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変わりゆくイングリッシュ・ワインの顔

Saturday 4 October 2025 • 1 分で読めます
Sugrue Sunday 21 September 2025

この記事はAIによる翻訳を日本語話者によって検証・編集したものです。(監修:小原陽子)

最近お勧めするイングリッシュ・ワインには泡のないものが多い。この記事の別バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。English wine loses its fizzも参照のこと。

サセックス州バージェス・ヒル近郊。自身が経営するビー・ツリー・ワイナリーにゲスト・シェフを招き料理を振る舞う顧客向けランチ会「シュグルー・サンデー」を4回シリーズで企画した時点で、ダーモット・シュグルー(Dermot Sugrue)とアナ・シュグルー(Ana Sugrue)夫妻は最終回(写真上、サラ・ウィール(Sarah Weal)撮影)の設定を9月21日としても全く問題ないと考えていた。収穫は通常10月に行われるからだ。これまで最も早い記録は2020年、サセックス州で最初の収穫が9月21日に行われた年のことだ。ところが、2025年はその記録が更新されることとなった。

イングランドの今年の夏は非常に暑く、ブドウの収穫は史上最も早いものとなった。そのためシュグルー夫妻は上記イベントの時点ですでに収穫開始から11日が経過しているという状況で、ゲストたちは午後4時には追い立てられるように帰らなければならなかった。夕方には5トンのピノ・ムニエ(Pinot Meunier)が搬入される予定だったからだ。

気温が高かったことで異例なほど熟したブドウを収穫できた一方、房は全体的にかなり小さかった。大きな収量減少に見舞われた2024年の影響もあり、今年の収量も多くはない見込みだが、それはむしろ良いことなのかもしれない。

イギリスのワイン産業はすでに趣味の域をはるかに超え、危険なほど急速に成長している。夏の気温が高まるにつれ投資家たちがイングランドのブドウ畑に殺到したのだ。最新の統計によると、イングランドとウェールズのブドウ栽培面積は4,841ヘクタールだが、そのうち約1,000ヘクタールは樹齢3年未満、すなわち本格的な生産段階にはまだ入っていない。それにも関わらず、2023年には2,160万本ものワインが生産された。これまでの記録的収穫だった2018年でさえ1,310万本だったのに比べると大幅な増加だ。

そんなブドウ余剰の兆しが見られる一方、シュグルー・サウス・ダウンズ(Sugrue South Downs)のような小規模生産者には希望の光も差し込んでいる。同社は2020年、2021年、2023年にイングランドとウェールズで生産されるワインの業界団体※ワインGB(WineGB)から最優秀ブティック・プロデューサーに選ばれたのだ。(※スコットランドはまだそれほど多くないので含まれていない)

 

Bee Tree Vineyard, Sussex

このようなワインの約4分の3はスパークリング・ワインだ。1990年代半ばにナイティンバー(Nyetimber)がサセックス州でシャンパーニュの優れた「コピー」を造れることを証明して以来、スパークリング・ワインはイギリスのワイン・シーンを席巻してきた。伝統的製法(瓶内発酵)のスパークリング・ワインに用いるベース・ワインに高い酸は有利な要素であり、比較的冷涼な気候のイギリスは常にブドウの酸の(時には危険なほどの)高さを誇ってきた。実際、テタンジェやポメリーなどのシャンパーニュ生産者がイングランドのブドウ畑に投資してきた理由の1つは、夏の温暖化がシャンパーニュ地方の酸を確実に低下させているからだろう。

しかし、伝統的製法には長期の瓶内熟成が必要で、その時間はほとんどのスティル・ワインよりはるかに長い。そのため投資家(その大部分がスパークリング・ワイン生産にかけている)から見れば投資回収は遅くなる。ブドウ畑は実用的な収穫を得られるまでに3年かかり、その後造られたワインがリリースされるまでにさらに何年もかかる。最近のワインGBの年次テイスティングでは、出品されたスパークリング・ワインの大部分のうち最新のヴィンテージは2021で、中には2013という古いものさえあった。

これら投資家たちの近年の貸借対照表の悲惨さを理解するのに、高度な財務知識は必要ないだろう。一連のサンデー・ランチの最後の回、ダーモット・シュグルーはご機嫌だった。「2025年は『グラン・クリュ』の畑から素晴らしい価格で果実を提供してもらいました。会計士たちが畑の所有者に『売上予測が楽観的すぎるから現金を確保する必要がある』と進言してくれたおかげですよ」(フランスでは厳格に規制されている『グラン・クリュ』という言葉を使う彼に、経験豊富な醸造家である妻のアナは顔をしかめたものの、彼の言わんとすることには理解を示した)。彼によると通常なら1トン当たり3,000ポンド以上する最高品質のブドウを2,000ポンド以下で譲ってもらえたそうだ。

