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現代のワイン界で先を見通す開拓者たちとは

Thursday 20 August 2015 • 5 分で読めます
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2015年8月20日 リチャードが2001年の終わりに書かれたこの年代物の記事を見つけてくれた。現代においてこの記事を読み返すのはなかなか興味深く、当時の私の評価がどれほどあたっているのか知ることができる(全てではなかった)。多くの関連記事のリンクも付記した。

2001年12月31日 初めて何かを行うことは難しく、初めて成功することはより難しい。世界のワイン生産者たちのほとんどは人生を誰かの先頭に立つのではなく、誰かの後を追って過ごしている。そしてほとんどの分野でそうであるように、開拓の功績をたたえられる人物はそれを初めて行った人物ではなく、その真の意味を初めて理解した人物である。

ニュージーランドのクラウディ・ベイはその完璧な例だと言える。その名声の高さと裏腹に、クラウディ・ベイはニュージーランド南島北部のマルボロで栽培されるソーヴィニヨン・ブランの最初の生産者からは程遠い。ニュージーランド最大のワイン会社であるモンタナが真の開拓者だった。だが、よそ者である西オーストラリアのワイン会社、ケープ・メンテルのデイヴィッド・ホーネン(David Hohnen)こそが、初めてこの組み合わせがどれほど特別であるかに気付き、一度見たら忘れることのできない名前とラベルで世界中に売り出そうとした人物なのだ。クラウディ・ベイのソーヴィニヨン・ブランが1980年代初頭には世界中の渇望するファンへの配当制限をしていた頃、モンタナはアメリカでの大きな流行のうねり中で、州の名前と混同されないようブランコット(Brancott )という名でようやく商品を立ち上げたばかりだったのだから。[The man who dreamt up Cloudy Bay (2015年の記事)参照]

リベラ・デル・デュエロのペスケラは純粋な開拓というよりも再開発という意味での、先駆者の例である。スペインの北西部、デュエロ川(ポルトガルのドウロ川の上流にあたる)の両岸にある標高の高い台地は、ベガ・シシリアという生産者だけがその名を馳せていた。だがベガ・シシリアの厳格で長命なワインは(時に価格が乱高下するものの)古樽による長期熟成の賜物であった一方で、地元の鍛冶屋だったアレハンドロ・フェルナンデスはより近代的な樽熟成法を推進し、そこにセラーの厳しい衛生管理と非情なまでに厳格なブドウ栽培を加えた。その結果比較的若くして楽しむことができる、素晴らしい凝縮感と豊潤さを持つ赤ワインが生まれ、ペスケラ入門希望者は選抜が非常に難しいほど増えた。アリオン(Alion)、テオフィロ・レイエス(Teofilo Reyes)、アシエンダ・モナステリオ(Hacienda Monasterio)などは概して信頼でき、今や時にはペスケラを凌ぐこともあるし、ピングス(Pingus)は完全にそれを凌いでいる。 [Trad v modern - a comparative tasting (2015年の記事)参照]

ポムロールのルパン。長いワイン作りの歴史と厳しい統制が存在する国フランスで革新的であることは難しい。(ドメーヌ・ド・レーグル(Domaine de l'Aigle)のジャン・ルイ・ドゥノワ(Jean-Louis Denois)が冷涼なリムーの畑に偉大な品種リースリングを植える許可を得るためにお役所との戦いで実感しているように)。その道は畑からではなくむしろセラーから開けたようだ。ジャック・ティエンポン(Jacques Thienpont)はボルドーに莫大な資産を持つベルギー人一族だが、初めての手作りマイクロ・シャトー・ワインを1981年にルパンで生み出したことで彼は良くも悪くも、全く新しい道を切り開いたと堂々と言えるだろう。[ Inside Le Pin (2015年の動画)参照]
最初こそ売り悩んだものの(私は1985年に1ケースの1983を150ポンドで購入している)、1990年代半ばまでには価格で、地域によってはその評価までもペトリュスを凌ぐようになった。ルパンは多くの「ガレジスト」に火をつけた。そう呼ばれるワイン生産者たちはほんの数樽に惜しみなく細やかに手をかけ、ほんの小さな区画からマーケットで最大限の効果を発揮したが、この現象はボルドー右岸だけではなく、はるかカリフォルニア、オーストラリア、あるいは南部ヨーロッパまで飛び火した。

私の思いつくその他の開拓者のリストは古いものと新しいもの、大きく2つに分けられる。前者はその開拓の功績がかなり前に達成されたものでありその後の流れを確立したもので、危機に晒されていた貴重なものを守ったり、以後それがワインの主流となるような完全に新しいスタイルを開発したりした。

