The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト) | Mission Blind Tasting | Wine writing competition | 🎁 20% off annual memberships

ブルゴーニュの代わりを務めるワインとは?

• 5 分で読めます
Pinot the dog

この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。A British assault on fine German Pinotsのテイスティング・ノートも参照のこと。

「私はいわば難民ですよ」先月ロンドンで開催されたワイン・テイスティングで、非常に身なりのいい参加者がそう述べ、深紅の液体が入ったグラスを回しながらこう続けた。「そしてすべての難民同様、私も傷ついています。ブルゴーニュもそうなのでしょうか?」

彼の表現はどんどん価格の高くなる赤のブルゴーニュからの逃亡という意味で、やや配慮に欠けた発言かもしれない。だが疎外感を味わっているワイン愛好家は彼だけではないだろうし、彼自身もけして金を出し渋るような人物ではない。前回私が彼と会ったのはロマネ・コンティの1971ロマネ・サン・ヴィヴァンを振舞ってくれたディナーだ。だが、フランスのピノ・ノワールというテーマの無限の変化に夢中になってきた多くのワイン愛好家同様、最近のコート・ドールの価格高騰には彼も引っ掛かるものがあるようだ。そして彼はブルゴーニュの赤に対応する一つの答えを示すこのイベントに参加した。ドイツ・ワインである。

イギリスで最も積極的にドイツ・ワインを輸入している2社、ABSと最高級ブルゴーニュの長きにわたるインポータとしても知られるハワード・リプリーが手を組み、最も注目を集めるアール渓谷のジャン・ストッデンやフランケンのフュルストを含むドイツの11のワイン生産者の最新ピノ・ノワールを紹介した。ハワード・リプリーを経営するセバスチャン・トーマスはドイツのピノ・ノワールに対する注目が次第に高まってきているのを目の当たりにし、それに特化したテイスティングを開催しようと思いついたのだと言う。彼は共催者としてイギリスでこの種のワインの第一人者でもあるABSに声をかけた。ロバート・アダム設計のシャンドス・ハウスの高い天井の下で香りを楽しんだテイスター約100名のうち60%は個人顧客だった。

私と「難民」氏が占有していた吐器の周りに割り込んできた別の人物はイギリスの他のインポータもブルゴーニュ赤の代わりとなる、価格の割に価値のあるワインを探していることを思い出させてくれた。ABヴィントナーズもまた歴史のあるブルゴーニュを輸入するイギリスのインポータだが、現在では定期的に手ごろな価格のピノ・ノワールを探しアメリカのピノ・ノワールの聖地であるオレゴンまで出かけている。ABヴィントナーズのジョン・アーノルドは「オレゴンは美味しくて高品質かつ20~60ポンドの価格帯のピノ(そしてシャルドネとリースリング)を求める顧客のための代替品と位置付けています。ブルゴーニュにあるようなバカ騒ぎや配当制というナンセンスも存在しません。もし投資家が24本のオレゴンのトップ・キュヴェを欲しいと言えば買うことができますしね。しかもこれらのピノは二次市場での価値や、もう一度そのワインに巡り合えるかどうかを心配することなく飲むことができるのです。」

経済的な観点からだけでなく純粋な興味という点からも私はドイツのピノ・ノワールの動向には殊更注目していたが、今回のABS・リプリーのテイスティングで提供されたワインの品質はまさに心が躍るものだった。樽が強すぎ、抽出が強すぎ、ブドウを熟しすぎる時代はようやく、ドイツのほとんどのピノ生産者にとって過去のものとなった。そしてドイツ北部にあり、かつてピノが成熟するには寒すぎるとされていたモーゼル川の支流、ルーヴァー沿いにある有名な修道院、マクシミン・グリュンホイザーのピノほど気候変動の素晴らしい恩恵を示すのに適したものはないだろう。

カール・フォン・シューベルトが、ドイツでシュペートブルグンダーと呼ばれるドイツのピノ・ノワールがブラインドで出された際シャンボール・ミュジニーと間違われたことに触発されたのがこの地だ。そこで2006年、彼は最も崇拝を集める畑であるアプツベルグのうちほぼ1ヘクタールをフランスおよびドイツ・クローンのピノに植え替え、現在は特に品質の高い単一畑のワインとして商業化可能な量を生産できるまでになり、2015のヴィンテージからはその名前をシュペートブルグンダーからフランス風のピノ・ノワールに変えた。リプリーによると付加価値税を含む小売価格は1本32.60ポンドだ。ブルゴーニュならほどほどの村名ワインですら有名なものはこの価格で手に入れるのは難しいだろう。