ヨーロッパ北部の天候は会計士の味方とは言えない。夏の平均気温が上昇したことでベルギー、オランダ、ポーランド、そしてスカンジナビア諸国とバルト諸国でもブドウが栽培されるようになったが、以下に詳述する、現在ヨーロッパ北部で最も有望なワイン産地であるイングランドとウェールズ同様、その生育期の環境は恐ろしいほど予測不能だ。

ラベルにヴィンテージの記載がないシャンパーニュやスパークリング・ワイン、いわゆるノン・ヴィンテージ、あるいは最近流行りの呼び方では「マルチ・ヴィンテージ・ブレンド」と呼ばれるものが多い理由はこの天候の波にある。生産者は良い年のワインを保管しておいて不作の年のブレンドに使うことができる。私が喜ばしく思っているのは、バック・ラベルでブレンドに何が使われたかを正確に説明する生産者が急速に増えていることだ。消費者がノン・ヴィンテージのブレンドの中身について何も知らされなかった少し前の時代とは大きな、そして歓迎すべき変化だ。

しかし最近ではヨーロッパ北部でも暖かい夏が増え、スティル・ワインを造るにも十分なほど、熟したブドウが得られるようになった。例のサンデー・ランチで、シュグルー夫妻も初のスティル赤ワイン、エセックス・ピノ・ノワール(Essex Pinot Noir)2022を披露した。これはアルコール度数が自然に13%に達し、フレンチ・オークや(通常はそれより繊細さに欠ける)アメリカン・オークを併用した熟成にも耐えうる、十分な力強さを備えた見事なワインだった。

ワインGBのテイスティングでは、出品された300本以上のワインの半数以上がスティル・ワインだった。おそらく近年続いている温暖な夏の影響だろう。当然のことながら、イギリスのスティル・ワインの大部分はスパークリング・ワインに最もよく使われるブドウから造られている。シャルドネとピノ・ノワールはそれぞれ総栽培面積の31%と28%を占め、さらに早熟な変異種として知られるピノ・ノワール・プレコス(Pinot Noir Précoce)もある。シャンパーニュで第3のブドウであるピノ・ムニエはイギリスでも3番目に多く、総栽培面積の9%を占める。一方、イングランドの多くの栽培者に愛される品種で、春の生け垣を思わせる香りのする、ソーヴィニヨン・ブランに似たワインを生み出すバッカス(Bacchus)も総栽培面積の7%を占め、耐病性の高いハイブリッド、ソラリス(Solaris)も広く栽培されている。

ワインGBのイベントで私がテイスティングした80本余りのスティル・ワインの中には、悪夢のように寒く雨の多かった2024ヴィンテージのものですら、楽しめるワインがいくつもあった。バルフォア(Balfour)のソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)もその1つだ。ブドウはシュグルーの2022ピノ・ノワール同様、イングランドで最も雨の少ない州、エセックスで栽培されており、近年フロント・ラベルに記載されることが増えたクラウチ・ヴァレー(Crouch Valley)のものだった。イギリスのワイン業界で高く評価されているクラウチ・ヴァレーのブドウ栽培専門家ダンカン・マクニール(Duncan McNeill)はダンブリー・リッジ(Danbury Ridge)に力を貸している。エセックス州にあるこのワイナリーは、ナイティンバーがスパークリング・ワインで成し遂げたことをイギリスのスティル・ワインで実現した立役者だ。世界的なワイン勢力が次々とイングリッシュ・ワインへ投資する今、彼はジャクソン・ファミリー・ワインズ(Jackson Family Wines)にも協力しているそうだ。

私はイングリッシュ・ワインを擁護する立場は取っていない。これまで何十年もそれらを厳しく批判してきた。だが、ブドウ畑の状況が全体的に改善されたことに加え、新たなプロフェッショナリズムがイングランドのワイナリーに生まれつつあることは見て取れる。ワインGBでテイスティングしたスティル・ワインのうち私は4本に20点満点中17点をつけた。これは私のような気難し屋としては高い点だ。そして26本もの十分に見事なワインにも16.5点を付けている。非常に高品質かつ喜びを与えるワインであることを意味する点数だ。

提示された1本当たりの希望小売価格は、確かにスーパーマーケットの特価品と比べれば高いが、すべてのワインが比較的小規模で生産され、(多くのヨーロッパ・ワインと違って)国の支援もないことを考えれば、高すぎるとは言えない。私が17点を付けたワインの平均価格は1本35ポンドで、おそらく私が17点を付けた世界のワインの平均価格より低いはずだ。そして16.5点をつけたワイン(のうち価格が提示されたもの)の平均価格は27ポンド弱。16.5点のワインの中でもお薦めしたいのは、価格が25ポンド以下のものだ。

