ヴォルカニック・ワイン・アワード | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト)

ピノ祭り

2016年11月12日 土曜日 • 5 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

赤のブルゴーニュは多くのワイン飲みを魅了する。できが良い場合は他にないほど快楽主義的な価格が付く一方、出来が悪かった場合に我々はブルゴーニュという完ぺきなゴールを目指す予測がこの上なく難しいレースで間違った馬に賭けてしまった自分が悪いのだと考える傾向にある。

赤のブルゴーニュに対するこの崇拝の念が広まった結果、世界中で数多の生産者が赤のブルゴーニュ品種であるピノ・ノワールの育成に挑むこととなった。理屈上、ピノ・ノワールは非常に繊細で気難しいためブルゴーニュでしか成功しないとされてきたが、どうやらその点は疑わしさを増してきた。

確かに、ピノはどこでも育つわけではない。もともと早熟な品種で繊細な香りのワインを生み出すため、香りの成熟を待たずにブドウが早すぎる成熟をしないよう、比較的冷涼な気候が必要だ。しかしこの数か月で私は100を超える、まさに尊敬に値するピノをテイスティングした。それらは意外なところではイギリス、チェコ共和国、ドイツ、イタリア、南アフリカ、チリ、アルゼンチン、ブラジルのものもあったし、もちろんその名の知られたオレゴン、ニュージーランド、オーストラリアやカリフォルニアの冷涼な地域のものもあった。

ブルゴーニュの2016ヴィンテージは気の毒なほど収量が少なかったため、すでに空高く上昇したその価格はさらに成層圏に届こうとしている。ポンド安など考えるまでもない。そのためブルゴーニュ愛好家にとって手の届く価格の代替品を探すことは徐々に合理的なこととみなされるようになってきた。

ブルゴーニュの赤とその他の産地のピノが幅広く紹介されていた最近の2件のテイスティングでは、ブルゴーニュが本質的に常に優れているわけではないということが示唆された。ブルゴーニュの赤はその代替品に比べて奥ゆかしく長命だと考えがちだが、偏屈で頑固で期待に報いてくれないものが非常に多く存在するのだ。

一方、ワインメーカーの力量と地域の需要がブルゴーニュの外で増すにつれ、ブルゴーニュ以外で生産されたピノ・ノワールの中で最も高く評価されるものの価格も上昇してきている。いつものごとくお買い得感を求める場合のコツは、その名声を確立していない有望な供給元を探すことだ。

チリは最も信頼できる安価で軽やか、時に少々青臭いピノ・ノワールを、特に有名なものとしてはコノ・スルのラベルで何年も生産してきたが、高級ワインとしての地位を確立するのには苦労している。だが毎年新しいヴィンテージが出る度に、その品質は向上している。特にバルパライソの北に位置するアコンカグアの海岸部は明らかにチリのピノ・ノワールにとって有望な新天地だ。クロ・デ・フ(Clos des Fous)は卓越したものを作るし、エラスリスも着実に進化している。サパジャール(Zapallar)の畑から生みだされるモンテス・アウター・リミット(Montes Outer Limits)は特に非常にお買い得だ。

フランスのフィネスを求めると言うならば、私はラングドック西部にあるスパークリング・ワインの産地であるリムーの丘で作られるピノに最大の感銘を受けてきた。ドメーヌ・ベギュード(Domaine Begude)の2種のピノはどんどん面白くなってきて、樹齢が高くなるにつれ洗練されてきている。オーナーのジェームス・キングレイク(James Kinglake)はピノと樽の繊細な相互作用を理解しており、彼のフランス人のワインメーカーはピノ・ノワールに注目する多くのニュージーランドのワイン産地の中の一つ、セントラル・オタゴで経験を積んだ人物だ。

インポータであるリバティ・ワインが最近、世界中の43ものピノ・ノワールを提供した際の最もお買い得だった一つは東ラングドック、モンタニャックのペズナのちょうど北東に位置する産地のものだった。ワインづくりをしているドメーヌ・ラ・クロワ・グラティオ(Domaine La Croix Gratiot)の娘もまたニュージーランドで、才能あふれるワインメーカーであるマット・トムソン(Matt Thomson)の下で経験を積み、繊細なワインメーキングと甘くフレッシュな果実味に対する健全な敬意を持ち帰ったようだ。ドメーヌ・ラ・クロワ・グラティオ・レ・ザズー(Les Zazous)2014ラングドックが希望小売価格が16ポンドだった一方、このリバティのテイスティングで最も安いブルゴーニュは22ポンドであり、けして心地の良い味わいでもなかった。

マット・トムソンはリバティの提供した非常に良心的な価格の付いたもう一つのピノ・ノワールにも関わっていた。ティン・ポット・ハット(Tin Pot Hut)2014はマルボロのもので、ここはもともとソーヴィニヨン・ブラン一辺倒だった南島北部にある大きなワイン産地だが、最近ピノが勢力を広げている地だ。そして最近立ち上げた自社ブランド、ブランク・カンヴァス(Blank Canvas)のおかげで、彼とパートナーのソフィー・パーカー・トムソンは偶然にもリバティのコレクションの中で最高のピノ、マットが2001年に植えたマルボロの畑から生み出されたその2014にも関わることとなった。