ヴィクトリアのクレイグリー(Craiglee)はオーストラリアのシラーズの灯を1970年代後半から1980年代初頭にかけて守り通した。カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネにのぼせあがった市場でシラーズが絶滅しかかっていた時代である。同じような功績は南アフリカのカノンコップ(Kanonkop)がピノタージュで、言うまでもなくカリフォルニアではリッジ・ヴィンヤードがジンファンデルで残している。[Ridge retrospective(2015年の記事)参照]. シラーズもジンファンデルも、あまりに時代遅れだということで白(非常に薄いロゼ)ワインの原料にされるという屈辱を当時味わっている。

ポルトガルではバイラーダのルイス・パトがこの北部のワイン産地の伝統を守るためにこれ以上にないほど力を注いだ。とりわけ固有品種であるバガにこだわったのだが、この品種は非常に長期の熟成を必要とする品種で、21世紀の時代の流れの中では扱いにくい。[Luis Pato's reds - a match for fine bordeaux, と Baga strikes back で彼の「バガ運動」の後に続いた人々の記事を読むことができる。写真はルイス・パトで、彼のウェブサイトから転載した。 Luis Pato's latest releases(2015年の記事)も参照のこと]

イタリアでもっとも著名な草分け的開拓者といえばトスカーナのティニャネロ(Tignanello)だろう。[実際のところここではサッシカイア (2015年の記事)に言及すべきだった。なぜこの記事を書いた時に見落としていたのだろう?] ワインのスタイルとして大きな成功を収め、現在では非常に特別なものだが、小さな新樽と低収量、そしてカベルネ・ソーヴィニヨンがイタリアのほとんどの地域で非常に珍しかった1970年代初頭、アンティノリは地元のサンジョヴェーゼとカベルネをボルドーの赤ワインのスタイルでブレンドしたのである。

それからほぼ20年後、プリオラートのアルバロ・パラシオス(アルバロ・パラシオス)は1980年代からその足跡をたどったと言えるだろう。[When Eric met Daphne (2015年の記事)でその逸話を読むことができる] 流行のカタルーニャのアペラシオンの飛び地であるグラタヨップス(Gratallops)で、彼の場合は高級な値の付いたルパンを思い起こさせるレルミタとなった。
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ナパ・ヴァレーのグレース・ファミリーは言うまでもなく、ごく少量生産でメーリングリストのみで販売を行うというのが定義だとすれば、カリフォルニアで最初のカルトとしてのカベルネだろう。北ではオレゴンのアイリー・ヴィンヤードがアメリカのピノ・ノワールの道筋を示し[The Eyrie longevity revelation (2015年の記事)参照] 、ヴィクトリアのマウント・メアリーではそのオーストラリアの相棒として同様なことを行った。

しかしこれらはすべて過去を振り返った例であり、ミレニアムのこの時期にはふさわしくない。ではこの新世紀の開拓者として名を残すのは誰なのだろうか?私なら以下をまずは挙げておきたい。

フェアヴュー(Fairview)、南アフリカ。近隣と比べて品種の品揃えで数年先を走り、特にヴィオニエとシラーズ・ムールヴェードルのブレンドで大きな成功を収めている。[労働者の生活と環境の向上という意味でも。(2015年の記事)参照]

レコール41(L'Ecole 41)、ワシントン。いつかその時代が来る[2015年にはまだ]と思われるセミヨンに強く固執している。

プラネタ(Planeta)、シチリア。その姓はたまたま最高にモダンなブランドの名前と響きが似ているが、この美しい地中海の島が偉大なワイン産地の一つだと証明するために尽力している。[Sicily - Italy's new California  およびThe resurrection of Mamertino(2015年の記事)参照]

カサ・ラポストール(Casa Lapostolle)、チリ。長きにわたる素晴らしい品質は新しいクロ・アパルタ・メルロー(Clos Apalta Merlot)だけにとどまらず、単一畑の枠を超え驚くほど高品質なチリの赤ワインの一角をなしている。

カテナ(Catena)、アルゼンチン。この新しい時代のワイン生産者に選んだ理由は高度な知識を底知れぬ可能性のある国に捧げているからだ。カテナ・アルタ・マルベックがその道筋を示す。

最後はナイティンバー(Nyetimber)、イギリスだ。愛国主義だから選んだわけではない(ブドウはわが母国で栽培しているものの、彼らはアメリカ人夫婦によるフランスの専門知識を用いて醸造している)が、シャンパーニュのレシピにできるだけ忠実に従うことでイギリスがごく上質なワインを生産できることを示したことが理由だ。 [How well does English fizz age? (2015年の記事)参照].

原文

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