以下にはあえてブドウの産地ではなく、ワイナリーのある州を記載した。イングリッシュ・ワインの約20%が委託ワイナリーで造られ、生産者の大部分が(時には100マイル以上離れた場所から)果実を購入していることは注目に値する。生産者名に「エステート」という言葉があれば、自社で果実を栽培し醸造している可能性が高い。これはワインGBテイスティングにワインを出品した84の生産者のうち13社に当てはまる。

アルコール度数は提示されていなかったが、私は不快なほどアルコールの高いイングリッシュ・ワインにはまだ出合ったことがない。ただしこのまま温暖化が続けば、アルコール度数14%のイングリッシュ・ワインが日常になるかもしれない。

(イギリスのワインに使われる用語に混乱がある点は記載しておきたい。ウェールズのワイン生産者はイングリッシュ・ワインという用語には異論があるだろう。しかしイングリッシュ・ワインという用語は長い間、イギリスで収穫された新鮮なブドウから造られるワインを、かつてブリティッシュ・ワインと呼ばれた輸入ブドウ濃縮果汁から造られるワインと区別するために使われてきたものだ。そのためウェールズを含むにもかかわらず「イングリッシュ・ワイン」という表現を使い続けることはお許しいただきたい。)

 

お薦めのイングリッシュ・スティル・ワイン

ワインの希望小売価格を添えた。ほとんどのワインは生産者から直接購入できる。


17点 

Oxney Organic, Woodhouse Pinot NV East Sussex
£27

Simpsons, Rabbit Hole Pinot Noir 2023 Kent
£32

Chapel Down, Kit’s Coty Chardonnay 2022 Kent
£36

Balfour, Signature Pinot Noir 2022 Kent
£45

16.5 点

Rowton Solaris 2023 Shropshire
£15

Woodchester Valley Bacchus 2023 Gloucestershire
£17.95

Lyme Bay, Shoreline White Blend 2024 Devon
£18.99

Hidden Spring, Bacchus Fumé 2023 East Sussex
£20

Williams Bacchus 2024 Cambridgeshire
£20

JoJo’s Vineyard Bacchus/Seyval Blanc 2022 Oxfordshire
£22

Mallard Point, No 2 Rosé 2024 Rutland
£22

The Dell, Olwen Solaris 2024 Monmouthshire
£24

Camel Valley Chardonnay 2023 Cornwall
£24.95

Stopham Estate, Barrel Fermented Pinot Blanc 2022 West Sussex
£24.95

Stopham Estate, Barrel Fermented Chardonnay 2022 West Sussex
£24.95

Burn Valley Chardonnay 2023 Norfolk
£24.99

Woodchester Valley, Orpheus Bacchus 2023 Gloucestershire
£25

テイスティング・ノートとおすすめの飲み頃については、English wine loses its fizzを参照。イングリッシュ・ワインの輸出は10%未満のため、Wine-Searcher.comでこれらのワインを検索してもあまり役に立たないだろう。現在のところ、最も重要な輸出市場はノルウェーと日本の2つだ。

 

基本の復習

イギリスのヴィンテージによる違いは??

この「北国」には収穫が激減する要素がいくつもある。春の霜、春の不安定な天候のためにブドウの樹がつけた小さな花が受粉せずブドウにならない場合、秋が来る前に夏がブドウを十分に熟させるほど温暖でなかった場合、雨が多すぎてうどんこ病や腐敗がブドウ畑に猛烈に広がった場合などだ。

2024年 寒く、雨が多く、日照もやや不足するという悪夢のような生育期にもかかわらず、何とか1,070万本が生産された。

2023年 困難なヴィンテージから記録的な2,160万本を生産。7月と8月の雨が病害を助長したものの、生育期終盤の好天が多くのブドウの成熟を助けた。

2022年 史上最も暑く乾燥した生育期のおかげで全体に優秀かつ健全なブドウが収穫でき、1,220万本が生産された。

2021年 春の霜、開花期の雨、そして8月に再び降った雨のおかげで菌類病のリスクが高まった悲惨な生育環境だったが、それを生き延びたブドウはインディアン・サマーに救われ、900万本が生産された。

2020年 春の霜と開花期の風に耐えたブドウが、ありがたいことに気温の上がった生育期後半に成熟し、880万本を生産。

2019年 2018年に収穫が多かった影響でこの年も豊作となり1,050万本を生産したものの、10月12日からほぼ連続して雨に見舞われたため理想的な品質ではない。

2018年 質と量どちらもこの時点で過去最高の組み合わせ(1,310万本)。イングリッシュ・スティル・ワインの新時代の到来を告げたヴィンテージ。

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