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ブルゴーニュ談義

2016年4月2日 土曜日 • 5 分で読めます
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この記事の短いバージョンはフィナンシャル・タイムズに掲載されている。

In Pursuit of Balanceを名乗るカリフォルニア新進気鋭のピノ・ノワールとシャルドネの生産者たちが最近初めてロンドンを訪問した。彼らは全員がブルゴーニュのワイン、大きく異なる環境で育てられた同じ品種から作られるワインに(こだわってはいないが)触発されている(彼らの114に及ぶテイスティング・ノートも参照のこと)。

参加者の多かったあちこちを歩き回るスタイルのテイスティングで私はとあるブルゴーニュ専門の女性ワイン商に出会った。彼女は自身の顧客が一番ベーシックな、単にブルゴーニュとだけ表記されたワインを買いたがらないことを嘆いていた。「しかも彼らはそうする必要がないでしょう」と彼女は情熱的にテイスティング・テーブルを身振りで差しながら叫んだ「こんなに素敵なワインをほとんど同じ価格で買えるんですから。」

オーストラリアから戻ってきたばかりの身として、またニュージーランドのピノ・ノワールの品質に次第に感動を覚えるようになってきた人間として、その意見には共感を覚えた。ブルゴーニュ人の中には喜びをもたらしてくれるようなチャーミングな赤や白のワインを作る人もいるが、あまりに多くの人が似たようなワインづくりのレシピを使いすぎていると感じている。それは偉大な畑に由来するブドウに対しても同様で、長い醸しに堪えうるものであるがために気難しく、その結果祈りを込めながら長期間待たなくてはならないようなブルゴーニュ・ワインが出来上がる。一方でニューワールドの上質なピノやシャルドネを作っている生産者は若いうちから消費者に優しいワインを作ることに長けている。そしてそれらの中で熟成に十分耐えうるものの割合が最近はぐんと増えているのだ。

この点を考えながら、私はふと毎年1月に大々的にブルゴーニュのプリムールを展開している伝統的なイギリスのワイン商は、悪循環に陥っているブルゴーニュの価格に端を発し、国際的な需要の大幅な高まりによって悪化しているこの事態にどう取り組んでいるのかと思った。例えば多くのアジアのワイン収集家はその忠誠心をボルドーからブルゴーニュに移している。その結果人気の高いドメーヌの特級畑の価格はこの10年で倍以上にも跳ね上がった。

常に他よりも魅力が感じられるブルゴーニュもあるのだが、需要の細分化は年を追うごとに激しくなっている。多くのワイン商はマジック・トップ30と呼ばれる人気のドメーヌ以外のドメーヌを販売することがどんどん難しくなっていることに気づき始めている。リー&サンデマンのチャールズ・リー(Charles Lea)が言うように、欲しいワインを確実に手に入れるために受け入れなければならないワインについては「トップのワイナリーの価格を上げて付帯的な損害を避ける傾向にあります。もちろんこれは「攪乱者」すなわち在庫を持たずにワインを販売するブローカーがいるためです。」

一つ明らかになったことがある。ブルゴーニュには独自の魅力があるという点だ。アーミット(Armit)のマイク・レイング(Mike Laing)によると「ブルゴーニュ愛好家がアメリカやニュージーランドなどのピノやシャルドネも好むことは珍しいことではありません。でも、知識のある愛好家は自分たちがそれぞれ理由があって異なるワインを選ぶのだとわかっているのだと思います。」ブルゴーニュを中心に扱うOW・ローブ(OW Loeb)のクリス・デイヴィ(Chris Davey)は「世界の他の地域との競合は我々にとっては問題ではありません。まったくね。」と力を込めて述べた。

だが、私が質問を投げかけたすべてのブルゴーニュワイン商は一部のトップワインとそれ以外の販売に劇的な違いがあることに同意した。最も有名なドメーヌのワインを個人のバイヤーに売ることには全く苦労しない。そしてマイク・レイングが言うように「ワイン商は間違いなく異なる階層のワインのマージンを変えています。場合によってはあからさまにね。それがプリムールの条件の格差につながるんです」

あまり動かないワインはそれが売れるまでワイン商のリストに長い間載っていることになる。例えばアンリ・グージュ(Henri Gouges)のワインはいまだにとっつきにくいという時代遅れの評判を拭い去ろうとしており、イギリスのインポータ、OW・ローブはグレッグ・グージュ(Greg Gouges;上写真、ロンドンのOW・ローブでのテイスティングにて)の所有する最大の畑クロ・デ・ポレ・サン・ジョルジュ(Clos des Porrets St-Georges)の複数のヴィンテージをかなり格安で提供している(私のお勧めは2007で37.60ポンド+付加価値税、今まさに飲みごろだ)。

