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ブルゴーニュの地図を再起動すべき時

2018年5月19日 土曜日 • 5 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。2009 white burgundies reassessedも参照のこと。

ジャイルズ・バーク・ガフニー(Giles Burke-Gaffney)は高級ワイン商ジャステリーニ&ブルックスの仕入れディレクターだが、白のブルゴーニュの入荷が自身の顧客の保税倉庫分からも含め難しくなっていると感じている。「誰もが以前より早く消費してしまう傾向にあるため、なかなか流れてこないんです。私どもの顧客はいまだに白のブルゴーニュを欲しいと言いますが、昔ほど長くそれを手元で保管しておかないのです。」

伝統的に長期熟成に向くよう作られたワインのコルクを早く抜いてしまう要因はあの恐ろしいプレモックス、すなわちプレマチュア・オキシデーションである。白のブルゴーニュに特に多くみられる現象で、本来数十年熟成するはずのものがわずか数年で色が褐色に変わり果実味もその魅力も失ってしまう。この現象は1990年代半ばから2000年半ばまで最も顕著に見られものだが、先日行われた29本の2009ヴィンテージの白ブルゴーニュのテイスティングから判断するに、いまだに我々に付きまとっているようだ。そのうちの1本はボワイエ・マルトノのムルソー・シャルムで完全に枯れてしまっていたし、他に4本、もしかしたら5本は少なくとも他のものと比べてフレッシュさに欠けていると感じられた。

これは劣化としては衝撃的なまでに高い割合であり、ワイン収集家のドン・コーンウェルが開催し記録も行っている南カリフォルニアでのテイスティングの結果からも明らかだ。昨年2夜連続で熱狂的な空気の中実施された62本の2009白ブルゴーニュの比較イベントでは、そのうちおよそ13%ものワインが酸化していたり年代にそぐわない過度の熟成をしていたりした。そのような疲れ切ったワインに当たるリスクを最小限にするために比較的早く飲んでしまおうという心理はよく理解できる。

一方で、一般的に1本30ポンドから100ポンドもする本格的な白ブルゴーニュの魅力を最大限に引き出そうとするのであれば、瓶内でしっかり熟成させてから飲むのが道理である。若いうちはそれらのワインはあまり表現力が豊かとは言えないためだ。白のブルゴーニュの価格というのは時間とともに面白みを増していくその能力に対し払っているものだ。

ブルゴーニュ生産者の人々は自分たちのワインを完全に成熟してから楽しんでほしいと強く願っており、私の友人でもあるザ・バーガンディ・ブリーフィング(The Burgundy Briefing)のサラ・マーシュMWと協力しロンドンのブルゴーニュ愛好家かつプロ向けの定期的な熟成(しつつあるものも含む)ヴィンテージのテイスティングを開催している。今月は2009ヴィンテージの番であり、ジャステリーニのセラーで行われた。

このヴィンテージは温暖で収穫量も高かったが、8月が暑かったため一般的に長期熟成の白ワインに必要とされる酸が比較的低かった。乾燥した夏のおかげでブドウはこれ以上ないほど健全(セラー到着時にブドウの選果が必要なかったほど)だったが、香りの源である果皮は非常に厚かった。このことは若いうちワインは柔らかく凝縮感があることを意味するが、それは必ずしも熟成に素晴らしく向いているという意味ではない。ということは間違いなく2009はブルゴーニュ北部で若いうちはその非常に高い酸をよりどころとするシャブリにとって偉大なヴィンテージとは言えないことになるのだ(一方2008と特に2010はシャブリにとってこの上ないヴィンテージだ)。

例年より暖かい夏が多くなってきたこともあり、先日のテイスティングではブルゴーニュの地理的な理解を整理しなおす必要があることが示された(この再構築は他の産地でも同様のことが言えるだろう)。かつてムルソー、シャサーニュ・モンラッシェ、ピュリニー・モンラッシェ、そしてコルトン・シャルルマーニュは最高級の白ブルゴーニュの産地であると考えられてきた。これらコート・ド・ボーヌの3つの村の中でシャルドネにとって最も容易に成熟が可能となる最高の場所だったからだ。だが近年の気候変動のためブドウが成熟することはもはや珍しいことではない。事実、特に好ましいとされてきた場所ではブドウは早く成熟しすぎてしまい、酸が危険なまでに落ちてしまう可能性がある。ブドウの樹ごとに注意深い管理が必要になってきている。

