィリップ・セリ(Philippe Séré)によると、彼が3年前にブルゴーニュ専門店として開店したとき、周囲のキャヴィストたちから経営面からそれは自殺行為だ、ブルゴーニュ人は性格が悪いからと口々に言われたそうだ。しかしボーヌで長いときを過ごした彼はそうではないことを確信してそのビジネスを成功させ、現在の顧客の半分はフランス人ではない。彼の妻は日本人で、パリと同じように日本やブラジルへワインを届けたいと考えている。

しかし彼も例にもれず、新しくて安価なブルゴーニュワインを有名どころの代わりに探さなくてはならなくなった。彼はとくにオート・コート、ショー(Chaux)のジュリアン・クリュシャンドー(Julien Cruchandeau)、およびシャトー・ド・ヴィラール・フォンテーヌ(Château de Villars-Fontaine)の古いヴィンテージに力を入れている。

その他のブルゴーニュ専門店はバスティーユ脇にあるはるかに伝統的なカプリス・ド・ランスタン(Caprices de l'Instant)で、ここはおそらく世界で最も高品質の熟成ブルゴーニュの在庫を持つ店だろう。このやや埃っぽい店を前のオーナー、かの有名なラファエル・ヒメネス(Raphaël Gimenez)が売却したため、もしかしたら状況が変わるかもしれないが、今はパリの多くのキャヴィストがそうであるように、日曜は開店しているが多くの業界向けテイスティングが開催される月曜は定休である。もちろんウェブサイトはない(彼らは自分たちの素晴らしいオールド・ヴィンテージが転売されるのを恐れているのだ)。

このオンラインショップに対する嫌悪感はフランシス・ベセット(Francis Bessettes)も同じようだ。彼のヴァンセンヌの東の外れにあるカーヴ・ド・シャトー(Cave du Château)は地域に根差した上質なワインショップの典型である。我々が訪問したのは日曜の午前中だったが、彼はあまりの忙しさに我々とほとんど話をする時間がなかった。顧客にはルーロのブルゴーニュの白をたいそうな勢いで消費しているパリ中心部にあるレストランオーナーの日本人もいた。

私は彼の仕事が毎年9月に行われ大きく宣伝もされるフォワール・オー・ヴァン(Foires aux Vins)の影響を受けるのだろうかと尋ねてみた。この期間、フランスのスーパーでは破格の安値でワインが売られるからである。彼は否定的な口調で、ボルドーワイン以外には関係ないと断言した。あとは私が訪れた中でほんの一握りのボルドーに注力していると思われるキャヴィストだけだと。

ル・カーヴ・ド・タイユヴァン(Les Caves de Taillevent)、ラ・グランド・エピスリー(La Grande Épicerie)、およびラ・カーヴ・ア・ミレジメ(La Cave à Millésimes)はみな、優れたセレクションが自慢の品の良い店である(レストランのタイユヴァンが経営するワインショップは秀逸である)が、私がもしパリで一人暮らしをするのであれば、フアン・サンチェス(Juan Sanchez)のラ・デルニエール・グート(La Dernière Goutte)に向かうだろう。そこには居心地のよい空気が流れ、ワインを囲むように作られた親しみやすいクラブは年中無休、毎週金曜と土曜には無料のテイスティングが英語とフランス語で行われる。偶然にも私が訪問したワインショップの中で唯一試飲をさせてくれた店だった。

素敵なワインショップたち

キャヴィストは区番号ごとにまとめてある。
この他チェーン店はNicolas、NYSA 、Repaire de Bacchusがある。

Juveniles
47 rue de Richelieu 75001; tel 1 42 97 46 49

Lavinia
3-5 Boulevard de la Madeleine 75001; tel 1 42 97 20 20
www.lavinia.fr

Legrand Filles et Fils
1 rue de la Banque 75002; tel 1 42 60 07 12
www.caves-legrand.com

Soif d'Ailleurs
38 rue Pastourelle 75003; tel 1 40 29 10 82
www.soifdailleurs.com

Caprices de l'Instant
12 rue Jacques Cœur 75004; tel 1 40 27 89 00

Les Caves du Panthéon
174 rue Saint Jacques 75005; tel 1 46 33 90 35

Ambassade de Bourgogne
6 rue de l'Odéon 75006; tel 1 43 54 80 04
www.ambassadedebourgogne.com

La Dernière Goutte
6 rue de Bourbon le Château 75006; tel 1 43 29 11 62
www.ladernieregoutte.net

Grande Épicerie
38 Rue de Sèvres 75007; tel 1 44 39 81 00
www.lagrandeepicerie.com

Caves Augé
116 Boulevard Hausmann 75008; tel 1 45 22 16 97
www.cavesauge.com

Les Caves de Taillevent
228 rue du Faubourg Saint Honoré 75008; tel 1 45 61 14 09
www.taillevent.com/les-caves-de-taillevent-boutiqu...

La Cave à Millésimes
180 rue Lecourbe 75015; tel 1 48 28 22 62
www.cave-millesimes.fr

La Cave du Château
17 rue Raymond du Temple, 94300 Vincennes; tel 1 43 28 17 50

原文

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