このインターネットの時代、ほとんどの生産者が世界中で自分のワインにつけられている価格を監視しており、それが時には緊迫した議論になることもある。彼らのインポータ同様、彼ら自身も最も人気のあるワインはそれを飲んだ個々人に飲んでほしいと願っているが、ブローカーのリストを見る限りそれらのワインはオクタヴィアン(Octavian)などのワイン専門倉庫に数年間保管されたのちに転売されている数が増えている。

ブルゴーニュの熱烈な愛好家トーマス・デ・ウェン(Thomas De Waen)は最近ロンドンから故郷であるベルギーに戻ったが、ブルゴーニュワインのイギリスでの売り方(「6本セットでしか売らず、魅力的なワインに出会える確立はそのワイン商からどれだけ買ったかに直結する」)と彼のお気に入りのベルギーのワイン商の売り方に明確な違いがあると述べた。そのベルギーのワイン商は彼によると純粋な情熱で活動し、特別なワインでも1本単位で販売し、「転売していることを見つけたらすぐに顧客リストから外される」のだそうだ。

ブルゴーニュの価格の全体的な傾向は急激な上昇であり、ハワード・リプリー(Howard Ripley)のセバスチャン・トーマス(Sebastian Thomas)の見立てによるとその上昇があまりに急すぎてグリヴォやクロ・ド・タールなどは「自分たちで法外な価格をつけている」とのことだ。人気上昇中のドメーヌにとって、近年情報伝達が速くなっている昨今、人気の新星、セシル・トランブレイ(Cécile Tremblay)やジョルジュ・ノエラ(Georges Noëllat)などは人気が出たとわかるやいなやすぐに価格を上げることができる。

だがいまだにコシュ・デュリやラヴノーなどのように販売リストに何年も掲載されている人にだけそこそこの価格で販売をしている生産者もいる。「それで結局どうなるかというと」デ・ウェンは指摘する。「ワイン商と転売者たちがそのワインを作ったワインメーカー自身よりも儲かることになるんです。明らかにばかげたことです。」

だがブルゴーニュのベテランでブルゴーニュ在住のロイ・リチャーズ(Roy Richards)の見解は「最も人気のある生産者の品質の劣るワインですら無名な生産者の1級畑や人気のないニュイのようなアペラシオンのワインよりも販売しやすいんです。雹の続いた3年間と収穫量が非常に少なかった1年(2015年)のあと、ワインを飲む人々の意識からコート・ド・ボーヌの名は一握りの人気のドメーヌを除いて消えてしまっているように思えます。収量が一般的なものに回復した時、それらのワインが売れるのか、本当に心配です。」

彼らブルゴーニュ専門家すべてが直面する問題は人気の高いワインで稼ぎ、人気の低いワインが(例えばレストランなどに)売れるまでの在庫分を賄うことだ。これは消費者にとって本当に価値のあるブルゴーニュは若くても熟成していても、最高で無名のワインということになる。

トップのブルゴーニュワインに十分なマージンを設定しているイギリスのワイン商に無名なワインをなぜ値下げしないのかと聞きたくもなる。マイク・レイングは「多くの生産者は、スーパースターの生産者に限らず自分のできる範囲で最高の品質を得ようと努力している生産者なら誰でも、投げ売りによって軽んじられたとしたら(時には大きく)気分を害するでしょう。」そしてロイ・リチャーズは何十年にもわたりイギリスのワイン商に高級ブルゴーニュを販売しているが、「プリムールの時点でディスカウントするのは意味がありません。売れないのは価格の問題ではなく、ワイン商は彼らの棚に居座り続けることになる在庫を持ちたくないだけだからです。」

チャールズ・リーはブルゴーニュの赤と白には大きな違いがあるという。プレマチュア・オキシデーションの問題で若い白ワインはなかなか売れなくなった。赤については供給と需要の関係が年々複雑になっており、その理由を「前の世代の時代に、インポータは在庫を多く持つようになりました。ネゴシアンからではなく生産者から買うようになった結果です。そして時にはインポータへの配当に応じる代わりに収穫後の6月には50%の支払いを求める生産者もいるんです。」と述べた。ブルゴーニュを買うのはけして容易ではない。

知られていないブルゴーニュのドメーヌ

そのパフォーマンスが価格をはるかにしのぐ生産者を以下に挙げておく。

Simon Bize, Savigny-lès-Beaune
Jean-Louis Chavy, Puligny-Montrachet
Follin-Arbelet, Aloxe-Corton
Génot-Boulanger, Meursault
Henri Gouges, Nuits-St-Georges
Robert Groffier, Morey-St-Denis
Huguenot, Marsannay
Paul et Marie Jacqueson, Rully
Hubert Lamy, St-Aubin
Château de Marsannay
Château de Meursault
Jean-Marc Millot, Nuits-St-Georges
Bernard Moreau, Chassagne-Montrachet
Marc Morey, Chassagne-Montrachet
Jean-Baptiste Ponsot, Rully
Prudhon, St-Aubin
Chantal Remy, Morey-St-Denis
Marc Roy, Gevrey-Chambertin
Aurélien Verdet, Arcenant

(原文)

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