コート・ドールで標高の高いサントーバンやオーセイ・デュレスなどの村はかってブドウがなかなか成熟せずに苦しんでいたが、現在はその真価を発揮し、十分に熟し、さらに爽やかな自然の酸を保った白ワインを生産するようになってきた。サントーバンは今やピエール・イヴ・コラン・モレやドメーヌ・ユベール・ラミーのオリヴィエ・ラミーなどによる傑出したワインに限らず、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

今回のロンドンのテイスティングには両方のアペラシオンのよくできたワインが含まれていたが、さらに比較的新しいアペラシオンで「黄金の丘」の南端を登り切ったところにあるマランジュの上質なワインもあった。実際、サラ・マーシュはドメーヌ・シュヴロの提供したこの上なく安心感のある2009に驚愕していた。なぜならこのテイスティングは想定していたプルミエ・クリュであるラ・フュジエールではなくただのマランジュ・ブランだったからだ。ただし、このワインは特に優れたブドウから作られたもので、ジャスパー・モリス著インサイド・バーガンディによればブルゴーニュで尊敬を集めていることでも有名な地図製作者でもあるシルヴァン・ピティオから1988年に購入した区画のもののようだ。

このテイスティングの最初のワインも非常によくできたものだったが、コート・ドールのものですらなく、オート・コートと呼ばれる、ほとんどの有名な畑から離れた奥地にある場所のものだった。こんな孤立して見捨てられたようなスー・エグイゾン(Sous Éguisons)に2001年という早い時期にブドウを植えたシャサーニュ・モンラッシェにあるドメーヌ・ジャン・ノエル・ガニャールのカロリーヌ・レスティメ(Caroline Lestimé)に敬意を表したい(彼女は別の区画、2015年に栽培を開始したクロ・ボルティエ(Clos Bortier)も所有しており、波に乗っている)。このことはどんどん暖かくなる夏を象徴するものであり、コート・ドールの数分の一の価格で畑の買えるオート・コートが今ではこれほど素晴らしいワインを生み出すことの証明でもある。

概してこれらの2009白ブルゴーニュは想定していたよりもフレッシュで少なくとも一人のテイスターは補酸しているのではないかと口にしたほどだ。補酸は味わいをキリリとさせるために酸を加えることで、フランスよりも伝統的に気温が高い産地では一般的なことだ。補酸は長きにわたりフランス当局によって新世界の嘆かわしい操作だと捉えられてきたが、最近では許可されるようになり、実際1990年代には一部のブルゴーニュの生産者の間で推奨されていた。ところがこの補酸の利点を初めての熱波の年、2003年に生かそうとした生産者たちはその結果に落胆することになった。一方補酸をしなかった生産者は最終的には自然なバランスを保つことができたのだ。ワインを作るうえで添加物を最小限にしようとする意識が高まっている昨今、我々がテイスティングした2009を生産するような個々のドメーヌの間では補酸は比較的珍しいことである。これらのワインのうち最高のものが口の中にはっきりと残すフレッシュさは恐らく、収穫日の賢明な選択によるものだろう。ブドウがまだ十分に自然な酸を残しているタイミング、一般的には9月5日前後に収穫したものだ。

これまでにないほど複雑な白ブルゴーニュとは言えないかもしれないが、今回テイスティングした2009の多くはまだ熟成の可能性があるように感じられた。事実、私が最も気に入ったドメーヌ・ベルナール・モローのシャサーニュ・モンラッシェ・マルトロワの飲み頃は2017から2030年だと記した。3本のシャサーニュのモルジョも非常に良かったので飲み頃は2028年頃としたし、今回のテイスティングから言えば3つの伝統的な白ブルゴーニュの産地の中で2009はシャサーニュにとって最も好ましいヴィンテージと言えるのではないだろうか。ただし、いつものことだがブルゴーニュに関して一般化は非常に危険だ。

白ブルゴーニュのダークホース
ムルソー、シャサーニュ・モンラッシェ、ピュリニー・モンラッシェ以外の最高の作り手

オーセイ・デュレス
Dom Bernard Buisson-Vadot
Dom Guy Roulot
Benjamin Leroux

マランジュ
Dom Bachelet-Monnot
Dom Chevrot

サントーバン
Pierre-Yves Colin-Morey
Dom Hubert Lamy
Dom Gérard Thomas

サンロマン
Chanterêves

サントネイ
Dom de Bellene

Dom Françoise et Denis Clair

Le Grappin

Dom Jean-Marc Vincent

テイスティング・ノートはこちら、取扱業者はWine-searcher.comを参照のこと。

(原文)

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