私のように点数に厳しい採点者から20点満点中17点以上を得たその他のリバティのピノは以下の通り。常連で名声をすでに確立しているアタ・ランギ(Ata Rangi)2014、これはニュージーランド北島にあるブルゴーニュ品種の本拠地、マーティンボローのものだ。それからウィーンの森にあるヴィーニンガー・セレクト(Wieninger Select)2014、カリフォルニアの冷涼なソノマ・コーストの鬼才、テッド・レモン(Ted Lemon)のリトライ(Littorai)2014、そして注目のピノ・ノワール生産者として南アフリカの突破口となり得るものとして、ピーター・アラン・フィンレイソン(Peter-Allan Finlayson)の作るクリスタルム(Crystallum)を挙げたい。提供された10のブルゴーニュのうち唯一、モンジャール・ミュニュレのレ・プラトー(Les Plateaux)、ニュイサンジョルジュ2013は多くの喜びを与えてくれたが、その価格は1本およそ60ポンドだ。

ワイン商でありマスター・オブ・ワインであり、ワイン・テイスターのチャンピオンでもあるアレックス・ハントもまた、ピノ・ノワール王国の現在の地理的な多様性に魅了されており、先日彼の会社であるバークマン・ワイン・セラーズ(Berkmann Wine Cellars.)のラインナップを構成する61本もの世界中のピノのテイスティングを開催した。

気候変動のおかげでドイツとアルザスは現在非常に有望なピノ・ノワール(ドイツではシュペート・ブルグンダーと呼ばれることもある)を生産しているが、地元の需要のおかげで強気な値段が付けられる傾向にある。アレックス・ハントのテイスティングで最もお買い得なピノの一つはラインガウにあるバルタザール・レス(Balthasar Ress)の特別ボトルでレッド・ラビットという名のワインだ。これは同じ生産者の作るお買い得なリースリングがホワイト・ラビットという名であるのに対応するものだ。

彼は世界のより目立たない地域からも素晴らしいコストパフォーマンスのワインを引っ張り出していた。例えばボディは軽いが納得のロワールのピノはトゥーレーヌのギー・アリオン(Guy Allion)のもの(赤のサンセールは私から見て価格が高すぎる傾向にある)、イタリアのオーストリアとの国境、アルト・アディジェにあるホフスタッター(Hofstätter)による3本(うち2本はブルゴーニュ的な熟成ポテンシャルを持つ本格派だ)、完ぺきなまでに素晴らしいブラジルのものや、珍しいものでは複合企業であるフォレイ(Foley)が作った、非常に格安のカリフォルニアなどもあった。

アメリカのオレゴン州は最も真剣にピノ・ノワールに取り組んでいる地域だ。ジャクソン・ファミリー・ワインズは急成長している家族経営のワイン帝国で、ケンダール・ジャクソンのヴィントナーズ・リザーブ・シャルドネに支えられているが、最近は賢いブルゴーニュの生産者同様、オレゴンに莫大な投資をしている。

バークマンの20本のブルゴーニュのうち、GV(お買い得)とノートに書いたのは6本だが、あくまでブルゴーニュという土俵の上での話だ。その価格帯は1本35ポンドから60ポンドの間で、最もワクワクした2本に至っては1本100ポンドを超えていた。お買い得品というのはブルゴーニュでは少ないが、更に少なくなっているようだ。

これら全てのワインについてテイスティング・ノートPinotphiliaを参照のこと。

心地の良いピノ
これらの多くは記載している以外の多くの小売店で入手が可能だ。取扱業者についてはwine-searcher.com を参照のこと。

Clos des Fous, Pucalan Arenaria 2012 Aconcagua
£21 The Wine Society
ヴィンテージ違い

Montes Outer Limits, Zapallar vineyard 2012 Aconcagua
£16.95 Slurp.co.uk

Domaine Begude Pinot Noir 2015 Haute Vallée de l'Aude
£9.99 Waitrose

Domaine La Croix Gratiot, Les Zazous 2014 Languedoc
£15.99 Shills of Cockermouth

Tin Pot Hut 2014 Marlborough
£14.95 Eton Vintners

Blank Canvas 2014 Marlborough
£24.99 Noel Young

Ata Rangi 2014 Martinborough
£39.90 The New Zealand Cellar

Wieninger Select 2014 Wien
£19.99 AG Wines

Littorai 2014 Sonoma Coast
£36.99 Invinity Wines

Crystallum, Peter Max 2015 Western Cape
£25.99 Handford Wines

Balthasar Ress, Red Rabbit 2014 Rhein
Grape & Grain, Haywards Heath

(原文)

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