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流行の品種

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この記事のショート・バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

この週末ハムステッド・ヒースにあるケンウッド・ハウスで開催されたフィナンシャル・タイムズのウィークエンド・フェスティバルで私はテイスティングのホストを務めたが、そのテーマが昨年の「外来品種」と実質的に変わらなかった点について弁解はしない。

今世紀、ワインの世界は一握りの「国際品種」(実際にほとんどがフランスのものだが)、例えばカベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネなどに依存していたものから、それらの代替品種、しかも地方色豊かで無名なものの方がよいとする方向に少しずつ変わってきている。

どうやら世界中でブドウ栽培者たちはブドウ畑の遺産に興味を持つようになっていて、それによって生物多様性が増してきた。ヨーロッパの畑が実質的に壊滅的な打撃を受けた19世紀後半のフィロキセラ後、耐性のあるアメリカ系台木に植え替えられるまで長きにわたり忘れ去られていた品種への回帰だ。これらは恐らく当時、今となっては調整できる欠点があったためだ。あるいは戦後、質より量が重要視されていた時代には収量が低すぎたため見捨てられた可能性もある。(実際、例えばヴィオニエは北部ローヌにあるコンドリューの数ヘクタールを除いて1960年代になるまでほぼ絶滅していたが、現在では広く栽培されており、ほぼ「国際品種」として認識されるほどになっている)。

ブドウの復活に最も活動的な国の一つがイタリアだ。ここは地理的に分断されてきた歴史があるため固有の品種を見つけたいと思っている向きには有望な環境だ。経験のある栽培家は、品種多様性の流行が起こる前には名前もなく、より名声の確立された品種にブレンドされてしまっていたブドウの名付け親になることもしばしばある。

そのブドウ栽培の歴史を掘り下げようとした国の一つがスイスだ。プティ・タルヴァン(Petite Arvine)、アミーニュ(Amigne)、コルナラン(Cornalin)、コンプレーター(Completer)のような品種を数十年前から復活させてきた。同様に、有力な協同組合であるプレモンの援助の下、ガスコーニュ人たちは熱心に活動を行ってきた。何年もかけて多くの畑を調査し、ほとんど絶滅しかけていた品種、例えばプティ・クルビュ(Petit Courbu)、アリュフィアック(Arrufiac)、マンサン・ノワールなどアルマニャックの生産に長く使われていた畑で育てられてきたものを発掘した( France's secret south west参照のこと)。

ポルトガルでは、あまりに多くの固有品種が選択肢に上がるため、さらなる探求はそれほど必要とされないが、スペインのブドウ栽培者たちは商業的に生産する品種の幅を最近になって積極的に広げてきた。その初期の例は高貴な品種、ゴーデリョだ。1970年代、この真に気高く長命な辛口の白ワインを生み出すガリシア系品種は約100本程度しか残されていなかった。初めて単一品種のゴーデリョとしてワインとなり、その名をラベルに表記したのは1980年代にゴデヴァル(Godeval)によって作られたが、その名は品種と主要な産地であるヴァルデオラスを組み合わせたものだ。

メレンサオ(Merenzao)、カラブニェイラ(Carabuñeira)、ソウソン(Sousón)、ブランセリャーノ(Brancellao)、カイーニョ・ティント(Caiño Tinto)などはポルトガルの品種または少なくともよく知られているポルトガル品種のシノニムと判明したものの、ガリシアの宝も多く再発掘されてきている。ファン・ガルシア(Juan Garcia)あるいはムーラトン(Mouráton)としても知られている品種は、国境のスペイン側に由来するとの強い主張があるが、これらは全て、一連のカベルネやシャルドネよりもはるかにこのスペイン北西部の端が本拠地だと言えよう。

この点が固有品種に称賛が集まるもう一つの理由だ。それらはその故郷と言える地域で生き残っている傾向にあり、単なる国際品種から作られる凡庸なワインの代わりにまさにその地域の特徴を示すワインを生み出す。これはおそらくカタルーニャの、現在ファミリア・トーレスとして再ブランド化を行っている会社にインスピレーションを与えたのだろう。彼らは地元紙にいまだ同定されていない品種を見つけ出すように促す広告を出している。その結果、彼らの育苗部門と小規模な醸造研究施設の忍耐強い努力によって、新しい、あるいは古来の6品種が同定された。そのうちいくつかはあまりにも無名だったため単純にそれらが見つかった村の名前が付けられた。

