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ガラス瓶よさようなら?

• 9 分で読めます
Flat plastic wine bottles from Garcon Wines

ワインのパッケージを考え直す提案に関するこの記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

ワインはガラス瓶に入れられているべき?もし地球の資源や環境のために貢献したいと考えるのなら、答えはノーだ。ガラス瓶とその輸送はリチャード・スマート博士の書いた記事、Carbon footprints, wine and the consumerにもあるようにワインの炭酸ガス排出に大きくかかわっている。

サステイナビリティは最近のホットなテーマだが、非常に複雑な問題でもある。ほとんどのワイン生産者たちはブドウ畑で化学農薬を使わないことがサステイナビリティに貢献しているかのように、またそれが素晴らしいアイデアであるかのように振舞うが、それは単なる入り口に過ぎない。

炭酸ガス排出に関する査察で思っていたような結果が出ないと嘆くワイン関連の企業や機関は、その排出源と疑われるものがワイン生産には全く関係がないと知って驚くだろう。二酸化炭素は発酵の過程で出る自然な副産物だが、今のところそれを回収しようというワイナリーは、技術的に不可能ではないにも関わらず、ほぼ皆無と言えるだろう。しかし、醸造工程で排出される二酸化炭素は、パッケージと輸送によって出るものに比較すれば微々たるものなのだ。

実際、二酸化炭素排出量はどんな容器にワインが入れられ、どのように輸送されるかによって大きく変動する。カリフォルニア・ワイン・インスティテュートやオーストラリアン・ワン・リサーチ・インスティテュート(AWRI)などが実施した査察によれば、ガラス瓶とその輸送は最も責めを負うべき手法だとされている。

今は地産地消が推奨される時代だ。だがワイン(あるいはその他のものでも)の輸送方法は輸送距離よりもはるかに大きな意味を持っている。

少なくとも、ワインは比較的長命な製品だ。魚や野菜に比較して、急いで運搬する必要はない。とはいえ、最も悪名高い輸送手段である航空便で定期的に世界中にワインを輸送している高級ワイン商を止めることはできない。なぜなら大資本を持っている実業家にせかされたり、リスクのある高温にワインをさらすことを避ける必要があったりするからだ。

もしワイン愛好家が二酸化炭素排出を少しでも減らしたいと願うなら、ただ地理的に近い産地で生産されているものだけを買えばいいというわけではない。道路を使う輸送は鉄道や海路による輸送よりも炭酸ガス排出という意味でははるかに非効率だ。さらにワインのバルク輸送はこの惑星の将来を鑑みるのであれば重くて割れやすく、不便な形をしたガラス瓶を世界中に運ぶよりもはるかに道徳的な選択だ。

ワインのボトルは美学ともいえる。その形だけでワイン愛好家の口の中が期待でいっぱいになることすらあるのだから。ワインがガラス瓶に詰められるようになって4世紀以上が経つ(それ以前はアンフォラや甕、動物の革や樽などだった)。ブリストルのガラス工房、リケッツが均一な形と大きさでボトルを作る技術を開発したのはようやく19世紀初頭になってのことだ。だがこの形、つまり直線的な円筒に狭い首のついた形は空間的な効率が非常に悪い。それがカートンやパウチに入っていたら、パレットの内容積がどれほど非効率に使われるのか考えてみてほしい。さらにワインが缶に詰められていたらどれほど重量が軽くなるだろう。

最もサステイナブルなワインの輸送法はタンカーを使って海を運ぶことだ。オーストラリアからニューヨークまでバルクでワインを輸送する場合の二酸化炭素排出量はカリフォルニアからニューヨークまで、ガラス瓶に入れてトラックで運ぶ際の排出量よりもはるかに少ない(ただし、巨大企業であるガロは米国内の輸送を長きにわたり鉄道で行っている)。コンテナで運ぶことのできるバルクワインの量は750mlのガラス瓶で運ぶよりも2.5倍の量になる。なんともロマンのない話に聞こえるかもしれないが、バルク輸送技術の進歩はここ数年で飛躍的であると同時に、ヨーロッパ北部の主要なワイン輸入国でのワイン専門瓶詰め業者の技術の進歩もまたしかりだ。

ワイン1本の価格を少しでも下げるため、サステイナビリティに貢献するため、イギリスのスーパーマーケットはブレグジットの騒ぎでポンドが暴落するよりも前からイギリス国内での瓶詰めに力を入れていた。この傾向は今やイギリス国内で瓶詰めする方が、例えば米国で瓶詰めするよりも、輸送コストを考える前であっても(訳注参照)安いという事実によって拍車がかかった。それほどまでに大きな差がつくので、イギリスへ輸入されるスティル・ワインの45%がバルクで到着するのだ(ただしスパークリング・ワインはぼぼ、ボトルで運搬するしかない)。(バックラベルに記載のある番号の最初にWのついているものはイギリスで瓶詰めされたものだ)。さらにイギリスの瓶詰め専門業者は最近発達した技術を導入したおかげで、生産者のセラーで使われている機械よりもワインに悪影響を及ぼす酸素の量をはるかに安定的に減らすことができるのだと話している。
(訳注:文脈的には「輸送コストを鑑みても」と考えられますが、原文「even before shipping costs are factored in」をそのまま訳しています)