ほぼ同じぐらいの価格であれば世界的に有名なリースリングの生産者、ラインヘッセンのクラウス・ピーター・ケラーによるシュペートブルグンダー、「S」もある。ブルゴーニュのアルマン・ルソーとユベール・リニエのもとで修業した彼は自身の赤および白ワインにも同じような完璧主義を求めた。息子フェリックスの名にちなんだ彼のピノは昨年9月のドイツの有名なオークションでは1本690ユーロの値が付いたが、彼の所有する有名なモアシュタインの畑(上の写真はケラーのピノという名のシルバー・ラブラドールと畑だ)の樹齢25年のブドウを主体とした「S」2013は付加価値税を含めて1本29ポンドという掘り出し物だ。おそらく、あなたがこの記事を読む頃には、2013はハワード・リプリーのウェブサイトから消えているだろう。だがこの素晴らしいワインメーカーの作る2014と2015も、1本35ポンドで掲載されている。

ドイツで上質なピノ・ノワールの生産者が複数いるワイン生産地域はファルツと国の南東部にあるバーデンだ。ここは果皮の薄いピノの仲間であるシャルドネとピノ・ブラン(別名ヴァイスブルグンダー)や、ピノ・グリ(別名グラウブルグンダー)などから爽やかな白ワインを安定して作るためには夏は時に暑すぎる。最近のテイスティングでその価格と味わいに私が強く心打たれたのはファルツにあるシュヴァイゲン・レヒテンバッハ村の2つの生産者のもので、彼らの畑のかなりの部分はフランスとの国境を越えてアルザスにまで広がる。

若きワインメーカー、ユルク醸造所のヨハネス・ユルクはモレ・サン・ドニのドメーヌ・ド・ランブレイの元で修業を積み、クラウス・ピーター・ケラーの元でも働いている。となれば彼がピノには力強さではなくフィネスが必要であると理解していることは想像に難くない。彼の2012シュペートブルグンダー「R」は1本20.60ポンドにしてはその価値は素晴らしく高いし、微妙なニュアンスを感じさせる2012ピノ・ノワールは使用されているフレンチ・クローンに基づいてピノ・ノワールと表記されているが、37.40ポンドの価格にふさわしいと言える。2013ユルク・ピノ・ノワールもまた37.40ポンドだが遥かに若々しく、もう少し飲むのを待つ価値もあるだろう。

その近所にあるベルンハルト家は幅広いピノを提供する。それらは主にアルザスの北、ヴィサンブール近くで育つブドウを用い、中にはベーシックなシュペートブルグンダー2015がたったの12.60ポンドという非常にお買い得なものすらある。もっと値の張るニューワールドのピノよりフレッシュで面白いこの1本は明らかにテロワールよりも品種そのものを明確に表現している。はるかに複雑な味わいのものではゾンネンベルク・シュペートブルグンダー「RG」2014だが、44.40ポンドもする。ブルゴーニュ信奉者にとってこれはやや豊満すぎる味わいかもしれないが、タンニンの素晴らしい扱いは尊敬に値する。

今回のテイスティングで提供された最高のドイツのピノは、上質なピノ、もといシュペートブルグンダーを長きにわたり提供してきた生産者のものだった。フランケンのビュルクシュタットにあるフュルスト家の作るフンスルック(Hundsrück)・シュペートブルグンダー・グローセス・ゲヴェクス2014は114.25ポンドの値がつくが、おそらくその価値はあるだろう。しかし彼らのベーシックなビュルクシュタッター・シュペートブルグンダー2014は33ポンドで、素晴らしくお買い得だ。ドイツの赤ワインについて言えば2014の方が熟した2015よりも間違いなくフレッシュで繊細さがある。

バーデンのピノで私のお気に入りは、ハンスペーター・ツィアライゼン(Hanspeter Ziereisen)の活気に溢れ、完璧に熟成したヤスピス2009で、セバスチャン・トーマスがツィアライゼン・セラーから無理やり出してきたこのワインは現在1本59ポンドだ。だが、オレゴンの情報源によると昨年のクリスマスにはたったの30ポンドだったそうだ。ブルゴーニュの後を追って価格が成層圏を突破してしまう前にドイツのピノを今すぐ買うべきだ。

ブルゴーニュの赤そしてドイツのピノ・ノワールの代替となるワイン

アルザス
Albert Mann
Muré
André Ostertag
Valentin Zusslin

オーストリア
Ebner Ebenauer
Johanneshof Reinisch
Loimer
Gerhard Markowitsch
Wieninger

スイス
Gantenbein
Histoire d'Enfer
Domaine des Muses

オーストラリア
Ashton Hills
Bass Phillip
Bindi
By Farr
Coldstream Hills
Curly Flat
William Downie
Gembrook Hill
Kooyong
Lethbridge
Ocean Eight
Paringa
Ten Minutes by Tractor
Tolpuddle
Yabby Lake

ニュージーランド
Ata Rangi
Bell Hill
Burn Cottage
Doctors Flat
Dog Point
Escarpment
Felton Road
Kusuda
Lowburn Ferry
Prophets Rock
Quartz Reef
Rippon
Sato
Seresin
Tongue in Groove
Two Paddocks
Valli

カリフォルニア
Au Bon Climat
Domaine de la Côte
DuMOL
Failla
Kistler
Kutch
Flowers
Littorai
Rhys
Saintsbury
Sandhi

オレゴン
Adelsheim
Bergstrom
Brick House
Brooks
Cristom
Domaine Drouhin
Domaine Roy & Fils
Elk Cove
Evening Land, Seven Springs
The Eyrie Vineyard
Lingua Franca

(原文)

購読プラン
25th

For the dad who loves wine

Start your membership this Father’s Day with 20% off a full year. Expert reviews, honest writing, no guesswork. Or, gift a membership and save 20%.