この手の調査は旧世界の多くの地域で行われているが、比較的歴史の長い新世界でも行われている。チリでパイスとして知られていた古いブドウは南アフリカに到着したヨーロッパ系品種の先駆けだが、現在その隆盛を謳歌している。このブドウの樹齢が高い(ワインの品種の高さと結び付けられる)からだけでなく、最近までチリのワイン品種の主流を占めてきた国際品種と比べてはるかに違いのある個性と香りをもたらすためでもある。この品種は元々スペインの中央部に由来するリスタン・プリエト(Listán Prieto)として知られ、アルゼンチンではクリオージャ・チカ、カリフォルニアではミッションと呼ばれるものだ。チリのパイスの成功はすでにアンデスを超えたクリオージャ・チカの再評価にも影響を与えている。

オーストラリアのワインの歴史はそれらに比べて短いため、その焦点は古い品種を探すことよりも彼らが「代替品種」と呼ぶものの同定にある。これらは基本的に、オーストラリアが経験している非常に暑く乾燥した夏の過酷さにほとんどのフランス品種よりも耐性がありそうだと生産者たちが考えている品種だ。そのためオーストラリアの植物検疫が非常に厳しいにもかかわらず、地中海系の品種を輸入し植えるという動きに大きく拍車がかかることになった。メルボルンのワイン・バーの中には教科書的なカベルネやシラーズを見つけることができないものすらある。

過酷な天候のため、近年ではワインを作るためのブドウの幅も別の意味で広がってきている。チェコとスロバキアのブドウの育種家はこれまでに大陸性気候でも十分に早く成熟する交配種を開発してきたし、世界の裏側にあるミネソタやウィスコンシンでは過酷な冬の寒さに耐えられるハイブリッドを多く見出だしてきた。ブリアンナ(Brianna)、ラ・クレセント(La Crescent)、フロントナック(Frontenac)、マルケッテ(Marquette)などは地元の消費者の間ではすでに人気だ。だがこれらのハイブリッドは一夜にして生まれたものではない。ブリアンナだけでも93もの親品種があり、ワイン用ブドウとして最も一般的なヴィティス・ヴィニフェラ以外にも7つの品種が関わっている。

さらに、ブドウを植えてから最初の収穫を得るまでには3年を要し、味わいが凝縮するにはさらなる年月が必要だ。そのためワイン愛好家にとっては段階を踏んだ選択肢の進化ともいえる。一方一握りのフランス系品種から離れ、幅広い国の数多くに品種へ移行する小売店の棚やワインリストの例は枚挙にいとまがない。例えば、上述のフェスティバルでのテイスティングはロンドンの小売店、ジェロボアムここ2年間サポートしてくれているが、そのテイスティングのためのワインは昨年よりはるかに幅広い中から選ばなくてはならなかった

2012年に私が共著したワイン・グレープは当時商業的にワインを生産していると確認できた1368もの品種が掲載されているものの、共著者であるジュリア・ハーディングMWとホセ・ブイヤーモス、そして私自身も、今第二版を出すとしたら少なくとも1450品種は載ることになるだろうと考えている。

そして、最近は単一品種よりもブレンドへの明らかな移行も見られており、それはワインメーカーが単に考え出したものだけでなく、ブドウ栽培のなかで混植から生まれたものもある。今週のwine of the weekを参照のこと。

流行の品種

無名であることだけでは賞賛に値する品種とは言えない。そこから生み出されるワインがいいものでなくてはならないし、従来の規範に対するいい意味での足し算とならなくてはならない。以下に示すのは間違いなくその功績が認められているものだ。


アシルティコ(ギリシャ)
フィアーノ(イタリア)
フルミント(ハンガリー)
ゴーデリョ(スペイン)
マラグジア(ギリシャ)
ペコリーノ(イタリア)
プチ・マンサン(フランス)
サヴァニャン(フランス)
チャレッロ(スペイン)


アリアニコ(イタリア)
メンシア(スペイン)
ネッビオーロ(イタリア)
ネレッロ・マスカレーゼ(イタリア)
トゥーリガ・ナシオナル(ポルトガル)

原文

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