イギリスのスーパーマーケット、マークス&スペンサーやウェイトローズはグラスの代替となるワイン容器に巨額の投資をしている。マークス&スペンサーで販売されるワインのうち、ガラス瓶以外の容器の割合は10%に達し、パウチや250ml入りのペットボトルの人気も非常に高い。一方で通常の大きさである750ml入りのプラスチック容器は今のところ苦戦している。マークス&スペンサーのワイン・バイヤーは特にその売り上げがアメリカで非常に好調な缶入りワインに大きな期待をかけている。缶入りワインはIncマガジンによる2018年に最も成功したビジネスセクター8つのうちの一つに、インフルエンサー・エージェンシーと並んで選ばれている。

包装削減の一環として、マークス&スペンサーのバッグインボックスは外側の段ボールを取り除いた、ただのバッグになった。ウェイトローズの昨夏のベストセラーは柔らかい1500mlのパウチに入った南フランスのロゼ、Bijou Le Chicで、上の写真の商品だ。ただし現在は蛇口の部分が黒ではなく白にデザインしなおされている。黒い蛇口はリサイクル業者が使うコンベア上で光学的に分類することが難しいため、環境に配慮のある小売店からは排除される傾向にある。

ほとんどのワイン愛好家は空いたボトルを宗教のようにリサイクル用ごみ箱に入れているだろうが、再利用されるワインボトルの割合は非常に低い(イギリスでは50%、アメリカでは39%だ。89%であるオンタリオは、リサイクル自体にかなりのエネルギーを使っている)。その原因は、多種多様なガラスの種類と色だ。イギリスでは緑色のガラスが最も効率的に再利用されている。なお、コルクもrecorkeduk.orgによって再利用が可能だ。

ほとんどのワイン生産者たちは現在では、重いボトルを選択することは全く賢明な判断ではないと知っているが、アメリカや中国の一部の消費者、あるいはスペイン語圏の国の生産者の中にはまだそれに理解を示さない向きもある。提供可能な750mlのワインボトルの重量の最低ラインは330g程度だが、インポータやマーケッターの中には1キロに近いほど重く、透けて見えないほど色の濃いボトルに固執し、ボトルの液面をごまかしたい人々もいる。

確かに、熟成させるように作られたワインに最もふさわしい不活性な容器はガラスだろう。私はボルドーの最高級のシャトーが彼らのワインをバルクで輸送するようになると考えるほど理想主義者ではない(ただしシャトー・スミス・オー・ラフィットとモンローズは素晴らしいことに、発酵で発生した二酸化炭素を回収する試みを始めている)。しかし日常的な大量消費ワインの容器がガラス以外のものに置き換わったら、ワインが地球環境に与える影響は計り知れないだろう。それらのワインは一握りの巨大企業によって大量に生産され、世界で販売されているワインの相当な比率を占めているのだから。

ワイン産地に住んでいるのなら、ワイナリーに自分で容器を持っていってワインを詰めてもらうというのも一つの手段だろう。さらにレストランやバーなどワインをグラスで提供する場ではケグの使用が道徳的な解決策となるだろう。私の経験上もケグがワインの品質に影響を与えることはない。

今最も必要なのは消費者のガラス瓶に対するイメージを大きく変えることだ。私の友人のワイン・ライターでありThe Wine Show のホストで妻がスウェーデン人のジョー・ファットリーニによれば「フライト・シェイム(訳注参照)」はスウェーデンで飛行機で移動する人を9%減らしたそうだ。きっと「ボトル・シェイム(=ガラス瓶を使うことを恥と考えること)」が我々には必要なのだろう。
(訳注:飛行機に乗ることが環境破壊につながると考え、それを恥じること)

ガラスの代替品
以下は世界中で販売されているワインの95%を占める、購入から数カ月以内に消費するワインに使うためにデザインされたものだ。これらの再利用法の検討も継続的に行われている。

:被覆しているアルミニウムは完全に不活性ではない。映画監督でもあるアメリカのフランシス・フォード・コッポラが安価なカリフォルニアワインに使用したのが先駆け。

パウチ:ポリエチレンとアルミニウムで構成される。これまで私が出会ったパウチに入れられたワインの最高のものはLe Grappinのブルゴーニュで、彼らがバグナムと呼ぶ1500mlのパウチに入ったものだった。彼らによるとワインを6か月間フレッシュに保つことができる。legrappin.comを参照のこと。

バッグインボックス:使いやすい段ボール箱に入ったパウチで特にオーストラリアとスウェーデンで人気。だが外装の段ボールは包装削減に伴って廃止される傾向にある。

ペットボトル:通常はポリエチレンテレフタレート(PET)で作られている。数か月で酸素が透過するが軽くて割れにくい。ギャルソン・ワインはこの記事のトップにある革命的な平たいワインボトルをリサイクル可能なペットから発明し、包装界の巨人、アムコールと共にアメリカでの生産を計画している。イギリスではすでに生産が開始されている。

カートン:リサイクル可能なボール紙で作られており、空間効率が非常に良い。南米では長いこと人気を博している。

ケグ:特にバーやレストランで非常に効率的な容器。洗浄もリサイクルも可能なステンレスの円筒形容器でワインをフレッシュに保つために不活性ガスで置換できるようにパイプも装備している。

チューブ:試験管型のパッケージでガラス製のものとPET素材ものがある。1杯分ずつの要領でプロ向けのサンプルに使うと非常に無駄がない。

原文

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