Enter code DAD20 at checkout. Offer ends 26 June.

スタンダード会員
$135
/年間
年間購読
ワイン愛好家向け
  • 295,695件のワインレビュー および 16,104本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • askJancisへのアクセス(AIワインアシスタント)
プレミアム会員
$249
/年間
 
本格的な愛好家向け

「メンバー」プランの内容に加えて

  • 最新ワインレビューへの早期アクセス(48時間前)
  • 最新記事への早期アクセス(48時間前)
プロフェッショナル
$299
/年間
ワイン業界関係者(個人)向け 
  • 295,695件のワインレビュー および 16,104本の記事 読み放題
  • The Oxford Companion to Wine および 世界のワイン図鑑 (The World Atlas of Wine)
  • askJancisへのアクセス(AIワインアシスタント)
  • 最新のワイン・レビュー と記事に先行アクセス(一般公開の48時間前より)
  • 最大25件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
ビジネスプラン
$399
/年間
法人購読

「プロフェッショナル」プランの内容に加えて

  • 最大250件のワインレビューおよびスコアを商業利用可能(マーケティング用)
  • レビュー依頼用のワインを提出可能
  • 従業員向けにメンバーシップを提供し、一元的に管理可能
  • APIアクセス(※別途料金)
Visa logo Mastercard logo American Express logo Logo for more payment options
で購入
ニュースレター登録

編集部から、最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。

プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。

More 無料で読める記事

Kullabergs Vingård © Terra Skåne/Jan Kivissar
無料で読める記事 スター・ワイン・リスト(Star Wine List)によると、このガイドは他の多くのガイドよりも権威がある。写真上は、スター・ワイン...
Mont Ventoux seen from Les Deux Cols at dawn
無料で読める記事 南部のすべてがターボチャージされたグルナッシュというわけではない。この記事の別バージョンは『フィナンシャル・タイムズ』にも掲載されている。...
WWC26 announcement graphic
無料で読める記事 好きなアルバムを聴きながら、あるいは良い本を読みながら最も飲みたいワインはどれだろうか? バービー 、 モナリザ 、 サクセッション 、...
Institute of Masters of Wine logo
無料で読める記事 ここでは、誰もが憧れる2文字の称号を目指す受験者たちに出題された問題を紹介する。受験者の中には 当サイトのサマンサ・コール・ジョンソン...

More from JancisRobinson.com

Poggio di Sotto vineyard
テイスティング記事 ヴィンテージとテロワールを反映したワインを好むなら、2020年のトップ・ブルネッロは購入する価値が十分にある。写真上は...
Wine & War book cover
書籍レビュー 紛争の時代において、人間性、ユーモア、希望を取り戻すワインの力を思い起こさせてくれる。 ワイン&ウォー フランス人、ナチス...
Flowers in the Meinklang vineyard
今週のワイン オーストリアから届いた魔法のようなスパークリング・ワイン。 9ユーロ、15.50ポンド、16.95ドルから 。...
Dalla Valle vineyard
テイスティング記事 素晴らしいヴィンテージ。写真上はオークヴィルのダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズ。このヴィンテージでサムが特に高く評価したワインを2つ生産した...
La Réméjeanne vineyard
テイスティング記事 ローヌ南部の「北西回廊」で栽培されたワインの品質ポテンシャルを示すテイスティング。写真上はドメーヌ・ラ...
Hugo, Rui, Francisco and Ricardo of Cas’amaro
テイスティング記事 ポルトガルのこのワイン産地の南半分を巡る。北半分の生産者とワインについては 【パート1】 を参照のこと。写真上(左から右へ)、カザマロ...
Ch Grand-Puy-Lacoste
Don't quote me ニック・マーティン(Nick Martin)が、またひとつのアン・プリムール・キャンペーンが終わりを迎えるにあたり考察する。シャトー・グラン...
A castle in the Espera vineyards
テイスティング記事 A tour of this underappreciated and sometimes misrepresented Portuguese wine region. Today, we cover the northern half – Encostas d’Aire...
JancisRobinson.comニュースレター
最新のワインニュースやトレンドを毎週メールでお届けします。
JancisRobinson.comでは、ニュースレターを無料配信しています。ワインに関する最新情報をいち早くお届けします。
なお、ご登録いただいた個人情報は、ニュースレターの配信以外の目的で利用したり、第三者に提供したりすることはありません。プライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます.