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期待に満ちるギリシャ

2019年2月2日 土曜日 • 4 分で読めます
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この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。ギリシャ(とブルガリア、ジョージア、スロヴェニア、ハンガリー)のテイスティング・ノートも参照のこと。

2005年にギリシャ初のMWであるコンスタンティノス・ラザラキスはザ・ワイン・オブ・グリースを出版した。だが現在の彼は率直に、それが若干退屈な作業だったことを認め「面白い要素を入れるのに苦労しましたから。」と話した。だが昨年出版された第二版で彼はこう書いている。「ワインの品質は劇的に変わった。初版ではヒーローの数が限られていたが、今回は賛辞の言葉を使い果たしてしまうほどだった。」

この点について私は諸手を挙げて賛成だ。私は今後期待されるワイン産地や生産国を尋ねられることが多くあるが、経済的な危機は別として、ギリシャは全てのチェックボックスにチェックがつく。特徴のある、そして地元に根付いた固有品種があるか?イエス。地理的な表現豊かなワインか?イエス。アルコールが高すぎないか?イエス。

ラザラキスは値付けという問題には関わっていないが、ギリシャ・ワインをイギリスに輸入する卓越したインポータ、エクレティック・ワインズが開催した最近のテイスティングを鑑みると、もう一つのチェックボックスにもチェックをつけたいと思う。すなわち、ギリシャ・ワインは過剰に高い価格がつけられていない、という点だ。事実、非常にお値打ち感の高いワインにも出会うことができた。

品質と、入手可能なワインの幅を広げるために心血を注いできたギリシャの生産者にとって、ワインのプロですらギリシャは醸造の欠陥を隠すことのできるテレピン油のような味のするレッツィーナしか作っていないと考えている場合もあることを知るのは非常に気の滅入ることだろう。レッツィーナですら、革命は起きているというのに。アオトン(Aoton)、ケクリス(Kechris)、ミロナス(Mylonas)、テルトラミトス(Tertramythos)などのような生産者はアッティカ原産でレッツィーナに最もよく使われるサヴァティアーノの収穫量を劇的に減らし、本物の品質とデリケートさを実現した。

エクレティック・ワインズで提供された2017 テルトラミトス レッツィーナ・ナチュール(Tetramythos Retsina Natur)はアンフォラで発酵させ、二酸化硫黄の添加量も最低限に抑えたものだ。その解説には「カリスマ的なワインメーカー、パナギオティス・パパギアノプロス(Panagiotis Papagiannopoulos)はギリシャ・ワインのフランク・ザッパとして知られる」とある。彼はザッパほど無作法ではないが、独創的なのは確かだ。

世界中で、流行に敏感な生産者たちは樽の代わりに発酵や熟成を行うためのアンフォラや陶器の壺の生産者を必死になって探している。引退した生産者を引っ張り出し、若手の職人の教育を頼むこともあるが、これら古代からの入れ物を使うワイン生産者の国というならば、それはギリシャ以外にないだろう。

エクレティックのテイスティングはある意味、彼らが最初に取り扱った生産者、サントリーニのハリディモス・ハジダキス(Haridimos Hatzidakis)のオールド・ヴィンテージを開ける言い訳という意味合いもあった。彼は非常に才能に恵まれていたが、2017年、収穫の直前に自ら死を選んでしまったのだ。ハジダキス最後のワイン、スキタリ(Skitali)2016は驚くべきもので、12カ月澱の上で熟成させたものは最高品質のブルゴーニュのグラン・クリュにも相当するほど印象的だった。イギリスではテアトル・オブ・ワイン、ザ・ワイン・ソサイエティ、ダンカン・マレー、ノーブル・ロット、クオリティ・ワインズ、ワイン&グリースなどの取扱業者でおよそ47ポンドだが、これはそれに見合う価値が十分にある。

ワイン&グリースやテアトル・オブ・ワインはまた、この美しい火山島で作られる素晴らしい辛口の白、カラモレゴス(Karamolegos)34 (2017, £31.50)を所有している。サントリーニの最も特徴的なワイン、素晴らしく繊細で長命な白は地元のアシルティコというブドウから作られるが、これは近代的なギリシャ・ワインを世界に知らしめる以上の働きをしたといえる。 (エクレティック・ワインのマリー・パテラス(Mary Pateras)が撮影した上の写真は火山島であるサントリーニのカルデラで、崖の上に移住者たちの集落が乗っかっているのが見える)

南オーストラリアのワイン生産者、ジム・バリーのピーター・バリーはサントリーニでの休暇中に飲んだワインにひどく感銘を受け、長い道のりで知られるオーストラリアの検疫を耐え忍ぶ覚悟を決め、2014年、初めてクレア・ヴァレーでアシルティコを生産した。ギリシャで2番目のMW、ヤニス・カラカシス(Yiannis Karakasis)によるとピーター以外にギリシャの外でアシルティコを植えたのは南アフリカで尊敬を集めるイーベン・セイディ、アルト・アディジェのアロイス・ラゲデール、そしてトルコのムスタファ・カムリカ(Mustafa Camlica)などがいるそうだ。

もちろん、アイダニやアシリと並んで、それはサントリーニで栽培される特徴的な三大品種の一つでしかないが、アシルティコの品質はあまりに明白であり、いまでは他のギリシャの産地でも非常に広く植えられているほどだ。

アシルティコは国内的にも国際的にもその名声を確立した最初の品種だと言えよう。草っぽい香りの辛口の白ワイン、マラグジアがそれに次ぐと言われている。だが今や多くの、色が薄かったり、ピンクだったり、濃かったりするブドウ品種がもたらす様々な特徴に出会える場所はここ以外どこにもないだろう(それらが海外の畑で育てられるようになるまでは)。それらの品種については下記の一覧を参照のこと。

20世紀後半から21世紀初頭にかけて、野心のあるギリシャの生産者たちはどこでも使われている国際品種を使ったり、それらを固有品種にブレンドしたりしたワインを好む傾向にあったが、現在は彼らは完全にギリシャ由来のワインを作ることに自信を持つようになってきた。

最初に世界の注目をギリシャのワイン革命へと集めたのは驚くほど滑らかな辛口の白ワインだったかもしれないが(ラザラキスによると、経済的に困窮した時代に、輸出の必要性にかられたことがきっかけの一つでもあったそうだ)、今は本当にわくわくするようなギリシャの赤ワインにも出会うことができる。

ギリシャで最も重要なワイン生産地、西マケドニアのナウサのイメージを大きく変えたのはティミオプロス(Thymiopoulos)と言えるかもしれない。密度の濃いスタイルではなく、若いうちはやや粗さも感じられるものの、ティミオプロスの赤ワインは記憶に長くとどまり、フレッシュで、熟成させる価値がある。バローロに例えてみることはそれほど突飛なことでもないだろう。ギリシャでGhi Kai Ouranos として知られるアース・アンド・スカイ(Earth and Sky, 2016; ザ・ワイン・ソサイエティにて£21)は彼らのトップ・レンジであり、一族の所有する最古の畑から作られたものだ。一方はるかに価格の安いJeunes Vignes 赤(2016, ザ・ワイン・ソサイエティにて£10.95) と驚くほど長命なロゼ・ド・クシノマヴロ(2017, ザ・ワイン・ソサイエティにてこちらも£10.95)も相当にお勧めだ。

キクラデス諸島のパロス島にあるザ・モライティス(The Moraitis)は想像をはるかに超えた品質を生み出すもう一人の生産者だ。彼らのマラグジアは「再発見された」固有の白品種で、いい意味で青々とした葉のような味わいがある。

それからアルバで修業しシャトー・マルゴーとピエモンテのスカヴィーノで経験を積んだものの、生まれ故郷であるクレタ島で最も類まれなる土地の表現をするために戻ってきたヤニス・エコノモウ(Yiannis Economou)がいる。彼のワインはあまりに生産量が限られているためロンドンの小売店、テアトル・オブ・ワインでは常に品切れ状態だ。収量が非常ンに低く、樽も非常に古いため、熟成を非常に長く行うので、ラザラキスはこの生産者を「ギリシャで最高の、そして最も過小評価されたワインメーカー・・・まさにギリシャのロペス・デ・エレディア(Lopez de Heredia;リオハで尊敬を集める伝統主義者)だ」と評している。

とにかく今ギリシャではあまりに多くの偉大なワイン生産者が存在し、彼らは世界中のワインを熟知し、そこから刺激を受け完全にギリシャだけのワインを、特徴だけでなく品質も見合うものを作り出している。ラザラキスが書いているように「一つ確かなことがある。最も複雑で面白いワインは間違いなくまだまだ出てくるということだ。」

ギリシャ・ワインを取り扱うイギリスの小売業者

Bedales of Borough
Maltby & Greek
Southern Wine Roads
Theatre of Wine
Vincognito
Whole Food Market
Wine & Greene
The Wine Society

注目すべき品種

色の薄い品種

Aidani
Assyrtiko
Athiri
Dafni
Kydonitsa
Malagousia
Monemvasia
Plyto
Robola
Thrapsathiri
Vidiano

果皮がピンクの品種

Moscophilero
Roditis

果皮の色が濃い品種

Agiorgitiko
Kotisfali
Liatiko
Mavrotragano
Xinomavro

原文

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